後輩のカノジョ

るふぃーあ

文字の大きさ
上 下
9 / 18

<入院8日目>1

しおりを挟む
<入院8日目>

「宮田さん、検温ですよー」

日曜日。
高梨さんが体温計を差し出した。

「おはようございます。36度5分でした」
「平熱ですね。今日は日曜日ですから回診もありませんし、ゆっくり休んで下さい」

それだけ言うと、高梨さんは去っていった。
昨日は何をしていたんだろう。やっぱり辻村と会っていたんだろうか。

会えば当然、アレするよな。
俺は高梨さんが辻村に押し倒されている姿を想像し、辻村のチンコで喘ぐ姿を想像して、興奮しつつも暗い気持ちになった。

昼食が終わり、便意を催したので、俺はゆっくり部屋のトイレに向かった。
まだ歩いていい、とは言われていないが、明日からリハビリだし、治りが早いと言っていたし。

何よりナースコールしてウンコ処理して下さい、と言えば高梨さんが来てしまう。オバサン看護師ならまだしも、それは避けたかった。

「うん。・・・・・・大丈夫」

問題なくトイレに座り、用を足す。
左手だけでは拭きにくかったが、ウォシュレット付きなので安心だ。

あー、とトイレでゆっくりと座る。
歩いて、座る。以前は当たり前にできていたことが、1週間ぶりだとものすごく新鮮に感じた。

「はやく退院したいなあ」

だが、退院したらもう高梨さんには会えない。元坂嬢も当然来てはくれないだろう。
ふたりに会えないのは少し、高梨さんの場合はひどく残念だった。

「わっ!」

油断したのだろうか、トイレからの帰り道、ベッドまであと数歩、というところで脚に激痛が走り、そのまま床に転がった。
ヒビなんて数日で治る、と思っていたが、まだ痛みがあるようだ。

「っ、痛っ」

どうやら右手も無理に床についてしまったらしく、ひどく痛む。
左手1本で身体を起こすのはひどく難しいことだ、と今さら悟った。

さて、どうやってベッドに戻ろうか_____

「宮田さん、清拭で・・・・・・宮田さん!?大丈夫ですか!?」

真っ青な顔をして、高梨さんが飛んできた。

「宮田さん!宮田さん!しっかりして下さい!どうしたんですか?」
「いえ、大丈夫です。・・・・・・ちょっと、トイレに行こうとして」
「宮田さん、リハビリまで完全安静、ベッド上だけって言ったじゃないですか。どうしてそんなこと。立てますか?」
「はい」

華奢に見えて意外に腕力のある高梨さんに支えられて、どうにかベッドに戻った。
ベッド柵をつけられ、ついで歩けないように床センサーもつけられてしまう。

当直の医師が連絡を受けて診察に来た。問題ないようだね、明日またレントゲン検査ね、と言い残して去っていく。

高梨さんはプンプンと怒っていた。

「安静指示には従っていただかないと。せっかくここまで治したのに、また入院を続けたいんですか?」
「そしたら、また高梨さんに会える時間が増えますね」
「真面目に怒ってるんです」
「スイマセン。・・・・・・あの、べ、便が出そうで、ナースコールしたら高梨さんが来てしまう、と思ったんで」
「別にいいじゃないですか。差し込み便器もありますし、ちゃんと処理させていただきますから」
「それが嫌だったんです。やっぱり、そんなところを見せたくない、ていうか」
「それが看護師の仕事なんですよ。病気が悪化するほうがよほどショックなんですから、これからはちゃんとコールして下さいね。約束ですよ」
「反省してます」

しゅん、と項垂れる。
そりゃそうだよなあ。もし俺が怪我したら、叱られるのは高梨さんだ。

ひどく怒っていた高梨さんだが、やがて「しょうがないですね」と苦笑した。
よしよし、と頭を撫でられる。

「宮田さんは年上でおっきいのに、なんだか可愛いです。怒られたワンちゃんみたい」
「男にも意地があるんです。好きな女性に、シモの処理とかされたくないから」
「あら、ちょっと前に、処理した気がしますけど・・・・・・?」
「あ、あれは」

言いかけた俺の口が、高梨さんの人差し指でしー、をさせられた。
さあ、清拭しますよ、と本来の目的を思い出し、高梨さんは俺を脱がせて上半身を拭き始めた。

「2日間来なかっただけで、そんなに寂しかったんですか?」
「この2日間、辻村とやってるんだろうなって思うだけで、嫉妬で狂いそうでした」
「全然。亮くん、もう3日間もLIMEに出ないんですもん。ずっとジム行ったり寝てたりしました。もうダメなのかなあ・・・・・・」
「ああ、ひょっとして研修旅行中かもしれません。辻村、言ってませんでしたか?俺も本当なら参加するはずだったんです。社員研修で、携帯もオフして5日間、接遇とかハラスメント講習とか受けるんです」

これは本当の話だ。
だからといって、辻村が高梨さんにちゃんと伝えていなかったのは問題だが。

「後輩想いですね」
「いや本当です。ちゃんとメールも」

俺がスマホを見せると、へえ、と高梨さんも納得した。
でも、と笑みを浮かべる。

「これナイショにしておいて、もうあいつはあんたに飽きたんだ、俺の女になれ、とか言えば良かったんじゃないですか?」
「マジで今そう思ってますから言わないで下さい。チャンスだったのかなあ・・・・・・まあ、でも、辻村のこと、嫌いじゃないんですよ。ああ見えて仕事には真面目だし、取引先にも受けはいいんです。失敗したことは繰り返さないし、これって単純なようで難しいんです。女のケツばっか追いかけてるアホだけど、でも辻村が高梨さんのことを教えてくれなかったら、俺、そもそも高梨さんとこうやって話すこともなかったと思うんです。綺麗な看護師さんだなあ、とか思う程度で、全然声とか掛けられなかったと思います。だから、辻村のこと、嫌いにならないでやって下さい」

あーあ、何を言ってるんだ、俺。
あいつは多分、研修旅行中も新人を口説いたり、飲むと浴衣が乱れるので有名なおミスに飲ませて、巨パイのブラチラを拝んだりしているに違いない。そんなアホのために、何フォローしてんだか。

「宮田さん、素敵ですね。亮くんも、こんな先輩がいて幸せだと思います」
「どうかなあ」
「でも、やっぱり私は亮くんが好きです。ごめんなさい」

はあ。
そうなるよなあ。

遠慮なく下半身が清められていく。包帯も替えてもらって、新しい包帯の匂いがした。

「はっきり言いますね」
「その方が性に合ってますから。もったいつけた態度とか、イライラしちゃうんです。どっちにも気があるようなドラマとか」
「ああ、それ分かります」
「好きなら好きって、好きだけど彼氏にしたいわけじゃないなら、そう言えばいいと思うんです。他人が傷つくこともあるだろうけど、自分が傷つくよりマシだから」
「いい性格ですね。いい意味で」
「だから、亮くんがスイカが嫌いとか、チキン南蛮は嫌とか、言われるとぐさっとくるけど、彼は正直なんだと思います。だから好き」
「じゃ、俺も正直に生きようかな。高梨さんは可愛い、美人、えっちな看護師さんで手コキも上手いしフェラも最高。もっかいして欲しい。えっちもしたい」
「それセクハラですからね。・・・・・・はい、清拭も終わりです。ベッドから動いちゃだめですよ」
「はいはい」
「はい、は1回です」
「はい、ママ」

ガタン。部屋の扉が閉まった。
寸前、クス、と笑う声がした。



「あの、昨日はすみませんでした」
「いえ、約束してたわけじゃないですから」

面会時間になり、私服な元坂嬢がやってきた。
日曜日なのに、ご苦労さんなことだ。

「さすがに土日はいいですよ。デートしてて下さい」
「あの、お爺様が、男性とのお付き合いは」
「ああ、そうでしたね」

箱入り娘なのを忘れていた。
いや、この場合は箱入り孫、か?

「昨日はその、デパートに行っていたんです」
「へえ。買い物ですか」
「はい。その、宮田さんが、どんな下着がお好みかな、と考えていたら、迷ってしまって・・・・・・面会時間に間に合わず」

はあ?
と、元坂嬢は俺の前にデパ紙袋の中身を広げた。

出てくる出てくる。女物の下着。
部屋の鍵、かけてあるだろうか。高梨さんが入ってきたら、あらぬ誤解を招きそうだ。

見ただけで分かる、高級ファッションブランドの下着の数々。
こういうものがもの凄く高価なことくらいは知っている。

「あ、あの、わたし、子供っぽいのしか、持ってなくて」
「そうだね」

水色とか、オレンジ色とか。

「で、店員さんに聞きながら、男の人がどんなのを喜ぶのか、と聞いていたら、色々と試着させられちゃって。で、お勧めされたのを全部買ってきちゃいました」
「全部!?」

あーあ。これだから世間知らずは。
店員さん、良いカモを見つけてウハウハだったろうなあ。

というか、これ大丈夫なのか。布面積がもの凄く小さい紫色や、スケスケの黒いレース生地や、ほぼ紐しかない真っ赤なTバックの下着とか、本当にこの子はつけられるのだろうか?

とある1枚は、ショーツの真ん中に大きな穴が開いているものだった。玄関入って即ハメ、あるいはオフィスラブ用。
これの目的、この子は知らないだろうなあ。

「わたしじゃ分からないから、宮田さんに見て、決めてもらおうと思って。明日来る時、どの下着が良いでしょうか?」
「うーん、そう言われてもなあ」

俺に女物の下着の好みなどない。あえて言うなら、ナイスバディなボン・キュッ・ボン白人女性モデルがつけているような、色気たっぷりなものであれば何でも良い。
いや、あれはモデルさんが美人だからいいのか。
この子には無理だろうな。色気とか。可愛いんだけど。

「どうですか?」
「うーん・・・・・・」
「宮田さんが選んでくれたら、どれでも着てきます」
「うーん・・・・・・・・・・・・」

なんか、どれも違うような。
元坂嬢には、水色パンティやオレンジスポブラのほうがよく似合っていた。無理して背伸びしているような、そんな違和感を感じてしまうだろう。

「あのさ」
「はい」
「今の、見せてくれる?」
「えっ、今の?」
「今履いてるの」
「・・・・・・分かりました」
「あ、扉閉めて。鍵も」
「はい」

今日の元坂嬢はいつもの紺スーツでなく私服だ。いつもは会社へ顔を出してから来ているのだろう。
今日は爽やかな、水兵さんのような紺色のスカーフ付き白いセーラー服だ。下は赤いチェックのプリーツスカート、まるで遠目に見たら女子高生に見える。

「今日の服、女子高生みたいだね」
「ええ。制服ですから」
「・・・・・・は?」

さらり、と言われて、俺は少し固まった。

「せい、ふく?」
「はい。今日は部活があったので、学校に寄ってきました。着替えてくる時間がなくって」
「まて、待て待てまて」

どういうことだ。
社長秘書、ということは社会人のはず。いや確か、うちの孫も21にもなって、とあの社長も言ってなかったか。

「言ってませんでしたか?3年間海外留学しておりましたので、日本で高校に入り直したんです。でもお爺様は勉強よりも社会に出ろ、昔はデッチボウコウに出るのが当たり前だった、ていつも言ってて、学校に通いながらお爺様の、社長の会社で働いているんです」
「そ、そうでしたか」

じゃあ、成人なんだな。
だがこの制服姿を見ていると、女子高生にしか見えない。というか背が低いし童顔だし、高3にすら見えない。

「じゃ、脱ぎますね」
「お、おう」

目の前で脱ぎ始める女子高生。
いくら成人だ、と言い聞かせても、とんでもなく悪事を働いているような、警察に連れて行かれそうな背徳感を感じる。

セーラー服の下から出てきたのは、白いブラとショーツだった。何の色もついていない、ただの白い布。

・・・・・・
・・・・・・・・・・・・

こういうのでいいんだよ。こういうので。

「あの、今日はそういうつもりじゃなかったので、こんなので・・・・・・ごめんなさい」
「いいんだ、それでいいんだ」
「え?」

ああ、この姿で抜いて欲しい。
俺はロリコンじゃないが、女子高生にセーラー服で、あるいはセーラー服を脱いだままの、木綿の白いパンツのままで抜いて欲しい、という願望くらいある。
それが合法な年齢だとすれば、躊躇する道理などない。

俺は咳払いをした。

「あの、元坂さん」
「はい」
「明日ではなく、今日、してもらいたいです」
「え、でも今日は、こんな下着だし」
「それでいいんです!それで!」

分かってないな。男のロマンが。
いくら俺が高梨さんの巨乳に挟んでもらいたい、と思っているような人間でも、女子高生が目の間でセーラー服を脱いでいれば、鼻血が出る寸前まで勃起してしまうというものなのだ。

「そ、それでいいから、こっちに____」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...