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むかえに来たよ。
第80話 メグルと譲れない想い
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姉さんなんて嫌いだ!
シバの苦しみを知っておきながら見て見ぬ振りを続けていたくせに!
助けてくれなかった母さんも嫌いだ!
母さんだけは何があっても、僕の味方だと思っていたのに!
「クゥン…」
腕の中で、シバが弱々しく鳴いた。
「待っててね!あの子に頼んで新しい体を作ってもらうから!」
そう、あの子なら何でもできる。
シバを生き返らせてくれたのも、シバの過去を教えてくれたのも、全部、彼女だ。
体だって、簡単に作ってくれるだろう。
そうだ、そうだよ。
もう、あの体もボロボロだった。
彼女にかかれば新しい体なんて、きっと一瞬で出来上がる。
今回、体が駄目になったのは丁度良い機会だったのだ。
そう考えると、姉さん達を許せるような気持になってくる。
「…良かった」
無意識に、そんな言葉が口から零れた。
…一体、何が良かったのだろう。
あぁ、シバの体がどうにかなる事か。
シバが僕の掌を舐める。
僕は安心させるように笑顔を作った。
彼女は神出鬼没だが、シバがここにいるという事は、近くにいるはずだ。
「お~い!出てきて!僕だよ!メグルだよ!」
僕の叫び声が森に木霊する。
彼女は出てきてくれるだろうか。
「待ちなさい!メグル!」
聞こえてきたのは母さんの声。
如何やら、僕の後を追ってきたらしい。
僕はその事に一瞬嬉しくなる。
しかし、母さんが庇ってくれなかった事を思い出し、直ぐに頬を膨らませた。
「母さんなんて嫌いだ!あっちいけ!」
僕は大声で母さんを威嚇する。
しかし、母さんが歩みを止める事は無かった。
どうして?!いつもなら言う事を聞いてくれるのに!
姉さんと一緒で、僕を無視するの?!
姉さんと一緒で、シバを殺そうとするの?!
姉さんと一緒で…。僕を捨てるの?
「来るなぁ!」
母さんは姉さんと一緒じゃない。
だから言う事を聞いて!
僕を捨てないで!
それでも、母さんは僕の声を無視して、こちら向かってくる。
…あぁ、そうか。母さんも僕の事嫌いになっちゃったんだ。
そう考えると、体から力が抜けてしまった。
理由なんて、どうでも良い。
唯々ショックだった。
「危ないわよ。メグル」
倒れ込みそうになった僕を小さな手が支えてくれる。
振り返れば、そこには黒い彼女がいた。
やっぱり、来てくれたんだ…。
彼女は僕に残った最後の味方だった。
「何を迷っているの?」
彼女は僕の背後で、囁くように言葉を紡ぐ。
「シバを救えるのは貴方だけなのよ?それとも、この人たちがシバにしてきた事。忘れちゃった?」
そうだ、彼女の言う通りだ。
シバはずっと一人で辛い思いをしてきた。
そして、母さんたちはずっと、見て見ぬ振りを続けてきた。
もっと早くに手を差し伸べていれば、こうはならなかったかもしれないのに。
確かに、理由はあるのかもしれない。
それでも、母さんたちは結局、シバを見捨てたのだ。
シバの辛さを、苦しみを分かってあげられるのは僕だけ。
だから僕が救わなくちゃいけないんだ!
僕は自分の力で地面を踏みしめる。
「クゥ~ン」
弱々しく、鳴き声を上げるシバ。
「大丈夫だよ、シバ。僕が絶対守るから…」
もう、目を開ける事もできないシバの頭を優しく撫でた。
「そうよ、メグル。あの女にシバの頭まで取られたら、流石の私でも蘇生できなくなる。今、シバを守れるのは貴方だけなの…」
彼女が悲しそうに言う。
「もう、シバも限界だわ。ここで、蘇生術をやらせて」
そういう彼女にシバの頭を受け渡す。
シバはもう、虫の息だった。
「絶対にシバは渡さない!」
僕はそう叫ぶと、母さんを睨む。
それでも母さんは歩みを止めなかった。
僕も引く気はない。
初めての親子喧嘩だった。
シバの苦しみを知っておきながら見て見ぬ振りを続けていたくせに!
助けてくれなかった母さんも嫌いだ!
母さんだけは何があっても、僕の味方だと思っていたのに!
「クゥン…」
腕の中で、シバが弱々しく鳴いた。
「待っててね!あの子に頼んで新しい体を作ってもらうから!」
そう、あの子なら何でもできる。
シバを生き返らせてくれたのも、シバの過去を教えてくれたのも、全部、彼女だ。
体だって、簡単に作ってくれるだろう。
そうだ、そうだよ。
もう、あの体もボロボロだった。
彼女にかかれば新しい体なんて、きっと一瞬で出来上がる。
今回、体が駄目になったのは丁度良い機会だったのだ。
そう考えると、姉さん達を許せるような気持になってくる。
「…良かった」
無意識に、そんな言葉が口から零れた。
…一体、何が良かったのだろう。
あぁ、シバの体がどうにかなる事か。
シバが僕の掌を舐める。
僕は安心させるように笑顔を作った。
彼女は神出鬼没だが、シバがここにいるという事は、近くにいるはずだ。
「お~い!出てきて!僕だよ!メグルだよ!」
僕の叫び声が森に木霊する。
彼女は出てきてくれるだろうか。
「待ちなさい!メグル!」
聞こえてきたのは母さんの声。
如何やら、僕の後を追ってきたらしい。
僕はその事に一瞬嬉しくなる。
しかし、母さんが庇ってくれなかった事を思い出し、直ぐに頬を膨らませた。
「母さんなんて嫌いだ!あっちいけ!」
僕は大声で母さんを威嚇する。
しかし、母さんが歩みを止める事は無かった。
どうして?!いつもなら言う事を聞いてくれるのに!
姉さんと一緒で、僕を無視するの?!
姉さんと一緒で、シバを殺そうとするの?!
姉さんと一緒で…。僕を捨てるの?
「来るなぁ!」
母さんは姉さんと一緒じゃない。
だから言う事を聞いて!
僕を捨てないで!
それでも、母さんは僕の声を無視して、こちら向かってくる。
…あぁ、そうか。母さんも僕の事嫌いになっちゃったんだ。
そう考えると、体から力が抜けてしまった。
理由なんて、どうでも良い。
唯々ショックだった。
「危ないわよ。メグル」
倒れ込みそうになった僕を小さな手が支えてくれる。
振り返れば、そこには黒い彼女がいた。
やっぱり、来てくれたんだ…。
彼女は僕に残った最後の味方だった。
「何を迷っているの?」
彼女は僕の背後で、囁くように言葉を紡ぐ。
「シバを救えるのは貴方だけなのよ?それとも、この人たちがシバにしてきた事。忘れちゃった?」
そうだ、彼女の言う通りだ。
シバはずっと一人で辛い思いをしてきた。
そして、母さんたちはずっと、見て見ぬ振りを続けてきた。
もっと早くに手を差し伸べていれば、こうはならなかったかもしれないのに。
確かに、理由はあるのかもしれない。
それでも、母さんたちは結局、シバを見捨てたのだ。
シバの辛さを、苦しみを分かってあげられるのは僕だけ。
だから僕が救わなくちゃいけないんだ!
僕は自分の力で地面を踏みしめる。
「クゥ~ン」
弱々しく、鳴き声を上げるシバ。
「大丈夫だよ、シバ。僕が絶対守るから…」
もう、目を開ける事もできないシバの頭を優しく撫でた。
「そうよ、メグル。あの女にシバの頭まで取られたら、流石の私でも蘇生できなくなる。今、シバを守れるのは貴方だけなの…」
彼女が悲しそうに言う。
「もう、シバも限界だわ。ここで、蘇生術をやらせて」
そういう彼女にシバの頭を受け渡す。
シバはもう、虫の息だった。
「絶対にシバは渡さない!」
僕はそう叫ぶと、母さんを睨む。
それでも母さんは歩みを止めなかった。
僕も引く気はない。
初めての親子喧嘩だった。
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