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<入院1日目>
しおりを挟む<入院1日目>
そんな会話をしたのは3日前の話。
今、俺は病室でひとり、スマホを眺めてあくびをしていた。
「・・・・・・ヒマだなぁ」
右手と両脚に包帯が巻かれている。これのせいで外出もできず、トイレも満足に行けず、風呂にも入れない。
昨日のことだ。
俺はお得意様に納品して、社長に挨拶して階段を降りた。
いや、降りるところだった。
突然、上から物が降ってきた。
「あぶなーい!」
誰かの声が聞こえた、と思った瞬間、俺はダンボールごと階段の踊り場まで突き落とされた。
「右手が骨折、両足はヒビが入ってる程度だから。どっちも手術はいらないけど、全治2週間、というところですか」
救急搬送先で、医者が冷酷にそう告げた。
いつも頑固な社長さんに頭を下げられ、俺は特室とかいうお高い個室に入院した。
「お前がドジなんだろ」
親父はそう言い捨てると、一方的に電話を切ってきた。
お袋は高校の頃に死んだので、誰も見舞いになど来ない。
左手しか使えないので、本も雑誌も読めなかった。
ペットボトルを開けるのにも苦労する有様だ。
「宮田さーん、検温の時間ですよー」
部屋に入ってきたのは、担当の看護師さんではなかった。
あれ、この顔って・・・・・・
薄いピンク色のナース服。
名札には「高梨」と書いてある。
「こんにちは。今日の担当の高梨です。よろしくお願いします」
「よ、よろしく」
この顔。間違いない。
「あの、高梨さんって」
「はい?」
「萌絵、さん?」
「えっ?」
彼女は目を丸くした。
「どうして名前を?」
「いや、辻村の、彼女さんかなーって」
「まあ」
高梨さんは笑顔になった。
うん、確かにスマホの画像より可愛い。というか美人だ。
「じゃあ、宮田さんもマルイスポーツですか?」
「うん。辻村と同じ、営業なんだ」
「そうなんですか。会社、忙しそうですね」
うん?
そうかな。まあそうか。営業は外回りの時間も長いし。
「亮くん、会社の上司が入院するなら、言ってくれれば良かったのに」
そう言いながら、高梨さんは体温計を俺の脇に差し込んだ。
その手が白くて細くてどきり、とする。
「平熱ですね。・・・・・・じゃあ、清拭しますね」
「え」
「シャワーもできませんから、お身体拭きますね」
するすると病衣が脱がされ、上半身が蒸した熱いタオルで拭かれていく。
ああ。気持ちいい。
すぐ間近で見る高梨さんは、ものすごく可愛かった。確かに胸も大きい。
辻村め、この胸を好き放題に揉んだり吸ったりと____
「では、下も拭きますね」
「え」
やば。
手袋をつけた細い手が、遠慮なく陰部を拭き清めていく。
勃起していなくて助かった。
「はい、終わりです」
うう。お尻の穴まで丁寧に拭かれてしまった。もうお嫁に行けない。
「羨ましい」
「え?」
しまった。つい心の中が。
「いや、あの、つい。・・・・・・俺彼女いないんで、辻村が羨ましいなあって」
「そうなんですか?宮田さん、背も高いし、顔も素敵だし、ぜったいいるだろうなって思ってました」
「はは、全然縁がなくて。マジ羨ましいですよ」
「明日また日勤なので、また清拭に来ますね」
パタン。
ふう。
俺は彼女の胸や腰のラインを思い浮かべ、無事な左手でチンコをしごき始めた。
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