警狼ゲーム

如月いさみ

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十七夜 その14

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 阪倉樹は頷き
「一応、修正が終わったら俺の元へ印刷して持ってくるように……チェックをする」
 と席へと戻った。

 干潟満也は立ち上がると携帯を手にフロアを出た。そこに駐在員が立っており階段の踊り場へと立ち去った。干潟満也はそれを見送り携帯に出ると
「田中龍之介のことがバレた……え? 今からか? わかった」
 と答えるとフロアに戻って阪倉樹に本人に直に聞くために警察学校へ行くと県警本部を出た。

 少し遅れて金沢英雄も県警本部を出たのである。
 それを堀の橋のところで写真撮影をしていた八重塚圭と遠野秋日は写真に二人の姿を治め、携帯を手にした。
「いま金沢英雄と干潟満也が県警本部を出ました。福井駅の方へと向かっています」

 電話の相手はそれに
「了解した。後を追ってくれ」
 と答えた。

 遠野秋日は笑むと
「わかりました」
 と答え携帯を切るとカメラを構え
「圭ちゃん、じゃあ駅で一休みしようか」
 と腕を組みながら金沢英雄と干潟満也から距離を置きつつ足を進めた。

 JR福井駅前の駅前交番で勤務している平岡政春が共に駅を抜けていく金沢英雄と干潟満也を見つめ
「……動いたみたいだな」
 と小さく呟きながらその後を離れながら付いて行く八重塚圭と遠野秋日を見て笑みを浮かべた。

 金沢英雄と干潟満也は喫茶店に入り話をすると金沢英雄は県警本部へと戻り、干潟満也はその足で警察学校へと出向いた。そして、田中龍之介と話をすると県警本部へと戻って情報を修正し阪倉樹に印刷した紙を見せたのである。

 阪倉樹はそれをいつも通りに受け取り
「わかった」
 と答えて飯塚孝一へと報告をし、視線を伏せると
「本当に……申し訳ありませんでした。処分は覚悟しております」
 と小さく告げた。

 飯塚孝一は部下にも全てが分かったのだと理解し
「俺も同じ立場だ。もし、これからがあれば……一層注意をすることだ。俺とお前とでファクトチェックを厳しくしていくしかない」
 と静かな声で告げた。
「だが、今回のことは感謝するしかないな」

 阪倉樹は笑むと「はい」と答え敬礼をすると立ち去った。

 桐谷世羅はその内容を阪倉樹から謝罪の言葉と共に受け取り笑みを浮かべ、設置を終えて戻ってきた将と翼と省吾と由衣に渡した。
「これが正しい情報だそうだ」
 
 将はそれを見て
「三井一哉に合わせた形だな」
 と告げた。

 省吾は住所を入れてマップで調べると
「マンションになっている」
 と告げた。

 翼は腕を組むと
「逃げ出さないのはこいつ一人だけの可能性があるな」
 と呟いた。
「他にもいたらこいつが逃げ出しても問題はないが、こいつだけなら潜入者がいなくなるからな」

 将は「なるほど」と呟いた。
 由衣は冷静に
「でも目を付けられたと思っているわ。捕まらない自信があるのかしら」
 と呟いた。

 桐谷世羅はそれに関して
「少なくとも内部に二人協力者がいる。どちらも警務部だがな」
 と告げた。
「まあ、そっちはどうせ片が付くだろう」

 ……お前たちは田中龍之介を中心に他にいないかの確認を頼む……

 4人は敬礼すると
「「「「はい」」」」
 と答えた。

 三日後、福井県営体育館に田中龍之介を含めて46名全員が姿を見せた。
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