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75-1 王妃様のお部屋1
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「サタナとは本当に恋仲なの?」
キュラスは前を向いたまま私に聞いた。
「えーっと、ノーコメントで。」
「そんなバカみたいな答えなら、違うって言った方が潔いよ。」
クスッと笑われながら、なんか酷いことを言われた。でも、そうだよね。なんかいつもの調子が出てない。集中集中。
警備が手薄な所を通って、城の奥に進んでいる気がする。頭の中でマップ作成、さくせい、、そろそろメモとりたい。そして、連れてこられたのは豪華な私室だった。豪華だけれど華美過ぎない上品な装飾が施された天蓋付きベッド。ドレッサーには花のモチーフが多用されているけれど、若い子が使うには落ち着きがありすぎる。手入れは行き届いているが、使用感がまるで無い。ここは、
「ここはね、お母様達の部屋だよ。」
「お母様、たち?」
「歴代の王妃の部屋。今は誰も使って無いけど。」
ゾイ将軍とのお約束はどこに行ったのでしょうか?めっちゃ城の中枢ですやん。
「ここで、何を?」
「好きに見てくれていいよ。君がいつか使うかもしれないでしょ。」
「公妾にしか出来ないんじゃ無かったんですか?」
どうせ冗談だろうけれど、一応突っ込む。口で突っ込みながら、マリちゃんと一緒に部屋をチェックして回る。一番目を引くのは総ガラス細工の飾り棚。飾られているものは花やウサギや可愛い細工物だ。ベッドも骨格はガラス製で透けているせいか大きさの割に圧迫感がない。脚の先端には大きな琥珀が埋め込まれている。世界が何度か滅んでいるなら、このサイズの琥珀なんて相当貴重品でしょう。床には魔法文字とは違うテイストの記号のような模様がある。魔法文字は草書体の様な流れのある文字だけど、ここにあるのはゴシック体風。ん?なんか見たことある記号もちらほら。天井は濃紺で宝石か何かが星を表しているのだろう。キラキラと瞬いて見える。流石にクロゼットを開けたりはしません。ドレッサーにはレースがかけられている。
「もし正妃にするなら、僕と結婚してくれる?」
「ご冗談が過ぎますね。フィアンセがいらっしゃるのでしょう?」
部屋や家具の大きさを遠慮なく歩幅で測定する。許可をもらったから遠慮は無い。しかもメモも取ってます。
「アンナの事は、誰も君に教えたりしてないんだね。」
キュラスはこんなところに連れてきて、フィアンセの話をしたかったのだろうか?ともあれ思い出話をしてくれるなら助かる。私が聞きたいことも貴方の過去についてです。
いつの間にか椅子に座っているキュラスの前に私も座る。部屋の探索の残りはマリちゃんに任せた。
「アンナ様とはどの様な方なのですか?」
まずは、彼が聞いて欲しい事から聞きませう。
「アンナはね、ヒノト達の従姉妹に当たる僕の婚約者なんだ。この国のヒノト達の一族の事は分かる?」
「初代の王と共に光の国を興した一族ですね。自らは政治を行わず神官として女神に仕え、王家を支え、そして歴史を後に残していると本には記してありました。それから、その一族の娘は王家に嫁ぐとも。」
キュラスは頷いた。
「ヒノトに姉も妹もいないし、僕が分かる範囲で王家の血筋に年頃の娘はいない。だから、今はアンナが通常なら王妃候補になるんだ。」
おや、それなら前王太子のフィアンセじゃなかろか?あ、そうか、だからキュラスにスライドしてきたのか。
「えいこが考えている事は想像つくんだけどね。アンナは初めから第三王子である僕のフィアンセなんだよ。」
「それは、何故ですか?」
ただでさえややこしい王族の近代人間関係にまだ何をぶち込むのか。
「アンナは五歳の誕生日から今までずっと眠り続けている。」
「眠り続けている?」
「しかも原因不明。いつ目覚めるか分からない。今この瞬間かも知れないし、一生目覚めないかも知れない。アンナは僕の一つ下で、クリウス兄様ととは十歳以上離れていたんだ。それで、兄様は歳が近い僕が相手の方がアンナにとって好ましいと主張した。その、決断も先送り出来るから。」
彼は言いよどんだ。光の国は闇の国に比べてなかなか野蛮な様だ。結晶の服用も荒っぽい感じだとサタナさんも言っていたし。
「目覚めなくても、お世継ぎをつくる事は出来るからですね。」
キュラスは恥じている様な表情で頷いた。これはこの国の慣習を恥じているのだろう。
「兄様は慣習が大事なら自分は嫁を取らない、自分が王となったら王太子に僕を指名するから問題ないだろうって言っていて、それから、ドラン兄様も同意したんだ。」
「ドラン様も?」
「むしろ、歓迎していた様に思う。僕を説得しに来たくらいだよ。」
ますます意味不明だ。ドランが何をしたかったのか、本当にわからん。
キュラスは前を向いたまま私に聞いた。
「えーっと、ノーコメントで。」
「そんなバカみたいな答えなら、違うって言った方が潔いよ。」
クスッと笑われながら、なんか酷いことを言われた。でも、そうだよね。なんかいつもの調子が出てない。集中集中。
警備が手薄な所を通って、城の奥に進んでいる気がする。頭の中でマップ作成、さくせい、、そろそろメモとりたい。そして、連れてこられたのは豪華な私室だった。豪華だけれど華美過ぎない上品な装飾が施された天蓋付きベッド。ドレッサーには花のモチーフが多用されているけれど、若い子が使うには落ち着きがありすぎる。手入れは行き届いているが、使用感がまるで無い。ここは、
「ここはね、お母様達の部屋だよ。」
「お母様、たち?」
「歴代の王妃の部屋。今は誰も使って無いけど。」
ゾイ将軍とのお約束はどこに行ったのでしょうか?めっちゃ城の中枢ですやん。
「ここで、何を?」
「好きに見てくれていいよ。君がいつか使うかもしれないでしょ。」
「公妾にしか出来ないんじゃ無かったんですか?」
どうせ冗談だろうけれど、一応突っ込む。口で突っ込みながら、マリちゃんと一緒に部屋をチェックして回る。一番目を引くのは総ガラス細工の飾り棚。飾られているものは花やウサギや可愛い細工物だ。ベッドも骨格はガラス製で透けているせいか大きさの割に圧迫感がない。脚の先端には大きな琥珀が埋め込まれている。世界が何度か滅んでいるなら、このサイズの琥珀なんて相当貴重品でしょう。床には魔法文字とは違うテイストの記号のような模様がある。魔法文字は草書体の様な流れのある文字だけど、ここにあるのはゴシック体風。ん?なんか見たことある記号もちらほら。天井は濃紺で宝石か何かが星を表しているのだろう。キラキラと瞬いて見える。流石にクロゼットを開けたりはしません。ドレッサーにはレースがかけられている。
「もし正妃にするなら、僕と結婚してくれる?」
「ご冗談が過ぎますね。フィアンセがいらっしゃるのでしょう?」
部屋や家具の大きさを遠慮なく歩幅で測定する。許可をもらったから遠慮は無い。しかもメモも取ってます。
「アンナの事は、誰も君に教えたりしてないんだね。」
キュラスはこんなところに連れてきて、フィアンセの話をしたかったのだろうか?ともあれ思い出話をしてくれるなら助かる。私が聞きたいことも貴方の過去についてです。
いつの間にか椅子に座っているキュラスの前に私も座る。部屋の探索の残りはマリちゃんに任せた。
「アンナ様とはどの様な方なのですか?」
まずは、彼が聞いて欲しい事から聞きませう。
「アンナはね、ヒノト達の従姉妹に当たる僕の婚約者なんだ。この国のヒノト達の一族の事は分かる?」
「初代の王と共に光の国を興した一族ですね。自らは政治を行わず神官として女神に仕え、王家を支え、そして歴史を後に残していると本には記してありました。それから、その一族の娘は王家に嫁ぐとも。」
キュラスは頷いた。
「ヒノトに姉も妹もいないし、僕が分かる範囲で王家の血筋に年頃の娘はいない。だから、今はアンナが通常なら王妃候補になるんだ。」
おや、それなら前王太子のフィアンセじゃなかろか?あ、そうか、だからキュラスにスライドしてきたのか。
「えいこが考えている事は想像つくんだけどね。アンナは初めから第三王子である僕のフィアンセなんだよ。」
「それは、何故ですか?」
ただでさえややこしい王族の近代人間関係にまだ何をぶち込むのか。
「アンナは五歳の誕生日から今までずっと眠り続けている。」
「眠り続けている?」
「しかも原因不明。いつ目覚めるか分からない。今この瞬間かも知れないし、一生目覚めないかも知れない。アンナは僕の一つ下で、クリウス兄様ととは十歳以上離れていたんだ。それで、兄様は歳が近い僕が相手の方がアンナにとって好ましいと主張した。その、決断も先送り出来るから。」
彼は言いよどんだ。光の国は闇の国に比べてなかなか野蛮な様だ。結晶の服用も荒っぽい感じだとサタナさんも言っていたし。
「目覚めなくても、お世継ぎをつくる事は出来るからですね。」
キュラスは恥じている様な表情で頷いた。これはこの国の慣習を恥じているのだろう。
「兄様は慣習が大事なら自分は嫁を取らない、自分が王となったら王太子に僕を指名するから問題ないだろうって言っていて、それから、ドラン兄様も同意したんだ。」
「ドラン様も?」
「むしろ、歓迎していた様に思う。僕を説得しに来たくらいだよ。」
ますます意味不明だ。ドランが何をしたかったのか、本当にわからん。
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