24 / 61
ナルさんの兄弟
しおりを挟む
とは言え、私に伝言用の使令かいないのはとても不便。で、どうしたかと言えば、ナルさんを借りる事になった。
使令を使うにあたり使われる魔力はナルさんのを使い、ナルさんが使令として使いやすく育てた、1番可愛いのを強奪。ザ、ジャイアニズム。
しかし、ナルさん当人は「私の魔力が主人の身体に注がれるなんて」となんか悦んでるし、「ナルニッサは僕より下だから、まぁいいか。連絡用のが無いと、毎回僕がカリンから離れなきゃだもんね」と影で同居するアンズもヤレヤレ顔だけど満更でも無い感じ。
ナルさんの魔力が私の身体に注がれるんじゃなくて、影に潜ませるんだけどな。
更に、チュンチュンぬいぐるみにはリオネット様が新しく開発した魔具が埋め込まれていて、必要時のみ形代として具現化する優れ物だった。城に戻ったら、アンズの小狐のにも同じ細工をしてもらえるらしく、非常に喜ばしい。今まで武器を服にしまうのと同じ様にぬいぐるみを拾ってしまって、また出してってやってたので、落とすのでは無いかと結構気を遣っていたのです。
リオネット様は実は凄い人なのかも知れない。知ってたけど。
そんな訳で、手ぶらで帰ってきた割に大森林に大人数で出かけて行ったのもあり、帰るとお昼を過ぎていた。
なのに、サンダーランドのお城に戻ると、慌ただしく騎士の正装の服に着替えさせられて、訳もわからないまま広間に案内される。アンズの背中で召し上がれと、帰りにリオネット様からサンドイッチか配られたのはこのせいか。
広間にはナルさんよりひと回り半は年上の厳つい男性がいて、こちら側にはリオネット様とアッサム様、それとナルさん、私。
髪色がナルさんと同じだから、サンダーランドの家の人だろうか。それにしてはナルさんとは顔の作りの系統がだいぶ違うように思う。
「ナギア殿、こちらが新たにマンチェスターに迎えた弟のカリンです」
「お初にお目にかかります。カリン・マンチェスターです」
「ナギア・サンダーランドだ。ナルニッサの主人になられたと聞いている。弟が世話になる」
「お兄様でいらっしゃいましたか。ナルニッサ殿にはこちらがお世話になっています」
するんと敬称に殿が出た。私の中で何かが上手く調節されている様な感覚。これは加護のおかげか、忠誠のなんちゃらのおかげか。
「カリン、ナギア殿はサンダーランド公のご長男です。これから魔王討伐に際した事柄で領地を不在にする間、我が領の管理をお願いしてあります」
「正しくはナルニッサが受けた仕事をナルニッサの代理として俺がさせてもらう。ナルニッサは敬愛するご主人様とひとときも離れたく無いそうでな」
「え?そうなの?ナルさん?」
お仕事はお兄さんに丸投げしたのですか。ナルさんは苦笑して顔を振った。
「語弊があります。我が君のお側に侍る事は望みでもありますが、そもそも選定があれば兄上達に我が役割は移ることになっておりました」
「代理だ。代理。継承順位は変わらん。他の兄弟もそのつもりだ」
「ナルさん、ご兄弟いらっしゃったんだね」
「12人、兄がおります」
兄が12人……。
「そのうち3人からは見えてないとか無い?」
「いえ、その様な事はありませんが?」
「カリン、サンダーランドのご兄弟は皆仲が良いので安心してください。継承順位も能力の強い者がなるべしと一致されていますよ」
今度はリオネット様は苦笑して説明をしてくれた。魔王討伐やその準備のため、マンチェスターの領地の仕事はナギア殿に、王都での仕事と魔法の最高顧問の儀式などの役割は王都のサンダーランド妃と次男のナナミ殿にお預けするらしい。
諸侯が治める各領地には土地に浄化装置が設置され、更に人々には隈なく浄化の加護が二重に施されており、以前より仕事が減ったので、とリオネット様は言った。浄化装置に国民全員に浄化の加護?規模でかすぎです。
「それ、リオネット様がなさったんですか?凄いですね」
「カリンに褒められると嬉しいですね。装置の開発は時間がかかりましたが、民に広く特定の呪文を刷り込ませるのが少し厄介だった程度で、それ程難しくは無かったですよ」
「どうやってなさったんですか?」
「少しゴジップの流行を作り、そのグッズや小説に組み込みました」
我らの個人情報のアレか。
「……、お金の面での対策かと思っていました」
「流石カリン。それもあります。あちらの世界の手法を手本にして、マンチェスターの新たなる産業にも活かしましたよ。おかげさまで我が領地はサブカル文化の発信地として栄えております」
手広過ぎます。リオネットお兄様。ともかく、義兄達とナルさんはこれで心置きなく好きな事ができると言う訳だ。
「今後のご予定は?武者修行に行くとは聞いているが」
ナギア様は気安く話を続けた。
「ええ、少し良い使令を探しに西と東の森辺りをと思っております。森の獣達の怨嗟の汚染状況も確認し、魔王の力の様子も見ておきたいですので」
ふっとリオネット様が私に微笑む。リオネット様……、まさか私のお兄様捜索のために?
