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17 木津川千鶴3
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17 木津川千鶴3
「ね、からすまくん」
「ん?」
突然、名前を呼ばれた。
場所は図書室、時刻は放課後。
誰もいない図書室で話しかけてくる人物、それは図書委員である木津川千鶴だけである。
彼女は、他の図書委員がいなくても、必ずいる。
俺が差し出した「ヒトはどうして夢を見るのか?脳が休まる睡眠の科学」の貸出欄にハンコを押しながら、木津川が言葉を継いだ。
「乗宮さんのこと、催眠術で落としたの?」
「違うな」
俺が催眠術を「研究」していることを、木津川は知っている。
この図書室で、何冊もそういうたぐいの本を借りているからだ。
実際、俺はその力を試したことがある。女性に対して。
だが、乗宮の件は違う。催眠など使っていない。
「違うの?」
「違う。乗宮は、俺のことが好きだったんだ」
そういうことにしてある。
当初、俺が乗宮に告白した、という設定にしようかと俺は言った。その方が、クラスの奴らも納得するだろう。
しかし、それだと困る、そう乗宮が言ったのだ。
(わたし、カラスマのことなんてなんとも思ってないって顔でいたからさ、バスケ部の女子連中とか、その辺知ってるわけ。それで告白されて急に付き合うって、わたしのキャライメージ軽くない?)
(お前のイメージなんて知るかよ)
(とにかく、わたしは自分から言ったことにしたいの。その方が、積極的でわたしらしいでしょ?)
うーむ。よく分からん。
まあ、乗宮っぽい、てのはなんとなく理解できる。彼女はバスケで常に全力疾走だ。恋だって全力疾走、そう言いたいんだろう。
まあどっちでもいいし、どうせ設定だし、と了承した。
実際、乗宮から付き合おうって言い出したんだし、間違ってないしな。
「じゃあ、例の能力、睡眠中の夢を使ったの?そこでうまく、好きになるように仕向けて?」
「おまえ、俺がさっき言ったこと、聞いてないだろ」
「ね、からすまくん」
木津川は他人の話を聞かない。俺覚えた。
「何だ」
「夢の中で夢を見る、って、できると思う?」
「ああ、映画の話、か」
以前、木津川の部屋で、一緒に映画を観た。
「インセプション」という作品。結構面白かった。今でも覚えてる。
その作品の中で、「主人公が時間を稼ぐため、夢の中でまた夢の中へ侵入する」という場面があった。
落下する自動車の中で、その短い時間を使って夢の中で活動する、てな内容だった。
「・・・・・・つまり、俺の夢の中で、また俺と夢を見る、と?」
「御名答」
木津川は、いつもの表情の薄い顔で答えた。
「どこまで繰り返す?」
「どこまでも。できるだけ。やってみたくない?」
「うーん、どうだろ」
魅力的な提案、ではある。
俺は常々、月曜日5限目をもっと活用できないか、と思っていたのだ。
もし木津川の提案が成功すれば、2倍速、あるいは3倍速とかで時間を使えるようになる。
女子を一斉に3人、4人と連れ込んでも、やってる最中に時間切れになるだろうが、もっと時間が長く使えるのなら。
それはつまり、俺の能力が及ぶ限り、10人、20人との性行為も可能、ということ・・・・・・!
なにせ、夢の中では性欲が無限大である。いくら放っても放っても、尽きることはない。
「どう?試してみない?」
「・・・・・・いいだろう」
「・・・・・・エッチなことは、なしだよ」
「ふふ、あっちの世界で俺に敵うとでも思ってるのか?」
夢の中では、俺は無敵である。
いくら木津川が想像力にあふれていても、散々色んな人の夢に入ってきた俺は、そう簡単に倒せまい。
図書室の奥にある小部屋、「図書委員室」へ入った俺は、木津川と並んでソファに座り、イヤホンを互いの耳に1個ずつ差し込み。
手を繋いで、目を閉じた。
その先に待つ未来も、知らずに。
「・・・・・夢、だよね?」
「たぶんな」
図書委員室。
俺たちは、ソファで座っているところで目を覚ました。
右手を上に向ける。
ぼっ。炎が生まれた。
「うん、やっぱり夢だ」
「だね」
見ると、木津川も手の中に眩しい光球を生み出していた。
木津川、誰よりも俺の夢の世界に馴染んでるな。
「あ」
彼女が小さく言った。
「どうした?」
「アラーム、設定するの忘れちゃった・・・・・・」
「そうか。・・・・・・まあ、そのうち誰かが入ってくるだろ」
「だね。じゃあ、夢の中の夢、試そっか」
「おう」
ソファに座り。
手を繋いで。
目を閉じた。
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
だめだ、眠れん。
当然ながら、夢の世界にスマホはなかった。想像すれば生み出せるのかもしれないが、古文の授業音声を再現するのはきっと簡単ではない。
「・・・・・・眠れないね」
「だな」
「古文の授業、夢の中でやってくれないかな」
「今度から、あの先生も呼ぶか、夢に」
図書室へ移動して、何か眠くなりそうな本を探す。
しかし、本は背表紙だけの本であり、中を開くと意味不明の文字が並んでいた。
夢の世界の本をすべてイメージだけで具現化できるほど、俺も木津川も記憶力がありはしない。むしろ背表紙などが細かく再現されているところに、木津川の図書委員としての凄みを感じた。
「どうしよう、眠れないね」
「外に出るか」
「うん。・・・・・・あれ?」
木津川が、図書室の扉をスライドさせようとしていた。しかし、全く動かない。
さほど錆びついていたわけでもないはずだが。
「扉、だめか?」
「うん。・・・・・・代わって」
「おう」
だが、俺の力を持ってしても、扉は開かなかった。
ハンマーを出して殴りつけ、ビームソードを出して切りつけ、炎の球を投げつけ、つるかめ波でふっとばしたりもしたが、それでも扉はびくともしない。
「まずいなこれ、外に出られないぞ」
「窓は?」
「同じ。ぜんぶ開かない」
俺は木津川とあちこち歩き回ってみたが、すぐやることがなくなった。
これでは、夢に入った意味もない。
あるのは図書室の狭いエリアのみ、本は豊富だが読めない。
窓の外には昼間のグラウンドが見えているが、人の気配はなかった。
はあ、とため息をつく。
閉じ込められてしまった。
いうなら、ゲームを開始したものの、狭い開始エリアを歩き回る以外に何もできないクソゲーに閉じ込められたようなもの。
しかも終了ボタンがない。
歩き回っても、全く眠くならなかった。
実験にすらならない。
「・・・・・・」
「・・・・・・ごめんねからすまくん、変なことに付き合わせちゃって」
「お前のせいじゃないさ」
能力を使ったのも、提案に乗ったのも俺だ。
残ることといえば、木津川と話すしかない。でも、俺も彼女も、何もないところから話題を引き出せるようなキャラでもない。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
んー。
何とも気まずい。
「・・・・・・あの、からすまくん」
「・・・・・・ん?」
「ひとつ、提案が、あるんだけど」
「おう」
「その、うまくいくかは、分からないけど」
「今よりマシなら、何でもいいさ。聞かせてくれ」
「そうね。うん。そうよね。・・・・・・その、眠れるかもしれない、方法」
「そんなのあるのか?」
「うん、その・・・・・・確実じゃ、ないけど」
なんだか歯切れが悪い。
なんだろう。
「その・・・・・・え、えっちなこと、してみるのは、どうかな」
もじもじしながら、木津川は言った。
・・・・・・ん?
「いや、最初にそういうのは無しだって」
「うん、そのつもり、だったけど、今の状況で、他にできること、ないかなって」
確かに。
現実世界でエロいことをすると、あとで眠くなる。はず。童貞だし知らんけど。
夢の中ではどうか?と問われると、さほど眠くはならないって気もする。少なくとも、毎回乗宮と夢セックスしたあと爆睡してたりはしない。
でも、リラックスはできる気がする。
乗宮の身体を抱きしめながらベッドで睦み合ってると、穏やかな気持ちになれる。いけるかも。
「・・・・・・やってみるか」
「うん」
「一応言っとくけど、これは浮気じゃないし、木津川としたい、てわけじゃないんだからな。実験だから」
「分かってる。言わなくていいから、そんなの」
お、おう。
では、改めて。
合掌。いただきます。
木津川に向かって柏手を打つと、制服の胸ボタンに手を伸ばす。
木津川千鶴。
俺にとって、特別な思い入れのある女性である。
彼女とは、夢の中で2回セックスした。
一度はAV女優って設定で、一度はお菓子の家の中、ミルクのお風呂の中で。
どちらも素晴らしい経験だったが、特に思い出すのはやはり、最初の図書室セックスだ。リアルでは童貞だが、あれが体感上の「初体験」だったのだから。
あの日、木津川の消しゴムを古文の授業直前に拾わなければ、その後雨屋や乗宮、森下らとの時間はなかったと思う。
「お前には感謝してるぜ、木津川」
「え?どうして?」
「夢で会った、最初の人だからさ」
彼女の制服を、ゆっくり脱がせた。
ソファに座ったまま、俺にされるがままだ。スカートも脱がせる。
下着姿の木津川も、美しかった。
「もう、じろじろ、見ないで」
「綺麗だよ、木津川」
俺はシャツを脱ぎ、ズボンを脱ぎ、トランクスを脱ぎ捨てた。
木津川の眼前に、天井を向いて直立したミニタワーを差し出す。
「してくれよ、木津川」
「・・・・・・うん」
AV鑑賞が、彼女の趣味であることは知っている。
女優さんが、どういうご奉仕をその部分へ行うのかも知っている。
男が、どういった仕草を好むのかも。
そっと、舌先が触れた。
ぴくん、と俺が反応する。
れろ、れろ、とぎこちなく竿や先端を舐めた後、ゆっくりと口の中へと飲み込んでくれた。
上目遣いで、俺をちら、と見上げながら。
しっかりと根本まで、とはいかないが、半ばくらいまで含んでくれた。ちゅううう。
ああ、気持ちいい。
奉仕してくれている木津川の頭を抱えるように、髪を撫でた。
「めっちゃ気持ちいい、木津川」
「んっ」
じゅぷっ。じゅぽっ。
音を立ててしゃぶってくれる。
頭を前後に動かし、口をひょっとこみたく吸い込ませて。
亀頭を中心に、カリ首をしっかりと、裏筋まで丁寧に。玉袋は指で。
うんうん、分かってるぜ木津川。最高だ。
どうっ。
俺は木津川の口の中へと、放った。
彼女が、そっと舌を差し出す。こくん。
「・・・・・・不思議、コンデンスミルクみたいな味がする」
「お、俺も、させてくれよ」
「うん・・・・・・」
ショーツを下ろす。
そこには、淡い茂みがあった。
ぺろ、と舌先で舐める。
ほんのりと、甘い味がした。
「木津川のここ、こんなに甘いんだな。蜂蜜みたいだ」
「あ、だめ、おかしく、なっちゃう」
両脚を抱え込み、木津川の股間の密に吸い付く。
とろとろとしたハチミツは、あとからあとから尽きることなく湧き出してきた。
夢中でしゃぶりつく俺に、木津川は呼吸を乱し、身体をくねらせ、やがて頂点へと達した。
「んっ!」
びくん。
びくん。びくん。
そして脱力。
赤く上気した顔は、ぼんやりと薄目を開いていた。
俺に向かって、両手両足を広げる。
「・・・・・・来て」
「おう」
さすがは夢の中、さっき放ったのにもうカッチカチだ。
俺は木津川の蜜壺に先端を当てると、ぐい、と突き入れた。
「んっ、あっ」
この締まり。この弾力。
本当に、これは夢なんだろうか。
夢だけど。現実よりも現実感がある。
ぷりぷりとした木津川の膣は、その細い脚と同様に俺のペニスに絡みつき、強い刺激を送り込んできた。
腰を動かすと、より強く締め上げてくる。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あっ、あっ、あっ、あっ」
ひとつ腰を動かすごとに、木津川の口から言葉が漏れ出る。
両腕は首の後ろへ回され、両足は腰に絡みつく。
「あ、あ、あっ、あん、あん、いや、いや、あん、だめ、だめ、だめ、だめ、もう、だめ、だめ」
何がだめなんだろう。分からない。
木津川は俺の下で、何度もだめ、を繰り返し、首を振り続けた。
「き、きもち、いい、こんなの、だめ、だめ、もう、だめ、もう、だめ。・・・・・・だめ、えっ!」
強く、彼女の身体がたわんだ。
ぎゅううううっ。
そして、解放。
溜めたバネが跳ねるごとく、木津川の全身の力がみなぎり、そして抜けていく。
同時に、俺も限界を迎えた。
とくとくと、彼女の体内へとミルクが送り込まれる。
(一緒にイクって、いいなあ)
満足感というか、達成感がある。
色んな女とやりまくりたい、て野郎の気持ちがよく分かる。普段は平然としている同級生が、こんな乱れたメスの顔を見せてくれるんなら、なんぼでもしてやりたくなるぜ。
「木津川」
「からすま、くん」
口づけをした。
彼女も、貪るように唇を求めてきた。淡くレモン味のする唾液を、互いに飲み干さんとばかりに吸い合う。
そして、しばしの間、まどろんだ。
「ね、からすまくん」
「ん?」
突然、名前を呼ばれた。
場所は図書室、時刻は放課後。
誰もいない図書室で話しかけてくる人物、それは図書委員である木津川千鶴だけである。
彼女は、他の図書委員がいなくても、必ずいる。
俺が差し出した「ヒトはどうして夢を見るのか?脳が休まる睡眠の科学」の貸出欄にハンコを押しながら、木津川が言葉を継いだ。
「乗宮さんのこと、催眠術で落としたの?」
「違うな」
俺が催眠術を「研究」していることを、木津川は知っている。
この図書室で、何冊もそういうたぐいの本を借りているからだ。
実際、俺はその力を試したことがある。女性に対して。
だが、乗宮の件は違う。催眠など使っていない。
「違うの?」
「違う。乗宮は、俺のことが好きだったんだ」
そういうことにしてある。
当初、俺が乗宮に告白した、という設定にしようかと俺は言った。その方が、クラスの奴らも納得するだろう。
しかし、それだと困る、そう乗宮が言ったのだ。
(わたし、カラスマのことなんてなんとも思ってないって顔でいたからさ、バスケ部の女子連中とか、その辺知ってるわけ。それで告白されて急に付き合うって、わたしのキャライメージ軽くない?)
