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帰還

第114話

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 「皆、今日はありがとな」
 何事も無く家に付いた俺達。
 俺は改めて、付き合ってくれた皆にお礼を言った。

 リミアがこんな状態になっても、コトリは動じず、リミアを乗せて空を飛んだり、モフられたりして、相手をしてくれた。
 大ムカデやゴブリンもその背中にリミアを乗せたり、鬼ごっこや狩り等に付き合ってくれた。
 
 それと、思っていたより、俺以外の前では、ウサギは普通らしい。
 コグモを俺の下まで引き摺って来た時の様に、たまに暴走する事はあるようだが、少し調子の良いお兄さんと言うタイプで、リミアともよく遊んでくれた。
 
 それに、俺相手だと、いつもふざけたおすウサギだが、俺が、他のウサギを食べる事をどう思うか。と、質問すると、空気を切り替えて

 「ボク自身、食べたいとは思わないッスけど、仕方のない事だとは思うッス。それに、ボク達って、外敵に襲われた時、当然の様に、仲間を見捨てますしね。今更って、感じがするッス」
 と、真面目に答えてくれた。

 あいつの中でも、ふざけるべき所と、そうでない所のラインは引いているのかもしれない。
 そういう面を知れたと言う点でも、今回のピクニックはとても価値のある物だったと思う。
 
 「よっと……。俺は、こいつを部屋に運ぶから。また明日な」
 俺は背中で寝ているリミアの位置を直しつつ、皆に手を振る。
 
 今日のリミアは本当に子どもの様だった。遊んで、はしゃいで、色々な事に興味を持って、最後には疲れて寝てしまったのである。
 
 「あ、私もついて行きます!」
 思い出したかのように、俺の背中を追って来るコグモ。
 今日の彼女は、ポーっとしている事が多く、少しおかしかった。
 
 「……どうしたんだ?リミアの事で心配事か?」
 俺の横についてきたコグモに質問する。
 彼女が、今、この状況でおかしくなっているとすると、原因はリミアしか、思い浮かばなかったからだ。
 
 「いえ……。心配事と言いますか……」
 今日の彼女は、リミアについて話すと、歯切れが悪くなる。
 
 「何でも良いんだ。気付いた事や、心配事があるなら俺に言ってくれ。……俺も、流石に、今日一日、リミアを見ていて思った。……演技じゃないかもしれないって」
 俺の声に、コグモは顔を上げ、不安そうに俺を見つめる。
 俺は、覚悟は出来ていると、コグモの瞳を見つめ返した。
 
 「……分かりました。しかし、今から言う事は推測でしかないですよ?」
 喋り出す前に、念を押してくるコグモ。
 
 「それと、約束です。真実がどうあれ、ありのままのお嬢様を受け入れてください」
 その真剣な表情に俺は息を呑む。
 
 俺がリミアを拒絶するなんて事があるはずが無い。それは杞憂だ。
 そうは分かっていても、コグモの真剣な眼差を見ていると不安になってくる。

 ……ただ、逃げると言う選択肢は無いだろう。
 
 「……分かった」
 俺は覚悟を整えると、その声に、真剣な面持ちで返した。
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