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十六夜 その4
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淡島警部と呼ばれた淡島巳春は肩を竦めると
「俺、水田さんに新しいプログラムせっつかれて忙しいんだけどー」
と言いながら
「一度しか言わないから」
座って、とソファに将たちを座らせ、自らも正面のソファに腰を下ろした。
「今回のデータ改ざんの目的は警察の調書データと警察官データベースに『自分たちが紛れ込ませたいデータを入れた上』で生成AIを利用して改ざんを発見させることにあった」
……そうすればデータ改ざんされたと分かって修正する時に紛れ込ませたデータも本当のデータとして扱われる……
「言わば一つ目に意識を向けさせて本当のことを隠すって方法だよね」
将はそれに
「そこまで分かってたらそのデータも分かったってこと?」
と思わずため口で聞いた。
淡島巳春は気にした様子もなく
「まあ、或る筋から情報があって佐賀県が狙われているという話だったんで一応ダブル保存させておいたんだ。入力は同じでデータの書き出しを二か所にしておいた。勿論、変更時のログ付きでね。大慌てで機能追加したから面倒くさいししんどいし」
人の作成したプログラムの改修は大変だよねー、と肩を揉む振りをしたのである。
「一つは全員が知っているファイルで、もう一つは俺と水田さんと県警本部長だけが知っている隠しファイル。俺としてはプロトタイプで作った対コピーガード兼対生成AI用ノイズデータに置き換えて元から崩した方が楽って思ったんだけど一目でわかるから今回はダメだって言われてね」
と肩を竦めた。
「生成AIってさ、避けることは出来んだけどお行儀が悪い奴は入ってくるんだよね」
……それも結局はイタチごっこなんだけど……
「良識ない奴は一定数いるから面倒くさい」
聞いていた翼と由衣に関しては全くITの知識が一般人のために
「取り合えずデータが無事でお行儀の悪い奴はダメだってところだけは理解したけどな」
あとは分からない、と心で突っ込みつつ、真顔で目点状態のまま淡島巳春を見つめていた。
淡島巳春はフゥと息を吐き出すと
「まあ、今回は実行するかどうかと差分に意味があったから最終的には隠しファイルを利用して改ざんされたデータを直した場合の差分を取ったってわけ」
と告げた。
桐谷世羅はふっと笑むと
「なるほど、確かにそれを全都道府県となると忙しさは半端ないな」
と呟いた。
が、淡島巳春は肩を竦めると
「ああ、それはサイバー警察の他の人がやってる。俺の仕事は警察内のみの特別データ仕様の特殊OSとそれに関するすべてのプログラムの改修なんだけどね」
と答えた。
桐谷世羅は驚いて目を見開くと苦く笑って
「そりゃぁ、忙しさが半端ねぇなぁ。だがそのOSとプログラムが漏洩しない限りは外部プログラムも利用できないってことだな」
と笑った。
新しいオペレーティングシステムという土台から変わればそれを知らない人間はプログラムを組むことが出来ない。つまり、アンドロイドやアップル、ウィンドウズなどで同じプログラムが動かないというのと同じ意味である。
警察内という閉じた空間ならそれが可能だということである。外部に持ち出すときだけ出力ファイルの記述を整えればそれで問題がないのである。
将は桐谷世羅と淡島巳春を交互に見て
「俺もIT業界目指してたけど……多分、むり」
と心で叫んだ。
同じように省吾も
「僕もむりだー」
と将の蒼褪めた顔を見つつ心で叫んだ。
そして将は自分を落ち着かせながら
「あの、それで差分データは?」
と聞いた。
「俺、水田さんに新しいプログラムせっつかれて忙しいんだけどー」
と言いながら
「一度しか言わないから」
座って、とソファに将たちを座らせ、自らも正面のソファに腰を下ろした。
「今回のデータ改ざんの目的は警察の調書データと警察官データベースに『自分たちが紛れ込ませたいデータを入れた上』で生成AIを利用して改ざんを発見させることにあった」
……そうすればデータ改ざんされたと分かって修正する時に紛れ込ませたデータも本当のデータとして扱われる……
「言わば一つ目に意識を向けさせて本当のことを隠すって方法だよね」
将はそれに
「そこまで分かってたらそのデータも分かったってこと?」
と思わずため口で聞いた。
淡島巳春は気にした様子もなく
「まあ、或る筋から情報があって佐賀県が狙われているという話だったんで一応ダブル保存させておいたんだ。入力は同じでデータの書き出しを二か所にしておいた。勿論、変更時のログ付きでね。大慌てで機能追加したから面倒くさいししんどいし」
人の作成したプログラムの改修は大変だよねー、と肩を揉む振りをしたのである。
「一つは全員が知っているファイルで、もう一つは俺と水田さんと県警本部長だけが知っている隠しファイル。俺としてはプロトタイプで作った対コピーガード兼対生成AI用ノイズデータに置き換えて元から崩した方が楽って思ったんだけど一目でわかるから今回はダメだって言われてね」
と肩を竦めた。
「生成AIってさ、避けることは出来んだけどお行儀が悪い奴は入ってくるんだよね」
……それも結局はイタチごっこなんだけど……
「良識ない奴は一定数いるから面倒くさい」
聞いていた翼と由衣に関しては全くITの知識が一般人のために
「取り合えずデータが無事でお行儀の悪い奴はダメだってところだけは理解したけどな」
あとは分からない、と心で突っ込みつつ、真顔で目点状態のまま淡島巳春を見つめていた。
淡島巳春はフゥと息を吐き出すと
「まあ、今回は実行するかどうかと差分に意味があったから最終的には隠しファイルを利用して改ざんされたデータを直した場合の差分を取ったってわけ」
と告げた。
桐谷世羅はふっと笑むと
「なるほど、確かにそれを全都道府県となると忙しさは半端ないな」
と呟いた。
が、淡島巳春は肩を竦めると
「ああ、それはサイバー警察の他の人がやってる。俺の仕事は警察内のみの特別データ仕様の特殊OSとそれに関するすべてのプログラムの改修なんだけどね」
と答えた。
桐谷世羅は驚いて目を見開くと苦く笑って
「そりゃぁ、忙しさが半端ねぇなぁ。だがそのOSとプログラムが漏洩しない限りは外部プログラムも利用できないってことだな」
と笑った。
新しいオペレーティングシステムという土台から変わればそれを知らない人間はプログラムを組むことが出来ない。つまり、アンドロイドやアップル、ウィンドウズなどで同じプログラムが動かないというのと同じ意味である。
警察内という閉じた空間ならそれが可能だということである。外部に持ち出すときだけ出力ファイルの記述を整えればそれで問題がないのである。
将は桐谷世羅と淡島巳春を交互に見て
「俺もIT業界目指してたけど……多分、むり」
と心で叫んだ。
同じように省吾も
「僕もむりだー」
と将の蒼褪めた顔を見つつ心で叫んだ。
そして将は自分を落ち着かせながら
「あの、それで差分データは?」
と聞いた。
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