69 / 85
69
しおりを挟む「納得できたようだし、続けるぞ?」
そうだった。
御薙の気持ちが確認出来てよかったよかった…で終わりではなく、これから始まるところだったのだ。
改めて確認されるとなんだか恥ずかしくてつい逃げたくなってしまうが、もう制止する理由は一つも残っていない。覚悟を決めるしかなかった。
「おおお手柔らかにお願いします…」
「……それはどうだろうな?」
「えっ、なん、ふぁ…っ?」
不穏な言葉と共に鎖骨のあたりをべろりと舐められて、聞き返すつもりが間抜けな声が出てしまう。
御薙は顔を伏せたまま続けた。
「今までは、俺に抱かれるのがお前にとって不本意なことかもしれなかったから遠慮してる部分があったが、もうそこは気にしなくていいんだろ」
冬耶は(え…、あれで加減されてたの?)と凍り付く。
御薙との行為は冬耶にとってはいつも刺激的で、むしろこれまで以上に一体何があるのだろうか。
「そういうわけだから、今日からは手加減はしねえ」
「そ、それは…、あっ!」
「お前って敏感だよな」
「んっ…、そんな、こと…、」
胸の先に強く吸いつかれ、もう片方は揉みしだかれて、今更女性の体になっていたことを思い出した。
話しているうちに体が変化したことをすっかり忘れて、ずっと『冬耶』として会話をしていた。
そんなところでも、御薙は本当にどちらの姿でも同じ人間と認識してくれているのだと実感する。
こっそり感動している間も、胸を弄る手はそのままに、もう片方の手が下へと滑っていった。
柔らかい肉をかきわけ、秘められた場所へと指が滑る。
「あっ…、」
指が往復するたびいやらしい音がして、まだ大したこともしていないのにそこが湿っていることがわかった。
「お前もその気だな」
ニヤリと悪い顔に覗き込まれ、自分でも気付いていなかった己の状態を突きつけられて、耳が熱くなる。
「んぅ、待っ…、はぅ、」
ぬるりと、節の太い指が潜り込んできた。
潤いと柔らかさを確かめるような慎重な動きの後、すぐに二本に増やされる。
内部を拡げられても苦痛はなく、自分が興奮していることを思い知らされた。
「あっ、あっ…!」
中の感じてしまう場所を押されて、びくんと腰が跳ねる。
「ひゃ、そこ、ゃ…っ」
「ここ、お前の好きなところだろ」
「あっ、だ、だめ、これ…っ、」
駄目と言いながらも、指よりも太いものでそこを擦られる快楽を記憶している身体は、物欲しそうに指を食い締めて御薙の言葉を肯定した。
からかうような動きにも、腰が揺れてしまう。
「あ…、あ…っ、」
溺れかけた時、ぬぷ、と音を立てて指が抜かれた。
「っあ……、」
切ない声が漏れる。
もっと、と思ってしまったことが、恥ずかしい。
恐る恐る見上げると、御薙にはお見通しのようだった。
「もう少し色々可愛がってやりたいが、それは今後のお楽しみに取っておくな」
「ぇ…、」
「さっきから焦らされて、俺も限界だ」
体を起こした御薙が、勃ちあがったものを見せつけるように扱く。
その凶悪なサイズに、冬耶は無意識にごくりと喉を鳴らした。
「は…ッ、ん、」
襞を搔き分け、ずるりと大きなものが入ってくる。
「っ…きついな…、流石に少し早かったか。…大丈夫か?」
「んっ……」
気遣う言葉に、冬耶は何度も頷いた。
痛みはないが、とても身体が熱くて、胸の鼓動がうるさい。
理由はわかっていた。御薙と繋がることに興奮しているのだ。
身じろぐ拍子にきゅっと締め付けてしまい「急かすなよ」と笑われる。
わざとではない主張しようとしたが、すぐに御薙が抽挿を始めて、言葉にならなかった。
「んッ…、あ、はっ…、あっ!ふか、い…っ」
ぐっと打ち下ろされた楔が、恐いほど奥に入り込む。
「っ…、やべ、吸い付いて、」
「あっ、やぁ、奥、したら…っだめ、あっ、あっ、あんっ…、」
何度も突かれると、声が止まらなくなった。
「やっ、こわれ、ちゃ…っあっ、あっ、あっ…!」
ビクンと腰が跳ねて、目の前に星が散る。
急激な絶頂の後、緩やかに下りてくるはずが、御薙が動きを止めないので、下りてこられなくなった。
「あっ!待っ…、やぁ、今、いって、~~っ」
