115 / 132
おいで。早く、おいで…。
第113話 ソフウィンド of view
しおりを挟む昨日は、ふわっとしてても楽しかったなぁ。
あれは、ある意味『雑談部屋』の新しい正解だったんじゃないかな?
全員が知らない話題なら、ふわっとしたイメージだけで話をしても盛り上がるということ。これで、難しそうな話題が来ても肩ひじ張らずに行けそうだな。
イメージって大事だしなぁ。
イメージってすごく純粋な偏見だから、自分が知っている物のイメージを周りの人から聞いたりすると面白いよね。
ふわっとした感じのまま今日に来ちゃった気がする。
まぁ、こんなふわふわした感じでも、『雑談部屋』なら何とかなるでしょ。
甘々な認識をもって、俺は『雑談部屋』に入っていった。
今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。
”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”
やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな?
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。
”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『風力発電所がある海岸』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『九条様』『矢野様』『五十嵐様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『クリーンコールデー』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”
アナウンスがやんで、光に包まれた。
クリーンコールデーか。
クリーンコールデーかぁ…
厳ついのが来たなぁ。
字面だけなら全く見たことがないし、聞いたこともない。
シチュエーションが”風力発電所がある海岸”だから、多分エネルギー関係の何かか、電気関係の何かだと思う。
久しぶりに、まったく聞いたことがない話題になった。
そういえばそうだった。
まったく聞いたこともないものって、イメージすらできないから、ふわっとした話ってできないんだ。忘れてたぁ。
どうしようかなぁ。
何について話そう。
今日は、さすがにテーマを持って行かないと、確実に放送事故な時間ができてしまう気がする。
でもなぁ、テーマなんて浮かぶ気がしないんだよなぁ。
話題の内容をアナウンスさんに聞くしかないのかなぁ。
雑談が始まってから聞いて、それから頭をフル回転させれば、なんとかなりそうだ。
よし、それで行こう。
というか、それしかない気がする。
まぁ、知らない話題だし、そうなってしまうのもしょうがないよね。
自分の考えもまとまってきたし、いつも通りなら、そろそろ、光が収まるころかと思ったら、光の中でアナウンスが鳴った。
”九条様が、私用で『雑談部屋』から退出しました。
人数が、3人に減少しました。
『雑談部屋』を続行しますか?
投票を行います。
・『雑談部屋』を閉じて、メンバーを解散する。※ペナルティは発生しないものとする。
・3人で『雑談部屋』を続け、3人になったとしても雑談をする。
投票よろしくお願いします。”
俺は、久しぶりのめちゃムズ話題を少しだけでもやりたくなって来たので、後者に投票した。
投票の結果はどうなるんだろう?
再びアナウンスが鳴った。
”処理中
………
処理完了
投票の結果、前者の「『雑談部屋』を閉じて、メンバーを解散する。※ペナルティは発生しないものとする。」が過半数を獲得したため、『雑談部屋』を閉じさせていただきます。
光の中のままで不便かと思いますが、終了のアナウンスが来るまで、今しばらくお待ちください。『雑談部屋』のご利用ありがとうございました。”
どうやら、ふたりは前者を選んだらしい。
確かに、よく分からない、放送事故みたいな展開が容易にできる話題を通常時よりも一人少ない3人でやるのは、無理があったかもしれない。
まぁ、今日の話題なら、『雑談部屋』を閉じることになったけど、まったく文句はない。
あるとすれば、久しぶりに超ハードモードの話題に挑んでみたいとほんの少し思っただけだ。
今までで、一番長く光の中にいる。
さっきのアナウンスから、ゆったりと、しっかりと間を取ってアナウンスが鳴った。
”0分0秒00が経過しました。これから雑談をしようと思っていたと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。
多数決など、しっかりと決め方に納得した方法で、決まったことならば、決まったことに文句を言わず受け入れる人の方が、器が大きく見えます。
何か思うことがあっても、決まったことなのだから仕方がないと受け入れられるようになると、大人に見えます。
そんな度量のある大人になるために、今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”
アナウンスが止んだ。
教室に戻ってきた。
戻ってきちゃったなぁ。
一人落ちちゃったし、あの話題だし、仕方ないかぁ。
ちゃんと雑談したかったなぁ。
だいぶ話し足りない感が強いなぁ。
この気持ちを明日まで大切にとっておいて、明日は、2日分話そう!!!
そうしよう!!
実際そうならなかったとしても、そういう気持ちで頑張れば、今日を頑張れそう。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜
トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦
ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが
突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして
子供の身代わりに車にはねられてしまう
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)

落第錬金術師の工房経営~とりあえず、邪魔するものは爆破します~
みなかみしょう
ファンタジー
錬金術師イルマは最上級の階級である特級錬金術師の試験に落第した。
それも、誰もが受かるはずの『属性判定の試験』に落ちるという形で。
失意の彼女は師匠からすすめられ、地方都市で工房経営をすることに。
目標としていた特級錬金術師への道を断たれ、失意のイルマ。
そんな彼女はふと気づく「もう開き直って好き放題しちゃっていいんじゃない?」
できることに制限があると言っても一級錬金術師の彼女はかなりの腕前。
悪くない生活ができるはず。
むしろ、肩身の狭い研究員生活よりいいかもしれない。
なにより、父も言っていた。
「筋肉と、健康と、錬金術があれば無敵だ」と。
志新たに、生活環境を整えるため、錬金術の仕事を始めるイルマ。
その最中で発覚する彼女の隠れた才能「全属性」。
希少な才能を有していたことを知り、俄然意気込んで仕事を始める。
採取に町からの依頼、魔獣退治。
そして出会う、魔法使いやちょっとアレな人々。
イルマは持ち前の錬金術と新たな力を組み合わせ、着実に評判と実力を高めていく。
これは、一人の少女が錬金術師として、居場所を見つけるまでの物語。
異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】
ちっき
ファンタジー
【書籍化決定しました!】
異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く異世界での日常を全力で楽しむ女子高生の物語。
暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる