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おいで。早く、おいで…。
第108話 エボニと不可解な男
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「お前はあの地下施設から来たと…」
「はい」
現在、僕は街中に建っている、ダルさんの家にお邪魔していた。
「んで、そこにはお前の家族がいて、あの、気色の悪い男がいて…」
「気色が悪いかはさておき、いつも食べ物をくれる男の人がいます」
僕の身の上話を聞きたいと言う、ダルさんと、机を挟んで、今までの会話を整理している所だ。
「んで、あの、凶暴なニョロニョロ野郎と仲良くなろうとしていると」
「だ!か!ら!彼女は凶暴じゃないですし、野郎でもありません!立派な女性です!」
それを聞いたダルさんは、またしても「あぁ~!」と言って、頭を抱える。
「だからな?!地下の男は俺達の命を道具の一つとしか思っていない、冷酷な奴で、あの、ニョロニョロ…娘は、俺達を食って生きている様な奴なんだ!」
「そんなはずない!」
「そうなんだ!」
「……」
両者、机に乗り出し、無言のにらみ合い。
何度繰り返しても、ここより先には話が進まなかった。
「……分かった。そこまで言うなら、確かめてみると良い」
ダルさんが机の上から身を引くと、不機嫌そうに机に肘を立てて、その上に頭を預ける。
「言われなくても、そのつもりさ」
何回話をしても堂々巡り。こちらの話など、否定ばかりで、全く聞く耳も持たない。
僕は、無駄な時間を割いてしまったと、苛立ちを隠せず、席を立つ。
「……まて、誰も出て行って良いなんて言ってないぞ」
扉に手をかけ、外に出ようとする僕の背に、ダルさんが強めの声色で話しかけてくる。
その言葉はまたも、僕の神経を逆なでし、募りに募った、イライラが爆発した。
初めから、妙に馴れ馴れしいとは思っていたが、身の上話をしてからは、必要に突っかかってくる。
「誰も、あんたの承認なんて!」
「…俺も行く」
…え?
……なんだって?
「な、なんで、あんたが付いてくるのさ……」
僕は戸惑いを隠せず、ダルさんの方へ振り返る。
「別に、お前の為じゃねぇ。おめぇさんの家族が、その研究施設に捕まっているって言うなら、助け出さなきゃなんねぇ。そのついでに、あの男の本性も教えてやるよ」
ダルさんは、それだけ言うと、革の衣と物入を身に着け、鋭い棒まで携て、僕の前まで来た。
僕より身長の高いダルさん。その風貌は、今までの軽い雰囲気を全く感じさせない、鋭い物だった。
そんな彼から、高圧的な目線を受けた僕は、少したじろいでしまう。
「……着いてきな」
ダルさんは、そんな僕を気にした風もなく、扉に手をかけ、先に出て行ってしまった。
「……ちょ、ちょっと、待ってくださいよ!」
こちらの声も聞かず、先を行ってしまうダルさん。
僕は竦んだ脚に、力を籠めると、見失わないように、全力で彼を追った。
「はい」
現在、僕は街中に建っている、ダルさんの家にお邪魔していた。
「んで、そこにはお前の家族がいて、あの、気色の悪い男がいて…」
「気色が悪いかはさておき、いつも食べ物をくれる男の人がいます」
僕の身の上話を聞きたいと言う、ダルさんと、机を挟んで、今までの会話を整理している所だ。
「んで、あの、凶暴なニョロニョロ野郎と仲良くなろうとしていると」
「だ!か!ら!彼女は凶暴じゃないですし、野郎でもありません!立派な女性です!」
それを聞いたダルさんは、またしても「あぁ~!」と言って、頭を抱える。
「だからな?!地下の男は俺達の命を道具の一つとしか思っていない、冷酷な奴で、あの、ニョロニョロ…娘は、俺達を食って生きている様な奴なんだ!」
「そんなはずない!」
「そうなんだ!」
「……」
両者、机に乗り出し、無言のにらみ合い。
何度繰り返しても、ここより先には話が進まなかった。
「……分かった。そこまで言うなら、確かめてみると良い」
ダルさんが机の上から身を引くと、不機嫌そうに机に肘を立てて、その上に頭を預ける。
「言われなくても、そのつもりさ」
何回話をしても堂々巡り。こちらの話など、否定ばかりで、全く聞く耳も持たない。
僕は、無駄な時間を割いてしまったと、苛立ちを隠せず、席を立つ。
「……まて、誰も出て行って良いなんて言ってないぞ」
扉に手をかけ、外に出ようとする僕の背に、ダルさんが強めの声色で話しかけてくる。
その言葉はまたも、僕の神経を逆なでし、募りに募った、イライラが爆発した。
初めから、妙に馴れ馴れしいとは思っていたが、身の上話をしてからは、必要に突っかかってくる。
「誰も、あんたの承認なんて!」
「…俺も行く」
…え?
……なんだって?
「な、なんで、あんたが付いてくるのさ……」
僕は戸惑いを隠せず、ダルさんの方へ振り返る。
「別に、お前の為じゃねぇ。おめぇさんの家族が、その研究施設に捕まっているって言うなら、助け出さなきゃなんねぇ。そのついでに、あの男の本性も教えてやるよ」
ダルさんは、それだけ言うと、革の衣と物入を身に着け、鋭い棒まで携て、僕の前まで来た。
僕より身長の高いダルさん。その風貌は、今までの軽い雰囲気を全く感じさせない、鋭い物だった。
そんな彼から、高圧的な目線を受けた僕は、少したじろいでしまう。
「……着いてきな」
ダルさんは、そんな僕を気にした風もなく、扉に手をかけ、先に出て行ってしまった。
「……ちょ、ちょっと、待ってくださいよ!」
こちらの声も聞かず、先を行ってしまうダルさん。
僕は竦んだ脚に、力を籠めると、見失わないように、全力で彼を追った。
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