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番外編 幼馴染(和樹)の混乱
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「なあなあ!聞いて!僕好きな人できたかもしれん!」
「え!誰!」
小学校からの幼馴染である阿木賢斗という男は容姿に恵まれていながらも今まで好きな異性の話となるといつもはぐらかしてきた。珍しく俺の好物であるシュークリームを手土産に家にやってきたから何かあるとは思っていたがそういうことか。とうとう好きな人ができたかと俺はなんだか親心だ。
「バイト先の先輩。」
「まじか!年上?」
「5歳かな?年上やで。僕の兄ちゃんと同い年。」
「そっか~。なるほどね~。年上好きやったわけね。」
「いや~どうなんやろ?でもな、向こうがどう思ってるかが分からんくて…。」
「どう思ってるって…大抵お前の容姿があればいけるやろ。性格も犬っぽいし年上に好かれるんちゃう?」
「あ!犬っぽいってその人にも言われた。」
「おいおい、脈アリちゃうん?他になんかエピソードないん?」
「えっとなぁ、和樹やから言うけどさ…絶対誰にも言わんといてな。」
「え、うん。なに?」
「その人の家泊まった時にココ触られてさ、イカされた。あとこの前海一緒に行った!これそん時の日焼け!その後サウナ行こうって言ってたのに日焼けが痛くて全然長くおれんくてさ…」
え…進み過ぎじゃね?
「お前展開早くない?え?そういうもん?」
「早いかな?」
「早いって。好きな人もできへんかったやつが急に俺を抜かすな!今までチェリーボーイズでやってきたのに。解散や!」
「そんなん名乗った覚えないで。あとまだ童貞やし。」
「え?やってないん?抜いてもらっただけ?」
「うん、そう…」
「お前、それは情けなすぎるぞ。あ、いや、でもそんな急いでな!やることじゃないしな!」
顔を下に向けた賢斗を見て茶化す感じになってしまったことを少し焦った。
「ほんでな、こっからが相談というか…その人男の人なんやけどどう思う?」
「え?あ、男?いやいやいや、ちょっと待って。めっちゃ混乱してる。」
マジで混乱していた。男が好きなんて聞いたことない。でもたぶん周りに相談できなくて俺にだから相談してくれているわけで、なるべくちゃんと答えてやろうと思った。
「男、好きやったっけ?」
「ううん、分からん。でもその人初めて見た時かっこいい人やなって思った。筋肉質で男らしくて、なんか影がある感じ。」
「へぇ、そういうのがいいんや…」
「でも僕は犬としか思われてないかも。」
「どういう……」
もう混乱でしかない。まずその男はちゃんとしたやつなのか?賢斗はまじでその男が好きなのか?
「俺とその人は何が違う?」
「全部。」
あっそうですか。賢斗はクッションから飛び出た糸をイジイジしている。それ触ったら余計に出てくるから触るなっていつも言ってるやろ!と思ったが今は言わないでおく。
「分からんけどさ、別に好きな相手が男でも女でもどっちでもいいと思うねん。でももしセックスとかしたいと思ってるならまじでちゃんと自分の気持ち伝えてさ、その気持ちとちゃんと向き合ってくれる人じゃないとあかんで。」
「そうやな…ありがとう。」
「じゃないとお前が傷つくから。」
「うん…ありがとう。」
「セックスするなら絶対ゴムしろよ?」
「分かってるよ!ていうかその人が僕のことをどう思ってるか分からんから。まだ…」
「う~ん、分からんけどある程度好きって気持ちないと身体触ろうとか思わんくない?賢斗は俺の身体触りたいって思うか?」
「思わん。全ッ然!」
聞いた俺が悪いがなんかムカつくな。爽やかに笑う賢斗の腕をつねってクッションを取り上げた。
「まぁ、でもそうやろ。フツー。」
「確かに。なんか和樹に相談してるうちに頑張ろうって思えてきたかも。今なら好きって伝えられるかも。」
「まじ?すげーなお前。俺あんまり何も言ってない気がするけど…まぁ、じゃあ頑張って…もしあかんかっても俺が慰めたるから。」
「うん、よろしく。」
賢斗が帰った後、俺は暫く抜け殻みたいになってしまった。あいつ結構行動力あるんじゃん。すげーな。賢斗が自分から行動する、みたいなところをあまり見たことがなかった。あいつがもし付き合うこととかになったら…想像して天を仰いだ。
ごめん、理解ある風でいたけどまだ普通に混乱してる。でもまたあいつが困った時に助けてやれるように俺もちょっと勉強しておくか。
「え!誰!」
小学校からの幼馴染である阿木賢斗という男は容姿に恵まれていながらも今まで好きな異性の話となるといつもはぐらかしてきた。珍しく俺の好物であるシュークリームを手土産に家にやってきたから何かあるとは思っていたがそういうことか。とうとう好きな人ができたかと俺はなんだか親心だ。
「バイト先の先輩。」
「まじか!年上?」
「5歳かな?年上やで。僕の兄ちゃんと同い年。」
「そっか~。なるほどね~。年上好きやったわけね。」
「いや~どうなんやろ?でもな、向こうがどう思ってるかが分からんくて…。」
「どう思ってるって…大抵お前の容姿があればいけるやろ。性格も犬っぽいし年上に好かれるんちゃう?」
「あ!犬っぽいってその人にも言われた。」
「おいおい、脈アリちゃうん?他になんかエピソードないん?」
「えっとなぁ、和樹やから言うけどさ…絶対誰にも言わんといてな。」
「え、うん。なに?」
「その人の家泊まった時にココ触られてさ、イカされた。あとこの前海一緒に行った!これそん時の日焼け!その後サウナ行こうって言ってたのに日焼けが痛くて全然長くおれんくてさ…」
え…進み過ぎじゃね?
「お前展開早くない?え?そういうもん?」
「早いかな?」
「早いって。好きな人もできへんかったやつが急に俺を抜かすな!今までチェリーボーイズでやってきたのに。解散や!」
「そんなん名乗った覚えないで。あとまだ童貞やし。」
「え?やってないん?抜いてもらっただけ?」
「うん、そう…」
「お前、それは情けなすぎるぞ。あ、いや、でもそんな急いでな!やることじゃないしな!」
顔を下に向けた賢斗を見て茶化す感じになってしまったことを少し焦った。
「ほんでな、こっからが相談というか…その人男の人なんやけどどう思う?」
「え?あ、男?いやいやいや、ちょっと待って。めっちゃ混乱してる。」
マジで混乱していた。男が好きなんて聞いたことない。でもたぶん周りに相談できなくて俺にだから相談してくれているわけで、なるべくちゃんと答えてやろうと思った。
「男、好きやったっけ?」
「ううん、分からん。でもその人初めて見た時かっこいい人やなって思った。筋肉質で男らしくて、なんか影がある感じ。」
「へぇ、そういうのがいいんや…」
「でも僕は犬としか思われてないかも。」
「どういう……」
もう混乱でしかない。まずその男はちゃんとしたやつなのか?賢斗はまじでその男が好きなのか?
「俺とその人は何が違う?」
「全部。」
あっそうですか。賢斗はクッションから飛び出た糸をイジイジしている。それ触ったら余計に出てくるから触るなっていつも言ってるやろ!と思ったが今は言わないでおく。
「分からんけどさ、別に好きな相手が男でも女でもどっちでもいいと思うねん。でももしセックスとかしたいと思ってるならまじでちゃんと自分の気持ち伝えてさ、その気持ちとちゃんと向き合ってくれる人じゃないとあかんで。」
「そうやな…ありがとう。」
「じゃないとお前が傷つくから。」
「うん…ありがとう。」
「セックスするなら絶対ゴムしろよ?」
「分かってるよ!ていうかその人が僕のことをどう思ってるか分からんから。まだ…」
「う~ん、分からんけどある程度好きって気持ちないと身体触ろうとか思わんくない?賢斗は俺の身体触りたいって思うか?」
「思わん。全ッ然!」
聞いた俺が悪いがなんかムカつくな。爽やかに笑う賢斗の腕をつねってクッションを取り上げた。
「まぁ、でもそうやろ。フツー。」
「確かに。なんか和樹に相談してるうちに頑張ろうって思えてきたかも。今なら好きって伝えられるかも。」
「まじ?すげーなお前。俺あんまり何も言ってない気がするけど…まぁ、じゃあ頑張って…もしあかんかっても俺が慰めたるから。」
「うん、よろしく。」
賢斗が帰った後、俺は暫く抜け殻みたいになってしまった。あいつ結構行動力あるんじゃん。すげーな。賢斗が自分から行動する、みたいなところをあまり見たことがなかった。あいつがもし付き合うこととかになったら…想像して天を仰いだ。
ごめん、理解ある風でいたけどまだ普通に混乱してる。でもまたあいつが困った時に助けてやれるように俺もちょっと勉強しておくか。
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