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マスオ、エルフを討つ1
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朝になり、数を数えるとダークエルフたちは13名になっていた。
23名いたはずだが、かなりやられたようだ。
「俺がお前たちを保護してやる。だからしっかりと働け」
「はい」
マスオの種がたっぷりと注ぎ込まれた腹部を愛おしそうに撫でながら、マーサルヴァは微笑んだ。
マスオはヒメに命じ、彼らをミッテルンの街へと移動させた。
襲撃に失敗したと悟れば、エルフたちはまた襲ってくるだろう。
「ヒメ、同行してこいつらを街の中へ入れてやれ」
「はい。ヌシ様は」
「まだやることがある。行け」
「はい」
マスオは狼になると、襲撃者の足跡と匂いをたどり、徒歩なら3時間ほどかかりそうなエルフの里へと向かった。
そこには確かに村があり、樹海のモンスターたちが侵入できないよう防壁や罠が仕掛けられていて、エルフたちが暇そうに見張りをしていた。
「遅いな、あいつら」
「夜通しかけて楽しんでるんだろうさ。あー、俺たちもあっちに加わりたかったぜ」
どうやら、エルフの里では襲撃部隊の悲劇にまだ気づいていないようだった。
マスオは思案した。ホブゴブリンの姿でもオーガの姿でも、エルフの里に侵入することは難しいだろう。すぐに見つかって捕縛あるいは排除される。
コウモリや狼なら樹海の中にいるし怪しまれにくいが、里の中に入れば無論排除されるに違いない。防御力や体力がない分、見つかったらマズい。
蜘蛛で少しずつ数を減らすか。いや、ここは樹海だ。蜘蛛の襲撃には慣れているし、警戒しているはず。襲撃した男たちはワーウルフのことも苦にしていない様子だったし、魔法の武器も揃っているだろう。
それに、あちこちに魔法障壁やアラームの鳴る結界が張ってあった。なかなか気づかれずに入るのは厄介だ。
(ここを襲撃するのは難しそうだな)
だが。
マーサルヴァを集団で犯そうとしていた奴らの、下卑た顔を思い出す。
俺の女に手を出すとはいい度胸だ。マスオは少しばかり思い知らせてやることにした。
(サクッと襲撃して、数を減らしておいてやるか)
あえてアラームを踏み抜き、侵入した。里全体に響くような大きな音が鳴る。
「しゅ、襲撃_____」
樹上の見張り台であくびをしていた、慌てた二人のエルフの喉をかき切った。地面へと投げ捨てる。
ヴァンパイアの姿を取り、メクラ撃ちでファイアーボールを何発か撃ち込んだ。森の中で轟音が響き、あちこちがメラメラと燃えだす。
再度ワーウルフとなり、剣を手に木々の間を走った。すれ違うエルフたちを切り裂いては疾走する。
「襲撃だ!人族だ!」
「いや、あれはワーウルフだぞ!人狼族の襲撃だ!」
「どうして?このあたりの人狼は滅ぼしたはず」
「ワーウルフに魔法は使えん!どこかに魔道士がいるはずだ!探せ!」
「待て、まずは火を消すんだ!」
あちこちで混乱の声が聞こえ、怒号と悲鳴が響く。
マスオはホブゴブリンに変身すると、地面に降り立ってあちこちの木々をなぎ倒した。
「どういうことだ!ホブゴブリンもいるぞ!」
「オーガだ!オーガが出たぞぉ!」
「うわああああ!蜘蛛だ!蜘蛛の糸が!外してくれ!」
「間違いない、魔法使いがいる!そいつを先に探すんだ!森が焼かれるぞ!結界の外を徹底的に捜索しろ!」
狼となり、クマとなり、ホブゴブリンやオーガ、蜘蛛の姿に変身しつつ、マスオはあちこちを荒らして回った。
どうせこの程度で1000人ものエルフを倒せたりはしない。今日はただかき回し、遊んでやればいい。いずれきっちりと始末をつけてやる。
(だけど、数が少ないような?)
1000人もの里とはいえ、全員が出てくるわけではない。
だが、それにしても兵士として走り回るエルフたちの数が少ないように感じた。
ダークエルフの襲撃で、思ったよりも数を減らしたのか。あるいは他の種族や集落でも襲っているのか。
と。
マスオの前に、屈強な戦士が立ちはだかった。じ、と睨みつける。
かなりの使い手だ、そう感じさせる風格だった。
「そこまでだ、矮小なる存在よ。これ以上、先には進ません」
「エルフにしては強靭な身体だな。名を聞いておこうか」
「貴様に名乗る名前などない。・・・・・・死ね」
手にしている片手剣は細く、軽く、切れ味の鋭い剣だった。
しかも剣の腕が凄まじい。にわか覚えのマスオに比べ、技量は圧倒的に敵のほうが上だった。マスオのワーウルフの肌に、あちこち傷が生まれた。
「・・・・・・なかなかやるな」
「ここで死んでもらう。逃がしはしない」
きん!
剣同士が打ち合わされる鋭い音に、マスオはニヤリと笑った。コ=レドの剣と競り合っただけで、無事でいられるわけがない。
が。
(な、魔剣が効かない?)
23名いたはずだが、かなりやられたようだ。
「俺がお前たちを保護してやる。だからしっかりと働け」
「はい」
マスオの種がたっぷりと注ぎ込まれた腹部を愛おしそうに撫でながら、マーサルヴァは微笑んだ。
マスオはヒメに命じ、彼らをミッテルンの街へと移動させた。
襲撃に失敗したと悟れば、エルフたちはまた襲ってくるだろう。
「ヒメ、同行してこいつらを街の中へ入れてやれ」
「はい。ヌシ様は」
「まだやることがある。行け」
「はい」
マスオは狼になると、襲撃者の足跡と匂いをたどり、徒歩なら3時間ほどかかりそうなエルフの里へと向かった。
そこには確かに村があり、樹海のモンスターたちが侵入できないよう防壁や罠が仕掛けられていて、エルフたちが暇そうに見張りをしていた。
「遅いな、あいつら」
「夜通しかけて楽しんでるんだろうさ。あー、俺たちもあっちに加わりたかったぜ」
どうやら、エルフの里では襲撃部隊の悲劇にまだ気づいていないようだった。
マスオは思案した。ホブゴブリンの姿でもオーガの姿でも、エルフの里に侵入することは難しいだろう。すぐに見つかって捕縛あるいは排除される。
コウモリや狼なら樹海の中にいるし怪しまれにくいが、里の中に入れば無論排除されるに違いない。防御力や体力がない分、見つかったらマズい。
蜘蛛で少しずつ数を減らすか。いや、ここは樹海だ。蜘蛛の襲撃には慣れているし、警戒しているはず。襲撃した男たちはワーウルフのことも苦にしていない様子だったし、魔法の武器も揃っているだろう。
それに、あちこちに魔法障壁やアラームの鳴る結界が張ってあった。なかなか気づかれずに入るのは厄介だ。
(ここを襲撃するのは難しそうだな)
だが。
マーサルヴァを集団で犯そうとしていた奴らの、下卑た顔を思い出す。
俺の女に手を出すとはいい度胸だ。マスオは少しばかり思い知らせてやることにした。
(サクッと襲撃して、数を減らしておいてやるか)
あえてアラームを踏み抜き、侵入した。里全体に響くような大きな音が鳴る。
「しゅ、襲撃_____」
樹上の見張り台であくびをしていた、慌てた二人のエルフの喉をかき切った。地面へと投げ捨てる。
ヴァンパイアの姿を取り、メクラ撃ちでファイアーボールを何発か撃ち込んだ。森の中で轟音が響き、あちこちがメラメラと燃えだす。
再度ワーウルフとなり、剣を手に木々の間を走った。すれ違うエルフたちを切り裂いては疾走する。
「襲撃だ!人族だ!」
「いや、あれはワーウルフだぞ!人狼族の襲撃だ!」
「どうして?このあたりの人狼は滅ぼしたはず」
「ワーウルフに魔法は使えん!どこかに魔道士がいるはずだ!探せ!」
「待て、まずは火を消すんだ!」
あちこちで混乱の声が聞こえ、怒号と悲鳴が響く。
マスオはホブゴブリンに変身すると、地面に降り立ってあちこちの木々をなぎ倒した。
「どういうことだ!ホブゴブリンもいるぞ!」
「オーガだ!オーガが出たぞぉ!」
「うわああああ!蜘蛛だ!蜘蛛の糸が!外してくれ!」
「間違いない、魔法使いがいる!そいつを先に探すんだ!森が焼かれるぞ!結界の外を徹底的に捜索しろ!」
狼となり、クマとなり、ホブゴブリンやオーガ、蜘蛛の姿に変身しつつ、マスオはあちこちを荒らして回った。
どうせこの程度で1000人ものエルフを倒せたりはしない。今日はただかき回し、遊んでやればいい。いずれきっちりと始末をつけてやる。
(だけど、数が少ないような?)
1000人もの里とはいえ、全員が出てくるわけではない。
だが、それにしても兵士として走り回るエルフたちの数が少ないように感じた。
ダークエルフの襲撃で、思ったよりも数を減らしたのか。あるいは他の種族や集落でも襲っているのか。
と。
マスオの前に、屈強な戦士が立ちはだかった。じ、と睨みつける。
かなりの使い手だ、そう感じさせる風格だった。
「そこまでだ、矮小なる存在よ。これ以上、先には進ません」
「エルフにしては強靭な身体だな。名を聞いておこうか」
「貴様に名乗る名前などない。・・・・・・死ね」
手にしている片手剣は細く、軽く、切れ味の鋭い剣だった。
しかも剣の腕が凄まじい。にわか覚えのマスオに比べ、技量は圧倒的に敵のほうが上だった。マスオのワーウルフの肌に、あちこち傷が生まれた。
「・・・・・・なかなかやるな」
「ここで死んでもらう。逃がしはしない」
きん!
剣同士が打ち合わされる鋭い音に、マスオはニヤリと笑った。コ=レドの剣と競り合っただけで、無事でいられるわけがない。
が。
(な、魔剣が効かない?)
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