異世界モンスターに転生したので同級生たちに復讐してやります

るふぃーあ

文字の大きさ
上 下
54 / 86

マスオ、王国を築く1

しおりを挟む
翌朝、マスオはふたたび廃墟となったゴブリン洞窟、その奥のコボルド洞窟へと向かった。
大きく息を吸い込む。

「グルルルォォォォォォーーーーーーーッ!」

マスオが叫ぶと、声が洞窟中へと響き渡った。
いくつも曲がった坑道の、その奥へと。

「キイ?」
「キイ!キイキイ!」
「キャン!キャンキャン!キャン!」

あちこちから声が響いてきた。
やはり、ゴブリンやコボルドたちは逃げ延びていたのだ。あの兵士たちの襲撃から。

奴らはここを殲滅に来たわけではない。ただマスオを倒しに来たのだ。
大勢死者も出たし、深追いはしなかったのだろう。

「ぱぱ」
「ぱぱ、ぱぱ」

(こいつら、生きていたのか)

それは狼たちに乗り、兵士を奇襲させたハイゴブリンたちだった。
ライカンの姿へと戻る。

「お前たち、生きていたのか」
「うん、ママが、隠れろって」
「そうか」

たったの5匹。それだけだ。
だが、今は言葉を解す部下が1匹いるだけでもありがたい。

「生き残ったゴブリンとコボルドを集め、街へと連れて行け」
「うん、わかったよパパ」
「このオーガの子たちも連れて行くんだ。仲良くしろ」
「はい」

子オーガたちを連れて行かせる。幸い、子オーガもまだ幼く、体格的には上回っていたがハイゴブリンたちを襲ったりはしなかった。同じマスオの子供だ、ということを理解しているのか。

次に、オーガ村の様子を見に行くと、雌狼たちは30匹ほどを出産した後だった。
残念ながらワーウルフは生まれないらしい。母体が狼なら、やはり生まれるのは狼だけのようだ。
だが、生まれた子は白銀の毛をしたシルバーウルフたちだった。灰色ウルフよりも強いしありがたい。
マスオに従う母体は8匹なのでさほど大量には産まれないが、一度に3-4匹ほど産んでいた。この調子で数を増やしていこう。
オーガ村の牧場は健在で、そのまま使えそうだ。
羊や牛もたくさんいるし、食料供給源になるだろう。

(これでも少ないが、いないよりずっとマシだ)

一足先に街へ戻ると、ハイゴブリンたちに率いられたゴブリン、コボルド、子オーガたちがゾロゾロとやってきた。
住民のいなくなった家に勝手に入っていく。
ここを根城に、もっとゴブリンたちを増やさねばならない。

(他に、もっと部下を増やせないか)

街を占領してしばらくすると、ゴブリンとコボルドたちは破壊された住居を再建し、残された工房を使って武器を、防具を生産し始めた。
残った僅かなハイゴブリンたち、そしてそいつらとつるんでいる間に覚えたらしく、言葉を理解するようになった小オーガ、ハイオーガと呼ぼうか。そいつらがコボルドたちにうまく指示をしているようだ。

(やはりハイゴブリンは役立つな。もっと産ませるか)

戦力的にはワーウルフとワーベアに期待するが、こいつらはすぐに生まれないし、数も望みにくい。もっと即戦力が欲しかった。

そして蜘蛛だ。
街の中では蜘蛛が繁殖できないな、そう思っていたが、街の地下には下水道が張り巡らされていて、そこに産みつけるのが良さそうだった。巨大なラットや虫がたくさん棲みついていて、エサ代わりに良さそうだ。下水道の天井へ産卵しておく。

さて、次はどうするか。
マスオは町長の屋敷の上から、洞窟に続く第二の「王国」を見下ろした。

(やはり、知的生命体を増やさないとな)

前回の敗北を思い浮かべる。
勇者ナオヤに敗北したのは、ひとえにマスオの慢心と詰めの甘さによるものだ。自らを鍛えねばならない。

だが同時に、組織のナンバー2が不在であることもマスオは痛感していた。全てをマスオが管理し、指示し、戦力を整え、いざ勇者との対決となったら最前線に立つ、これではマスオの負担が重すぎる。
やはり優秀なナンバー2が必要不可欠だ、そうマスオは思った。

だがどうやって?
元同級生たちに頼るつもりはなかった。あいつらはいざとなったら裏切る可能性があるし、ナオヤたちに立ち向かうなど不可能だろう。戦闘時の指揮なども無理だろうし、戦力になり得ない。
しかし、この世界の住民で他に頼りになるものに心当たりがないことも確かだった。ヒメグマは信頼しており、窮地を救ってくれたことに対して多大な恩義もあるが、一軍を率いる将たる器ではない。

そのような存在がいないわけではなかった。ボスオーガやコボルドキング、ワーベアの男など、マスオの前に立ちはだかった強力な敵は幾人も存在した。
問題は、どうやってそういう存在を見つけ出し、支配し、自分を主人と崇め、服従させるかということだ。

(人間以外で、知的活動を行っているものはどのくらいいるのだろうか)

少なくとも、ゴブリンやコボルドより知能の高い生き物でないと、戦力として計算できない。
マスオはミッテルンの戦力化を進めつつ、支配下におくことができる生き物を求めて何度か樹海へと足を運んだ。
最初は狼の姿で走ったものの、グリフォンの翼でひとっ飛びした方が遥かに早かった。ただし腹はとても減った。効率的にはイマイチだ、そうマスオは思った。

樹海の上を飛び回ると、テリトリーを侵してしまったらしく、別のグリフォンが舞い上がってきた。キュエエエッ、とけたたましい声で威嚇し、クチバシを鳴らす。

(こいつ、俺に勝てると思っているのか)

以前はあれほど苦戦したグリフォンだが、今のマスオはグリフォンの力に加え、レイスの力も取り込んだ存在だ。並のグリフォンよりひと回り以上も大きい。
だが自分こそ最強、と本能で思い込む魔獣にそんな判断はつかないらしく、威嚇だけでなく体当たりで自らのテリトリーから追い出そうとぶつかってきた。

(力の差を思い知らせてやる)

マスオが体当たりを喰らわせると、グリフォンはいとも容易く体勢を崩し、ふらふらと高度を下げた。
その頭部を鉤爪でがっしりと掴み上げ、急降下して放り投げた。グリフォンは樹海の森の中へ墜落し、地面に激突した。

「キュ、キュエエエッ!?」

なおもヨタヨタと舞い上がってきた。
圧倒的な力の差を見せられて、それでも闘志を失わない姿は見事だ。さすがは誇り高き、樹海最強の魔獣だけある。
だがな。
マスオは再度グリフォンへ襲い掛かると、その巨体を何度もぶつけてやった。

(オラ、オラオラオラオラァ!)

覆しようの無い、圧倒的な体格の差。
もはや戦いにもならない、物理的な差だけで相手をゴミ扱いできるという感覚に、マスオは覚えがあった。

(こいつは、以前の俺だ)

散々マスオを虐め、いびり続けたガタイのいい同級生が何人かいた。
廊下や教室、体育の時間などわざとぶつかってきて、よろめくマスオを見て散々笑っていた。
あいつらが感じていた快感は、きっとこういうものだったんだろう。絶対に逆転しようのない、支配的な戦力差。安全な場所から一方的に嬲りものにするという快感。

(この世は、強い奴が全てだ)

圧倒的な暴力。それが全てに優先するルールだ。
かつてのマスオはそんな単純なことも知らず、ただ相手を恨みがましく睨んでいただけだった。なんて無力だったんだ、と自分を嘲りたくなる。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

処理中です...