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47-2 幕が下りて

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結局光の国の皇子本人とその腹心であるヒノト君が転送円で帰り、魔法文字に詳しい文官とその護衛に武官が残ったようだ。彼らも急いで帰るそうなので安全ケース付きで魔力の結晶を渡された。自国の領に入ったら転送円を使えるように。

ゲームの中では大地くんの戴冠パーティに同じような理由でキュラス君とヒノト君が呼ばれ、その間に同じ事件が起きている。私は、と言うか闇の国の陣営はあちらの国には関与出来なかったし、仕方のない事だった。全く何も感じない訳じゃ無い。もし、私があちらで保護されていたら違っていたかもしれないとは思う。
でも、知ってる攻略対象は腹黒皇子に女神信者と皇子信者。女神どころか聖女でも無い私はきっと保護され無いでしょう。てか、こちらでも大地くんがいたからだし。
思い悩んだ所で結果は変わらなくて、自分が納得したいだけなんだから、考えない事にする。


「えいこ様のおっしゃった通りの事が起きて驚きました。」
興奮冷めやらぬシャルさんがうっとりしている。
「流石は天使様と言ったところじゃの。」

事前に、もしあちらの国で事故などが起きたらどうするのかをサンサンに聞いていたのだ。サンサンは何としても帰してやる、と即答した。念のためにモートンさんに暗殺が起きる事は事前に話しておいたが、その時点で既にウランさんは陛下の気持ちを見越して研究所に下準備をしていた。
ウランさんは質の良い光の結晶は足りないけれど、こういう時の贈り物は結晶であるはずですから、とも言っていた。

つまり、私は本当に良いとこどりをしただけである。
サンサンと生身のウランさんがいた事で、ゲームと違い死に目には会えた筈だ。即死でなければ魔法でなんとかなりそうな気もするが、魔法で何とかなるラインを超えると必死と言うらしい。

脇の下に締めていた帯を緩めると、どっと顔や頭から汗が出た。
「本当に不思議ですわね。そんな所を締めたら、顔に汗をかかないなんて。」
ディナさんがタオルと飲み物を渡してくれた。
「私の国ではポピュラーでは無いけど、ここを締める服があるんですよ。それを着る人に教えてもらったんです。」
成人式に着物を着た時、着付師さんが昔の舞妓さんが夏でも化粧か崩れなかった理由として教えてくれたのだ。
しかし、素人の締め方であんなワルツだったので少し化粧はとれてしまった。ベールしていて良かった。

「いやー、事前にキュラス様がえいこサン呼び出すあたりまで読んではったさかい、焦らんと『変な事』せんで良かったわー。」
「あいつが『変な事』しかけてたけどな。えいこサンに任せたんだからって、すっげぇ我慢した。」
サタナさんの『変な事』は絶対大地くんの言う『変な事』と次元が違うと思うけど、大地くんが信じて我慢してくれて助かった。大地くんは護衛として私に、シャルさんとディナさんはそれぞれキュラス君とヒノト君の監視で付いてくれていた。

「えいこサンはそのくらいのお化粧だと、とっても可愛いなぁ。魔女もそれじゃあダメだったのか?」
汗を拭いている私に声がかかる。

「目が多少違いますが、これだとほぼ変装の意味ありませんし、えいこサンはそのままでもお可愛らしいでしょう。」
後始末も全て段取りをつけてウランさん達もやってきたようだ。
「みんな、今日は頑張ってくれたな!明日からも後片付けとかあるけど、とりあえず光の国が落ち着くまでは大きな仕事は無ねぇ。ちょっとゆっくりしよーだな。」
サンサンが皆をねぎらう。

それはいい。トップからそう言う気遣いがあるのと無いのでは全然違う。問題は場所だ。

「ところで、何でみんな私の部屋に居るんですか?」
もう夜は結構遅いよ?ここ女子の部屋よ?
なんでここで総括されてるの?それに、

「お風呂に入りたいんですけど?」

服をすでに緩めている私を見て、全員一目散で出て行った。奴らめ、無自覚だったか。
シャルさん達まで行っちゃった。

私は緩めた服の中で丸まって寝てしまっているマリちゃんをベッドに運んで、お疲れ様とありがとうのキスをした。
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