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仕事が終わらない。
振り分けられた仕事量は少なくは無いが自分の能力を鑑みると決して多大では無い。だが、来客や会議のタイミングが悪く、王宮で執務ばかりをして過ごす事、早五日となった。
我が君より睡眠と食事を摂ることを強く言い聞かされているため、それを怠るわけにもいかない。
心優しき我が君は、手ずからの差し入れや着替えを毎日運んできてくれるが、サンダーランドとマンチェスターの領地の仕事もしていらっしゃる。両領地は補佐機関が他と比べて手厚く、今の所もさしたるトラブルは無い事は長老院より毎日報告させているため、そこは心配しては居ないが……、忙しくはあるのか、はたまた私の多忙を慮ってか二、三言葉を交わすとすぐに帰ってしまわれる。昨日などは手が空いていらっしゃった様だが、一日中私の邪魔にならない様に隠れながら私の様子を見に来てくださっていた。
お疲れがあるだろうに、家でくつろぐでも無く、だ。お心を思うと涙を禁じ得ない。
「リオネット、余りにも仕事の効率が悪くないか?」
「アホですか?カリンに『我が君にお疲れをかけてはならないので』なんて、良い格好して彼女の分の仕事を取り上げたからですよ。別々で動く予定で組んでた面会の予定なんだから当然です。明日からはナルニッサ1人で回す予定で組んでますから多少はマシになりますが……、なんだかんだ言って、領地の仕事も長老院から報告させて、先回りのフォローという名目で難しい案件を片付けてる事も原因じゃないんですか?」
こいつ、何故それを知っている!
「だいたい、缶詰三日目にカリン本人から『ナルさんのお仕事、私も手伝いたいんだけど……ダメ?』と言われた時も、カリンにとって簡単な仕事を少し割り振るだけで苦悶して、おまけにカリンの手伝いと称して、カリンの周りをうろちょろしてむしろ仕事の邪魔してるかもとカリンにドン引きさせたのをお忘れですか?」
「それは違う。手伝いではなく、単に我が君の真剣な眼差しが尊すぎて、私の煩悩が暴走したせいだ」
「結果は同じですね」
しかし、
「……こちらは深刻なのだ。気のせいかもしれないが、最近我が君は私を避けているように思う。愛を綴った1日3回の手紙も送らないで欲しいと言われてしまい……」
「重!」
リオネットは手紙の件は知らなかったのか、とても驚いた声を出した。ちょっと、してやった感がある。
「……その暇が有れば休め、とでも言われたのでは?」
「その通りだが、私はカリン様に飢えている。昨日は1日気配を感じていたというのに、直接お会いしていただける時間は短く、死にそうだ」
「それは、その廊下を曲がった所で隠れている君の最愛に直接どうぞ。私も忙しいんです」
「ひゃっ」と小さな愛らしい声が聞こえたのを私は聞き逃さなかった。試合の際の最速よりも早く駆けて行くと、彼女が逃げだす前に余裕で追いつく。「わっ」と彼女私の胸に向かって走り出してしまい、それを受け止めて胸にしまう。ようやくの触れ合いに、脳がくらくらした。
「あ、の、ナルさん?」
「何故我が君は私を避けられる?哀れな下僕は渇きすぎてもはや死に瀕している」
「あの、えっと」と言いながら、彼女はキョロキョロと逃げ場を探している様だった。その顔は耳まで赤い。まるで指輪をしている時のようだ。だが、その左手薬指に指輪は無い。
「カリン様、加護が薄くなられていますか?指輪をされていないのに、その様なご様子。体調でも……」
「ち、違うの!」
腕の中でフルフルと震える彼女は少し涙目で、非常に、それは耐えるのが苦しいくらいに美味しそうだ。
「か、加護が」
「加護が?」
「……な、ナルさんのお手紙とか、毎日お仕事してる姿とか、それで、カンストした恋愛系の加護が振り切れちゃって……、ナルさんに会うと好きすぎてどうしていいか、最近分かんなくて……」
はふはふと呼吸しながら、そう告白した彼女に自分の中の何かがブチンっと音を立てて切れた。逃げ出そうとする彼女を抱きすくめ、そっと耳に囁く。
