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十六夜 その11
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一週間後の4月13日の朝9時に将たちは佐賀県警察学校の新人警察官を全員集めてSAGAアリーナのサブアリーナの中央に並ばせた。
将はその上で用意していた紙を手にすると
「今日はこれから全員を5つの班に分けて人狼ゲームを行う」
と告げた。
恐らく噂で聞いていたものもいたのだろう。
「本当だったんだ」
「マジか」
などなどざわめきが広がった。
将の横にいた翼は手を叩くと
「私語は厳禁! 即退学にする!」
と告げた。
一瞬で静寂が広がり、将は翼を一瞥して笑みを浮かべると
「人狼ゲームを知らないものがいたら手を上げろ」
と呼びかけた。
が、全員手を上げなかった。有名なゲームである大体のゲームの内容は把握しているようであった。
将は「よし」というと
「今から言う10名が第一班だ」
と言い
「安積、宇野、勝村、佐々木、志村、武田、真瀬、水上、本間、和田の10人だ。他は上の観覧席に移動!」
と告げた。
一瞬顔を見合わせた新人警察官を見ると将は
「急げ!!」
と強い口調で促した。
全員が急いで観覧席に上がり、そこから12個のテントが張られた場内を見下ろした。将と翼は10人を12個のテントが囲む空間の中央に集めテントの番号札と携帯を渡した。
将は名前を呼びながら番号札と携帯を渡し終えると
「携帯が使えるのは人狼と占い師のみだ。狼は3名、村の方は占い師が一人追加されている」
と告げた。
「昼は10分、夜は10分で回していく。夜は10分の間に人狼チームは犠牲とする村人の名前を俺に伝えてもらう。占い師は調べたい人間の名前を伝えてくれたらその場で返事をする」
将は時計を見ると「開始は居間から5分後の9時30分だ」と言い
「9時30分になったらテントから出て自由に始めてもらう」
と告げた。
「では、テントへ!」
10人が慌ててテントの中へと駆け込んだ。
1班には勝村友治を含め翼が怪しいとした本間直と武田吉三の二人を入れておいた。勝村友治を占い師にして武田吉三を人狼としたのである。本間正は村人としておいたのだ。そして今回は渡した携帯に関して通話録音がされるように設定しておいたのである。
将と翼も中に入りそれぞれのテントの天井の接合部分に仕掛けたカメラの映像を見つめた。今回は外にもカメラを付けており、座っている他の面々の様子も録画しているのである。
その様子は控室で省吾と由衣が測定器の動きと一緒に見ている状態であった。
9時30分になり将は外に出ると
「よし! 始め!」
とテントから出てきた面々に声を掛けた。
人狼ゲームは良く知っていてもこの状態で通常のゲームのように始めるのは心理的に難しい。将の経験していたのでそれは感じていた。
最初に動いたのは安積里美であった。彼女は同じ女性の水上美姫のところへ行くと
「人狼ゲームなのに緊張するよね」
と声を掛けた。
水上美姫はホッとすると
「だよね」
と答え
「狼?」
と聞いた。
それに武田吉三がパンパンと手を叩いて近寄り驚いて目を見開く二人に
「そういうこと聞くやつって怪しいよな」
と言い
「俺は村人だけどな」
と自分を指さした。
安積里美は顔を顰めると
「普通は村人っていう人の方が怪しいけど~」
と笑った。
水上美姫も笑って
「それそれ」
と相槌を打った。
武田吉三は慌てて
「いやいや、そうじゃないだろ。最初に狼? って聞く方が怪しいだろ」
と突っ込んだ。
そこへ宇野公一が近寄り
「いや、武田の方が怪しい」
と告げた。
本間直はパンっと手を叩くと
「水上が狼で武田に擦り付けようとしてるとか?」
と告げた。
水上美姫は憤慨すると
「違うわよ! 私が狼だったら態々疑われるように『狼?』なんて聞かないでしょ」
と告げた。
「そういう本間も狼で狼の武田をかばってるんじゃない?」
