眠姦学校

るふぃーあ

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20 雨屋小智子4-2

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(回想シーンここから)

「・・・・・・お兄さんは、むかしはカノジョがいたんだよね?」
「ああ、高校の頃は」

サイゼリヤの夢の中で、俺は雨屋と話した。
白い天蓋に覆われた、大きなベッドの中で、全裸のままで、まだ雨屋の白桃を串刺しにしたままで。
話したのは兄貴のことだ。今の俺と、俺の兄貴、両親のおかれた状況。俺が夕食を食ってない理由。

うーん、と雨屋が考え込む。

「どうして、そうなったんだろう」
「どうしてって?」
「高校の頃にノーマルだったってことは、働きだしてから目覚めたのかな。その、同性愛に?」
「かもしれないな」
「その頃に好きだった相手とかに、協力してもらうとか。カノジョさん、いたんでしょ?」
「誰か覚えてないなあ」

兄貴、秘密主義者だったし。
連絡先どころか、心当たりすらない。

あ。
そうか。
一人だけいた。兄貴が「可愛かったよな」と話していた女性。

うちの、保健室に。
それに、あの人は。
今でも、兄貴のことを。

「・・・・・・俺の兄貴もさ、高校の頃、他人の夢を見ることがあったらしい」
「そうなの?」
「うん。17歳の頃、他人の夢に入ってたって、そんで、リカちゃん先生のことも」

そういえば。
兄貴は、女子の夢、とは言ってなかった気がする。

ひょっとして、あの頃に「男性の友人」の夢に入り、そこで。

(好きだって言われて、嬉しかったなあ)

あれって、リカちゃん先生のことだと思ってたけど。
もしかしたら、違ったかもしれない。

「でも、リカちゃん先生のことが好きでも、リカちゃんはどう思ってるか分からないよね。そもそも、お兄さんのこと知ってるかどうか」
「知ってる」
「え?」
「前に保健室で話したんだ。兄貴のこと元気かって、今でも好きだって」

ちょっと誇張したかもだが、概ね間違いではない。
それから雨屋が立てた作戦が、これだ。

ふたりを、同じ場所へ連れ出す。
4人で眠ってても邪魔されない、映画館とかがいい。

そこで、俺たちもついていき、ふたりを夢の世界へと誘う。
そして、ふたりに夢を見させるのだ。人生を共にしている、夢を。

「・・・・・・4人同時とか、できるのかな」
「3人はしてくれたじゃない。できるよ」

そうだったな。
生徒会長の時も、果たしてできるのか、と心配した。実際は杞憂だった。

「協力してくれるか雨屋。俺一人でリカちゃん先生を連れ出すとか、ハードル高すぎだし」
「いいよ。ここまで来たんだもの、最後まで協力するよ。先生にも話しといてあげる。予定も聞いておくから」
「頼む」

雨屋は、俺のカノジョ役として、リカちゃん先生の誘導係として、働いてもらった。
ふたりで映画館デートして映画を観て、この作品がいい、と選んだ。
ゆったりとした音楽が流れ、かつて惹かれ合った恋人同士が社会人になってからまた出会い、ハッピーエンドで終わるもの。2時間以上。

その成果が、ここにある。


(回想シーンここまで)

リビングで、ふたりは絡み合っていた。
ギシギシと激しい音を立てて、ソファがきしむ。

「リカ!リカ!」
「あんっ!せ、センパイっ、センパイっ!」

ガゴッ。ガゴッ。ガゴッ。
激しい腰使いに、リカちゃん先生の乱れる声。聞いているこっちまで、興奮が伝わってくる。

俺は、そっと雨屋のスカートに手を入れた。
彼女が驚いて振り向く。

「ちょ、ちょっと!こんなとこで」
「が、がまんできねー」

雨屋のショーツを、上からいじる。
そこはもうしっとりと濡れていて、雨屋も感じてる、ってことが伝わってきた。

狭い廊下の壁に彼女を押し付け、後ろからスカートをまくる。

「か、からすまくん、だめ!」
「なあ雨屋、前と後ろ、どっちに挿れて欲しい?」
「どっちもだめ・・・・・・ん、あっ」

パンティの隙間から、陰茎を押し込んだ。

「んんっ!」

雨屋が口を押さえ、必死に声を堪える。
夢の中では爆発してしまう雨屋だ。どれだけ声を抑えるのが難しいことか。
それが分かっていても、俺はもう止められなかった。壁押し付け&立ちバックのレイプスタイル。たまらん。

腰と胸をわしづかみに、俺は激しく腰を振って責めた。
前も後ろも、どちらの穴も、交互に。
中の様子も、もう最高潮に達しつつあった。

「からすま、くん、もう、だめ」
「せ、センパイっ!も、もうだめっ!」
「俺ももう限界、雨屋」
「お、俺も、俺も!いくぞっ!」
「中に、中にっ!中に出してえええっ!」
「ひ、あああああああああああっ!」

どく。
どく。どく。どく。

同じタイミングだった。
4者4様、2組の男女が、同時に絶頂を迎えた。
狂おしいほどのオルガズムの叫びは、果たして誰のものだったのか。


俺は、放出後の気だるい感覚に支配されながら、廊下の壁にもたれていた。
股間を、雨屋が掃除してくれている。口と手とで。
雨屋はぺたたん、と床に腰が抜け、頭の高さにある俺を清めてくれていた。

中のふたりも、むつみあっているようだった。

「ね、センパイ」
「うん?」
「覚えてますか?体育祭のこと」
「ああ。雪原が、転んだんだったな」
「はい。はしゃいじゃって、で、センパイにおぶってもらって」

思い出話だろうか。
俺には知らない話だ。

「あの時のセンパイ、すごくカッコよかったです。力強くって」
「俺も。雪原の感触が、背中にたまらなかったな。胸とか」
「もう、そんなこと考えてたんですか?えっち」
「まあ、あれからだもんな、俺たち」

ん?
このふたり、付き合ってたのか?
まさか。リカちゃん先生もそんな話はしてなかったし。あくまで夢の話、だろうか。

「あの時、勇気を出して告白して、良かったです」
「ああ。嬉しかった」
「本当ですか?」
「もちろん。俺も雪原のこと、好きだったからさ」
「嬉しい」
「一生大事にするって、誓った」
「ずっと、ですよ?」
「ああ。ずっとだ」

場面が変わった。
リビングの中は教室に変わっていた。午後の授業中、古文の教師がゆっくりとしたペースで話を続け、生徒はほとんどが眠っていた。

その中には、兄貴もいた。
何かを考えるように、手でリストバンドをもてあそんでいた。

別の男子生徒が、それを見つめていた。

(あ)

斎藤さん。
兄貴の高校の頃の友人であり親友、そして先日うちに現れたパートナー。

そっか。この時に。
兄貴と、斎藤さんは。

と、隣の席の女子が、兄貴に何かを渡した。
それは、リカちゃん先生だった。セーラー服姿の。
違う学年だし、ここにいるはずもないが、夢ってごちゃまぜだ。こういうこともある。

兄貴はリストバンドを机に置くと、リカちゃん先生の渡した折りたたみの櫛を握りしめ、眠りに落ちた。
リカちゃん先生もまた、目を閉じる。

これは、夢なのか。
過去を書き換えようとしているのか。
そんな能力は、俺の夢にはない。あるのは、夢という名の幻覚を見せる能力だけだ。

ぱち、と間もなく兄貴が目を覚ました。
リカちゃん先生も。
ふたりは見つめ合い、微笑む。
斎藤さんの姿は、もう教室から消えていた。

夢の中の夢。
それは、とても長い時間が経つこともある。
いったい、二人はどんな夢を見ていたのか。


また場面が変わった。
暗い居間のソファで、兄貴は憔悴した顔をしていた。

「出て、いくのか」
「ああ」

兄貴が手を伸ばした先には、斎藤さんがいた。

「どうして」
「未来がないんだ、この先には」
「未来?」
「ああ」

斎藤さんが、兄貴を振り返った。

「お前といるのは楽しい、星矢。愛している。ずっと一緒にいたい、今でもそう思う。・・・・・・だけど」

斎藤さんは、前を指し示した。

「あれは、手に入らない」

そこには、3人の人達がいた。
父と母、手を繋いだ子。
よく見ると、それは若い頃の父さんと母さん、兄貴だった。

「だが、それは」
「こっちも」

また別の方向を、斎藤さんが指さした。
そこでは、楽しく食卓を囲む家族がいた。

父さんと母さんは、今よりも老けていた。
俺が大人っぽくなり、赤ちゃんを抱っこしていた。
乗宮がいて、俺と赤ちゃんを嬉しそうに眺めていた。そのお腹は風船のように膨らみ、乗宮はおなかを愛おしそうに撫でていた。

「あれが、欲しいのか」
「お前もだろ、星矢」
「しかし」
「分かっている。お前はまだ帰れる。俺も」
「だけど!」
「帰ろう。星矢」

ばたん。
扉が閉まった。
兄貴の手が、力なくだらりと床に落ちた。


学校の体育館。
よく夢に出てくる場所だ。

兄貴は、まっすぐに俺を見ていた。

「サトヤ」
「兄貴」
「これは、お前の夢、なんだな」
「ああ」

兄貴には、かつてこの能力があった。
俺がその能力を持っていると知っている。夢の中では言い訳もしにくいし、するつもりもない。

「そうか。・・・・・・こんな能力、だったかな。懐かしいよ」
「ああ」
「これが、お前の見せたい夢なのか」
「いや、兄貴が見たい夢だ」

周囲を見回した。
俺の夢でもあり、兄貴の夢でもある。
俺たちふたりが過ごした体育館は、ほとんど同じ造形だ。
だが、違う部分も一部ある。バスケットゴールだ。一部、古いままなのだ。

誰かがダンクの練習してて壊したらしい、そう俺達の世代では伝わっている。きっと兄貴が壊したんだ。
だから、これは兄貴の夢だ。新妻との生活、リカちゃん先生と過ごした青春、斎藤さんとの別れ、両親との楽しい団欒。

