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まだなの?
第28話 セッタと家族
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…メグルの母さん大好き病が悪化した。
初めて夜の散歩に連れて行った後にも酷くなった事があった。
しかし、それよりも母さんの過保護に磨きがかかった為、それほど気にならなかったのだ。
現在メグルは母さんの膝の上で楽しそうに話をしている。
それ自体はいつも通りの光景なのだが、今回はメグル自ら母さんに甘えに行ったのだ。
今までは母さんから近寄るばかりでメグルから行くことはなかった。
飽く迄メグルは受け入れるだけだったのである。
それだけではない、メグルが家族みんなに自らにスキンシップをとるようになってきたのだ。
今までの他人行儀な雰囲気は薄れ、私にもちょっかいを出してきたりする。
そのくせ、毎回怒られないか心配そうにこちらを見つめる目は…とても可愛い。
メグルの変化にハウンドとレトは戸惑っているようだが、他の者にはおおむね好評だった。
いつもツンツンしているステリアもメグルの前では陥落したらしい。
この前、機嫌がよさそうなステリアに、甘噛みをされながら、楽しそうに転げまわるメグルを見たときは大層驚いたものである。
大層驚いたと言えば、シバの事だ。
実はメグルと前から仲が良かったらしく、甘えるメグルに対して慣れたように接していた。
たまに昼間シバの匂いをつけて帰ってくるメグルの事は知っていたが、そんなに仲が良かったとは…。姉として負けた気分である。
「はい。あーんして」
母さんが匙で木の実のスープをメグルの口に運んでいる。
「そ、それは流石に恥ずかしいよ!…か、かぁ…」
頬を赤く染め、言葉をのどに詰まらせたように小さな声で呟くメグル。
「何々?よく聞こえないわ。もっと大きな声で言ってくれないと、スープ全部食べさせてあげちゃうわよ?」
母さんがメグルをいじって遊んでいる。
メグルは村から帰ってきたあの日から母さんを”マロウさん”ではなく”母さん”と呼ぶようになったのだ。
最初に聞いたときは聞き間違いかと思った。
当の母さんがきょとんとした顔でメグルを見つめていたのだから、皆の驚きはそれ以上だっただろう。
そして静まり返った空間で、顔を真っ赤にしたメグルが二度目の「母さん」を口に出した時、母さんはメグルを抱きしめて泣きながら喜んだ。
…私も少し胸がキュンとした。
コッカーとビーグは鈍感というか、興味がないというか…。
相変わらずだが、メグルが一緒に遊んでくれるようになり、その変化には喜んでいるようだった。
そんなみんなの人気者だが、夜には魔法使いに大変身。
私抜きで戦うと兄弟たち全員でもてこずる大喰らいを一人で倒してしまえるのだから、その戦闘力は私と並んで兄弟一、二を争うだろう。
そして何より皆を惹きつけて止まないのが、メグルの上質な魔力を練って作られる肉団子。
あれを独り占めしているとばれたとき、皆のからの重圧が途轍もなかった。
正直、兄弟から獣に戻った気分で、いつ寝首をかかれるかドキドキしていた。
昼間のメグルもどんどんと進化している。
人間の料理は次々と種類が増えていき、味にもこだわっているようだった。
家の中も地面がむき出しの洞窟から、木の板が張られた家へと変貌している。
家具も今までの倍以上に増えており、母さんが作った傑作達は母さん自らの手によって、メグルが寝ている間に葬り去られた。
メグルは母さんの作ったものが好きらしいが、母さんが恥ずかしがって壊してしまうのである。
全て今までになかった刺激だ。
確かにメグルが来る前もみんな楽しくはやっていた。
しかしこうも生き生きとした雰囲気はなかっただろう。
今日も私たちは楽しく生きている。
今ならこの世を去っていった兄弟たちに胸を張って言えるだろう。
「…どうしたの姉さん?」
いつの間にかそばに来ていたメグルは心配そうに私の顔を覗き込んだ。
愛い奴め!
