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43-1 根回し開始

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すぐさま光の国に打診され、招待状が送られた。開催は1ヶ月後との事。すばやい。
魔女の披露宴には光の国の王室代表と各都市の代表者、闇の国は更に外殿で働く各業務の長が出席するそうだ。

顔見知りの研究者さん達や内殿のメイドさん達には箝口令と必要に応じて噂を流してもらい、準備完了。

さあ、根回し根回し。

お披露目で相手側に『これは困った魔女だ。』と思って貰わないとダメだけど、身内のお偉方からサンサンの手に余っていると思われてはいけない。

シャルさん達を引き連れて、まずは研究所のマリスの学校へ。
「侍女が世話になったと聞いているゆえ、挨拶に参った。」
そう言いつつ、伸び伸びになっていたマリスの早期教育法を伝授する。もっと早くに来れれば良かったんだけど、ここに来る口実になって助かった。
ここの研究者達は権力にあまり興味が無い人が多いので、事務方の役職持ちが出て来るのを待つ。魔法や教育関連の政治家は比較的に地位が高い、しかも今のトップは現役のたたき上げ。えいことしてここで過ごした知識を総動員して、顔を繋ぎたい。まずは課長か部長かと思っていたら、
「魔女さまがお越しとの事、ご挨拶させていただきたい。」
「魔法教育機関長ジーク様です。」こそっとディナが耳打ちする。
超大物が釣れた。
「こちらこそご多忙中、御目文字おめもじ叶って光栄だ。」

は、名前!名前考えてなかった!

「…シーマと言う。」
「私は魔法教育機関長のジークです。お見知り置きを願いたいものですな。」
変な間は流してもらえた。ロマンスグレーには少し若いか、人で言うと40後半くらいに見える男性は威厳たっぷりに微笑む。

ここで問題です。教育スキル以外に
幼児教室で必要なスキルとはなんでしょう?
3
2
1
ゼロ

それは保護者様とのコミュニケーション能力。
幼児の知育に熱心なお母様とお金を払う地位の高いお父様。幼児教育は結果が直ぐに出にくいから、ご両親と円満な関係を築けるかどうかに掛かってるのだ。

果たして幼児教室で培ったノウハウが役に立つかは分からんけどやるしか無い。

教育系や公務員系の地位が高い人は大体話が上手い。
ミラーリング効果を意識しながら、楽しそうに話を聞く。ここぞというところで、睨まないよう柔らかく目元に視線を合わせる。疑問点はバンバン聞くが、知らない事は教えてもらうという態度で攻めつつ、女子の『さしすせそ』も忘れない。あれ、お水の花道みたくなってきたぞ?

「まだまだ魔法は使いこなせぬでな。ジーク殿は教鞭も取られていたと聞く。コツを教えてもらえぬだろうか?」
相手の名前を会話に入れる。簡単な頼み事をする。マニュアル的には高ポイントの筈だ。
「そうですな。やはり先ずは魔法文字を覚えられるのが遠回りに見えて一番でありましょう。」
魔法文字とは結界や魔法陣などに使われている文字で漢字みたいなものだ。魔法を錬成するのにも使用するらしい。
「魔法文字…。」
シャルさんから事前に用意させていた紙とペンを借り、いくつか描いてみせる。
「今は50ほどは描けるが、その先の錬成が難しい。」
マリちゃんが勉強する時に私も覚えたので、描けはする。
「ほう、シーマ様はこちらにいらしてまだ一月も経たずにそれだけ覚えられていらっしゃるのか!素晴らしい。こちらの学生ですと、数ヶ月はかけておりますよ。」
「ジーク殿に褒めていただけるのは光栄だが、コツがあるのだ。」
薔薇と紙に書いて見せる。
「この漢字は書けるか?」
「薔薇ですか、読めますが書くのは。」
「では、目を瞑っても文字が浮かぶくらいまで見て貰えるかえ?」
「ええ、…。はい、大丈夫です。」
「では書いてみてくれ。」
「…。書けました。」
「この要領で覚えたものは忘れにくい。一度で書けなければ、もう一度見て覚えるのだ。決して見ながら書いてはいけない。」
ついでに35ミニッツ・モジュールも伝授する。
「実は向こうの世界では学生だったのでな。出来ればこちらの教育も知りたいと思っていた。」
ジークさんは驚きをすぐ引っ込めて、何か考え込んでいる。
「今度学校の方にお邪魔しても構わぬか?」
「え、ええ、是非いらして下さい。」

上々の反応だったので、今日は引く。
その後、あまり行ったことの無い外殿、内殿の各場所に顔を出して声を掛けた
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