「……カリン、今日はもうサンダーランド邸にて待て」
「ナルさん?」
「帰宅次第、私はカリンを抱く」
「え?でも、まだ式も」
「ダメだ。待てない。今日私はお前を私の物にする。いいな?」
「は、い」
呆気に取られている彼女をそこに置いて、私は最速で仕事を片付ける事に集中した。
が。
帰る頃には、日はとっぷりと暮れてしまった。流石にもうカリンは寝てしまっているだろう。というか、周りが寝るようにさせているはずだ。彼女の健康は絶対守られるよう、使用人達には厳命してある。
出迎えのメイドに上着を渡そうとして、相手がカリン付きのメイドであるファイだと気がついた。
「お前はカリン付きではないか?」
「先程までカリン様の側で侍っておりました。一応眠りには落ちられましたが……どうか、お約束をお守りいただきますように」
言われて、部屋に走る。
彼女は部屋で倒れるように眠っていた。
少し涙した跡があって、そこに舌を這わすと苦く感じられた。
「んん……」
「カリン、待たせた」
「あ、ナルさん……」
笑顔を作ろうとしたのに失敗したのか、なんともいじらしい表情の笑顔になった。
「お疲れ様。ごめん、先に寝ちゃって」
「構わない。だが、約束は果たす」
「え?ナルさん、帰ってきたばっかりだよね?ご飯とか……」
「黙れ」
飛び起きた彼女の口を塞ぎ、可愛い口を喰む。まだ覚醒しきっていない彼女の首から、開放の指輪を抜き取って、彼女の指にはめた。途端に、彼女の目から涙が溢れる。
「カリン……」
「……凄く、会いたかったです。寂しかった」
ほら、可愛い。やっぱり可愛い。どうしよう、可愛い。
「素直に言えば良いものを」
「でも、お仕事は無くなる訳じゃないし、ナルさん手伝わせてくれないんだもん。2人で早く片付けて……、こうやって抱きしめて欲しかったのに」
「……悪かった」
舌を首筋這わしながら、じっとりとかいた彼女の汗を舐めとる。興奮したフェロモンが含まれたそれは、自身を昂らせる。
「ぁ」
胸の先を口に含んで転がすと、カリンは小さく鳴いた。右手で背中を支えて、左手でゆっくりと揉みしだくと、口の中の果実は硬さを増した。胸の間の腺からの香りは、もっと強くと強請るように煽ってくる。
「あ、や」
ぶわっと彼女の下から、愛液が漏れたのが分かった。堪らない。
「カリン……」
そっと横たえて、自身をあてがう。高揚した彼女は、潤んだ瞳で私を見ていた。
「愛している」
グッと差し込むと、思った以上の抵抗があった。狭い。
「んんっ」
ぶっと破れる音がして、抵抗は一瞬緩んだ。ぐぐっと進んだと同時に、中が激しく痙攣して、彼女がビクビクっと震えた。
「っ!はーっはーっ」
彼女の荒い吐息は脳が溶けるくらい甘い香りを放つ。
自身は硬さが増すばかり。
「や、だめ、いまイッててっ」
「待てない」
肉壁を貫く。ひだがまとわりつき、射精感は高まるが、まだ。
「くっ」
全て収まった所で、中が大きく締まった。
「やぁっ」
「かりんっ」
きゅっとテスティスが収縮して、耐えられず、彼女の中に欲望は放たれた。手で戯れあった時と異なり、だがすぐに雄は硬くなる。
「ナルさんっ、また大き、くなって」
開けた口を口で塞ぐ。絶頂で溢れた唾液を混ぜ合わせて分け合う。本能に従って、その理由は後から理性が教えてきた。
我が一族は多産。それは普通母体に多大なる負担がかかる。それでも、十以上の子は産みたいと思うほどの強烈な快楽を得る物質が、行為の最中に分泌され、パートナーを自分の物にできる。
決してカリンが裏切るとは思ってはいないが。
「ナルっさぁん」
無意識にか脚を絡ませて来た彼女が、私の媚薬に堕ちたのが分かった。
「もっと……、欲しいか?」
「……欲しい、ですっ」
繋がったまま、座った自分に彼女を跨らせる。重力で更に奥まで刺さって、哭く彼女を支える。ずっとイキっぱなしでも、彼女は目を瞑って腰を振る。
勇者の加護のおかげか。体力があり、回復も早い。耽るカリンは獣のようで、本能が震える。
獣の血を受けるのにこれ程相応しい相手は居るだろうか?