私が彼の顔を舐めると、くすぐったそうに笑った後、嬉しそうに逃げて行った。
皆、私は今日も幸せだぞ。
私は腰を上げるとゆっくりとメグルの後を追って歩き出した。
初めて夜の散歩に連れて行った後にも酷くなった事があった。
しかし、それよりも母さんの過保護に磨きがかかった為、それほど気にならなかったのだ。
現在メグルは母さんの膝の上で楽しそうに話をしている。
それ自体はいつも通りの光景なのだが、今回はメグル自ら母さんに甘えに行ったのだ。
今までは母さんから近寄るばかりでメグルから行くことはなかった。
飽く迄メグルは受け入れるだけだったのである。
それだけではない、メグルが家族みんなに自らにスキンシップをとるようになってきたのだ。
今までの他人行儀な雰囲気は薄れ、私にもちょっかいを出してきたりする。
そのくせ、毎回怒られないか心配そうにこちらを見つめる目は…とても可愛い。
メグルの変化にハウンドとレトは戸惑っているようだが、他の者にはおおむね好評だった。
いつもツンツンしているステリアもメグルの前では陥落したらしい。
この前、機嫌がよさそうなステリアに、甘噛みをされながら、楽しそうに転げまわるメグルを見たときは大層驚いたものである。
大層驚いたと言えば、シバの事だ。
実はメグルと前から仲が良かったらしく、甘えるメグルに対して慣れたように接していた。
たまに昼間シバの匂いをつけて帰ってくるメグルの事は知っていたが、そんなに仲が良かったとは…。姉として負けた気分である。
「はい。あーんして」
母さんが匙で木の実のスープをメグルの口に運んでいる。
「そ、それは流石に恥ずかしいよ!…か、かぁ…」
頬を赤く染め、言葉をのどに詰まらせたように小さな声で呟くメグル。
「何々?よく聞こえないわ。もっと大きな声で言ってくれないと、スープ全部食べさせてあげちゃうわよ?」
母さんがメグルをいじって遊んでいる。
メグルは村から帰ってきたあの日から母さんを”マロウさん”ではなく”母さん”と呼ぶようになったのだ。
最初に聞いたときは聞き間違いかと思った。
当の母さんがきょとんとした顔でメグルを見つめていたのだから、皆の驚きはそれ以上だっただろう。
そして静まり返った空間で、顔を真っ赤にしたメグルが二度目の「母さん」を口に出した時、母さんはメグルを抱きしめて泣きながら喜んだ。
…私も少し胸がキュンとした。
コッカーとビーグは鈍感というか、興味がないというか…。
相変わらずだが、メグルが一緒に遊んでくれるようになり、その変化には喜んでいるようだった。
そんなみんなの人気者だが、夜には魔法使いに大変身。
私抜きで戦うと兄弟たち全員でもてこずる大喰らいを一人で倒してしまえるのだから、その戦闘力は私と並んで兄弟一、二を争うだろう。
そして何より皆を惹きつけて止まないのが、メグルの上質な魔力を練って作られる肉団子。
あれを独り占めしているとばれたとき、皆のからの重圧が途轍もなかった。
正直、兄弟から獣に戻った気分で、いつ寝首をかかれるかドキドキしていた。
昼間のメグルもどんどんと進化している。
人間の料理は次々と種類が増えていき、味にもこだわっているようだった。
家の中も地面がむき出しの洞窟から、木の板が張られた家へと変貌している。
家具も今までの倍以上に増えており、母さんが作った傑作達は母さん自らの手によって、メグルが寝ている間に葬り去られた。
メグルは母さんの作ったものが好きらしいが、母さんが恥ずかしがって壊してしまうのである。
全て今までになかった刺激だ。
確かにメグルが来る前もみんな楽しくはやっていた。
しかしこうも生き生きとした雰囲気はなかっただろう。
今日も私たちは楽しく生きている。
今ならこの世を去っていった兄弟たちに胸を張って言えるだろう。
「…どうしたの姉さん?」
いつの間にかそばに来ていたメグルは心配そうに私の顔を覗き込んだ。
愛い奴め!
私が彼の顔を舐めると、くすぐったそうに笑った後、嬉しそうに逃げて行った。
皆、私は今日も幸せだぞ。
私は腰を上げるとゆっくりとメグルの後を追って歩き出した。
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