警狼ゲーム

如月いさみ

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十六夜 その8

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 翼は目を見開くと
「え!? どういう意味だ? それは??」
 と聞いた。

 将は笑むと
「アリーナ公開型で参加していない人間に俯瞰して見てもらうようにして全員をグルグル回していく」
 と告げた。
「そうしたら一日で捌ける人間も増える。でも俺達が見るのは少人数で済むだろ?」

 省吾が「確かにー」と答えた。
 翼も由衣も頷いて
「「それで」」
 と告げた。

 将は頷いて
「よし、人数は10名だ。人狼3人、占い師1人、村人6人だ」
 と告げた。
「昼が10分、夜も10分で最長2時間と考えて、午前と午後2回ずつで4回」

 翼は頷いて
「二日で終わるな」
 と告げた。

 全員が頷いた。
 将は省吾と由衣を見ると
「じゃあ、会場は屋内アリーナだと助かるけど」
 と告げた。
 由衣は笑むと
「わかったわ」
 と答え、メモを取った。
「天童くんも他にあれば」
 
 翼は腕を組むと
「今はないけど、カメラとテントと前に使った電波測定器の手配は頼む」
 と答えた。

 省吾が頷いて
「了解」
 と答えた。

 将たちの狼狩りの方向性が見えたころ、桐谷世羅は佐賀県警本部長の小野原信次とサイバー警察局局長の水田勇次郎と顔を付き合わせて目を細めていた。

 桐谷世羅は警察庁長官である鬼竜院闘平から受け取った記事をテーブルに置き
「佐賀県警が狙われていることが分かったのは神田川むさし警部の警察手帳からだった」
 と告げた。
「その神田川警部が追っていたのがこれだったそうだ」

 『アテンダント』という企業の社長・広野亮一の投身自殺。自社ビルから飛び降りたという内容である。
「だが、神田川警部はこの投身自殺に疑惑を持って調べていたそうだ」

 桐谷世羅は息を吐き出して
「俺はITには弱いからここで話すんだが」
 と言い
「『アテンダント』はソフト作成会社だ」
 と告げた。

 それに水田勇次郎は腰を浮かして
「まさか、今回使われたプログラムはその会社が」
 と呟いた。

 桐谷世羅は頷いて
「可能性が高いと思って話をした」
 と告げた。

 水田勇次郎は立ち上がると
「わかった、それに関してはこちらで調べる」
 と告げた。

 桐谷世羅は目を細めると
「わかるのか?」
 と聞いた。

 水田勇次郎は笑むと
「先ずはセオリーとして『アテンダント』の会社を調べる。簡単なお遊びプログラムならまだしも、通常ソフトは思い付きで作れるものじゃないので計画書や設計書は作っている」
 と言い
「それが残っていなかったとしても、完全自社製作というのは少ないからそこから探っていく方法はある」
 と告げた。
「淡島みたいに一人で全てをさせるっていうのは特殊事例だ」

 桐谷世羅は笑みを浮かべると
「それだけ水田局長は彼を買っているということか」
 と呟いた。

 水田勇次郎は『さもありなん』という表情で
「そうでなければ任せたりはしないからな。何時の時代も仕事のできる奴ほど苦労する」
 と笑った。
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