「……あっちの地方の流行度も確認しに行くんだろ。サブカルとやらの」
アッサム様が口を挟んで、感謝の念は秒で消え去る。ええ、そんな事だろうと思ってましたとも。
「さて、サンダーランド当主の代理の代理として、次期当主のナルニッサの主人に内々の話があるのだが、構わないだろうか?」
「兄上?」
「あ、はい。大丈夫です」
すっと私の前に出たナルさんの腰辺りを掴んで、よいしょと横に置き直す。私が触れるとナルさんの体の抵抗がほぼゼロになるので、意外とヒョイと動かせる。続いて、そのままくるりと回してドアに向けて、軽く背中を押してあげる。
「外で待っててね?」
「……御意」
バイバイと手をナルさんを振って見送ると、アッサム様やリオネット様も異論は無いらしく、一緒に外に出て行った。
「ふむ、流石ですな。主人というものは」
「あはは」
なんと言って良いか判りません。
「さて。貴殿に我らの一族より願いがある。我らの一族についてはご存知か?」
「えっと能力が高くて、主人を選定されたり索冥を受け継いだりされてるのですのね?それからサンダーランドは前サンダーランドの領主様より譲り受けたと」
「ああ、違いない。ただ、主人の選定や索冥殿との契りは始祖の血の濃い者にしか現れない。ナルニッサの前は100年ほど前に1人、その前は幾人か現れていた」
「100年も前ですか?」
「血は薄まっている。索冥殿は血の濃い者がいた場合のみ我が一族に現れるのだが、その力は得難いものだ。能力、知識で我が領民は幾度と無く助けられている。なので、我々はナルニッサに子をもうけてもらいたいと切望している。……ずっと能力の、血の濃い者が一族を継いできたが、100年前は子を成さなかった。それまでは一族で同時に索冥殿と通じる者もいたのだが、100年前のあれ以降はずっと索冥殿と通じる事はなかった。一族の中で血の濃い者同士で婚姻を繰り返し、ようやく我が兄弟も13人目で索冥殿を呼べるナルニッサが現れた。ナルニッサは我が一族の希望だ」
つまり、ナルさんの婚活の話か!
「それは、ナルニッサ殿はご存知なのですね?」
「ああ、ただ、我が一族は政略結婚ができぬ」
「出来ない?」
「始祖の血より、恋しい相手としか結ぶ事が叶わぬ。それでナルニッサも25になってしまった」
ナルさんはアラサー一歩手前でした。
勝手にリオネット様位かと思ってた。見た目の若さとあの寂しがりっぷりからは推察無理です。
「そうですか。……私はナルニッサ殿がお相手を見つける邪魔は致しません。彼が必要と判断すれば最大限に尊重したく思っています。ですが、私から彼にそのような事を勧める事も致しかねます」
「……ほう?なにゆえにか?」
「彼が必要だと思う事には最善を尽くすと知っているからです。そこに私が意見を言えば、彼は主人のために心を痛めるだけだと思うからです。……これから危険な事を私はすると思います。けれど、私はナルニッサ殿を道連れにしたくはありません。そうなると、私も彼も無事に帰ってくるしか道はありませんけれど、彼をサンダーランドから取り上げる様な事はしないとお約束します」
ナルさんは、誰かを好きになって結婚しろって私に言われたら血の涙を流してもやりそうな気がする。
「ふむ」
ナギア様は顎髭を撫でた。
「良い漢ですな。実はナルニッサが1日で主人の選定を行ったと聞いて、多少不安ではあったが、成る程、なかなか」
「1日って短いのですか?」
「普通は数ヶ月か、数年かかる事の方が多いと聞いていたものでな」
え。1日というか、一瞬でしたけど。
「内外の強かさと美しさ。ふむ、お相手はいらっしゃるのか?」
「え?」
「婚約者がおらぬならば、従姉妹の娘に強い魔力を持つ者がいる。ナルニッサと似たタイプゆえ、良ければ紹介したい。あやつも貴殿なら恋しく思うだろう」
「いや!今、そんな事まで考えるのはちょっと!」
「はっはっは、まぁ、少し検討しておいてもらいたい」
「は、はぁ」
いや、無理です。どんなに素敵なお相手でも、私女なんで。
「ともかく、貴殿が女で無くて何よりだ」
ぎゃー!
