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Ⅳ
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「これで良いかしら?」
サマンサは鏡に映る自分の姿を確認して、誰にも見つからないようにそっと部屋を出る。
屋敷を歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「ちょっとあなた、そこで何をしているの?」
振り返ると、タスマン家の女中が怖い顔でサマンサを睨みつけていた。
「なんだ、新しく入ったばかりで配属先がわからなかったの?さぼっているのかと思ったわ。それなら私と同じ所に来なさいよ。人手が足りていないの」
そう言ってサマンサの腕を引っ張るのはナタリー。サマンサよりも歳上で、ずっとタスマン家の女中をしていると言う。
「ありがとう。どうしたらいいのかわからなくて困っていたの」
サマンサの部屋のクローゼットには、何故か女中の制服がたくさん掛けられていた。
化粧をしないで髪を簡単にまとめて制服を着たサマンサは、どこからどう見ても地味な女中。
サマンサは『サミー』と名のり、ナタリーと一緒に屋敷の掃除や食事の準備などをするようになる。
夜会に出掛ける時の、化粧をしている顔とは違うという事もあるのだが
クロードに認められていない夫人の顔を覚えている使用人はいないし、極力顔を見ないようにしていた。
誰もサミーがサマンサだと気付かない。
サマンサは10歳になってから孤児院に通うようになり、
子供たちと遊ぶ他にも、掃除や食事の手伝いをしていた。
難なく女中の仕事をこなすサマンサをナタリーは感心して見ていた。
「入ったばかりなのに凄いわね。前にも女中の仕事をしていたの?」
「働くのは初めてよ。でも、以前から孤児院に行ってお手伝いをしていたの」
サマンサはそう言って屋敷の掃除を続ける。
ナタリーと一緒に持ち場の掃除を終え、二人は昼食を食べに食堂に向かった。
「ここが私達の休憩室よ。交代で休憩して、それぞれご飯を食べるの。ここの賄いは美味しいからサミーも驚くわよ」
「まぁ、楽しみだわ。昨日から何も食べていないから、お腹が空いていたの」
最初は侍女も女中もサマンサの部屋に来ていたのだが、昨日から誰も来なくなったのだ。
食事抜きには経験があるから1日くらいは大丈夫だと思ったサマンサだったが、丸1日と2日は辛い。
今日の朝食の時間になっても誰も来ないので、夫人として食事を貰いに行くのは体裁が悪いと考えた。
女中の制服を来て食堂に行こうとしていたらナタリーに声をかけられて、その流れで一緒に掃除をする事になったのだ。
「侍女長の話を聞いていなかったの?決まった時間にここに来ないと、食事は貰えないのよ」
ナタリーは食事を持ってテーブルに座る。
「あ、ナタリーも休憩だったんだ」
同じ休憩時間だった他の女中達が同じテーブルに座った。
「あれ?見ない顔ね。新しい子?」
ナタリーの前に座るサミーに話しかける。
「この子はサミーよ。今日からなの。仕事はできるけど、ドジで持ち場も食事の場所も忘れちゃったのよ」
ナタリーがサマンサの代わりに紹介してくれた。
自己紹介をして、みんなで食事をしながら話をしていると
女の集まりで話題になるのは、やっぱり噂話。
「ねぇ、奥様の話聞いた?」と、誰かがひそひそと話しだした。
ドキッとするサマンサ。
「聞いたわ。3度も婚約が破断になったんでしょう?」
ナタリーが楽しそうに答える。
「一人目は婚約者に我が儘ばかり言って、困らせていたんですって。その方の新しい女性は奥様と真逆の大人しい令嬢らしいわよ」
我が儘を言っていたのは、あの方だった気が…
二重人格と言われて白紙になったのよね……
「二人目の婚約者には、毎日のように贈り物を強請っていたそうよ。友人の令嬢が見兼ねて、その方を庇ったんですって」
宣伝の為に身に着けて欲しいと言われたのよね…
庇ったんじゃなくて、奪われたんだけど……
「三人目の婚約者は、男爵なんて嫌だと言って辛く当たっていたって聞いたわ。幼馴染の令嬢が慰めているうちに、二人の間に愛情が芽生えて結ばれたそうよ」
辛く当たっていたかしら…?