過ぎる刺激に、冬耶は半泣きで御薙を押し戻そうとする。
だが、手加減しないと公言した男は、その力ない手を取るとベッドに押さえつけて、更に冬耶を追い詰めた。
「は、っ…悪い、もう少し、」
「も、もう、無理…っ、ふぁ、あっ!あ、あぁっ…!」
やはり、手加減は必要なのではないか。
御薙に翻弄されるまま、冬耶は霞む頭の片隅で切実にそう思っていた。
1
お気に入りに追加
102
あなたにおすすめの小説
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
Sweet☆Sweet~蜂蜜よりも甘い彼氏ができました
葉月めいこ
BL
紳士系ヤクザ×ツンデレ大学生の年の差ラブストーリー
最悪な展開からの運命的な出会い
年の瀬――あとひと月もすれば今年も終わる。
そんな時、新庄天希(しんじょうあまき)はなぜかヤクザの車に乗せられていた。
人生最悪の展開、と思ったけれど。
思いがけずに運命的な出会いをしました。
パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!
八神 凪
ファンタジー
勇者パーティに属するルーナ(17)は悩んでいた。
補助魔法が使える前衛としてスカウトされたものの、勇者はドスケベ、取り巻く女の子達は勇者大好きという辟易するパーティだった。
しかも勇者はルーナにモーションをかけるため、パーティ内の女の子からは嫉妬の雨・・・。
そんな中「貴女は役に立たないから出て行け」と一方的に女の子達から追放を言い渡されたルーナはいい笑顔で答えるのだった。
「ホントに!? 今までお世話しました! それじゃあ!」
ルーナの旅は始まったばかり!
第11回ファンタジー大賞エントリーしてました!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
生意気な弟がいきなりキャラを変えてきて困っています!
あああ
BL
おれはには双子の弟がいる。
かわいいかわいい弟…だが、中学になると不良になってしまった。まぁ、それはいい。(泣き)
けれど…
高校になると───もっとキャラが変わってしまった。それは───
「もう、お兄ちゃん何してるの?死んじゃえ☆」
ブリッコキャラだった!!どういうこと!?
弟「──────ほんと、兄貴は可愛いよな。
───────誰にも渡さねぇ。」
弟×兄、弟がヤンデレの物語です。
この作品はpixivにも記載されています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
仮想戦記:蒼穹のレブナント ~ 如何にして空襲を免れるか
サクラ近衛将監
ファンタジー
レブナントとは、フランス語で「帰る」、「戻る」、「再び来る」という意味のレヴニール(Revenir)に由来し、ここでは「死から戻って来たりし者」のこと。
昭和11年、広島市内で瀬戸物店を営む中年のオヤジが、唐突に転生者の記憶を呼び覚ます。
記憶のひとつは、百年も未来の科学者であり、無謀な者が引き起こした自動車事故により唐突に三十代の半ばで死んだ男の記憶だが、今ひとつは、その未来の男が異世界屈指の錬金術師に転生して百有余年を生きた記憶だった。
二つの記憶は、中年男の中で覚醒し、自分の住む日本が、この町が、空襲に遭って焦土に変わる未来を知っってしまった。
男はその未来を変えるべく立ち上がる。
この物語は、戦前に生きたオヤジが自ら持つ知識と能力を最大限に駆使して、焦土と化す未来を変えようとする物語である。
この物語は飽くまで仮想戦記であり、登場する人物や団体・組織によく似た人物や団体が過去にあったにしても、当該実在の人物もしくは団体とは関りが無いことをご承知おきください。
投稿は不定期ですが、一応毎週火曜日午後8時を予定しており、「アルファポリス」様、「カクヨム」様、「小説を読もう」様に同時投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる