後輩のカノジョ

るふぃーあ

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大宴会が終わり、酔っ払った元坂社長はタクシーで運ばれていった。
マルイ社長も会計を済ませ、あとは送っていけよ、とタクチケをくれた。

中庭が見える部屋だったので、縁側に出ると月が出ていた。

「綺麗な月ですね」
「そうですね」

あなたのほうが綺麗です、などというセリフは、思いついたが口にできなかった。

「ごめんなさい、おじいちゃん、はしゃいでしまって」
「元坂社長があんなふうに笑うなんて、見たことなかったです。いつも厳しい顔で、納品書や見積書を睨みつけてきたので」

縁側に足を下ろす。
舞さんは左側に同じように座り、肩に頭をもたれさせてきた。

俺は肩を抱くと、その唇にそっと口づけした。
舞さんは顔を赤くして、しかし嬉しそうに微笑んだ。

「これで、その、えーと、あの・・・・・・か、彼氏、ですね」
「そうですね。君は僕の彼女、です」
「はい。嬉しいです。一度言ってみたかったんです。彼氏いるんだ、って」
「女子高生ですもんね」
「はい。あの、ごめんなさい、まだしばらく学校があるので、その、毎日はお会いできないですけれど」
「いいんです。学業優先して下さい。会社の方は?」
「そちらも続けます。もう学校の単位はだいたい取ってありますので」
「え?まだ9月ですよ」
「はい、高2の時に、高3のカリキュラムもだいたい済ませました。うちの学校、そういうのも対応してるので」

すごいな。
俺、高校2年の時、何やってたっけ・・・・・・

「すごいですね舞さん。頭いいんですね」
「でもドジだって、みんなに言われて・・・・・・その、宮田さんにも」
「この通り、もう全然元気ですよ。それに、舞さんが転んでくれなかったら、俺はあなたに会えなかった。感謝してます」
「感謝だなんて、そんな」
「それに、さっきの元坂社長の話、嬉しかったです。俺、病室で冷たくしてしまって、すみませんでした。あなたがそんなふうに思ってくれていたなんて、知らなかった」
「いえ、わたしの方こそ、ちょっとしつこかったと反省しています。何かできないか、手助けできることはないかって」

舞さんの小さな手が、おずおず、と俺の股間へ差し出されてきた。
刺激に反応して、すぐに巨大化してしまう。

「あの、ここで、は、無理なので」
「そうですね」
「その・・・・・・・・・・・・・よ、宜しければ、わた、わたしの、部屋に、行きませんか」
「え?・・・・・・ぜ、ぜひ、行きたいです」
「じゅ、準備してあるので、掃除もしてありますから汚くないです。それに」

あ。

「舞さん」
「は、はい」
「やっぱり別のところへ行きましょう」
「え?」
「舞さん、処女ですよね」
「は・・・・・・はい」

この顔。
彼女は今夜、自分を捧げるつもりだ。

「俺も経験少ないんであまり言えないですけど、たぶんかなり出血してしまいます。ベッドとかシーツとか、汚れますから」
「か、替えも用意してありますから、大丈夫です」
「でも、掃除しなきゃならないですよね。それってつらいし、気兼ねなくゆっくりしたいから」


ラブホ、という選択肢が、彼女にとっていいのかは分からない。たぶん、相応しくはないのだろう。
だが、俺には他に思いつかなかった。一応、ネットで最上階を予約したし、まあちょっとはいい部屋だろう。

しかし、不安げにしていた舞さんも、部屋に入ると目を輝かせた。

「わあ!大きいお風呂ですね!テレビも、映画館みたい。すごーい、サウナもありますよ!ベランダから道路が見えますね!」

初めて入る場所に、目をキラキラさせていた。
意味不明にスロットマシンがあったり、カラオケがあったりするのは謎だ。ここでゲームして暇をつぶすくらいなら、することしたほうがいいんじゃないのだろうか。

舞さんはお風呂を入れたり、ジャグジーのボタンを押したりして楽しんでいた。
そんな彼女を、背後からそっと抱きしめる。

「お風呂、一緒に」
「・・・・・・はい」

密やかな衣擦れの音。
脱ぐのを見るのは初めてではないが、下着までだった。

「う、後ろを向いて下さい。恥ずかしい」
「でも、全部見たいから」

舞さんの白い肌は大理石のようで、目が吸い付けられてしまう。
陰毛がないんだ、と初めて知った。

心細そうに、腕で体の前を隠している。

「こ、これで、いいでしょうか」
「じゃあ、一緒に」

ゆっくりとお湯に浸かった。

「あたたかい、です」
「そうですね」

湯船は十分に大きく、横に並んで入れる大きさだった。
俺が腕を広げると、舞さんはそこへ飛び込んできた。

「なんか、背の高い男の人って安心します。わたし、155センチしかなくて」
「俺は182だから、30センチくらい違いますね」

ぎゅっと抱きしめると、嬉しいです、と唇を差し出してきた。
桜貝のように可憐なその二枚貝に、そっと唇を重ねる。

「あ、あらいっこ、しましょうか」
「いいですね」

お互いの身体を洗い、バスローブを着て、ベッドへと戻った。
さすがに緊張するのか、身を固くしている。

「あの、舞さん」
「はい」
「たぶん、痛いと思うんです」
「はい」
「俺、実は初めての女性と、したことなくて」

付き合ったことのある女性に、未経験という人はいなかった。
初心者の俺を導いてくれたので感謝しているが、どれほど痛いのか、は実感したことがない。

「で、緊張し過ぎないで欲しいんです。リラックスしたほうが、痛みが少ないらしいですから」
「はい」
「それから、十分に準備したほうがいいです。だから、今日は俺がしますね」
「え?」

ゆっくりとベッドに押し倒し、バスローブの割れ目から手を入れる。
控えめだが美しい膨らみと、その先にある淡い桃色の頂点。

丹念にそこを舐めると、舞さんはちょっと恥ずかしそうだった。
だが、下半身に顔を寄せると、とても恥ずかしがった。

「だ、だめです!宮田さん、そ、そんなところを、口で」
「これが普通です。俺が、そうしたいんです」

クリトリスからヴァギナへと、舌を這わせる。
この味、この感触。久しぶりだ。

最初は恥ずかしがっていた舞さんだが、一度秘密の部分に触れられると、あとはなすがままにされていた。
たっぷりと唾液を絡みつかせ、愛液と混ぜ合わせ、舌先で細くほじる。

20分ほどもそうしていただろうか。舞さんがもう荒い息を弾ませていた。
俺はコンドームを付けると、舞さんの脚を持ち上げた。

「では、舞さん」
「はい」

俺が額にキスすると、舞さんは微笑みを浮かべた。
ゆっくりと、身体を沈み込ませる。彼女の顔が、苦痛に歪んだ。
背中に回された腕が、ぎゅっと俺を締め付ける。
痛みを伝えるように、しかし俺を逃さない、というように。
大きく吐息をはいた。

「・・・・・・どう、でしょうか」
「入りましたよ。痛いですか?」
「大丈夫、です。宮田さんの、怪我に、比べたら、こんなの」
「無理しないで下さい。痛ければ中断しますから」
「だめです、しないで。・・・・・・最後まで、宮田さんが気持ち良くなるまで、して下さい」
「じゃ、動きますから」

数年ぶりの、女性の身体の中。
俺はなるべく痛みが少ないように、ゆっくりと腰を動かした。

状況が違えば、俺は彼女に乱暴にこの行為を強いていただろう。
数日間、高梨さんのことばかり考え、陰鬱な気持ちでいたあの頃なら。

高梨さんのことをすっぱり諦めたおかげで、舞さんに対して黒い欲望をぶつけるような気持ちは消え失せていた。
これもある意味、彼女のおかげかもな。

舞さんの膣内はものすごい締まり具合で、もし俺が童貞だったら、数秒と保たなかっただろう。
ずっとこうしていたかったが、彼女の痛みに耐える表情を見ていると、我慢し続ける意味は低い。俺は脳からの司令に逆らわず、清らかな気持ちで射精した。

身体の動きが止まったのを感じて、舞さんが目を開く。

「どう、ですか?」
「すごく気持ちよかったです。もう、全部出ちゃいました」

ゆっくりと体を離す。

「シーツ、汚れてしまいますね」
「バスタオルが敷いてありますから、きっと大丈夫ですよ。・・・・・・少し、横になりませんか?」
「はい」

舞さんに体重をかけないように、腕の中へ入れる。
腕枕をすると、とても嬉しそうな顔をした。

「夢だったんです。こうやって、男の人に腕まくらしてもらうの」
「俺も、舞さんの初めてが欲しかったんです。夢が叶いました」
「あの・・・・・・けんたろう、さん、と呼んでもいいですか?」
「ええ。ぜひ」
「あ、あの・・・・・・今さらですが、け、結婚を前提に、お付き合いしていただけますか?」
「もちろん、俺もそのつもりです」

俺が外回りに出かけて、その後に行った場所。
給料の3ヶ月分を下ろして、宝飾店に駆け込んだ。

ペニスを握ってくれた細い手を思い出して、だいたいこのくらい、と店員さんに頼んだのだが、ちょうどいいサイズで良かった。

枕元の鞄から、指輪を取り出した。
そっと右手の薬指に嵌める。ぴったりだ。

「あ・・・・・・」
「もしサイズが合わなければ交換してくれるみたいなんで」
「ぴったり、です」
「本当は、ふたりで選ぶべきだったんですが」
「嬉しいです。宮田さんが選んでくれたものなら、とても」

嬉しそうに、明かりに透かして眺めていた。

選んでいる時、別の女性のことを考えていなかった、といえば嘘になる。

「賢太郎さん。・・・・・・入院していた時の、高梨さんという看護師さんのこと、覚えておられますか?」
「え?」

どきり、とした。
胸に舞さんのほっぺが当たっているので、気づかれなかったか心配だ。

「覚えてますよ。綺麗な看護師さん」
「はい。あの後、2回ほど高梨さん、萌絵さんとドライブに出かけたんです。食事したり、買い物に行ったり」
「いいですね」
「で、今日ここに来る直前、萌絵さんにLIMEしたんです。今から、初めてを捧げてくる、って」
「そうだったんですか」

そんなことしてたんだ。

「はい。で、萌絵さんは、宮田さんは優しいから、きっと大丈夫、全部任せたらいいからって」
「そうでしたか」

今でも、目を閉じれば彼女の顔は思い出せる。
だけど、もうこれで完全に未練は無くなった。

俺は舞さんを大切にしていこう。

「萌絵さん、看護師さんとしてだけじゃなく、すごくいろんな経験をしているみたいでした。わたし、知らないことをたくさん教えてもらいました。これからもずっと仲良しでいたいねって、話してたんです」
「そうですね」
「今度、うちに料理を教えに来てくれるんです。チキン南蛮?という料理があるらしくて」
「あ、俺もそれ大好物です」
「本当ですか!?じゃあ、しっかり教えてもらって、得意料理にします!賢太郎さんに、いつも食べてもらえるように」
「期待しておきますね」

病室で食べたあの味を、思い出した。
きっと、いつかあの味も忘れてしまうのだろう。

さようなら。
俺は心のなかでつぶやいた。
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