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58-2 サタナさんの本気2

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しばらくして、ディナさんも帰ってきた。
「ジェードさんは多少挙動不審でしたが、街の男性方も同様の反応を見せていましたので、普通、なのかもしれません。は、もしや何か流行りのご病気かも?!」
ちょっと心配そうに報告された。サタナさんの手でアサシンの卵にはされちゃったけど、予想通り本人が何か企んでいるわけでは無いのだろう。そして、彼はまだ女性への技は習得してまい。

ディナさんも彼を心配する、と言うことは悪感情は抱かなかったはずだ。

しかし、彼女が美少女バージョンの時は天然200%マシマシになるみたい。脳筋って聞いたことあるけど、筋肉無い方がボケボケってなんだろう?ヒロイン補正?ジェード君は役得だったけど、違う意味で可哀想だったかも。明日を楽しみにしよう。
自分の身については考えないようにして、ディナさんとお喋りしていたら案外すんなり眠れた。




すーすーという二つの寝息を確認して、そっと布団を抜け出す。ドアを開けるとお目当ての人はそこに座っていた。良かった、どうやって呼び出そうかと思ってたんだ。

「こないな夜中にどしたんや?マリちゃん。」
こちらを一切見ずに書類を見ていたサタナ様が、的確に僕に呼びかけた。この闇に何匹使令を放っているんだろう。同時にこれだけ操って、まだ普通の魔人以上の魔力を操るなんて計り知れない。
『ママに中途半端に手を出さないで。』

サタナ様は、驚いた顔でこちらを見た。
『僕には時間が無いんだ。ママを一番に大事にしてくれる強い人に、僕がいなくなった後のママの事頼まないとダメなんだ。』
師匠ウランさまはダメ。ママより大事なお仕事がある。テルラ様はママを間違って攻撃した事があるし妙に頼りない。サタナ様は、知ってる中でこの先多分一番強い。
『ママを一番に出来ないなら、ママに好きになれみたいなこと言わないで。ママは、』
僕はママの本心を知っている。僕だけしか知らない。
『とても弱い人だから。#誑_たぶら__#かさないであげて。』

サタナ様は何も言わない。
『でも、もし、ママの事一番に出来そうなら、僕協力する。愛の証、捧げるくらいの覚悟出来たら、だけど。』ほんとは、僕がずっと守りたい。でも、出来ないから。

最後は気持ちが震えて、上手く魔力が言葉にならなかったかもしれない。一世一代の覚悟でぎっと見据えると、サタナ様は僕をひょいと持ち上げて机にのせた。
「それは、でけへん。俺は前の聖女、ひなた様に捧げてしもたからな。えいこサンに捧げたくても捧げられへんねん。」
びっくりして目玉が落ちるかと思った。
『え?でも、前の聖女は魔王様と?』
「せやな。俺も若かってん。手に入らへん相手でも捧げたい、捧げなあかんって思い込んでな、相手に確認もとらずに渡してしもた。めっちゃ怒られたわ。」

目を細めるサタナ様は意懐かしそうに微笑んでいた。
「えいこサンのことは、正直俺もどう思とるか分からん。好きか聞かれたら好きやけど、ひー様に感じたのとはちょっと違う。こうやって直談判に来るマリちゃんも『好き』やしな。ただ、」
手元の書類を見せた。
「文字、読めるか?」
『読めるよ。』
内容を見て今度こそ本当に目玉が落っこちたと思った。
「マリちゃんの後は俺がえいこサン引き受ける。」
真面目な告白に心臓がどきりとする。
「さっき話したんは、俺のご主人様と陛下しか知らんねん。だから、他の奴には内緒な?それと、」
コクコク頷くとサタナ様は声をひそめた。
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