志村実が不思議そうに本間直を見ながらチラリと和田和臣に目を向け会話の中へと入っていた。それに様子を見ていた真瀬京平が輪に加わった。口を開かなかったのは後ろで手を組んでいた勝村友治の一人であった。
将はその上で用意していた紙を手にすると
「今日はこれから全員を5つの班に分けて人狼ゲームを行う」
と告げた。
恐らく噂で聞いていたものもいたのだろう。
「本当だったんだ」
「マジか」
などなどざわめきが広がった。
将の横にいた翼は手を叩くと
「私語は厳禁! 即退学にする!」
と告げた。
一瞬で静寂が広がり、将は翼を一瞥して笑みを浮かべると
「人狼ゲームを知らないものがいたら手を上げろ」
と呼びかけた。
が、全員手を上げなかった。有名なゲームである大体のゲームの内容は把握しているようであった。
将は「よし」というと
「今から言う10名が第一班だ」
と言い
「安積、宇野、勝村、佐々木、志村、武田、真瀬、水上、本間、和田の10人だ。他は上の観覧席に移動!」
と告げた。
一瞬顔を見合わせた新人警察官を見ると将は
「急げ!!」
と強い口調で促した。
全員が急いで観覧席に上がり、そこから12個のテントが張られた場内を見下ろした。将と翼は10人を12個のテントが囲む空間の中央に集めテントの番号札と携帯を渡した。
将は名前を呼びながら番号札と携帯を渡し終えると
「携帯が使えるのは人狼と占い師のみだ。狼は3名、村の方は占い師が一人追加されている」
と告げた。
「昼は10分、夜は10分で回していく。夜は10分の間に人狼チームは犠牲とする村人の名前を俺に伝えてもらう。占い師は調べたい人間の名前を伝えてくれたらその場で返事をする」
将は時計を見ると「開始は居間から5分後の9時30分だ」と言い
「9時30分になったらテントから出て自由に始めてもらう」
と告げた。
「では、テントへ!」
10人が慌ててテントの中へと駆け込んだ。
1班には勝村友治を含め翼が怪しいとした本間直と武田吉三の二人を入れておいた。勝村友治を占い師にして武田吉三を人狼としたのである。本間正は村人としておいたのだ。そして今回は渡した携帯に関して通話録音がされるように設定しておいたのである。
将と翼も中に入りそれぞれのテントの天井の接合部分に仕掛けたカメラの映像を見つめた。今回は外にもカメラを付けており、座っている他の面々の様子も録画しているのである。
その様子は控室で省吾と由衣が測定器の動きと一緒に見ている状態であった。
9時30分になり将は外に出ると
「よし! 始め!」
とテントから出てきた面々に声を掛けた。
人狼ゲームは良く知っていてもこの状態で通常のゲームのように始めるのは心理的に難しい。将の経験していたのでそれは感じていた。
最初に動いたのは安積里美であった。彼女は同じ女性の水上美姫のところへ行くと
「人狼ゲームなのに緊張するよね」
と声を掛けた。
水上美姫はホッとすると
「だよね」
と答え
「狼?」
と聞いた。
それに武田吉三がパンパンと手を叩いて近寄り驚いて目を見開く二人に
「そういうこと聞くやつって怪しいよな」
と言い
「俺は村人だけどな」
と自分を指さした。
安積里美は顔を顰めると
「普通は村人っていう人の方が怪しいけど~」
と笑った。
水上美姫も笑って
「それそれ」
と相槌を打った。
武田吉三は慌てて
「いやいや、そうじゃないだろ。最初に狼? って聞く方が怪しいだろ」
と突っ込んだ。
そこへ宇野公一が近寄り
「いや、武田の方が怪しい」
と告げた。
本間直はパンっと手を叩くと
「水上が狼で武田に擦り付けようとしてるとか?」
と告げた。
水上美姫は憤慨すると
「違うわよ! 私が狼だったら態々疑われるように『狼?』なんて聞かないでしょ」
と告げた。
「そういう本間も狼で狼の武田をかばってるんじゃない?」
志村実が不思議そうに本間直を見ながらチラリと和田和臣に目を向け会話の中へと入っていた。それに様子を見ていた真瀬京平が輪に加わった。口を開かなかったのは後ろで手を組んでいた勝村友治の一人であった。
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