77 / 192
58-2 サタナさんの本気2
しおりを挟む
しばらくして、ディナさんも帰ってきた。
「ジェードさんは多少挙動不審でしたが、街の男性方も同様の反応を見せていましたので、普通、なのかもしれません。は、もしや何か流行りのご病気かも?!」
ちょっと心配そうに報告された。サタナさんの手でアサシンの卵にはされちゃったけど、予想通り本人が何か企んでいるわけでは無いのだろう。そして、彼はまだ女性への技は習得してまい。
ディナさんも彼を心配する、と言うことは悪感情は抱かなかったはずだ。
しかし、彼女が美少女バージョンの時は天然200%マシマシになるみたい。脳筋って聞いたことあるけど、筋肉無い方がボケボケってなんだろう?ヒロイン補正?ジェード君は役得だったけど、違う意味で可哀想だったかも。明日を楽しみにしよう。
自分の身については考えないようにして、ディナさんとお喋りしていたら案外すんなり眠れた。
すーすーという二つの寝息を確認して、そっと布団を抜け出す。ドアを開けるとお目当ての人はそこに座っていた。良かった、どうやって呼び出そうかと思ってたんだ。
「こないな夜中にどしたんや?マリちゃん。」
こちらを一切見ずに書類を見ていたサタナ様が、的確に僕に呼びかけた。この闇に何匹使令を放っているんだろう。同時にこれだけ操って、まだ普通の魔人以上の魔力を操るなんて計り知れない。
『ママに中途半端に手を出さないで。』
サタナ様は、驚いた顔でこちらを見た。
『僕には時間が無いんだ。ママを一番に大事にしてくれる強い人に、僕がいなくなった後のママの事頼まないとダメなんだ。』
師匠はダメ。ママより大事なお仕事がある。テルラ様はママを間違って攻撃した事があるし妙に頼りない。サタナ様は、知ってる中でこの先多分一番強い。
『ママを一番に出来ないなら、ママに好きになれみたいなこと言わないで。ママは、』
僕はママの本心を知っている。僕だけしか知らない。
『とても弱い人だから。#誑_たぶら__#かさないであげて。』
サタナ様は何も言わない。
『でも、もし、ママの事一番に出来そうなら、僕協力する。愛の証、捧げるくらいの覚悟出来たら、だけど。』ほんとは、僕がずっと守りたい。でも、出来ないから。
最後は気持ちが震えて、上手く魔力が言葉にならなかったかもしれない。一世一代の覚悟でぎっと見据えると、サタナ様は僕をひょいと持ち上げて机にのせた。
「それは、でけへん。俺は前の聖女、ひなた様に捧げてしもたからな。えいこサンに捧げたくても捧げられへんねん。」
びっくりして目玉が落ちるかと思った。
『え?でも、前の聖女は魔王様と?』
「せやな。俺も若かってん。手に入らへん相手でも捧げたい、捧げなあかんって思い込んでな、相手に確認もとらずに渡してしもた。めっちゃ怒られたわ。」
目を細めるサタナ様は意懐かしそうに微笑んでいた。
「えいこサンのことは、正直俺もどう思とるか分からん。好きか聞かれたら好きやけど、ひー様に感じたのとはちょっと違う。こうやって直談判に来るマリちゃんも『好き』やしな。ただ、」
手元の書類を見せた。
「文字、読めるか?」
『読めるよ。』
内容を見て今度こそ本当に目玉が落っこちたと思った。
「マリちゃんの後は俺がえいこサン引き受ける。」
真面目な告白に心臓がどきりとする。
「さっき話したんは、俺のご主人様と陛下しか知らんねん。だから、他の奴には内緒な?それと、」
コクコク頷くとサタナ様は声をひそめた。
「ジェードさんは多少挙動不審でしたが、街の男性方も同様の反応を見せていましたので、普通、なのかもしれません。は、もしや何か流行りのご病気かも?!」
ちょっと心配そうに報告された。サタナさんの手でアサシンの卵にはされちゃったけど、予想通り本人が何か企んでいるわけでは無いのだろう。そして、彼はまだ女性への技は習得してまい。
ディナさんも彼を心配する、と言うことは悪感情は抱かなかったはずだ。
しかし、彼女が美少女バージョンの時は天然200%マシマシになるみたい。脳筋って聞いたことあるけど、筋肉無い方がボケボケってなんだろう?ヒロイン補正?ジェード君は役得だったけど、違う意味で可哀想だったかも。明日を楽しみにしよう。
自分の身については考えないようにして、ディナさんとお喋りしていたら案外すんなり眠れた。
すーすーという二つの寝息を確認して、そっと布団を抜け出す。ドアを開けるとお目当ての人はそこに座っていた。良かった、どうやって呼び出そうかと思ってたんだ。
「こないな夜中にどしたんや?マリちゃん。」
こちらを一切見ずに書類を見ていたサタナ様が、的確に僕に呼びかけた。この闇に何匹使令を放っているんだろう。同時にこれだけ操って、まだ普通の魔人以上の魔力を操るなんて計り知れない。
『ママに中途半端に手を出さないで。』
サタナ様は、驚いた顔でこちらを見た。
『僕には時間が無いんだ。ママを一番に大事にしてくれる強い人に、僕がいなくなった後のママの事頼まないとダメなんだ。』
師匠はダメ。ママより大事なお仕事がある。テルラ様はママを間違って攻撃した事があるし妙に頼りない。サタナ様は、知ってる中でこの先多分一番強い。
『ママを一番に出来ないなら、ママに好きになれみたいなこと言わないで。ママは、』
僕はママの本心を知っている。僕だけしか知らない。
『とても弱い人だから。#誑_たぶら__#かさないであげて。』
サタナ様は何も言わない。
『でも、もし、ママの事一番に出来そうなら、僕協力する。愛の証、捧げるくらいの覚悟出来たら、だけど。』ほんとは、僕がずっと守りたい。でも、出来ないから。
最後は気持ちが震えて、上手く魔力が言葉にならなかったかもしれない。一世一代の覚悟でぎっと見据えると、サタナ様は僕をひょいと持ち上げて机にのせた。
「それは、でけへん。俺は前の聖女、ひなた様に捧げてしもたからな。えいこサンに捧げたくても捧げられへんねん。」
びっくりして目玉が落ちるかと思った。
『え?でも、前の聖女は魔王様と?』
「せやな。俺も若かってん。手に入らへん相手でも捧げたい、捧げなあかんって思い込んでな、相手に確認もとらずに渡してしもた。めっちゃ怒られたわ。」
目を細めるサタナ様は意懐かしそうに微笑んでいた。
「えいこサンのことは、正直俺もどう思とるか分からん。好きか聞かれたら好きやけど、ひー様に感じたのとはちょっと違う。こうやって直談判に来るマリちゃんも『好き』やしな。ただ、」
手元の書類を見せた。
「文字、読めるか?」
『読めるよ。』
内容を見て今度こそ本当に目玉が落っこちたと思った。
「マリちゃんの後は俺がえいこサン引き受ける。」
真面目な告白に心臓がどきりとする。
「さっき話したんは、俺のご主人様と陛下しか知らんねん。だから、他の奴には内緒な?それと、」
コクコク頷くとサタナ様は声をひそめた。
0
お気に入りに追加
1,000
あなたにおすすめの小説
転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました
平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。
騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。
そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。
異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。
木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。
時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。
「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」
「ほう?」
これは、ルリアと義理の家族の物語。
※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。
※同じ話を別視点でしている場合があります。
破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました
平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。
王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。
ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。
しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。
ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる