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67-1 新たなる住処へ1
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なっ、と声を漏らして美形は引きつった。
いいねいいね、その表情。これで不必要に近づかれることは無いだろう。仕事はしたいけど、色恋沙汰は遠慮したい。
ふふふふん。と挑発するように笑うと、「なにそれ、からかってるつもり?」とキュラスは冷たい感じで微笑み返した。
「…、ところで、調査をしてもらう間、城に泊まってもらおうかと思ってるんだけど良いよね?」
情報を集めるなら、その方が効率が良い。承知すると、何か思惑のありそうな笑顔で「しゃあ、僕に任せてね。」と言いながら部屋から出た。
部屋では攻略対象4人と案内してくれた軍服のおじ様がお茶の前で待機していた。飲んでいればいいのに冷めちゃってもったいない。後は彼らに給仕しているソバージュのメイドさんと初老の女性が壁際に控えている。メイドさんは普通にモブなメイドさんっぽい、初老の女性は某魔法映画に出てくる厳格な魔法使いの先生にそっくり。何らかの重要キャラでしょ、あなた。
「おまたせ。えいこに話聞いてもらったら少しスッキリしたよ。シーマ様にも文を取り次いでもらえるみたいだし。」
そう言って私をエスコートして席に座らせ、キュラスはその隣に座った。待って、ここめっちゃ上座ですやん。
「それで、僕彼女が気に入っちゃったから側に置きたいんだよね。しばらく、ここに住んでもらう事にしたよ。」
唐突な告白に場が凍る。ワナワナしてる人やら表情ゼロの人やら。余裕顔の人は2人、サタナさんと魔法使い使い先生風の方。
「殿下!ご冗談が過ぎまするぞ。第一にアンナ様はいかがなされる?」
軍服のおじ様の声がフルフル震えている。怒りか焦りか。ところでアンナ様ってどなた?
「アンナの状態は知っているでしょ?当然彼女が婚約者である事は変わらないよ。まぁ、だからえいこがオッケーくれても公妾にしかしてあげられないんだけど。」
こうしょうって何?と小さい声で比較的近くにいたサタナさんに聞く。「公にしとる愛人や。」と答えられ、えっ?という驚きの声がつい口を突く。
「ごめんね。未来の王妃の座は用意できないけど、その分気楽だし、愛情は惜しまないよ。」
優しく言われたけど、その目は『さっきのお返し』と言っているようにしか見えない。
事件の真相を探っているのは身内には言いたくないらしい。それにしても、普通に客として側におくとか、いっそジェスターかなんかとして側に置けば良いものを。
ついでに、どうやらアンナというフィアンセもいるようだ。そんな設定知らないよ。
「えいこ様はどのようにお考えですか?」
さらりとカナトが様づけで呼ぶ。やっぱり彼は私を女神だと思ってるままらしい。
「お話が急過ぎて、何とお返事して良いものか。。。キュラス様には今しばらくお話し相手が必要だと先程理解しました。我が主人からもキュラス様のお力になるよう強く申しつけられておりますので、しばらくお世話になれればと。」
とりあえず、滞在はしたい。
「今はその返事で十分だよ。ゆっくり説得していくから。それと、1人じゃ寂しいでしょ?彼女もえいこの侍女として来る?」
「お願いします。」
私の返事に合わせて、ディナさんはスカートを持ち上げて礼をとった。
「ほな、俺らはとりあえず宿を拠点に他の仕事しとくか。」
サタナさんがジェード君と席を外そうとして、軍服おじ様が再起動した。
「待たれよ。某それがしはゾイと申す この国の軍人である。聞くところによるとサタナ殿とこの女子は恋仲との噂ではないか。にも関わらず、この国の皇太子の側に侍らせるなどとはどのような魂胆か?」
西洋ならナイトだろうに、この人喋り方が武士っぽい。
「流石将軍殿。市井の情報も掴んでおられるとは恐れ入りますなぁ。せやけど、この子のお話聞いてはりましたか?」
苦笑しながら、何でもないようにサタナさんが答えた。
「この子はシーマ様の命でここに留まるんですわ。キュラス様とシーマ様のご相談が済んだら、また俺が迎えに来ますよって。心配せんでも、この子は情にほだされるほど生易しいたちやないんで。」
「貴殿らの関係には大層自信がおありのようですな?」
「俺がフラれる事はあっても、彼女がキュラス様に靡く事はあらしまへんわ。」
ちょっと、それだと物凄く失礼でしょ?
いいねいいね、その表情。これで不必要に近づかれることは無いだろう。仕事はしたいけど、色恋沙汰は遠慮したい。
ふふふふん。と挑発するように笑うと、「なにそれ、からかってるつもり?」とキュラスは冷たい感じで微笑み返した。
「…、ところで、調査をしてもらう間、城に泊まってもらおうかと思ってるんだけど良いよね?」
情報を集めるなら、その方が効率が良い。承知すると、何か思惑のありそうな笑顔で「しゃあ、僕に任せてね。」と言いながら部屋から出た。
部屋では攻略対象4人と案内してくれた軍服のおじ様がお茶の前で待機していた。飲んでいればいいのに冷めちゃってもったいない。後は彼らに給仕しているソバージュのメイドさんと初老の女性が壁際に控えている。メイドさんは普通にモブなメイドさんっぽい、初老の女性は某魔法映画に出てくる厳格な魔法使いの先生にそっくり。何らかの重要キャラでしょ、あなた。
「おまたせ。えいこに話聞いてもらったら少しスッキリしたよ。シーマ様にも文を取り次いでもらえるみたいだし。」
そう言って私をエスコートして席に座らせ、キュラスはその隣に座った。待って、ここめっちゃ上座ですやん。
「それで、僕彼女が気に入っちゃったから側に置きたいんだよね。しばらく、ここに住んでもらう事にしたよ。」
唐突な告白に場が凍る。ワナワナしてる人やら表情ゼロの人やら。余裕顔の人は2人、サタナさんと魔法使い使い先生風の方。
「殿下!ご冗談が過ぎまするぞ。第一にアンナ様はいかがなされる?」
軍服のおじ様の声がフルフル震えている。怒りか焦りか。ところでアンナ様ってどなた?
「アンナの状態は知っているでしょ?当然彼女が婚約者である事は変わらないよ。まぁ、だからえいこがオッケーくれても公妾にしかしてあげられないんだけど。」
こうしょうって何?と小さい声で比較的近くにいたサタナさんに聞く。「公にしとる愛人や。」と答えられ、えっ?という驚きの声がつい口を突く。
「ごめんね。未来の王妃の座は用意できないけど、その分気楽だし、愛情は惜しまないよ。」
優しく言われたけど、その目は『さっきのお返し』と言っているようにしか見えない。
事件の真相を探っているのは身内には言いたくないらしい。それにしても、普通に客として側におくとか、いっそジェスターかなんかとして側に置けば良いものを。
ついでに、どうやらアンナというフィアンセもいるようだ。そんな設定知らないよ。
「えいこ様はどのようにお考えですか?」
さらりとカナトが様づけで呼ぶ。やっぱり彼は私を女神だと思ってるままらしい。
「お話が急過ぎて、何とお返事して良いものか。。。キュラス様には今しばらくお話し相手が必要だと先程理解しました。我が主人からもキュラス様のお力になるよう強く申しつけられておりますので、しばらくお世話になれればと。」
とりあえず、滞在はしたい。
「今はその返事で十分だよ。ゆっくり説得していくから。それと、1人じゃ寂しいでしょ?彼女もえいこの侍女として来る?」
「お願いします。」
私の返事に合わせて、ディナさんはスカートを持ち上げて礼をとった。
「ほな、俺らはとりあえず宿を拠点に他の仕事しとくか。」
サタナさんがジェード君と席を外そうとして、軍服おじ様が再起動した。
「待たれよ。某それがしはゾイと申す この国の軍人である。聞くところによるとサタナ殿とこの女子は恋仲との噂ではないか。にも関わらず、この国の皇太子の側に侍らせるなどとはどのような魂胆か?」
西洋ならナイトだろうに、この人喋り方が武士っぽい。
「流石将軍殿。市井の情報も掴んでおられるとは恐れ入りますなぁ。せやけど、この子のお話聞いてはりましたか?」
苦笑しながら、何でもないようにサタナさんが答えた。
「この子はシーマ様の命でここに留まるんですわ。キュラス様とシーマ様のご相談が済んだら、また俺が迎えに来ますよって。心配せんでも、この子は情にほだされるほど生易しいたちやないんで。」
「貴殿らの関係には大層自信がおありのようですな?」
「俺がフラれる事はあっても、彼女がキュラス様に靡く事はあらしまへんわ。」
ちょっと、それだと物凄く失礼でしょ?
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