65 / 132
ダメ!それは私の!
第64話 メグルとじゃれ合い
しおりを挟む
「シバっ!どうして!」
僕は薙刀を振るい、シバに飛び掛かった。
シバなら避けられる単調な斬撃だ。
当然ながら、シバは身を躱す。
「何とか言ってよ!…じゃないと僕は!…僕は!」
薙刀の先端をシバへと向ける。
その手は酷く震えていたが、柄を取りこぼす事だけは絶対にしなかった。
それをしたら、逃げたのと一緒だ。
僕はシバと向き合わなければならない。
親友として、兄弟として、家族として。
その気持ちはシバも一緒だと、心の底から信じている。
だから今は向き合わなければ!
僕は真っすぐにシバの瞳を見据える。
シバはそれに答えるように、真正面から飛び掛かってきた。
それを薙刀で薙いで、叩き落すこともできた。
しかし、僕は敢えて、その攻撃を受ける。薙刀を盾代わりに使って。
シバは驚いたような顔をしていた。
まさか僕が攻撃を真正面から受けるとは思わなかったからだろう。
しかし、一度宙に浮いてしまったシバの体は、もう、僕の上に着地する他、道がなかった。
当然、僕の体では、飛び掛かってきたシバを受け止めきる事は出来ない。
僕は地面に押し倒されるが、シバの爪は辛うじて柄で受け、無傷だった。
「どうしたの、シバ?ほら、終わりにしなよ」
僕は今、シバに覆いかぶさられている。
爪を止めるために両腕で薙刀の柄を持っている為、頭はノーガードだった。
その気になればいつでもシバは僕の頭を噛みつぶせるのである。
しかし、僕の挑発的な笑みに、シバは苦虫を噛みつぶしたような顔をするばかりで、一向に動かなかった。
「いつまでもそんな事しているとっ!」
僕は足を動かし、的確な角度で爆発を起こす。
シバと僕は爆破に巻き込まれ、宙を舞う。
そして、僕は勢いそのまま、シバの上に飛び乗った。
「ほら、逆転されちゃった」
もがくシバを柄で押さえつけると、すぐに形勢は逆転した。
「ほぉ~ら。シバちゃん。脇はくすぐったいですか?」
僕はシバの脇を足でくすぐる。
特に意味はない、強いて言うなら僕の上に飛び乗った仕返しだ。
…いつものようなじゃれ合いだ。
だから…。戻ろう?シバ。
「グァウ!」
シバも負けじと、土を操り、地面から僕に向かって棒を突き出してきた。
先を尖らせて、僕の死角から撃てば良い物を。
「おっと、危ない」
僕は潔くシバの上から退く。
シバもその隙に立ち上がった。
さっきだって、今だって。
今この瞬間だって、シバは僕を殺せる。
なんだかんだ言ってシバは僕に甘い。
結局、僕を殺せやしないのだ。
それは僕も同じだが、僕はシバが引くまで何度でも食らいつく。
初めからシバに勝ち目など無いのだ。
そう、これはいつも通りの、じゃれ合い。
いつものように、本気で楽しもうじゃないか。
「ほら、かかってきなよ。まだ喧嘩は終わってないでしょ?」
まぁ、ずっと僕のターンだけどね。
僕はニヤッリと笑うと、再び薙刀を構える。
二人の間にだけは、いつも通りの時間が流れていた。
僕は薙刀を振るい、シバに飛び掛かった。
シバなら避けられる単調な斬撃だ。
当然ながら、シバは身を躱す。
「何とか言ってよ!…じゃないと僕は!…僕は!」
薙刀の先端をシバへと向ける。
その手は酷く震えていたが、柄を取りこぼす事だけは絶対にしなかった。
それをしたら、逃げたのと一緒だ。
僕はシバと向き合わなければならない。
親友として、兄弟として、家族として。
その気持ちはシバも一緒だと、心の底から信じている。
だから今は向き合わなければ!
僕は真っすぐにシバの瞳を見据える。
シバはそれに答えるように、真正面から飛び掛かってきた。
それを薙刀で薙いで、叩き落すこともできた。
しかし、僕は敢えて、その攻撃を受ける。薙刀を盾代わりに使って。
シバは驚いたような顔をしていた。
まさか僕が攻撃を真正面から受けるとは思わなかったからだろう。
しかし、一度宙に浮いてしまったシバの体は、もう、僕の上に着地する他、道がなかった。
当然、僕の体では、飛び掛かってきたシバを受け止めきる事は出来ない。
僕は地面に押し倒されるが、シバの爪は辛うじて柄で受け、無傷だった。
「どうしたの、シバ?ほら、終わりにしなよ」
僕は今、シバに覆いかぶさられている。
爪を止めるために両腕で薙刀の柄を持っている為、頭はノーガードだった。
その気になればいつでもシバは僕の頭を噛みつぶせるのである。
しかし、僕の挑発的な笑みに、シバは苦虫を噛みつぶしたような顔をするばかりで、一向に動かなかった。
「いつまでもそんな事しているとっ!」
僕は足を動かし、的確な角度で爆発を起こす。
シバと僕は爆破に巻き込まれ、宙を舞う。
そして、僕は勢いそのまま、シバの上に飛び乗った。
「ほら、逆転されちゃった」
もがくシバを柄で押さえつけると、すぐに形勢は逆転した。
「ほぉ~ら。シバちゃん。脇はくすぐったいですか?」
僕はシバの脇を足でくすぐる。
特に意味はない、強いて言うなら僕の上に飛び乗った仕返しだ。
…いつものようなじゃれ合いだ。
だから…。戻ろう?シバ。
「グァウ!」
シバも負けじと、土を操り、地面から僕に向かって棒を突き出してきた。
先を尖らせて、僕の死角から撃てば良い物を。
「おっと、危ない」
僕は潔くシバの上から退く。
シバもその隙に立ち上がった。
さっきだって、今だって。
今この瞬間だって、シバは僕を殺せる。
なんだかんだ言ってシバは僕に甘い。
結局、僕を殺せやしないのだ。
それは僕も同じだが、僕はシバが引くまで何度でも食らいつく。
初めからシバに勝ち目など無いのだ。
そう、これはいつも通りの、じゃれ合い。
いつものように、本気で楽しもうじゃないか。
「ほら、かかってきなよ。まだ喧嘩は終わってないでしょ?」
まぁ、ずっと僕のターンだけどね。
僕はニヤッリと笑うと、再び薙刀を構える。
二人の間にだけは、いつも通りの時間が流れていた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
弱小デイトレーダーが異世界に来たら、いきなりチート投資家になったのです。
comsick
ファンタジー
フルダイブ型VR✕異世界転生✕お仕事・ビジネス系=全乗っけ型小説。
★電脳空間に飛び込んだ弱小デイトレーダーによる、現在ファンタジー
★企業分析が得意なエルフ。
★ハイファンタジー?剣と魔法?株式投資?マネタイズ?
★幻想的な世界観と、ただのリアル。
投資のことを全く知らなくても楽しめます。でもって、ちょっとだけ投資の勉強にもなったりします。。。

異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)

俺の幼馴染みが悪役令嬢なはずないんだが
ムギ。
ファンタジー
悪役令嬢?
なにそれ。
乙女ゲーム?
知らない。
そんな元社会人ゲーマー転生者が、空気読まずに悪役令嬢にベタぼれして、婚約破棄された悪役令嬢に求婚して、乙女ゲーム展開とは全く関係なく悪役令嬢と結婚して幸せになる予定です。
一部に流血描写、微グロあり。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。

悪役転生の後日談~破滅ルートを回避したのに、何故か平穏が訪れません~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
ある日、王太子であるアルス-アスカロンは記憶を取り戻す。
それは自分がゲームのキャラクターである悪役だということに。
気づいた時にはすでに物語は進行していたので、慌てて回避ルートを目指す。
そして、無事に回避できて望み通りに追放されたが……そこは山賊が跋扈する予想以上に荒れ果てた土地だった。
このままではスローライフができないと思い、アルスは己の平穏(スローライフ)を邪魔する者を排除するのだった。
これは自分が好き勝手にやってたら、いつの間か周りに勘違いされて信者を増やしてしまう男の物語である。

転生した愛し子は幸せを知る
ひつ
ファンタジー
【連載再開】
長らくお待たせしました!休載状態でしたが今月より復帰できそうです(手術後でまだリハビリ中のため不定期になります)。これからもどうぞ宜しくお願いします(^^)
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
宮月 華(みやつき はな) は死んだ。華は死に間際に「誰でもいいから私を愛して欲しかったな…」と願った。
次の瞬間、華は白い空間に!!すると、目の前に男の人(?)が現れ、「新たな世界で愛される幸せを知って欲しい!」と新たな名を貰い、過保護な神(パパ)にスキルやアイテムを貰って旅立つことに!
転生した女の子が周りから愛され、幸せになるお話です。
結構ご都合主義です。作者は語彙力ないです。
第13回ファンタジー大賞 176位
第14回ファンタジー大賞 76位
第15回ファンタジー大賞 70位
ありがとうございます(●´ω`●)

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる