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23 はじめまして、服を脱げ

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「うんうん。よろしい。では、お待ちどう様でした。さぁ、どうぞ」

 入って来たポーズのまま成り行きを見守ってくれていたウランに水を向けた。

「え、ええ。まずはテルラ殿、確認もせず私室に入ってしまい申し訳ありません。急を要していましたので。まぁ、解決したようですが」

 ウランはちらりと大地君を見る。大地君は心当たりがあるらしく、怒りたいけど怒れないといった面持ちだ。

「それから、えいこサンと仰いましたか?ご挨拶が遅れましたが、私はウランと言います。先程は仕事が立て込んでおりましたので十分な説明もせず失礼しました。テルラ殿から説明があったと思いますが、敵意は無くとも、ついうっかりで貴女を壊す可能性のある者も居ますので、城内を歩かれる必要がある場合は、シャルロッテとディアナを連れて下さい。シャル、ディナ」
「「御用の際は何なりとお申し付けください」」

 挨拶されて初めてウランの後ろに彼女達が控えているのに気がついた。インパクトあるはずなのに気づけないとか、気配を消していたというやつね。なかなかの使い手と見た。とりあえず、ムキムキメイドさんのお名前情報ゲットだぜ!私は丁寧に二人に頭を下げた。

「ありがとうございます。シャルロッテさん、ディアナさん、よろしくお願いします」
「ふぅん、面白い子ですね。彼女達はプロのメイドですから、もっと下に扱っても大丈夫ですよ?」
「私は彼女達にお世話になる側ですし、彼女達のボスでも無いので普通だと思います。不躾ですが、私は貴方をどのように呼んだら良いかお聞きしてもいいですか?」

 記憶の中では当時ウランは魔王に次ぐ地位だったはず。こわいよー。

「……そうですね、通常ですと様をつけてい呼ばれる事が多いですが、お立場を考えるとさん付け辺りが妥当かと……」

 ウランさんは再びちらりと大地君を見た。その顔は先程と違って、いたずらっ子の笑みのようだった。

「ウランと呼び捨てていただいても結構です。次期王陛下も呼び捨てでいいのですよ?」
「冗談!ウランさんの方が使える魔力強いし、技術も高い、うちのNo.2だろ。何で俺が次期王陛下なんだよ」
「現魔王がお望みだからですよ。力もすぐに私を抜くでしょう。いやあ、我が国は安泰ですね。私、引退したら研究所に籠るんです」

 ウランさんがにっこり笑って私を見る。にっこりすぎて意味深に見えるわ。

「現在は世襲制ではありませんが、強い力を残すのも王の務めだと思いませんか?個人的には順番は気にしないので、応援します。手伝える事があればなんなりと?」

 私は順番気にするタイプです。って違う。そうじゃない。なんなりと、言われたのでそれでは遠慮無く。

「では、質問したい事があるのですがお時間頂けますか?五分ほど」
「その程度でしたら、今どうぞ」
「先ほどテルラさんから、器の無い非生物は魔法への抵抗性が無いと聞きました。人の魔法抵抗性を高める方法はありませんか?」
「通常の人間や魔人の抵抗性をあげる方法はあります。しかし、受ける側の魔法への防御力を一時的に五割ほど上げる方法ですので」
「もともとゼロでは、使えないのですね」
「ええ」

 まぁ、大地君もその辺りは調べてるでしょう。ついでに、

「では、公共の建物やお城はどうなっているんですか?」

 うっかりでガラスみたいに壊れる建築物なんて嫌すぎる。

「建物全体に堅固付加や魔力防御の魔法を施します。術者より上位の力がないと破れないので、我が城は陛下がいらっしゃる限りは安全ですよ」
「それ、かけてもらえませんか」
「「え?」」

 あ、そうか。すごい準備が大変かもしれないから、ちょっと控えめにお願いしておこう。

「あの、お時間とか力の量とか、可能でしたらで結構ですので、でも、できたらお願いします」
「……建物用の魔法を人にかける発想がありませんでした。いかがいたしましょうか?テルラ殿」

 大地君は眉間を揉んでいる。どうやらその術自体は難しくなさそう。

「そもそもできるのか?危険は?」
「まぁ、前例は無いでしょうねぇ。普通は人にかけようとしてもレジストされますから。理論的にはかけられるはずですし……理論上は危険因子は無いですね。
最終的にはやってみないとなんとも」

 「後はテルラ殿のお気持ちですかねぇ」とウランは若干楽しそうに大地君を見た。

「えいこサンは?」
「その条件なら受けたい」

 心の奥まで見るような眼差しが私を貫く。怯んだら却下される。閉じ込めておく選択肢はまだ消えてないし、それはほんとに困るんです。

「はぁ……ウランさん、こいつに付与してもらってもいいか?」

 大地君は諦めたように息を吐いた。

「おや、テルラ殿がかけるのでは?」
「不本意だが、現状、強いのも上手いのもあんただろ。頼む」
「では、ちゃちゃっとやってしまいましょうか」

 よしっと心の中でガッツポーズをしていたら、ウランさんがこちらを向いて予想外の言葉を発した。

「それでは、服を脱いでもらえますか?」
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