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ダメ!それは私の!
第66話 リリーと新しい朝
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私は彼が戻ってきた時、心底ほっとした。
もう帰ってこないと思っていたからだ。
そう思いながらもあの時、私は彼を送り出した。
あのまま私が縋っていれば彼はここを離れる事は無かっただろう。
何故、私は彼を送り出したのだろうか。
その答えは未だに見つからない。
彼のボロボロになった背中。
そこにはコランさんが乗っていて、安らかな寝息をついていた。
彼も、彼女も泣き腫らしたような顔をしている。
それでも、その顔は晴れやかだった。
私はきっとこの顔を見る為に彼を送り出したのだろう。
こんな事を言ってはいけないのだろうが、正直コランさんの事は完全に頭に無かった。
彼が無事ならそれで良いと思っていた。
それでも、あそこで送り出さなければ、彼はずっと悲しい顔をしていただろう。
私にとって彼は大切だ。
彼を大切にする私よりも、彼が大切なのだ。
彼の心を守るにはこうするのが正解だったのだろう。
でも、次は放したくない。
せめて傍で力になりたい。
私は強くそう思った。
待っている時間がどれだけ苦痛だったことか。
彼を送り出したのは間違いだったかもしれないと、何度、悩んだことか。
あんな思いは二度とごめんだった。
「んんん…」
カーネちゃんが彼の背中で蠢く。
その様子を見た彼と私は、一瞬目を合わせると、笑い合った。
今日も私は生きている。
みんな死んじゃったけど…。
それでも私たちは生きているのだ。
「もっと甘えて良いんだぞ」
お姉ちゃんが言っていた。
「強く生きろ」
父さんが言っていた。
多分、どっちも正解なのだろう。
でも今必要なのは強くなる事だ。
そうしないと、生き残れない。
守りたいものを守れない。
私は灰になった村に手を合わせた。
皆の分まで生きなきゃ。等とは思わない。
皆の人生はそれぞれ自分のもので、私が代わりに生きる事などできないのだ。
だから私は私の為に生きる。
私のしたいように、のびのびと生きるのだ。
誰かの顔色を窺うのは、もう御仕舞い。
誰かのために生きるなんてこともしない。
こんな我儘に育ってしまった私だけど、今まで育ててくれて
「ありがと」
それと、皆の思い出ともここでお別れだ。だから
「さようなら」
大好きだよ。お姉ちゃん。お父さん。
あの世があるなら、また逢うその日まで。
私は目を開けると、メグルさんのいる方へと振り向いた。
「もういいの?」
メグルさんが聞いてくる。
「もういいの」
私はそう答えると、メグルさんの腕に抱き着いた。
もう、振り返る事はしない。
私達はこれから何処に向かうのだろう。
どんな風になって行くのだろう。
ちゃんと、守りたいものを守れるように、強くなっているだろうか。
「どうしたの?リリー」
彼が振り返り、遠くを見つめる私を心配そうに見つめる。
「ううん!なんでもない!」
私は彼を、彼だけは離さないように、その腕をギュッと握る。
灰になった村を背に、地平線の彼方には新しい日の光が溢れ出していた。
もう帰ってこないと思っていたからだ。
そう思いながらもあの時、私は彼を送り出した。
あのまま私が縋っていれば彼はここを離れる事は無かっただろう。
何故、私は彼を送り出したのだろうか。
その答えは未だに見つからない。
彼のボロボロになった背中。
そこにはコランさんが乗っていて、安らかな寝息をついていた。
彼も、彼女も泣き腫らしたような顔をしている。
それでも、その顔は晴れやかだった。
私はきっとこの顔を見る為に彼を送り出したのだろう。
こんな事を言ってはいけないのだろうが、正直コランさんの事は完全に頭に無かった。
彼が無事ならそれで良いと思っていた。
それでも、あそこで送り出さなければ、彼はずっと悲しい顔をしていただろう。
私にとって彼は大切だ。
彼を大切にする私よりも、彼が大切なのだ。
彼の心を守るにはこうするのが正解だったのだろう。
でも、次は放したくない。
せめて傍で力になりたい。
私は強くそう思った。
待っている時間がどれだけ苦痛だったことか。
彼を送り出したのは間違いだったかもしれないと、何度、悩んだことか。
あんな思いは二度とごめんだった。
「んんん…」
カーネちゃんが彼の背中で蠢く。
その様子を見た彼と私は、一瞬目を合わせると、笑い合った。
今日も私は生きている。
みんな死んじゃったけど…。
それでも私たちは生きているのだ。
「もっと甘えて良いんだぞ」
お姉ちゃんが言っていた。
「強く生きろ」
父さんが言っていた。
多分、どっちも正解なのだろう。
でも今必要なのは強くなる事だ。
そうしないと、生き残れない。
守りたいものを守れない。
私は灰になった村に手を合わせた。
皆の分まで生きなきゃ。等とは思わない。
皆の人生はそれぞれ自分のもので、私が代わりに生きる事などできないのだ。
だから私は私の為に生きる。
私のしたいように、のびのびと生きるのだ。
誰かの顔色を窺うのは、もう御仕舞い。
誰かのために生きるなんてこともしない。
こんな我儘に育ってしまった私だけど、今まで育ててくれて
「ありがと」
それと、皆の思い出ともここでお別れだ。だから
「さようなら」
大好きだよ。お姉ちゃん。お父さん。
あの世があるなら、また逢うその日まで。
私は目を開けると、メグルさんのいる方へと振り向いた。
「もういいの?」
メグルさんが聞いてくる。
「もういいの」
私はそう答えると、メグルさんの腕に抱き着いた。
もう、振り返る事はしない。
私達はこれから何処に向かうのだろう。
どんな風になって行くのだろう。
ちゃんと、守りたいものを守れるように、強くなっているだろうか。
「どうしたの?リリー」
彼が振り返り、遠くを見つめる私を心配そうに見つめる。
「ううん!なんでもない!」
私は彼を、彼だけは離さないように、その腕をギュッと握る。
灰になった村を背に、地平線の彼方には新しい日の光が溢れ出していた。
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