(お前のイメージなんて知るかよ)
(とにかく、わたしは自分から言ったことにしたいの。その方が、積極的でわたしらしいでしょ?)
うーむ。よく分からん。
まあ、乗宮っぽい、てのはなんとなく理解できる。彼女はバスケで常に全力疾走だ。恋だって全力疾走、そう言いたいんだろう。
まあどっちでもいいし、どうせ設定だし、と了承した。
実際、乗宮から付き合おうって言い出したんだし、間違ってないしな。
「じゃあ、例の能力、睡眠中の夢を使ったの?そこでうまく、好きになるように仕向けて?」
「おまえ、俺がさっき言ったこと、聞いてないだろ」
「ね、からすまくん」
木津川は他人の話を聞かない。俺覚えた。
「何だ」
「夢の中で夢を見る、って、できると思う?」
「ああ、映画の話、か」
以前、木津川の部屋で、一緒に映画を観た。
「インセプション」という作品。結構面白かった。今でも覚えてる。
その作品の中で、「主人公が時間を稼ぐため、夢の中でまた夢の中へ侵入する」という場面があった。
落下する自動車の中で、その短い時間を使って夢の中で活動する、てな内容だった。
「・・・・・・つまり、俺の夢の中で、また俺と夢を見る、と?」
「御名答」
木津川は、いつもの表情の薄い顔で答えた。
「どこまで繰り返す?」
「どこまでも。できるだけ。やってみたくない?」
「うーん、どうだろ」
魅力的な提案、ではある。
俺は常々、月曜日5限目をもっと活用できないか、と思っていたのだ。
もし木津川の提案が成功すれば、2倍速、あるいは3倍速とかで時間を使えるようになる。
女子を一斉に3人、4人と連れ込んでも、やってる最中に時間切れになるだろうが、もっと時間が長く使えるのなら。
それはつまり、俺の能力が及ぶ限り、10人、20人との性行為も可能、ということ・・・・・・!
なにせ、夢の中では性欲が無限大である。いくら放っても放っても、尽きることはない。
「どう?試してみない?」
「・・・・・・いいだろう」
「・・・・・・エッチなことは、なしだよ」
「ふふ、あっちの世界で俺に敵うとでも思ってるのか?」
夢の中では、俺は無敵である。
いくら木津川が想像力にあふれていても、散々色んな人の夢に入ってきた俺は、そう簡単に倒せまい。
図書室の奥にある小部屋、「図書委員室」へ入った俺は、木津川と並んでソファに座り、イヤホンを互いの耳に1個ずつ差し込み。
手を繋いで、目を閉じた。
その先に待つ未来も、知らずに。
「・・・・・夢、だよね?」
「たぶんな」
図書委員室。
俺たちは、ソファで座っているところで目を覚ました。
右手を上に向ける。
ぼっ。炎が生まれた。
「うん、やっぱり夢だ」
「だね」
見ると、木津川も手の中に眩しい光球を生み出していた。
木津川、誰よりも俺の夢の世界に馴染んでるな。
「あ」
彼女が小さく言った。
「どうした?」
「アラーム、設定するの忘れちゃった・・・・・・」
「そうか。・・・・・・まあ、そのうち誰かが入ってくるだろ」
「だね。じゃあ、夢の中の夢、試そっか」
「おう」
ソファに座り。
手を繋いで。
目を閉じた。
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
だめだ、眠れん。
当然ながら、夢の世界にスマホはなかった。想像すれば生み出せるのかもしれないが、古文の授業音声を再現するのはきっと簡単ではない。
「・・・・・・眠れないね」
「だな」
「古文の授業、夢の中でやってくれないかな」
「今度から、あの先生も呼ぶか、夢に」
図書室へ移動して、何か眠くなりそうな本を探す。
しかし、本は背表紙だけの本であり、中を開くと意味不明の文字が並んでいた。
夢の世界の本をすべてイメージだけで具現化できるほど、俺も木津川も記憶力がありはしない。むしろ背表紙などが細かく再現されているところに、木津川の図書委員としての凄みを感じた。
「どうしよう、眠れないね」
「外に出るか」
「うん。・・・・・・あれ?」
木津川が、図書室の扉をスライドさせようとしていた。しかし、全く動かない。
さほど錆びついていたわけでもないはずだが。
「扉、だめか?」
「うん。・・・・・・代わって」
「おう」
だが、俺の力を持ってしても、扉は開かなかった。
ハンマーを出して殴りつけ、ビームソードを出して切りつけ、炎の球を投げつけ、つるかめ波でふっとばしたりもしたが、それでも扉はびくともしない。
「まずいなこれ、外に出られないぞ」
「窓は?」
「同じ。ぜんぶ開かない」
俺は木津川とあちこち歩き回ってみたが、すぐやることがなくなった。
これでは、夢に入った意味もない。
あるのは図書室の狭いエリアのみ、本は豊富だが読めない。
窓の外には昼間のグラウンドが見えているが、人の気配はなかった。
はあ、とため息をつく。
閉じ込められてしまった。
いうなら、ゲームを開始したものの、狭い開始エリアを歩き回る以外に何もできないクソゲーに閉じ込められたようなもの。
しかも終了ボタンがない。
歩き回っても、全く眠くならなかった。
実験にすらならない。
「・・・・・・」
「・・・・・・ごめんねからすまくん、変なことに付き合わせちゃって」
「お前のせいじゃないさ」
能力を使ったのも、提案に乗ったのも俺だ。
残ることといえば、木津川と話すしかない。でも、俺も彼女も、何もないところから話題を引き出せるようなキャラでもない。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
んー。
何とも気まずい。
「・・・・・・あの、からすまくん」
「・・・・・・ん?」
「ひとつ、提案が、あるんだけど」
「おう」
「その、うまくいくかは、分からないけど」
「今よりマシなら、何でもいいさ。聞かせてくれ」
「そうね。うん。そうよね。・・・・・・その、眠れるかもしれない、方法」
「そんなのあるのか?」
「うん、その・・・・・・確実じゃ、ないけど」
なんだか歯切れが悪い。
なんだろう。
「その・・・・・・え、えっちなこと、してみるのは、どうかな」
もじもじしながら、木津川は言った。
・・・・・・ん?
「いや、最初にそういうのは無しだって」
「うん、そのつもり、だったけど、今の状況で、他にできること、ないかなって」
確かに。
現実世界でエロいことをすると、あとで眠くなる。はず。童貞だし知らんけど。
夢の中ではどうか?と問われると、さほど眠くはならないって気もする。少なくとも、毎回乗宮と夢セックスしたあと爆睡してたりはしない。
でも、リラックスはできる気がする。
乗宮の身体を抱きしめながらベッドで睦み合ってると、穏やかな気持ちになれる。いけるかも。
「・・・・・・やってみるか」
「うん」
「一応言っとくけど、これは浮気じゃないし、木津川としたい、てわけじゃないんだからな。実験だから」
「分かってる。言わなくていいから、そんなの」
お、おう。
では、改めて。
合掌。いただきます。
木津川に向かって柏手を打つと、制服の胸ボタンに手を伸ばす。
木津川千鶴。
俺にとって、特別な思い入れのある女性である。
彼女とは、夢の中で2回セックスした。
一度はAV女優って設定で、一度はお菓子の家の中、ミルクのお風呂の中で。
どちらも素晴らしい経験だったが、特に思い出すのはやはり、最初の図書室セックスだ。リアルでは童貞だが、あれが体感上の「初体験」だったのだから。
あの日、木津川の消しゴムを古文の授業直前に拾わなければ、その後雨屋や乗宮、森下らとの時間はなかったと思う。
「お前には感謝してるぜ、木津川」
「え?どうして?」
「夢で会った、最初の人だからさ」
彼女の制服を、ゆっくり脱がせた。
ソファに座ったまま、俺にされるがままだ。スカートも脱がせる。
下着姿の木津川も、美しかった。
「もう、じろじろ、見ないで」
「綺麗だよ、木津川」
俺はシャツを脱ぎ、ズボンを脱ぎ、トランクスを脱ぎ捨てた。
木津川の眼前に、天井を向いて直立したミニタワーを差し出す。
「してくれよ、木津川」
「・・・・・・うん」
AV鑑賞が、彼女の趣味であることは知っている。
女優さんが、どういうご奉仕をその部分へ行うのかも知っている。
男が、どういった仕草を好むのかも。
そっと、舌先が触れた。
ぴくん、と俺が反応する。
れろ、れろ、とぎこちなく竿や先端を舐めた後、ゆっくりと口の中へと飲み込んでくれた。
上目遣いで、俺をちら、と見上げながら。
しっかりと根本まで、とはいかないが、半ばくらいまで含んでくれた。ちゅううう。
ああ、気持ちいい。
奉仕してくれている木津川の頭を抱えるように、髪を撫でた。
「めっちゃ気持ちいい、木津川」
「んっ」
じゅぷっ。じゅぽっ。
音を立ててしゃぶってくれる。
頭を前後に動かし、口をひょっとこみたく吸い込ませて。
亀頭を中心に、カリ首をしっかりと、裏筋まで丁寧に。玉袋は指で。
うんうん、分かってるぜ木津川。最高だ。
どうっ。
俺は木津川の口の中へと、放った。
彼女が、そっと舌を差し出す。こくん。
「・・・・・・不思議、コンデンスミルクみたいな味がする」
「お、俺も、させてくれよ」
「うん・・・・・・」
ショーツを下ろす。
そこには、淡い茂みがあった。
ぺろ、と舌先で舐める。
ほんのりと、甘い味がした。
「木津川のここ、こんなに甘いんだな。蜂蜜みたいだ」
「あ、だめ、おかしく、なっちゃう」
両脚を抱え込み、木津川の股間の密に吸い付く。
とろとろとしたハチミツは、あとからあとから尽きることなく湧き出してきた。
夢中でしゃぶりつく俺に、木津川は呼吸を乱し、身体をくねらせ、やがて頂点へと達した。
「んっ!」
びくん。
びくん。びくん。
そして脱力。
赤く上気した顔は、ぼんやりと薄目を開いていた。
俺に向かって、両手両足を広げる。
「・・・・・・来て」
「おう」
さすがは夢の中、さっき放ったのにもうカッチカチだ。
俺は木津川の蜜壺に先端を当てると、ぐい、と突き入れた。
「んっ、あっ」
この締まり。この弾力。
本当に、これは夢なんだろうか。
夢だけど。現実よりも現実感がある。
ぷりぷりとした木津川の膣は、その細い脚と同様に俺のペニスに絡みつき、強い刺激を送り込んできた。
腰を動かすと、より強く締め上げてくる。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あっ、あっ、あっ、あっ」
ひとつ腰を動かすごとに、木津川の口から言葉が漏れ出る。
両腕は首の後ろへ回され、両足は腰に絡みつく。
「あ、あ、あっ、あん、あん、いや、いや、あん、だめ、だめ、だめ、だめ、もう、だめ、だめ」
何がだめなんだろう。分からない。
木津川は俺の下で、何度もだめ、を繰り返し、首を振り続けた。
「き、きもち、いい、こんなの、だめ、だめ、もう、だめ、もう、だめ。・・・・・・だめ、えっ!」
強く、彼女の身体がたわんだ。
ぎゅううううっ。
そして、解放。
溜めたバネが跳ねるごとく、木津川の全身の力がみなぎり、そして抜けていく。
同時に、俺も限界を迎えた。
とくとくと、彼女の体内へとミルクが送り込まれる。
(一緒にイクって、いいなあ)
満足感というか、達成感がある。
色んな女とやりまくりたい、て野郎の気持ちがよく分かる。普段は平然としている同級生が、こんな乱れたメスの顔を見せてくれるんなら、なんぼでもしてやりたくなるぜ。
「木津川」
「からすま、くん」
口づけをした。
彼女も、貪るように唇を求めてきた。淡くレモン味のする唾液を、互いに飲み干さんとばかりに吸い合う。
そして、しばしの間、まどろんだ。
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ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
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