答えは明白で、やはり優秀な遺伝子を残そうとする本能が選んだ相手なのだと愛しさが溢れて止まらない。
「あ、んんっ」
何度目かの絶頂か。膣内に残した先程の残渣は初めての証と混ざって、寝具を汚し尽くしている。そこに、サラサラとした液体が潮のように噴いた。
親指でクリトリスを優しく押すと、彼女はのけぞった。
「ナル、さん?」
惚けた顔で私に跨り、汗をほとばしらせて赤く色づく最愛は、私を見つめた。
「我が花嫁は、本当に美しい。けれど、何故目を瞑る?」
切なそうに目を細めた彼女は泣くのかと思った。けれど、目線は決して外れなかった。
「ナルさんの……、その目に射られてしまうみたいに、魅入られてしまって、息ができなく、なっちゃう。……好きすぎて、苦しいの」
勘弁してくれ。
これ以上愛せない程に愛していたのに、それを凌駕する感情に襲われる。
「……私もだ。愛しすぎて、苦しい」
手を彼女の頬に添えると、その手を彼女が包んだ。人差し指で、唇をなぞると、赤い舌が我が指を這う。
「ちゅっ」
指を吸われて、鳥肌が立った。
今宵必ず彼女を孕まさなくてはならない。
彼女を横たえて、馴染んだ道の奥深くに挿し込む。
「あぁっ!」
充分に降りて来た子宮口に打ち付けて、彼女は絶叫した。
まだだ。彼女の両足が腰を強く引き寄せてくる。
「……何も心配は要らぬ。身を委ね、我が手に堕ちろ、カリン」
呼応するように強く雄がしごかれて、最奥に全てを注ぐ。
テスティスが痛い程に収縮するが、勝る快感が抜ける。
カリンは……、くったりと力が無かった。
気を失ったか。
だが、中はまだ名残惜しそうに搾り取ろうと収縮している。
重ねた枕に背を預け、繋がったまま彼女を胸に抱く。送り込んだ十分量の子種のチャプチャプとした感覚は、なんとも言えない快感があり、ふっくらと膨らんだ下腹部に自身とそれらが満たされてるというのは、幸福感が堪らない。
「……ん、ナルさん?私、寝ちゃって?」
「構わない。我が胸で眠るが良い。……明日からは共に執務に当たって欲しい。そのための休息だ」
「うん……、あの、一個だけ聞いておきたい事が」
「なんだ?」
「……、ナルニッサ様って呼ばれるのと、旦那様って呼ばれるのどっちが良い?」
「……今までと変わらずで構わないが?」
「ファイさんが、貴族の奥様はそう呼ぶって」
「カリンが悩むなら、その様なルールは消してしまおう」
「ううん、そうじゃなくて……、あの、私が、外でもナルサンの物って分かるように呼びたいなって……」
ああ、なんと罪深い。
「ナルさん、なんか、また……」
「リオネットには、明日は休みにしてもらう」
「え」
再び押し倒して、口を喰む。
「ずっと働き続けた。これくらいの休暇は許されるはずだ」
ひと月と少し後、カリンが子を成した事が知れて、ナルニッサは幸福と共に数ヶ月の禁欲生活に苦しむのであった(合掌)
振り分けられた仕事量は少なくは無いが自分の能力を鑑みると決して多大では無い。だが、来客や会議のタイミングが悪く、王宮で執務ばかりをして過ごす事、早五日となった。
我が君より睡眠と食事を摂ることを強く言い聞かされているため、それを怠るわけにもいかない。
心優しき我が君は、手ずからの差し入れや着替えを毎日運んできてくれるが、サンダーランドとマンチェスターの領地の仕事もしていらっしゃる。両領地は補佐機関が他と比べて手厚く、今の所もさしたるトラブルは無い事は長老院より毎日報告させているため、そこは心配しては居ないが……、忙しくはあるのか、はたまた私の多忙を慮ってか二、三言葉を交わすとすぐに帰ってしまわれる。昨日などは手が空いていらっしゃった様だが、一日中私の邪魔にならない様に隠れながら私の様子を見に来てくださっていた。
お疲れがあるだろうに、家でくつろぐでも無く、だ。お心を思うと涙を禁じ得ない。
「リオネット、余りにも仕事の効率が悪くないか?」
「アホですか?カリンに『我が君にお疲れをかけてはならないので』なんて、良い格好して彼女の分の仕事を取り上げたからですよ。別々で動く予定で組んでた面会の予定なんだから当然です。明日からはナルニッサ1人で回す予定で組んでますから多少はマシになりますが……、なんだかんだ言って、領地の仕事も長老院から報告させて、先回りのフォローという名目で難しい案件を片付けてる事も原因じゃないんですか?」
こいつ、何故それを知っている!
「だいたい、缶詰三日目にカリン本人から『ナルさんのお仕事、私も手伝いたいんだけど……ダメ?』と言われた時も、カリンにとって簡単な仕事を少し割り振るだけで苦悶して、おまけにカリンの手伝いと称して、カリンの周りをうろちょろしてむしろ仕事の邪魔してるかもとカリンにドン引きさせたのをお忘れですか?」
「それは違う。手伝いではなく、単に我が君の真剣な眼差しが尊すぎて、私の煩悩が暴走したせいだ」
「結果は同じですね」
しかし、
「……こちらは深刻なのだ。気のせいかもしれないが、最近我が君は私を避けているように思う。愛を綴った1日3回の手紙も送らないで欲しいと言われてしまい……」
「重!」
リオネットは手紙の件は知らなかったのか、とても驚いた声を出した。ちょっと、してやった感がある。
「……その暇が有れば休め、とでも言われたのでは?」
「その通りだが、私はカリン様に飢えている。昨日は1日気配を感じていたというのに、直接お会いしていただける時間は短く、死にそうだ」
「それは、その廊下を曲がった所で隠れている君の最愛に直接どうぞ。私も忙しいんです」
「ひゃっ」と小さな愛らしい声が聞こえたのを私は聞き逃さなかった。試合の際の最速よりも早く駆けて行くと、彼女が逃げだす前に余裕で追いつく。「わっ」と彼女私の胸に向かって走り出してしまい、それを受け止めて胸にしまう。ようやくの触れ合いに、脳がくらくらした。
「あ、の、ナルさん?」
「何故我が君は私を避けられる?哀れな下僕は渇きすぎてもはや死に瀕している」
「あの、えっと」と言いながら、彼女はキョロキョロと逃げ場を探している様だった。その顔は耳まで赤い。まるで指輪をしている時のようだ。だが、その左手薬指に指輪は無い。
「カリン様、加護が薄くなられていますか?指輪をされていないのに、その様なご様子。体調でも……」
「ち、違うの!」
腕の中でフルフルと震える彼女は少し涙目で、非常に、それは耐えるのが苦しいくらいに美味しそうだ。
「か、加護が」
「加護が?」
「……な、ナルさんのお手紙とか、毎日お仕事してる姿とか、それで、カンストした恋愛系の加護が振り切れちゃって……、ナルさんに会うと好きすぎてどうしていいか、最近分かんなくて……」
はふはふと呼吸しながら、そう告白した彼女に自分の中の何かがブチンっと音を立てて切れた。逃げ出そうとする彼女を抱きすくめ、そっと耳に囁く。
「……カリン、今日はもうサンダーランド邸にて待て」
「ナルさん?」
「帰宅次第、私はカリンを抱く」
「え?でも、まだ式も」
「ダメだ。待てない。今日私はお前を私の物にする。いいな?」
「は、い」
呆気に取られている彼女をそこに置いて、私は最速で仕事を片付ける事に集中した。
が。
帰る頃には、日はとっぷりと暮れてしまった。流石にもうカリンは寝てしまっているだろう。というか、周りが寝るようにさせているはずだ。彼女の健康は絶対守られるよう、使用人達には厳命してある。
出迎えのメイドに上着を渡そうとして、相手がカリン付きのメイドであるファイだと気がついた。
「お前はカリン付きではないか?」
「先程までカリン様の側で侍っておりました。一応眠りには落ちられましたが……どうか、お約束をお守りいただきますように」
言われて、部屋に走る。
彼女は部屋で倒れるように眠っていた。
少し涙した跡があって、そこに舌を這わすと苦く感じられた。
「んん……」
「カリン、待たせた」
「あ、ナルさん……」
笑顔を作ろうとしたのに失敗したのか、なんともいじらしい表情の笑顔になった。
「お疲れ様。ごめん、先に寝ちゃって」
「構わない。だが、約束は果たす」
「え?ナルさん、帰ってきたばっかりだよね?ご飯とか……」
「黙れ」
飛び起きた彼女の口を塞ぎ、可愛い口を喰む。まだ覚醒しきっていない彼女の首から、開放の指輪を抜き取って、彼女の指にはめた。途端に、彼女の目から涙が溢れる。
「カリン……」
「……凄く、会いたかったです。寂しかった」
ほら、可愛い。やっぱり可愛い。どうしよう、可愛い。
「素直に言えば良いものを」
「でも、お仕事は無くなる訳じゃないし、ナルさん手伝わせてくれないんだもん。2人で早く片付けて……、こうやって抱きしめて欲しかったのに」
「……悪かった」
舌を首筋這わしながら、じっとりとかいた彼女の汗を舐めとる。興奮したフェロモンが含まれたそれは、自身を昂らせる。
「ぁ」
胸の先を口に含んで転がすと、カリンは小さく鳴いた。右手で背中を支えて、左手でゆっくりと揉みしだくと、口の中の果実は硬さを増した。胸の間の腺からの香りは、もっと強くと強請るように煽ってくる。
「あ、や」
ぶわっと彼女の下から、愛液が漏れたのが分かった。堪らない。
「カリン……」
そっと横たえて、自身をあてがう。高揚した彼女は、潤んだ瞳で私を見ていた。
「愛している」
グッと差し込むと、思った以上の抵抗があった。狭い。
「んんっ」
ぶっと破れる音がして、抵抗は一瞬緩んだ。ぐぐっと進んだと同時に、中が激しく痙攣して、彼女がビクビクっと震えた。
「っ!はーっはーっ」
彼女の荒い吐息は脳が溶けるくらい甘い香りを放つ。
自身は硬さが増すばかり。
「や、だめ、いまイッててっ」
「待てない」
肉壁を貫く。ひだがまとわりつき、射精感は高まるが、まだ。
「くっ」
全て収まった所で、中が大きく締まった。
「やぁっ」
「かりんっ」
きゅっとテスティスが収縮して、耐えられず、彼女の中に欲望は放たれた。手で戯れあった時と異なり、だがすぐに雄は硬くなる。
「ナルさんっ、また大き、くなって」
開けた口を口で塞ぐ。絶頂で溢れた唾液を混ぜ合わせて分け合う。本能に従って、その理由は後から理性が教えてきた。
我が一族は多産。それは普通母体に多大なる負担がかかる。それでも、十以上の子は産みたいと思うほどの強烈な快楽を得る物質が、行為の最中に分泌され、パートナーを自分の物にできる。
決してカリンが裏切るとは思ってはいないが。
「ナルっさぁん」
無意識にか脚を絡ませて来た彼女が、私の媚薬に堕ちたのが分かった。
「もっと……、欲しいか?」
「……欲しい、ですっ」
繋がったまま、座った自分に彼女を跨らせる。重力で更に奥まで刺さって、哭く彼女を支える。ずっとイキっぱなしでも、彼女は目を瞑って腰を振る。
勇者の加護のおかげか。体力があり、回復も早い。耽るカリンは獣のようで、本能が震える。
獣の血を受けるのにこれ程相応しい相手は居るだろうか?
答えは明白で、やはり優秀な遺伝子を残そうとする本能が選んだ相手なのだと愛しさが溢れて止まらない。
「あ、んんっ」
何度目かの絶頂か。膣内に残した先程の残渣は初めての証と混ざって、寝具を汚し尽くしている。そこに、サラサラとした液体が潮のように噴いた。
親指でクリトリスを優しく押すと、彼女はのけぞった。
「ナル、さん?」
惚けた顔で私に跨り、汗をほとばしらせて赤く色づく最愛は、私を見つめた。
「我が花嫁は、本当に美しい。けれど、何故目を瞑る?」
切なそうに目を細めた彼女は泣くのかと思った。けれど、目線は決して外れなかった。
「ナルさんの……、その目に射られてしまうみたいに、魅入られてしまって、息ができなく、なっちゃう。……好きすぎて、苦しいの」
勘弁してくれ。
これ以上愛せない程に愛していたのに、それを凌駕する感情に襲われる。
「……私もだ。愛しすぎて、苦しい」
手を彼女の頬に添えると、その手を彼女が包んだ。人差し指で、唇をなぞると、赤い舌が我が指を這う。
「ちゅっ」
指を吸われて、鳥肌が立った。
今宵必ず彼女を孕まさなくてはならない。
彼女を横たえて、馴染んだ道の奥深くに挿し込む。
「あぁっ!」
充分に降りて来た子宮口に打ち付けて、彼女は絶叫した。
まだだ。彼女の両足が腰を強く引き寄せてくる。
「……何も心配は要らぬ。身を委ね、我が手に堕ちろ、カリン」
呼応するように強く雄がしごかれて、最奥に全てを注ぐ。
テスティスが痛い程に収縮するが、勝る快感が抜ける。
カリンは……、くったりと力が無かった。
気を失ったか。
だが、中はまだ名残惜しそうに搾り取ろうと収縮している。
重ねた枕に背を預け、繋がったまま彼女を胸に抱く。送り込んだ十分量の子種のチャプチャプとした感覚は、なんとも言えない快感があり、ふっくらと膨らんだ下腹部に自身とそれらが満たされてるというのは、幸福感が堪らない。
「……ん、ナルさん?私、寝ちゃって?」
「構わない。我が胸で眠るが良い。……明日からは共に執務に当たって欲しい。そのための休息だ」
「うん……、あの、一個だけ聞いておきたい事が」
「なんだ?」
「……、ナルニッサ様って呼ばれるのと、旦那様って呼ばれるのどっちが良い?」
「……今までと変わらずで構わないが?」
「ファイさんが、貴族の奥様はそう呼ぶって」
「カリンが悩むなら、その様なルールは消してしまおう」
「ううん、そうじゃなくて……、あの、私が、外でもナルサンの物って分かるように呼びたいなって……」
ああ、なんと罪深い。
「ナルさん、なんか、また……」
「リオネットには、明日は休みにしてもらう」
「え」
再び押し倒して、口を喰む。
「ずっと働き続けた。これくらいの休暇は許されるはずだ」
ひと月と少し後、カリンが子を成した事が知れて、ナルニッサは幸福と共に数ヶ月の禁欲生活に苦しむのであった(合掌)
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