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√ナルニッサ44
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あれは酷い。酷すぎる主人だ。
助けてもらって、呼びつけておいてからの完全拒否。最悪。ナルさん泣かせたくないとか言いながら、やってる事は鬼畜そのもの。
横になれば寝れてしまう状態から大分マシになったのか、どっぷりと夜が更けてから、目は覚めてしまった。
「アンズ?」
アンズも寝ているのか、返事のモゴモゴも無い。
身体の痛みもほとんど感じ無い。驚異的な回復力。雨情は加護について呪いだと言っていたけど、この回復力が無ければ私は死んでいたと思う。
ふと、ナルさんはもしかしてこの部屋の隣にいるかもしれないと思った。城の改築あれこれを指示しているのはリオネット様で、王都の屋敷をそういう作りにしたのもリオネット様だ。
だったらこちらの城も同じかもしれない。
「ナルさん?起きてる?」
「起きてございます。不都合ありましたら何なりと」
もし横の部屋にいて、音が筒抜けタイプの部屋だったとしても寝てるかもしれない。そう思って、ほんの小さな声で呼びかけたのに、ナルさんから返事が来た。
「不都合は無いよ。でも、少しだけ話に付き合ってもらえたら嬉しい」
「御心のままに」
ナルさんの声で相変わらず、心臓は大暴れだ。だけど、壁を隔てているせいか少しくぐもっていて、耐えられなくは無い。これなら話せる。
「今日はごめんね。呼びつけたのにあんな態度で」
「いえ、私めのスキルのせいですのでお気遣い無く。それより、お呼びくださった事を、嬉しく思います」
「うん、会いたかった。リオネット様に止められてたのに、どうしても。……、森で倒れてたの、助けてくれたのナルさんだよね」
「はい、近くまでたどり着いていたので鳥の使令が戻り、すぐに参る事ができました」
「ありがとう。チュンチュンがずっと私に魔力を届けてくれてたの、あの時分かったよ」
「……使令が離れ、あなたと途切れたのを感じた時は心臓が凍るかと思いました」
壁の、ナルさんの声が聞こえてくる所に手を置いた。ナルさんの声は震えていた。
「ナルさん、ずっと会いたかった。今も早く会いたい。だから、今日無理しちゃった」
「……カリン様。私もお会いしたいです」
壁に置いた手に彼の温もりを感じる様な気がする。感じたい。今も触れたいと思うほど、私はナルさん中毒らしい。話せば話すほど、胸の奥が苦しくなって、それでも不思議と幸せな温かさも溢れてくる。
色香のスキルは侮り難し。それでも今も身体が治り続けているのか、衝動性は……、夜中なのについ話したいと言ってしまったほどの衝動性は落ち着いていくのを感じてる。
「あなたを抱きしめて、無事である事を確かめたい。森であなたを抱えた時、あなたは儚くなりそうで」
「うん」
「お側を一時離れた罰とはいえ、私には耐えられるものではありませんでした。だから、今もお側に侍りたくて……堪らない」
「うん、私も」
かってに居なくならないと言う針千本の約束を私も破ったのだから、私にとっての罰でもある。顔を見れないのが苦しい。それくらいに会いたい。
……でも実際会って、ハグされればきっと死ねる。
「だから、頑張って早く治すね。それまで、もう少し」
「わかり、ました」
素直に伝える事で、もしかしたらナルさんを困惑させてるかも知れない。でも、会いたいけど会えないのは本心で、それを、きちんと伝えておきたい。顔を合わせられないからこそ、嘘はつきたくなかった。
「ナルさん、寝れてる?」
「いえ……」
ですよね。私を大事にしてくれている彼が、私が意識を戻さない間熟睡していたとは思えない。回復して、ようやく気苦労が減った所に寝させない自分は、やはり鬼では無いかと思い始めた。
「そろそろ寝よっか」
「……実は、カリン様がお隠れになった日からほとんど……、今も眠れずにおりました」
思った以上に重症すぎた。
「え?2ヶ月以上?」
「はい、昼間、立ったままでしたらなんとか」
え、死ぬよ、それ。不眠症ってレベルじゃ無く無い?
「寝て。寝てください。今すぐ。命令です」
「ですが……」
「ナルさんが寝るまでここにいる。ベットに入って目を瞑って、そしたら子守唄歌ってあげるから」
「……分かりました」
「私が完全に治ったら、寝かしつけしてあげるからね。今はこれで我慢して。ナルさんが心配で、私が寝られない」
「我慢など……身にあまる幸せです」
そこから30分程歌ってしまった。なんだか私も眠たくなって、「おやすみ、ナルさん」と声をかけた時にはもう返事は無かった。
助けてもらって、呼びつけておいてからの完全拒否。最悪。ナルさん泣かせたくないとか言いながら、やってる事は鬼畜そのもの。
横になれば寝れてしまう状態から大分マシになったのか、どっぷりと夜が更けてから、目は覚めてしまった。
「アンズ?」
アンズも寝ているのか、返事のモゴモゴも無い。
身体の痛みもほとんど感じ無い。驚異的な回復力。雨情は加護について呪いだと言っていたけど、この回復力が無ければ私は死んでいたと思う。
ふと、ナルさんはもしかしてこの部屋の隣にいるかもしれないと思った。城の改築あれこれを指示しているのはリオネット様で、王都の屋敷をそういう作りにしたのもリオネット様だ。
だったらこちらの城も同じかもしれない。
「ナルさん?起きてる?」
「起きてございます。不都合ありましたら何なりと」
もし横の部屋にいて、音が筒抜けタイプの部屋だったとしても寝てるかもしれない。そう思って、ほんの小さな声で呼びかけたのに、ナルさんから返事が来た。
「不都合は無いよ。でも、少しだけ話に付き合ってもらえたら嬉しい」
「御心のままに」
ナルさんの声で相変わらず、心臓は大暴れだ。だけど、壁を隔てているせいか少しくぐもっていて、耐えられなくは無い。これなら話せる。
「今日はごめんね。呼びつけたのにあんな態度で」
「いえ、私めのスキルのせいですのでお気遣い無く。それより、お呼びくださった事を、嬉しく思います」
「うん、会いたかった。リオネット様に止められてたのに、どうしても。……、森で倒れてたの、助けてくれたのナルさんだよね」
「はい、近くまでたどり着いていたので鳥の使令が戻り、すぐに参る事ができました」
「ありがとう。チュンチュンがずっと私に魔力を届けてくれてたの、あの時分かったよ」
「……使令が離れ、あなたと途切れたのを感じた時は心臓が凍るかと思いました」
壁の、ナルさんの声が聞こえてくる所に手を置いた。ナルさんの声は震えていた。
「ナルさん、ずっと会いたかった。今も早く会いたい。だから、今日無理しちゃった」
「……カリン様。私もお会いしたいです」
壁に置いた手に彼の温もりを感じる様な気がする。感じたい。今も触れたいと思うほど、私はナルさん中毒らしい。話せば話すほど、胸の奥が苦しくなって、それでも不思議と幸せな温かさも溢れてくる。
色香のスキルは侮り難し。それでも今も身体が治り続けているのか、衝動性は……、夜中なのについ話したいと言ってしまったほどの衝動性は落ち着いていくのを感じてる。
「あなたを抱きしめて、無事である事を確かめたい。森であなたを抱えた時、あなたは儚くなりそうで」
「うん」
「お側を一時離れた罰とはいえ、私には耐えられるものではありませんでした。だから、今もお側に侍りたくて……堪らない」
「うん、私も」
かってに居なくならないと言う針千本の約束を私も破ったのだから、私にとっての罰でもある。顔を見れないのが苦しい。それくらいに会いたい。
……でも実際会って、ハグされればきっと死ねる。
「だから、頑張って早く治すね。それまで、もう少し」
「わかり、ました」
素直に伝える事で、もしかしたらナルさんを困惑させてるかも知れない。でも、会いたいけど会えないのは本心で、それを、きちんと伝えておきたい。顔を合わせられないからこそ、嘘はつきたくなかった。
「ナルさん、寝れてる?」
「いえ……」
ですよね。私を大事にしてくれている彼が、私が意識を戻さない間熟睡していたとは思えない。回復して、ようやく気苦労が減った所に寝させない自分は、やはり鬼では無いかと思い始めた。
「そろそろ寝よっか」
「……実は、カリン様がお隠れになった日からほとんど……、今も眠れずにおりました」
思った以上に重症すぎた。
「え?2ヶ月以上?」
「はい、昼間、立ったままでしたらなんとか」
え、死ぬよ、それ。不眠症ってレベルじゃ無く無い?
「寝て。寝てください。今すぐ。命令です」
「ですが……」
「ナルさんが寝るまでここにいる。ベットに入って目を瞑って、そしたら子守唄歌ってあげるから」
「……分かりました」
「私が完全に治ったら、寝かしつけしてあげるからね。今はこれで我慢して。ナルさんが心配で、私が寝られない」
「我慢など……身にあまる幸せです」
そこから30分程歌ってしまった。なんだか私も眠たくなって、「おやすみ、ナルさん」と声をかけた時にはもう返事は無かった。
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