「俺はこんなもの望んじゃいない。俺が望むものは、斎藤と暮らすことだ」
「どうかな」
「なに?」
「俺と雨屋だけの夢で、楽しい朝食が食べられるわけない。兄貴と、リカちゃん先生の夢も混じっている」
「では、雪原の夢だ」
「それも違う。兄貴が違う夢を見たいんなら、あの朝食の場面で斎藤さんが出てこないのはなぜだ」
「・・・・・・」
「古文の授業で、本当はリカちゃん先生の夢を見たかった。だけど、兄貴は斎藤さんの夢をみた。そこで彼の気持ちを、想いを知ってしまった。それが現実なんだろう。でも、本当は」
「違う、違う、違う!」

もの凄く久しぶりに見る、兄貴の怒った顔。
正直、怖い。
8歳上の兄貴には、子供の頃から尊敬とともに畏れを抱いていた。それは容易に拭い去れるものではない。
今、この瞬間も、絶対に敵わないと思えるほどの圧力があった。

井野口の夢のことを、思い出した。
負けるんじゃない、俺。怯んだら溺れ死ぬぞ。

「しょ、勝負だ、兄貴」
「なに?」
「俺と、勝負しよう。・・・・・・あれで」

指さしたのは、古いバスケットゴール。
俺は、ユニフォームに着替えた。バスケットボールを生成する。

ダム。ダム。床もいい感触だ。

「・・・・・・いいだろう。俺に勝てるか?サトヤ」
「やってみないと分からないさ」

兄貴も、ユニフォーム姿に変わった。
バッシュを履き、不敵に微笑んでいる。

「からすまくん」
「センパイ!」

雨屋と、リカちゃん先生の声がした。
俺は手で制する。

「・・・・・・待っててくれ、雨屋。すぐに終わらせる」
「こっちのセリフだ」

俺はボールを、兄貴にパスした。
兄貴は、まっすぐに投げ返してきた。

「ハンデをやろう。お前が先攻、3本先取。いいな」
「ああ」
「俺が勝てば、俺の思いどおりにする。父さんたちにも、もう干渉しないように伝えてくれ」
「俺が勝つ。んで、兄貴を元へ戻す」

ダム。ダム。
ゆっくりと、ドリブルを開始した。
兄貴が腰を落とす。さすがの威圧感。

俺は、兄貴には勝てない。直感的にそう思う。
何せ、あっちは伝説的なインターハイ出場選手だ。こっちは万年補欠。それが現実だ。
背も低い。勝てるはずない。

(せめて、背丈だけでも)

伸ばそう、と試みた。
夢の中なら、どれだけでも伸ばせるはずだ。イメージ力で決まる。

だが。
俺の身長は、1センチも伸びなかった。

(兄貴より、低いと思ってしまうのか)

生まれてから、ずっと兄貴を見上げてきた。
兄貴を見下ろす、そんなことは、一切イメージできなかった。並ぶことすら、俺の心は拒絶した。

(くそ、このままやるしかないか)

ダム。ダム。
身構える。

自信を持て、鴉間里矢。
お前は毎日のように練習もしている。部活中もサボってない。
相手は、もう8年もバスケをしてないんだ。勝てる。勝てる。勝つ。絶対に。

キュッ!
一度フェイクを入れ、右側からドリブルして抜き去る。

ガッ!
巨大な壁にぶつかったような感触がした。
べたん、と尻餅をつく。

「はは、サトヤおまえ、全く上手くなってないな」

兄貴が、ボールを手にして微笑んでいた。

攻守逆転。
位置を入れ替え、今度は俺が兄貴に向かって腰を落とす。

止めなきゃ。一本。

だが。
反応すら、できなかった。

光のようなスピードで、俺は瞬時に抜き去られた。

ガゴッ!
強烈なダンクシュート。

「ほらサトヤ、次だ」

兄貴がポイ、とボールを放る。余裕の表情で。

まずい。
実力差がありすぎる。
8年のブランクがあっても、兄貴は兄貴だった。
大学ではバスケもお遊び程度、とか言ってたけど、あれは嘘だったのか。

2本目。
ドリブル、と見せかけて放ったシュートは、簡単にブロックされた。

「次、だな」

兄貴の番。
あ。
スリーポイント。

ぱしゅ。
リングに触れることなく、ボールがゴールに吸い込まれた。

「ほら、あとがないぞサトヤ」
「お、おう」

スコアは0-2。圧倒的だ。
俺、ここまで弱かったんだな。知ってたけど。

・・・・・・知ってた?
だめだ。だめだ。
やっぱり、俺は兄貴に負ける未来しか、想像してない。
だけど、兄貴に勝つイメージなんて、一朝一夕で生まれるものでは______

「がんばって!」

声が聞こえた。
雨屋の声。

「がんばって!からすまくん!」
「ほう。いい彼女だな。でもこないだ見たコとは別だが」
「俺って意外にモテんだよ」

ふふ。
もう、虚勢を張るしかない。

「なあ、兄貴」
「何だ」

ボールを手に、声を潜めた。

「俺さ」
「ああ」
「リカちゃん先生とヤッた。リアルで」
「・・・・・・は?」

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