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帰還
第112話
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「コグモお姉ちゃん!コトリさん!大ムカデ!ウサちゃん!ゴブリン!パパ!」
外に集まった皆を、楽しそうに指差すリミア。
コトリと、先程、廊下で出会ったコグモ以外の全員が、その様子を見て、目を白黒させている。
「リミアさん。初めから、狂ってるとは思いましたが、とうとう……」
ウサギが、楽しそうにはしゃぐリミアを横目に見つつ、しゃがんで俺に耳打ちしてくる。
「やめろ。やっと子どもらしくなったんだ。これで良いじゃないか。……それと顔が近い」
俺はウサギを髪の糸で押しのけると、ウサギは「うぎゅぅ」と、幸せそうに鳴いた。
マジデキモイ。
「まぁ、ご主人様がそれで良いなら、良いんッスけどね」
姿勢を戻しながら、歯切れの悪い答えを返すウサギ。
まぁ、ドMのウサギからしたら、前の方が良かったのかもしれない。
「良いに決まってるだろ。やっと、甘えてくれるようになったんだから」
俺の言葉に、ウサギは「……そうッスね」と、少し納得いかないご様子。
まぁ、ウサギに納得されなければいけない筋合いなど無いので、別に良いのだが。
「大ムカデ!」
リミアに笑顔で名指しされ「キシッ!」と、鳴いて怯む大ムカデ。
そんな大ムカデに向かって、リミアが走り寄る。
その姿に、大ムカデは怯えつつも、本能から逃げられない。
「スキ!」
大ムカデに抱き着いたリミアが、可愛い声で、そう言った。
事態が把握できず、固まる大ムカデ。
リミアは、そんな大ムカデの胴体に抱き着いたまま「冷たい……」と、気持ち良さそうに頬擦りをしていた。
「キ、キシ……?」
困惑したように、俺達を見回す大ムカデ。
多分、俺ら全員、お前と同じ脳内状況だぞ、大ムカデよ。
「よ、良かったな、大ムカデ。お前なら、俺も安心だ!おめでとう!」
俺は、大ムカデの背中をポン!と、叩く。
「キシキシキシッ!」
勢いよく頭を左右に振る大ムカデ。
「そう言えば、彼女持ち何だっけか。これは修羅場になりそうだな!」
「ハッハッハ!」と、他人事のように笑う俺を、恨めしそうに睨む大ムカデ。
だって、仕方が無いじゃないか。他人事なのだから。
「パパも好き~!」
「うわっと!」
今度は勢い良く俺に抱き着いて来るリミア。
大ムカデが、ざまぁ見ろ、と言いたげな視線で、こちらを見下ろしてきた。
しかし残念だったな大ムカデよ。俺はリミアの父親なのだ。この程度の対応、朝飯前よ!
「そうか、そうか。パパ。嬉しいぞ……」
俺はその場にしゃがみ込むと、笑顔でリミアの頭を撫でつつ、余裕の笑顔で、大ムカデに視線を返した。
「キシッ……」
父親の威厳に、怯む大ムカデ。
どうやら、やっとこいつにも、父親の偉大さが分かったらしい。
「今日は目一杯楽しもうな!」
俺はリミアに視線を戻すと、その小さな体を抱き上げた。
「うん!」
抱え上げられたリミアは、花のような笑顔で返してくる。
そうだよ、俺はこれを望んでいた!
普通の親子!普通の家庭!
それは、俺が夢にまで見た光景だった。
外に集まった皆を、楽しそうに指差すリミア。
コトリと、先程、廊下で出会ったコグモ以外の全員が、その様子を見て、目を白黒させている。
「リミアさん。初めから、狂ってるとは思いましたが、とうとう……」
ウサギが、楽しそうにはしゃぐリミアを横目に見つつ、しゃがんで俺に耳打ちしてくる。
「やめろ。やっと子どもらしくなったんだ。これで良いじゃないか。……それと顔が近い」
俺はウサギを髪の糸で押しのけると、ウサギは「うぎゅぅ」と、幸せそうに鳴いた。
マジデキモイ。
「まぁ、ご主人様がそれで良いなら、良いんッスけどね」
姿勢を戻しながら、歯切れの悪い答えを返すウサギ。
まぁ、ドMのウサギからしたら、前の方が良かったのかもしれない。
「良いに決まってるだろ。やっと、甘えてくれるようになったんだから」
俺の言葉に、ウサギは「……そうッスね」と、少し納得いかないご様子。
まぁ、ウサギに納得されなければいけない筋合いなど無いので、別に良いのだが。
「大ムカデ!」
リミアに笑顔で名指しされ「キシッ!」と、鳴いて怯む大ムカデ。
そんな大ムカデに向かって、リミアが走り寄る。
その姿に、大ムカデは怯えつつも、本能から逃げられない。
「スキ!」
大ムカデに抱き着いたリミアが、可愛い声で、そう言った。
事態が把握できず、固まる大ムカデ。
リミアは、そんな大ムカデの胴体に抱き着いたまま「冷たい……」と、気持ち良さそうに頬擦りをしていた。
「キ、キシ……?」
困惑したように、俺達を見回す大ムカデ。
多分、俺ら全員、お前と同じ脳内状況だぞ、大ムカデよ。
「よ、良かったな、大ムカデ。お前なら、俺も安心だ!おめでとう!」
俺は、大ムカデの背中をポン!と、叩く。
「キシキシキシッ!」
勢いよく頭を左右に振る大ムカデ。
「そう言えば、彼女持ち何だっけか。これは修羅場になりそうだな!」
「ハッハッハ!」と、他人事のように笑う俺を、恨めしそうに睨む大ムカデ。
だって、仕方が無いじゃないか。他人事なのだから。
「パパも好き~!」
「うわっと!」
今度は勢い良く俺に抱き着いて来るリミア。
大ムカデが、ざまぁ見ろ、と言いたげな視線で、こちらを見下ろしてきた。
しかし残念だったな大ムカデよ。俺はリミアの父親なのだ。この程度の対応、朝飯前よ!
「そうか、そうか。パパ。嬉しいぞ……」
俺はその場にしゃがみ込むと、笑顔でリミアの頭を撫でつつ、余裕の笑顔で、大ムカデに視線を返した。
「キシッ……」
父親の威厳に、怯む大ムカデ。
どうやら、やっとこいつにも、父親の偉大さが分かったらしい。
「今日は目一杯楽しもうな!」
俺はリミアに視線を戻すと、その小さな体を抱き上げた。
「うん!」
抱え上げられたリミアは、花のような笑顔で返してくる。
そうだよ、俺はこれを望んでいた!
普通の親子!普通の家庭!
それは、俺が夢にまで見た光景だった。
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