12 / 86
マスオ、ホブゴブリンになる5
しおりを挟む
「きゃあああああああ!」
叫ぶ女ふたりはあと回しに、剣戦士を睨みつける。
だが、マスオから小銭を巻き上げていたそいつは、真っ青な顔で小便を漏らしながら、仲間二人が瞬殺されたのを目の当たりにして、ブルブルと子鹿のように震え、2メートル近い巨体のマスオを見上げるだけだった。
だが、一応剣は構えている。虚勢を振り絞って。
「お、おまえ、な、なにもんだ、お、俺たちは、人間の冒険者パーティ」
「グルガアアアアアアアア!」
強烈な吠え声に、ひっ、と足がすくむ。剣を手から落とした。そのままぺたん、と座り込む。
マスオへと立ち向かう勇気もないようだ。
______情けない野郎だ。
こんな野郎に、今まで俺は怯えていたのか。
マスオは以前の自分を笑いたくなった。
相手が落とした剣を、遠くへ蹴り飛ばした。
周囲を見ると、数人のゴブリンたちがこいつらの相手をしていたようだ。善戦はしたようだが、何体もの遺体が転がっていた。
グル。
マスオは笑った。
剣戦士の腕を掴み上げ、ゴキリとへし折る。
「ぎゃああああああ!」
両腕ともへし折ると、そいつを無造作にゴブリンたちの群れへと放り投げた。
______好きにしろ。
言わずとも、ゴブリンたちは顔を見合わせ、やがてニヤリ、と笑った。
棍棒を振り上げる。
さっきまで一方的にやられていた奴に、復讐する快感。
「や、やめろ、おまえら、や、やめ」
だがゴブリンたちは止まらない。
隣人を、家族を、友人を殺された怒りを、剣戦士にぶつけた。
「や、やめ、いひゃあああああ!や、やめてくれえええええええ!」
マスオはその光景を楽しみたかったが、残ったふたりの女たちに目を向けた。
「ひいっ!」
睨みつけられ、一人がくたん、と失神する。
弓を持っていた、気弱そうな女だ。こいつ、クラスの誰だろう。
もうひとりは、気丈にも剣と盾をマスオに向かって構えた。
「こ、こないで!殺されたくないでしょ!?」
「グル?」
殺されたい?
バカかこいつは。
ぶん!
マスオの棍棒が風を切った。
女戦士の剣が折れて吹き飛ぶ。
「あ、あ、あ」
へなへな。
圧倒的な力の差を知り、剣の柄を落とし、盾を床に落とした。
マスオは女戦士の腕を捕まえ、引きずっていった。
その先には、さっきの男戦士が皮を剥がれ、腕と脚を潰され、なおも暴行され続けている姿があった。
「だ、だず、げで」
まだ息があるようだ。意外としぶといな。
「グル?」
指をさす。
ああなりたいか?
「い、いや、やめて・・・・・・」
壮絶なリンチを受けている姿を見て、女戦士はガクガクと震えた。
マスオは頭を押さえつけた。
______土下座しろ。
その意味が分かったのか、女戦士は両手を付き、マスオにひれ伏した。
「ど、どうか、助けて、命ばかりは」
「グル」
よし。
叫ぶ女ふたりはあと回しに、剣戦士を睨みつける。
だが、マスオから小銭を巻き上げていたそいつは、真っ青な顔で小便を漏らしながら、仲間二人が瞬殺されたのを目の当たりにして、ブルブルと子鹿のように震え、2メートル近い巨体のマスオを見上げるだけだった。
だが、一応剣は構えている。虚勢を振り絞って。
「お、おまえ、な、なにもんだ、お、俺たちは、人間の冒険者パーティ」
「グルガアアアアアアアア!」
強烈な吠え声に、ひっ、と足がすくむ。剣を手から落とした。そのままぺたん、と座り込む。
マスオへと立ち向かう勇気もないようだ。
______情けない野郎だ。
こんな野郎に、今まで俺は怯えていたのか。
マスオは以前の自分を笑いたくなった。
相手が落とした剣を、遠くへ蹴り飛ばした。
周囲を見ると、数人のゴブリンたちがこいつらの相手をしていたようだ。善戦はしたようだが、何体もの遺体が転がっていた。
グル。
マスオは笑った。
剣戦士の腕を掴み上げ、ゴキリとへし折る。
「ぎゃああああああ!」
両腕ともへし折ると、そいつを無造作にゴブリンたちの群れへと放り投げた。
______好きにしろ。
言わずとも、ゴブリンたちは顔を見合わせ、やがてニヤリ、と笑った。
棍棒を振り上げる。
さっきまで一方的にやられていた奴に、復讐する快感。
「や、やめろ、おまえら、や、やめ」
だがゴブリンたちは止まらない。
隣人を、家族を、友人を殺された怒りを、剣戦士にぶつけた。
「や、やめ、いひゃあああああ!や、やめてくれえええええええ!」
マスオはその光景を楽しみたかったが、残ったふたりの女たちに目を向けた。
「ひいっ!」
睨みつけられ、一人がくたん、と失神する。
弓を持っていた、気弱そうな女だ。こいつ、クラスの誰だろう。
もうひとりは、気丈にも剣と盾をマスオに向かって構えた。
「こ、こないで!殺されたくないでしょ!?」
「グル?」
殺されたい?
バカかこいつは。
ぶん!
マスオの棍棒が風を切った。
女戦士の剣が折れて吹き飛ぶ。
「あ、あ、あ」
へなへな。
圧倒的な力の差を知り、剣の柄を落とし、盾を床に落とした。
マスオは女戦士の腕を捕まえ、引きずっていった。
その先には、さっきの男戦士が皮を剥がれ、腕と脚を潰され、なおも暴行され続けている姿があった。
「だ、だず、げで」
まだ息があるようだ。意外としぶといな。
「グル?」
指をさす。
ああなりたいか?
「い、いや、やめて・・・・・・」
壮絶なリンチを受けている姿を見て、女戦士はガクガクと震えた。
マスオは頭を押さえつけた。
______土下座しろ。
その意味が分かったのか、女戦士は両手を付き、マスオにひれ伏した。
「ど、どうか、助けて、命ばかりは」
「グル」
よし。
63
お気に入りに追加
116
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる