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マスオ、王国を築く3
しおりを挟む翌日も、マスオは樹海へと赴いた。
巨大なグリフォンの姿で悠々と空を舞い、眼下の木々を眺めていると、ふと昨日は気づかなかった、あるものに気づいた。
(なんだあれ)
巨大な木々が立ち並ぶ樹海の中でも、ひときわにょっきりと大きく突き出した一本の大樹。
その樹の枝に、いくつもの玉がぶら下がっていた。
ちらっと見た時は何かの実かと思っていたが、近づいてよく見ると大きさが全く違った。ひとつひとつが、人間の家のような大きさだったのだ。自然にできたものではなく、木の枝などを使って編まれたものだ。
(これ、何かの巣だな)
巨大なスズメバチの巣のような形状。
と、マスオが近づく気配が分かったのか、巣から何かが飛び出してきた。
キャアキャア、と甲高く耳障りな声で鳴く、有翼の亜人族。
声を聞きつけて、大量に巣から飛び出てきた。グリフォン姿のマスオを見て、警戒し威嚇するように大声で鳴き喚く。
(こいつらって・・・・・・ハーピィかな?)
両手が翼になっていて、足にはかぎ爪があった。
伝説に出てくるハーピィ、もしくはハルピュイア。
全身がほぼ羽毛で覆われている半人間。巨大な翼を持ち、自在に空を飛べる。
鳥に似たトサカや鉤爪を持つが、身体の前面は人間のような肌であり、人間の女の肉体だった。ちゃんと乳房がふたつあり、2本の足もついていた。
(へえ、結構美形だな)
男女と呼ぶべきか、オスメスと呼ぶべきなのか分からなかったが、マスオの目に映るハーピィたちは結構見目麗しい外見をしていた。
マスオがより近づくと、無数のハーピィたちが飛び立ち、グリフォン姿のマスオに向かって突っ込んできた。
動きは素早かった。巣に近づきすぎたマスオはあっという間に取り囲まれ、翼や身体、あちこちをひっかかれ、噛み付かれた。
(い、いてて)
「ケアッ!」
マスオは大きく叫び声を上げて威嚇したが、ハーピィどもは怯むことなく矢のような鋭い羽根を飛ばし、翼や足の先にある鉤爪や鋭いキバで攻撃してきた。
樹海の王、と呼んでも良いだろうグリフォンを相手に、いい度胸をしている。
(なら、遠慮する必要はないな!)
レイスの姿になって生命力吸収・・・・・・でも片が付きそうだったが、マスオはあえて空中戦を選んだ。グリフォンともあろうものが、鳥人間ごときに遅れを取るわけにはいかない。
鋭く巨大なクチバシでハーピィの頭を噛み砕き、胴体を切り裂く。巨大トラックほどの翼で地面へと叩きつけ、乱気流で揚力を失ったハーピィを鉤爪で握り潰し、噛み付いた奴らを巨体で木の幹へ押し潰した。
まもなく、マスオの周囲で自由に飛び回るハーピィは1羽もいなくなった。
「キアッ!」
ひときわ大きな鳴き声が聞こえた。
マスオが空中でホバリングしていると、一回り大きな姿をしたハーピィが、ゆっくりと飛びながら近づいてきた。
「ケアッ」
マスオも猛々しく威嚇する。
どうやら、このハーピィたちの主のようだ。
ひときわ大きな体格、立派な羽毛、そして荒々しい顔立ち。一回り大きな鉤爪。
だが、勝負にすらならなかった。
一瞬でマスオのクチバシはキングハーピィの胴体を貫き、真っ二つになった胴体が地面へと落下していった。
「キュ、キュアッ」
今度は、別のハーピィが舞い上がってきた。胸にひときわ大きな乳房がついている。メスのようだ。
まだ戦うか、そう睨みつけたマスオに、メスのハーピィは抵抗しない、とでも言うように両の翼を大きく広げ、ゆっくりと地面へと降り立った。
マスオが着地すると、翼を地面へと伏せ、頭を擦り付けた。
殺してしまっても良かったが、マスオはその裸身に目を奪われた。他のハーピィと異なり、このハーピィは羽毛が少なく、より人間らしい姿をしていた。顔立ちも美しい。流れるような金髪と、緑色の瞳が際立っている。
ハーピィのクイーンだろうか、マスオはそう思った。
マスオはワーウルフの姿、人間の姿を取った。
ひれ伏したままのクイーンの頭を、足で踏みつける。
たちまち抗議の声が周囲から起こったが、マスオが睨みつけると大人しくなった。
「俺に服従しろ。抵抗は許さん」
マスオが言うと、クイーンハーピィはキアアア、と弱々しく鳴いた。
それで降伏の意志が伝わったらしい。遠巻きにしていた他のハーピィたちも、周囲に舞い降りてひれ伏した。
(使えそうだな、こいつら)
人語を理解するとは言い難いが、だいたいのニュアンスは通じるようだ。
マスオが巣穴の奥を指差すと、クイーンはキュイ、と一声鳴き、「王の寝所」へと迎え入れた。
(へえ、結構いい寝床じゃないか)
クイーンハーピィの寝所は柔らかい落ち葉や羽毛が積み上がっていて、座ってもふかふかとしていた。
手招きすると、クイーンは諦めたようにマスオに身を差し出した。
細い腰を撫で擦り、おしりの丸みを手で味わう。
良い身体だ。人間の姿をしながらも、鳥のように引き締まっていた。むくむくと欲棒が膨れ上がり、背後からクイーンの尻の間へと肉棒を突き立てた。
「キ、キアッ!?」
いつもと違うサイズに驚いたらしいクイーンだが、さほど抵抗はしなかった。すれば殺される、とでも思ったか。
鳥のような外見ではあったが、胴体や女の部分はちゃんとした人間同様であり、むしろ胸などは人間よりも豊満だった。鳥のように細い脚はしなやかで、人間の女とは比べ物にならないほどアソコも引き締まっていた。
マスオは存分にその身体を味わうと、体内へ精を解き放った。
「今日からおまえは俺のものだ。いいな」
「キュアア」
行為を終えた後、マスオはぐったりとしたクイーンの身体を抱きかかえ、巣の外へ出た。
他のハーピィたちが次々と舞い降りてきて、マスオにひれ伏す。
クイーンを屈服させた、と思ったのだろう。
マスオはふたたびグリフォンに姿を変え、クイーンを背に乗せ、街へと戻った。他のハーピィたちも列をなし、後を付いてきた。
街の中心部にある高い尖塔、その先端にある小部屋へクイーンを連れ込み、ここを使え、と身振りで示す。
「キアッ」
クイーンが叫ぶと、ついてきたハーピィたちは次々に周囲の大樹の枝に止まり、巣作りを始めた。
キャアキャアと叫ぶ羽根の付いた亜人族を見てゴブリンやコボルドたちも驚いていたが、しばらくすると慣れたようだ。
こうして、ハーピィの一団がミッテルンの街へと引っ越してきた。
マスオに痛めつけられてかなり数を減らしたが、それでも村ごと、40匹ほどのハーピィがミッテルンの城壁や櫓を住処とした。
多くは木々に、一部は城壁の鐘楼に住み着くものたちもいた。別に構わない。
ハーピィたちは反抗するかとも思ったが、数日後にはすっかり街の生活に慣れ、高い櫓に藁を積んだり、誰も住んでいない背の高い教会の尖塔に巣作りしたりして、キュイキュイと鳴いたり、歌ったりして結構楽しんでいる様子だった。
懸念していたマスオの女たち、あるいは街中で増え始めたゴブリンたちとの摩擦もなく、むしろグリフォンや蜘蛛などの外敵がいないことを喜んでいた。時々集団で樹海まで出かけて獲物を狩ったり、果物などを採取してきてはマスオに差し出した。ゴブリンたちも、ハーピィが採取してくる獲物の肉切れや樹海のリゴールの実をもらったりして喜んでいた。ハーピィも、ゴブリンが調理する粗末だが焼いた肉などをもらい、コボルドたちが醸造したオーガの酒樽をもらって嬉しそうに騒いだ。1週間もすると、まるで以前から暮らしていたかのように仲良くしている様子が目に写った。
ハーピィたちはよく卵を産んだ。グリフォンのように大きくはなかったが、たくさん産むためマスオや女たちは新鮮な食料を得ることができるようになった。
「ね、ライカン様、オムレツを作ってみました」
「ん」
シオリが差し出した、ハーピィエッグによるオムレツはなかなかに絶品だった。
クイーンハーピィも、特に何も言わなかった。マスオの命令には絶対服従であり、元々自分たちでも腹が減れば自分の産んだ卵を食べたりしていたようだ。
ハーピィに言葉は通じなかったが、簡単な命令やジェスチャーは理解できるようだった。コボルドたちが採掘した洞窟の鉱石を空輸したり、人間たちに焼き払われた森の再生を手伝ってくれた。
また、ハーピィたちは街の周囲の見張りをするようになった。ミッテルンが魔物の手に落ちたことを知らずに迷い込んだ旅人や商人を捕らえ、マスオへと差し出した。男たちはハーピィの餌にしてやり、若い女はマスオのオルドを増やすのに役立った。
マスオは街への侵攻を防ぐべく、街へと続く3つの街道のあちこちに樹海の木を運んできて植林させた。ハーピィたちは喜んで植林に手を貸した。自分たちのテリトリーが増えるのが嬉しいのだろう。
樹海の木々は生命力が強く、しっかりと根を張り伸ばし、あちこちに雑木林ができた。そこに狼たちを住まわせ、蜘蛛の卵を植え付けた。これで少しは迎撃の役に立つだろう。
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