「女だと、ダメだったんですか?」
悟られないように平常心を装っているが、心臓に悪い。
「ああ、100年前は子を残さなかった。それと同じ事が起こる可能性があったのでな。あの時、我らの希望だった者はやはりサンダーランドの女主人に忠誠を捧げ……、そして女主人はそれを愛してしまった。深く敬愛していても、それと恋心は別物。結局結ばれる事は無く、子を成す相手を探す事も許されず、あの血は途絶えた。もし、貴殿が女で有れば、必ずナルニッサを愛してしまうだろうから、心配ではあった」
「あの、必ず愛してしまう、というのは?」
「もちろん、我が一族が美しいゆえだ」
ナギア様は当然という風に言ってのけた。
使令を使うにあたり使われる魔力はナルさんのを使い、ナルさんが使令として使いやすく育てた、1番可愛いのを強奪。ザ、ジャイアニズム。
しかし、ナルさん当人は「私の魔力が主人の身体に注がれるなんて」となんか悦んでるし、「ナルニッサは僕より下だから、まぁいいか。連絡用のが無いと、毎回僕がカリンから離れなきゃだもんね」と影で同居するアンズもヤレヤレ顔だけど満更でも無い感じ。
ナルさんの魔力が私の身体に注がれるんじゃなくて、影に潜ませるんだけどな。
更に、チュンチュンぬいぐるみにはリオネット様が新しく開発した魔具が埋め込まれていて、必要時のみ形代として具現化する優れ物だった。城に戻ったら、アンズの小狐のにも同じ細工をしてもらえるらしく、非常に喜ばしい。今まで武器を服にしまうのと同じ様にぬいぐるみを拾ってしまって、また出してってやってたので、落とすのでは無いかと結構気を遣っていたのです。
リオネット様は実は凄い人なのかも知れない。知ってたけど。
そんな訳で、手ぶらで帰ってきた割に大森林に大人数で出かけて行ったのもあり、帰るとお昼を過ぎていた。
なのに、サンダーランドのお城に戻ると、慌ただしく騎士の正装の服に着替えさせられて、訳もわからないまま広間に案内される。アンズの背中で召し上がれと、帰りにリオネット様からサンドイッチか配られたのはこのせいか。
広間にはナルさんよりひと回り半は年上の厳つい男性がいて、こちら側にはリオネット様とアッサム様、それとナルさん、私。
髪色がナルさんと同じだから、サンダーランドの家の人だろうか。それにしてはナルさんとは顔の作りの系統がだいぶ違うように思う。
「ナギア殿、こちらが新たにマンチェスターに迎えた弟のカリンです」
「お初にお目にかかります。カリン・マンチェスターです」
「ナギア・サンダーランドだ。ナルニッサの主人になられたと聞いている。弟が世話になる」
「お兄様でいらっしゃいましたか。ナルニッサ殿にはこちらがお世話になっています」
するんと敬称に殿が出た。私の中で何かが上手く調節されている様な感覚。これは加護のおかげか、忠誠のなんちゃらのおかげか。
「カリン、ナギア殿はサンダーランド公のご長男です。これから魔王討伐に際した事柄で領地を不在にする間、我が領の管理をお願いしてあります」
「正しくはナルニッサが受けた仕事をナルニッサの代理として俺がさせてもらう。ナルニッサは敬愛するご主人様とひとときも離れたく無いそうでな」
「え?そうなの?ナルさん?」
お仕事はお兄さんに丸投げしたのですか。ナルさんは苦笑して顔を振った。
「語弊があります。我が君のお側に侍る事は望みでもありますが、そもそも選定があれば兄上達に我が役割は移ることになっておりました」
「代理だ。代理。継承順位は変わらん。他の兄弟もそのつもりだ」
「ナルさん、ご兄弟いらっしゃったんだね」
「12人、兄がおります」
兄が12人……。
「そのうち3人からは見えてないとか無い?」
「いえ、その様な事はありませんが?」
「カリン、サンダーランドのご兄弟は皆仲が良いので安心してください。継承順位も能力の強い者がなるべしと一致されていますよ」
今度はリオネット様は苦笑して説明をしてくれた。魔王討伐やその準備のため、マンチェスターの領地の仕事はナギア殿に、王都での仕事と魔法の最高顧問の儀式などの役割は王都のサンダーランド妃と次男のナナミ殿にお預けするらしい。
諸侯が治める各領地には土地に浄化装置が設置され、更に人々には隈なく浄化の加護が二重に施されており、以前より仕事が減ったので、とリオネット様は言った。浄化装置に国民全員に浄化の加護?規模でかすぎです。
「それ、リオネット様がなさったんですか?凄いですね」
「カリンに褒められると嬉しいですね。装置の開発は時間がかかりましたが、民に広く特定の呪文を刷り込ませるのが少し厄介だった程度で、それ程難しくは無かったですよ」
「どうやってなさったんですか?」
「少しゴジップの流行を作り、そのグッズや小説に組み込みました」
我らの個人情報のアレか。
「……、お金の面での対策かと思っていました」
「流石カリン。それもあります。あちらの世界の手法を手本にして、マンチェスターの新たなる産業にも活かしましたよ。おかげさまで我が領地はサブカル文化の発信地として栄えております」
手広過ぎます。リオネットお兄様。ともかく、義兄達とナルさんはこれで心置きなく好きな事ができると言う訳だ。
「今後のご予定は?武者修行に行くとは聞いているが」
ナギア様は気安く話を続けた。
「ええ、少し良い使令を探しに西と東の森辺りをと思っております。森の獣達の怨嗟の汚染状況も確認し、魔王の力の様子も見ておきたいですので」
ふっとリオネット様が私に微笑む。リオネット様……、まさか私のお兄様捜索のために?
「……あっちの地方の流行度も確認しに行くんだろ。サブカルとやらの」
アッサム様が口を挟んで、感謝の念は秒で消え去る。ええ、そんな事だろうと思ってましたとも。
「さて、サンダーランド当主の代理の代理として、次期当主のナルニッサの主人に内々の話があるのだが、構わないだろうか?」
「兄上?」
「あ、はい。大丈夫です」
すっと私の前に出たナルさんの腰辺りを掴んで、よいしょと横に置き直す。私が触れるとナルさんの体の抵抗がほぼゼロになるので、意外とヒョイと動かせる。続いて、そのままくるりと回してドアに向けて、軽く背中を押してあげる。
「外で待っててね?」
「……御意」
バイバイと手をナルさんを振って見送ると、アッサム様やリオネット様も異論は無いらしく、一緒に外に出て行った。
「ふむ、流石ですな。主人というものは」
「あはは」
なんと言って良いか判りません。
「さて。貴殿に我らの一族より願いがある。我らの一族についてはご存知か?」
「えっと能力が高くて、主人を選定されたり索冥を受け継いだりされてるのですのね?それからサンダーランドは前サンダーランドの領主様より譲り受けたと」
「ああ、違いない。ただ、主人の選定や索冥殿との契りは始祖の血の濃い者にしか現れない。ナルニッサの前は100年ほど前に1人、その前は幾人か現れていた」
「100年も前ですか?」
「血は薄まっている。索冥殿は血の濃い者がいた場合のみ我が一族に現れるのだが、その力は得難いものだ。能力、知識で我が領民は幾度と無く助けられている。なので、我々はナルニッサに子をもうけてもらいたいと切望している。……ずっと能力の、血の濃い者が一族を継いできたが、100年前は子を成さなかった。それまでは一族で同時に索冥殿と通じる者もいたのだが、100年前のあれ以降はずっと索冥殿と通じる事はなかった。一族の中で血の濃い者同士で婚姻を繰り返し、ようやく我が兄弟も13人目で索冥殿を呼べるナルニッサが現れた。ナルニッサは我が一族の希望だ」
つまり、ナルさんの婚活の話か!
