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マスオ、コボルドを倒す4
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2時間後。
戦いの趨勢は決まっていた。
キングを失ったコボルドは殺され、狼たちのエサにされ、あるいはゴブリンたちに手を縛られていくつかの洞窟の部屋へと監禁されていた。
獰猛なゴブリンたちが20匹ほど、集めた200匹ほどのメスのコボルド、コボルナたちを指差してニヤと笑い、マスオに許可を乞うた。
コボルナたちはイヌミミを垂れ、絶望したような表情でうつ伏せにさせられていた。
(構わん、やれ)
マスオはグフ、と笑みを作った。それで意味は通じた。
こんなイヌ顔に興奮するのか、と思ったが、さきほどコボルドもゴブリナたちを襲っていたのと同様、ちゃんと性欲は感じるらしい。喜び勇んでコボルナたちへと襲いかかった。
粗末な服をはだけ、ゴブリンどもはコボルナの脚を掴み、満足の声をキイキイと漏らしながら腰を振っていた。
狼たちもイヌ顔のコボルナには発情するのか、舌を出してハッハッとそれを眺めていた。マスオが指差すと、狼たちもコボルナへ襲いかかった。
あちこちで乱痴気騒ぎが繰り広げられる中、マスオは折れた腕の痛みを堪えながら、冷静にコボルドたちの暮らす洞窟を見て回った。
通路はやや小さめだが、ゴブリンでも、あるいはマスオでも充分に通れる大きさだ。あのコボルドキングの巨体に合わせて整備されたのだろう。
コボルドは手先が器用らしく、コボルド用のハンマーやノミ、あるいはナタ、弓といった道具が多数保管され、また生産されていた。人間の目から見ると粗末だが、窯や工房、キノコの栽培室などもあった。驚くことに、飲み水の水道管や下水の排水所まであった。肥溜めに垂れ流しのゴブリンとはえらい違いだ。
洞窟の広さは桁違いだった。マスオはゴブリン集落を2つの洞窟へ集結させたが、この2つを合わせたよりもずっと広い。数分程度歩き回ったくらいでは、全く規模が分からなかった。
単なる洞窟ではなく、坑道が深く伸びていて、上に向かう階段や地下もある。採掘と手先に優れた妖魔、という性質は間違いではなかったらしい。
ここを拠点とすれば。
かなりの人間の数が押し寄せても、撃退可能かもしれない。ここまで広く深いダンジョンは、古い昭和のレトロRPGにもそうないだろう。お手軽スマホRPGしかしていない転生者など、入るだけで不安と迷子になるに違いない。
手先が器用ということは、罠ももっと高性能なものが仕掛けられるということだ。最初のゴブリン洞窟で油断させ、ここを本丸として迎撃するのもいいだろう。
マスオは生き残ったコボルド、コボルナたちを奴隷とすることにした。工房で捕らえられたコボルドどもに鎖を作らせ、足枷として逃げられなくすればいい。幸い鎖もあちこちにあった。コボルドの技術で鎖の量産は十分に可能なようだ。
マスオが一通り洞窟を見て回り、コボルドキングが使用していたのであろう玉座に座ると、ゴブリンたちは一斉に平伏した。
いままで、マスオはホブゴブリンである自らの力と畏怖、恐怖でゴブリンたちを支配していた。狼も群れの長を打ち取ることで、マスオにひれ伏させていた。
しかし今日、ゴブリンと狼たちはコボルドどもを喰らい、コボルナたちを思うがままに蹂躙し、食欲と性欲を存分に満たした。それもこれも、マスオの力がコボルドキングに勝ったからだ。その意味を奴らは十分に理解していた。
マスオが強く、奴らの欲を満たし続け、侵入者や加害者から群れを守ってくれる限り、こいつらはマスオに付き従うだろう。
特に何も言わなくても、ゴブリンたちは奴隷としてコボルナたちを分配していた。性奴隷欲しさに争う、なんて馬鹿はしないようだ。
コボルド洞窟は大きく暮らしやすく、大広間には竈や湧き水の出る池があり、ゴブリンたちは次々にあちこちの部屋を占拠して暮らし始めた。中には数匹でひと部屋に住み、2-3匹のコボルナを性玩具にしている奴らもいた。
狼たちは森の中の方が居心地が良いらしく、ひと通りの欲望を発散すると満足し、洞窟から外の生活へと戻っていった。
だが最初のゴブリン洞窟は雨風を凌ぎやすく、洞窟外の森を縄張りとしつつも、横穴の多い入口付近をねぐらにすることに決めたようだ。
戦いの趨勢は決まっていた。
キングを失ったコボルドは殺され、狼たちのエサにされ、あるいはゴブリンたちに手を縛られていくつかの洞窟の部屋へと監禁されていた。
獰猛なゴブリンたちが20匹ほど、集めた200匹ほどのメスのコボルド、コボルナたちを指差してニヤと笑い、マスオに許可を乞うた。
コボルナたちはイヌミミを垂れ、絶望したような表情でうつ伏せにさせられていた。
(構わん、やれ)
マスオはグフ、と笑みを作った。それで意味は通じた。
こんなイヌ顔に興奮するのか、と思ったが、さきほどコボルドもゴブリナたちを襲っていたのと同様、ちゃんと性欲は感じるらしい。喜び勇んでコボルナたちへと襲いかかった。
粗末な服をはだけ、ゴブリンどもはコボルナの脚を掴み、満足の声をキイキイと漏らしながら腰を振っていた。
狼たちもイヌ顔のコボルナには発情するのか、舌を出してハッハッとそれを眺めていた。マスオが指差すと、狼たちもコボルナへ襲いかかった。
あちこちで乱痴気騒ぎが繰り広げられる中、マスオは折れた腕の痛みを堪えながら、冷静にコボルドたちの暮らす洞窟を見て回った。
通路はやや小さめだが、ゴブリンでも、あるいはマスオでも充分に通れる大きさだ。あのコボルドキングの巨体に合わせて整備されたのだろう。
コボルドは手先が器用らしく、コボルド用のハンマーやノミ、あるいはナタ、弓といった道具が多数保管され、また生産されていた。人間の目から見ると粗末だが、窯や工房、キノコの栽培室などもあった。驚くことに、飲み水の水道管や下水の排水所まであった。肥溜めに垂れ流しのゴブリンとはえらい違いだ。
洞窟の広さは桁違いだった。マスオはゴブリン集落を2つの洞窟へ集結させたが、この2つを合わせたよりもずっと広い。数分程度歩き回ったくらいでは、全く規模が分からなかった。
単なる洞窟ではなく、坑道が深く伸びていて、上に向かう階段や地下もある。採掘と手先に優れた妖魔、という性質は間違いではなかったらしい。
ここを拠点とすれば。
かなりの人間の数が押し寄せても、撃退可能かもしれない。ここまで広く深いダンジョンは、古い昭和のレトロRPGにもそうないだろう。お手軽スマホRPGしかしていない転生者など、入るだけで不安と迷子になるに違いない。
手先が器用ということは、罠ももっと高性能なものが仕掛けられるということだ。最初のゴブリン洞窟で油断させ、ここを本丸として迎撃するのもいいだろう。
マスオは生き残ったコボルド、コボルナたちを奴隷とすることにした。工房で捕らえられたコボルドどもに鎖を作らせ、足枷として逃げられなくすればいい。幸い鎖もあちこちにあった。コボルドの技術で鎖の量産は十分に可能なようだ。
マスオが一通り洞窟を見て回り、コボルドキングが使用していたのであろう玉座に座ると、ゴブリンたちは一斉に平伏した。
いままで、マスオはホブゴブリンである自らの力と畏怖、恐怖でゴブリンたちを支配していた。狼も群れの長を打ち取ることで、マスオにひれ伏させていた。
しかし今日、ゴブリンと狼たちはコボルドどもを喰らい、コボルナたちを思うがままに蹂躙し、食欲と性欲を存分に満たした。それもこれも、マスオの力がコボルドキングに勝ったからだ。その意味を奴らは十分に理解していた。
マスオが強く、奴らの欲を満たし続け、侵入者や加害者から群れを守ってくれる限り、こいつらはマスオに付き従うだろう。
特に何も言わなくても、ゴブリンたちは奴隷としてコボルナたちを分配していた。性奴隷欲しさに争う、なんて馬鹿はしないようだ。
コボルド洞窟は大きく暮らしやすく、大広間には竈や湧き水の出る池があり、ゴブリンたちは次々にあちこちの部屋を占拠して暮らし始めた。中には数匹でひと部屋に住み、2-3匹のコボルナを性玩具にしている奴らもいた。
狼たちは森の中の方が居心地が良いらしく、ひと通りの欲望を発散すると満足し、洞窟から外の生活へと戻っていった。
だが最初のゴブリン洞窟は雨風を凌ぎやすく、洞窟外の森を縄張りとしつつも、横穴の多い入口付近をねぐらにすることに決めたようだ。
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