大団円EDの作り方 if R18

吉瀬

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130.5話-2

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 口を何度も吸われながら私も彼も昂ぶってきているのを感じた。
 こういう愛し方や傷つけ方は、蘇った知識にすら無いけど、彼をもっと感じたい本能のまま手を後ろに回す。
 気がつくと壁際まで押されて来ていて、そこで耳朶にキスされた。魔法が構築されて、愛がそこに刻まれる。

「私も……したい」

 愛の刻み方なんてどうやって習うんだろうと思っていたけど、本当に想った時その方法は自然と理解できた。
 既に切り取られてしまった耳朶を左手で包むようにして、反対側のセレスの無垢の耳朶に口付ける。愛しくて、愛しくて、辛い。思いを確かめ合った所で残された時間は長くない。短い結婚の儀式をして、その証をしっかりと確認する間もなくセレスは深くキスをしてきた。舌を強く吸われて、溢れた私の唾液をセレスがのみ下す。と同時に下着を剥ぎ取られた。

 彼と視線を絡めたまま、何の心の準備も整わないまま、突然に彼に貫かれた。ぶつっと膜が破れる音がする。

「……んぁっ!」

 初めての感覚と痛み。もっと痛い目には沢山あってきた。この痛みは、痛みとしては全然耐えられる。でも、想像以上の熱量がねじ込まれて思わず声が漏れた。

「泣くほどだったか?」

 感情の高ぶりでいつの間にか溢れた涙を、舐め取られてなお、彼の暴力は緩められない。閉じきった肉壁を無理やりこじ開ける様に下腹部は押し付けられ、私は壁とセレスに挟まれている。両足は……地面にも着いていない。

「は、じめて、なの。少しは、手加減、して、よ」
「……できるならしているっ」

 短く答えながら漏らした彼の吐息すら甘く感じるほど、愛しい。
 セレスが私の腰を掴んで、少しだけ彼の腰が離れた。が、顔を肩と首の間に埋める様にしながら強く抱き直されて、衝撃が走った。

  ぱんっと空気が押しつぶされる様な音がして、最奥に彼が届いた。

「んあぁっ」

 痛みが吹き飛ぶほどの快楽が脳天を直撃して、私は今度は叫んだ。
 だけど、続いて何度も打ち付けられる音に消されてしまったのか、セレスは止まらなかった。ギチギチに彼を締め付けている内部は、更に痙攣しているはずなのに何度も打ち付けられて、内臓が引きずられる様だ。

 イったばかり中に彼の暴力が刻まれる。圧倒的な快楽と刺激が本能に叩き込まれた。
 最後にまたグッと押し込んでから、セレスは離れた。

「はあっはあっ」

 見たこともないほど汗だくで息を乱したセレスを見上げる形で、私はその場でへたり込む。
 彼の自身は抜き取られた瞬間はダラリと下がっていて、血と何かでテカテカ光っていた。私はぼんやりとそれがまた大きくなっていくのを眺めていた。

「立てるか?」

 問われても歯の根が合わなくて、言葉が出ない。
 自分の下に血と精液と愛液の混ざったものが飛び散っているのに気がつくと、私の中からコプッとそれらが大量に吐き出された。脚に力は入らず、全身震えが止まらない。
 SEXってこんなもんだっけ?遠い記憶の女性向け雑誌の知識と違いすぎないか?

「来い」

 出された手に縋ると抱き上げられ、食われる様な瞳で宣言された。

「お前は、俺のものだ」
「は、い」

 抱かれたまま、研究室の隣のセレスの寝室に連れさられる。ベッドに投げ出されて、多少の恐怖を感じたが予想外に優しくキスをされた。
 キスは口、耳はもちろん首筋へと下がっていく。舌を這う様滑りながらセレスの口は、胸の頂きくすぐる。

「……っ!」

 私が耐える姿を上目遣いでセレスは観察して、笑んだ。
 卑怯だ。さっきまでの獣の様な顔から、天使より美しい最上の微笑みを見せるなんて、卑怯だ。

 セレスはそこで口を離して、また私にキスをした。軽いキスをした後少し距離を取りながら、足首を掴まれて……彼は私の指を舐めた、足の。

「ちょっと?そこはきたな「黙れ」」

 上半身を起こした私の片足を持って、セレスは足の指と指の間を舐める。倒錯的な構図から私は目が離せない。

「……へんたい」
「お前の体は口と違って正直だ」

 セレスの白い指は私の蜜壺に伸びて、糸が引くのを見せつける。

「怪我の部分、治療してやろうか?」
「……いい」

 脚を投げ出して座るセレスに支えてもらいながら、自ら彼に腰を埋める。

「んんんっ!」

 聖魔の揺らぎの様な気持ち悪さがのぼる。内臓のダメージは鈍痛と吐き気として、生物の危機感を煽ってくる。だけど、それ以上のセレスと一つになりたい感情に任せて一気に腰を下ろした。嬌声と異なる声に気がついたセレスは怪訝な表情を浮かべた。

「おい?……抜け。治療する」
「いい」
「無理はするな」
「嫌!このまま……私だって体にぐらいにセレスを刻みたいっ!」

 勝手すぎる欲望が止まらない。セレスを刻みたかった。繋がる事は無いと思った心の形を残したい。例え離れても、無くならない程の傷痕が欲しい。

「アキホ」
「ごめんなさい。セレス。ごめん。好きなの。あなたが。好きすぎて、でも、あなたばかり辛い。違うの。あなたに幸せになって欲しかったのに」

 口ばかりの言い訳。彼を最も苦しめない様にするには淡白に礼を述べて去るのがベストだと知っているのに。自分の想いを伝えれば伝えるほど、彼は後々苦しむのに。

 繋がったまま、泣き顔を手で覆っているとセレスは優しく抱いて私を組み敷いた。

「アキホ。お前が過去に受けた罰を全ては知らない。だが、今この結末を知ってなお、お前は初めの選択をするか?それとも、マリや俺達と出会わない道を選ぶのか?」
「私は……」

 そんなの、ここに来るに決まっている。

「俺の心を感じろ」

 答えを知ってか知らずか、主従契約のチャネルが開かれた。セレスが自分の心に他人が入る事を厭って閉ざしていた、感情のチャネル。それをこちら側からも開く。感じた彼の心は、穏やかな幸福だった。

「俺は今ある俺しか信用しない。過去の記憶が蘇ってすら、今後悔しない道しか行く気は無い。アキホ、お前のその、隠し事のできない顔が好きだった」

 え、そんなにバレてた?

「阿呆みたいにマリに過保護な所も、カークやナツより老成しているふりをする程馬鹿馬鹿しいプライドも、慎重なのか適当なのか分からない所も、好きだった」

 なんかむちゃくちゃ言われてない?

「お前の、俺の名を呼ぶ声が好きだった」

 私の頭を撫でている表情は愛しさに溢れていた。

「愛していた。愛している。……マリを頼んだ」

 私が何か口にする前に、セレスに口を塞がれた。
 優しすぎるよ。私がセレスを愛していると口では言っていても、マリちゃんを呼ぶにはマリちゃんを想わなくてはならない。その理由を、セレスは私に与えた。

 互いに互いを求めて口づけをしながら、今度は同時に二人で溶けた。


 
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