「それは、ナルニッサ殿はご存知なのですね?」
「ああ、ただ、我が一族は政略結婚ができぬ」
「出来ない?」
「始祖の血より、恋しい相手としか結ぶ事が叶わぬ。それでナルニッサも25になってしまった」
ナルさんはアラサー一歩手前でした。
勝手にリオネット様位かと思ってた。見た目の若さとあの寂しがりっぷりからは推察無理です。
「そうですか。……私はナルニッサ殿がお相手を見つける邪魔は致しません。彼が必要と判断すれば最大限に尊重したく思っています。ですが、私から彼にそのような事を勧める事も致しかねます」
「……ほう?なにゆえにか?」
「彼が必要だと思う事には最善を尽くすと知っているからです。そこに私が意見を言えば、彼は主人のために心を痛めるだけだと思うからです。……これから危険な事を私はすると思います。けれど、私はナルニッサ殿を道連れにしたくはありません。そうなると、私も彼も無事に帰ってくるしか道はありませんけれど、彼をサンダーランドから取り上げる様な事はしないとお約束します」
ナルさんは、誰かを好きになって結婚しろって私に言われたら血の涙を流してもやりそうな気がする。
「ふむ」
ナギア様は顎髭を撫でた。
「良い漢ですな。実はナルニッサが1日で主人の選定を行ったと聞いて、多少不安ではあったが、成る程、なかなか」
「1日って短いのですか?」
「普通は数ヶ月か、数年かかる事の方が多いと聞いていたものでな」
え。1日というか、一瞬でしたけど。
「内外の強かさと美しさ。ふむ、お相手はいらっしゃるのか?」
「え?」
「婚約者がおらぬならば、従姉妹の娘に強い魔力を持つ者がいる。ナルニッサと似たタイプゆえ、良ければ紹介したい。あやつも貴殿なら恋しく思うだろう」
「いや!今、そんな事まで考えるのはちょっと!」
「はっはっは、まぁ、少し検討しておいてもらいたい」
「は、はぁ」
いや、無理です。どんなに素敵なお相手でも、私女なんで。
「ともかく、貴殿が女で無くて何よりだ」
ぎゃー!
「女だと、ダメだったんですか?」
悟られないように平常心を装っているが、心臓に悪い。
「ああ、100年前は子を残さなかった。それと同じ事が起こる可能性があったのでな。あの時、我らの希望だった者はやはりサンダーランドの女主人に忠誠を捧げ……、そして女主人はそれを愛してしまった。深く敬愛していても、それと恋心は別物。結局結ばれる事は無く、子を成す相手を探す事も許されず、あの血は途絶えた。もし、貴殿が女で有れば、必ずナルニッサを愛してしまうだろうから、心配ではあった」
「あの、必ず愛してしまう、というのは?」
「もちろん、我が一族が美しいゆえだ」
ナギア様は当然という風に言ってのけた。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
訳ありな家庭教師と公爵の執着
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝名門ブライアン公爵家の美貌の当主ギルバートに雇われることになった一人の家庭教師(ガヴァネス)リディア。きっちりと衣装を着こなし、隙のない身形の家庭教師リディアは素顔を隠し、秘密にしたい過去をも隠す。おまけに美貌の公爵ギルバートには目もくれず、五歳になる公爵令嬢エヴリンの家庭教師としての態度を崩さない。過去に悲惨なめに遭った今の家庭教師リディアは、愛など求めない。そんなリディアに公爵ギルバートの方が興味を抱き……。
※設定などは独自の世界観でご都合主義。ハピエン🩷 さらりと読んで下さい。
※稚拙ながらも投稿初日(2025.1.26)から、HOTランキングに入れて頂き、ありがとうございます🙂 最高で26位(2025.2.4)。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
残念なことに我が家の女性陣は、男の趣味が大層悪いようなのです
石河 翠
恋愛
男の趣味が悪いことで有名な家に生まれたアデル。祖母も母も例に漏れず、一般的に屑と呼ばれる男性と結婚している。お陰でアデルは、自分も同じように屑と結婚してしまうのではないかと心配していた。
アデルの婚約者は、第三王子のトーマス。少し頼りないところはあるものの、優しくて可愛らしい婚約者にアデルはいつも癒やされている。だが、年回りの近い隣国の王女が近くにいることで、婚約を解消すべきなのではないかと考え始め……。
ヒーローのことが可愛くて仕方がないヒロインと、ヒロインのことが大好きな重すぎる年下ヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:266115)をお借りしております。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。

異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる