52 / 104
48
しおりを挟むしばし程よい場所にある小さな頭に顎を乗せていたが、ちびが居心地悪そうに身じろぎしているのに気付いた。
強く拘束してしまって苦しかったのだろうかと腕を緩めると、ぴくっと体が震える。
胸に預けられた小さな背中がやけにあたたかい。
というか熱い。
「お前、熱あるのか?もしかして外出の疲れで具合が……」
焦って後ろから覗きこむと、ちびは赤い顔でぶんぶんと首を振った。
「あっ…ち、違うの…なんか…」
途中で口ごもるので、ちゃんと言えと続きを促す。
ちびはふるっと身を震わせ、体に余るパジャマの裾を握り締めた。
「あの、ほ…欲しい、みたいな…」
「何だ、腹減ってたのか。気付かなくて悪かったな」
「ご、ごめんなさい……」
そんなこと謝るなと頭を撫でてやる。
熱を出した後は、本人が「まだお腹いっぱい」と言っていたのでそれを信じて与えていなかった。
前回、発熱したのはやはり気になっている。
それまではそんなことはなかったのに、違いはといえば摂取した場所か。
今日は口からにしておいた方がいいかもしれないと勝手に決めて、ちびにこちらを向くよう促したのだが。
「だ…大丈夫。おれ、我慢できるから」
何故か遠慮をみせて離れようとするので、腕を掴んで引き留めた。
「何で逃げんだよ。別に我慢するこたねーだろ」
「だって……征一郎疲れてるのに」
先程愚痴ってしまったせいで気を遣わせてしまっているのか。
こういう時に慌てているちびは、見た目の年齢通りに(あるいはそれより幼く)見える。
ヤクザ(樋口)に絡まれても動じない少年が、自分のために取り乱しているというのは、昏い優越感を刺激するものだ。
征一郎にも、人並みの欲はある。
「お前のお陰で元気になったからな。還元してやる」
ニヤリと笑いながら、いつの間にかこの少年を構うのが楽しくなってきていることを自覚した。
「だったら、俺がするからちょっと離し…」
「まだ我慢できるんだろ?もう少しこのまま触られてろ」
「あ………!」
パジャマの中に手を滑り込ませる。
吸い付くような滑らかな肌だ。
「あっ、あ、…っおなか…だめ…!」
「ここ触るとお前すげー反応するよな」
触れているだけでもびくびくと身体が跳ねる。
「だめ」と訴えるちびは半ベソだが、パジャマに隠された前は布を押し上げて存在を主張しており、何らかの快楽を感じていることは明らかだった。
「気持ちよくねえか?」
「う……気持ちい、けど…っそこ…エネルギーのたまることろだから…征一郎が触るとむずむずしてほしくなって…我慢できなくなるの…」
「へえ」
それはどんな感覚なのだろう。
人は空腹時にそんな感覚を覚えることはない。
征一郎が無遠慮に掴んだら折れてしまいそうな細いうなじにキスを落としつつ、好奇心が勝ってつい腹を撫で続けていると。
「やぁ……、せ…ちろ……ごめ…なさ…も…おれ…」
何かに耐えるようにぶるぶると震えながら、ちびが懸命に振り返り、見上げてくる。
まだ何もしてねえんだがと苦笑して、口でさせようと一旦解放した。
だが、はあはあと息を乱したちびは、力なく前に倒れると腰を上げて、後ろに回した手で物欲しげに震えるそこを拓いて見せる。
「あ……せいいちろ……このまま……いいから……ほし……」
その淫靡さに、征一郎はごくりと唾を飲み込んだ。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
お試し交際終了
いちみやりょう
BL
「俺、神宮寺さんが好きです。神宮寺さんが白木のことを好きだったことは知ってます。だから今俺のこと好きじゃなくても構わないんです。お試しでもいいから、付き合ってみませんか」
「お前、ゲイだったのか?」
「はい」
「分かった。だが、俺は中野のこと、好きにならないかもしんねぇぞ?」
「それでもいいです! 好きになってもらえるように頑張ります」
「そうか」
そうして俺は、神宮寺さんに付き合ってもらえることになった。
【完結】【R18BL】清らかになるために司祭様に犯されています
ちゃっぷす
BL
司祭の侍者――アコライトである主人公ナスト。かつては捨て子で数々の盗みを働いていた彼は、その罪を清めるために、司祭に犯され続けている。
そんな中、教会に、ある大公令息が訪れた。大公令息はナストが司祭にされていることを知り――!?
※ご注意ください※
※基本的に全キャラ倫理観が欠如してます※
※頭おかしいキャラが複数います※
※主人公貞操観念皆無※
【以下特殊性癖】
※射精管理※尿排泄管理※ペニスリング※媚薬※貞操帯※放尿※おもらし※S字結腸※
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】
海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。
発情期はあるのに妊娠ができない。
番を作ることさえ叶わない。
そんなΩとして生まれた少年の生活は
荒んだものでした。
親には疎まれ味方なんて居ない。
「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」
少年達はそう言って玩具にしました。
誰も救えない
誰も救ってくれない
いっそ消えてしまった方が楽だ。
旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは
「噂の玩具君だろ?」
陽キャの三年生でした。
鳴けない金糸雀(カナリア)
ナナメ(近況ボードお知らせあり)
BL
幼い頃村を奴隷狩りに襲われ居場所を奪われた鳥人族の青年は金糸雀(カナリア)という希少でありながら声が出ない劣等種の為、18歳になるとそれまで働かされていた奴隷商の元から娼館へと売られてしまう。
彼はそれから4年、奴隷(スレイブ)と呼ばれ娼館で地獄のような日々を送っていた。唯一の拠り所は未だ奴隷商の元にいる双子の弟達だけ。
そんなある日、スレイブは娼館にやって来た1人の男と出会う。
「年は」「名前は」と訊くばかりでスレイブをなかなか抱こうとしない男との出会いが彼の人生を変えていくーー
黒の騎士と恐れられる辺境伯と声の出ない鳥人族の青年の物語。
※表紙はAI作成です。
この愛のすべて
高嗣水清太
BL
「妊娠しています」
そう言われた瞬間、冗談だろう?と思った。
俺はどこからどう見ても男だ。そりゃ恋人も男で、俺が受け身で、ヤることやってたけど。いきなり両性具有でした、なんて言われても困る。どうすればいいんだ――。
※この話は2014年にpixivで連載、2015年に再録発行した二次小説をオリジナルとして少し改稿してリメイクしたものになります。
両性具有や生理、妊娠、中絶等、描写はないもののそういった表現がある地雷が多い話になってます。少し生々しいと感じるかもしれません。加えて私は医学を学んだわけではありませんので、独学で調べはしましたが、両性具有者についての正しい知識は無いに等しいと思います。完全フィクションと捉えて下さいますよう、お願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる