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続・うっかり喚び出したのはスーツの邪神でした。
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しおりを挟む「やれやれ…にぎやかな奴だ」
気障な動作で肩を竦める、すました綺麗な顔にスリッパで一撃入れてやりたい。
普通であれば休校になってラッキーと思うところだが、この被害状況では流石に喜ぶのも不謹慎だし、どこにも行かれない状態でこの男と一日中共に過ごすというのは拷問でしかない。
「あんた、神とか言ってただろ。神ならこの雨を何とかするとかできないのか?」
変質者の言葉を信じるわけではないが、無駄に尊大な態度を見せ続けられればこうも言いたくなるというものだろう。
しかし返ってきたのは、聞きたくなかった感じの脳内設定だった。
「私がこうして本体の写し身をこの世界に投影することで生じている現象だ。お前も少しは崇め奉れ」
「ってこの雨あんたのせいだったのかよ!?」
妄想設定だとは思うが何だこの迷惑神。
「もしかしてアレ?人間を浄化する四十日間の洪水的な!?」
ノアの箱舟でも作れというのか。
「何故わざわざ私自らそんな手間を?別にそんなことをしなくても人間はすぐに死ぬ。いちいち駆逐するほどの脅威にも感じていない」
「…………………」
神様、どうしてこの自称・邪神を洗い流してくださらないのですか。
「神なんて…いないのかもしれないな…」
投げ遣りな気持ちで呟くと、
「…仕方のない奴だな」
そうため息をついた九頭龍が、「権田」となにやら指示を出し、執事も「かしこまりました」と頷く。
「大体執事って…」
更に文句を言おうとしたところで、視界がぶれた。
いや、ぶれたのは視界ではなく、脳だ。
脳をかき混ぜられるような不快な感覚に頭を押さえようとしたが、大地を揺るがす大勢の声が聞こえて、ぎょっとして動きを止めた。
「え…、な、」
自分は家の中にいたはずだ。
ノイズのような雨の音の代わりに響き渡る悍ましい大音声。
いや、声というよりは鳴き声のようだ。吼えるような、聞くだけで身の毛のよだつ恐ろしい音だ。
音の源を確かめようと上げた視界に入ったのは、想像だにしない光景だった。
まず、まどかが立っているのは二十メートル四方ほどの四角く切り取られた石で固められた地面。四隅には篝火が焚かれ、薄暗い空間を赤く照らしている。
そこは、マヤ文明の階段状ピラミッドのような建造物の中腹にあった。
頂上には神殿のようなものがそびえ、暗くてよく見えないが、下の方には何やら黒いものがひしめいている。
人かと思ったが、目を凝らすと背びれのようなものが見えてぞっとした。
呆然と立ち尽くすその眼下に無限に広がるのは、石造りの古代都市。
失われた文明。そんな言葉が脳裏を過る。
空かと思われた上空は、よく見ると揺蕩い、魚が泳いでいた。海底なのだ。
「ここ…は…?」
一体何だというのか。
問いかけようとして、ふと目に入った自分の格好にギョッとする。
やけに涼しいと思えば、肌色率がとんでもないことになっていた。
胸と股間をギリギリのところで覆う鱗状の鎧。申し訳程度の肩当て。同じ材質のブーツと腕輪。
これは…古いゲームやアニメなどで見かけたことのあるあれだ。
ビキニアーマー。
まどかは己の姿に卒倒しそうになりながら絶叫した。
「なんだこの格好はぁあ!?」
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