浮気されて、子供まで出来てしまったのよね……
サマンサは女中達の脚色された噂話を聞いて、唖然としていた。
「とんでもない人が奥様になってしまったのね…」
ナタリーがため息を吐いて言う。
「侍女たちは世話に行かないそうよ。私達も掃除や食事の配膳をしなくても良いと言っていたもの。今朝は私が当番だったけど、行かなかったわ」
「何も言われていないけど、二人は白い関係なんでしょう?それに、世話をして我が儘を言われるくらいなら、いっその事近寄らない方が良いわよね」
女中達の話を聞いて、サマンサは女中の制服があって良かったと思った。
そうでなければ、今日も食事にありつけ無かっただろう。
奥様の噂話を他にも聞いた後
午後からは別の場所の掃除をして、夕食をナタリー達と食べ、サマンサの1日が終わった。
サマンサは毎日仕事をして、ナタリー以外の女中達とも仲良くなっていく。
そんなある日、ナタリーがサマンサに尋ねた。
「サミーって毎日働いてない?お休みは貰っているの?まさか、休日も忘れちゃったの?」
「いつお休みしたら良いのかしら…?」
ナタリーは慌ててサミーを侍女長の元へ連れて行こうとする。
「大丈夫よ。お忙しい侍女長を煩わせてはいけないわ」
サマンサはナタリーを止めようとした。
侍女長に自分の存在が露見してしまえば、今までのように働けないし、食事も貰えなくなる。
死活問題だった。
「良いから!これは大事なことよ。お給料の事もちゃんと聞いていないんでしょう?」
ナタリーは嫌がるサマンサを無理矢理引っ張った。
「侍女長、こちらのサミーが休日や給料の事を忘れてしまったようなんです」
侍女長はサマンサを見つめた。
「サミー…?あなたはいつからここに居るの?」
「サミーは先週から私と女中の仕事をしています」
ナタリーがサマンサの代わりに答える。
侍女長はサマンサの顔をじっと観察した。
(どうしましょう。私だと気付いてしまったわよね?)と、焦るサマンサ。沈黙が長く感じた。
「それは申し訳ない事をしたわね。ナタリーと同じ日の休日でいいわよ。さぁ、仕事に戻りなさい」
侍女長に気付かれることなく、サマンサは無事に休日を貰えたのだった。
初めての休日、サマンサは女中の制服を着て孤児院まで向かった。
クローゼットには普段着が置かれていなかったのと、普通の洋服を着て自分がサマンサだと気付かれないようにする為だ。
「サマンサ?その格好はどうしたの?」
エマは驚いていた。
公爵家に嫁いだはずのサマンサが、女中の格好をしている。
嫁いだばかりで忙しくて、孤児院に来る時間もないんだろう。
サマンサが幸せになってくれればそれで良い。
そう思っていたのに、公爵家も人は無理矢理サマンサを働かせているのではないか?
サマンサは無理をしていないか?
エマは心配だった。
「今日はお休みを頂いたから、孤児院に来れたの」
そう言ったサマンサはとても嬉しそうで…
「無理矢理働かされているの?」と聞いても、サマンサは楽しそうに笑っていた。
「好きに過ごしても良いと言われたの。だから女中の仕事を始めたのよ?お友達もできて、とても楽しいわ」
サマンサが嘘をついているようには見えない。
聞きたいことが色々とあるエマだったが、サマンサが心から笑っているならそれで良い。
でも、掃除の腕が格段に上がっている。
サマンサは公爵夫人になったのに…
「また来週来るわね。お給金を貰えたら、お土産を買ってくるわ」
笑顔で帰って行くサマンサを、エマは不安な気持ちで見送った。
サマンサは鏡に映る自分の姿を確認して、誰にも見つからないようにそっと部屋を出る。
屋敷を歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「ちょっとあなた、そこで何をしているの?」
振り返ると、タスマン家の女中が怖い顔でサマンサを睨みつけていた。
「なんだ、新しく入ったばかりで配属先がわからなかったの?さぼっているのかと思ったわ。それなら私と同じ所に来なさいよ。人手が足りていないの」
そう言ってサマンサの腕を引っ張るのはナタリー。サマンサよりも歳上で、ずっとタスマン家の女中をしていると言う。
「ありがとう。どうしたらいいのかわからなくて困っていたの」
サマンサの部屋のクローゼットには、何故か女中の制服がたくさん掛けられていた。
化粧をしないで髪を簡単にまとめて制服を着たサマンサは、どこからどう見ても地味な女中。
サマンサは『サミー』と名のり、ナタリーと一緒に屋敷の掃除や食事の準備などをするようになる。
夜会に出掛ける時の、化粧をしている顔とは違うという事もあるのだが
クロードに認められていない夫人の顔を覚えている使用人はいないし、極力顔を見ないようにしていた。
誰もサミーがサマンサだと気付かない。
サマンサは10歳になってから孤児院に通うようになり、
子供たちと遊ぶ他にも、掃除や食事の手伝いをしていた。
難なく女中の仕事をこなすサマンサをナタリーは感心して見ていた。
「入ったばかりなのに凄いわね。前にも女中の仕事をしていたの?」
「働くのは初めてよ。でも、以前から孤児院に行ってお手伝いをしていたの」
サマンサはそう言って屋敷の掃除を続ける。
ナタリーと一緒に持ち場の掃除を終え、二人は昼食を食べに食堂に向かった。
「ここが私達の休憩室よ。交代で休憩して、それぞれご飯を食べるの。ここの賄いは美味しいからサミーも驚くわよ」
「まぁ、楽しみだわ。昨日から何も食べていないから、お腹が空いていたの」
最初は侍女も女中もサマンサの部屋に来ていたのだが、昨日から誰も来なくなったのだ。
食事抜きには経験があるから1日くらいは大丈夫だと思ったサマンサだったが、丸1日と2日は辛い。
今日の朝食の時間になっても誰も来ないので、夫人として食事を貰いに行くのは体裁が悪いと考えた。
女中の制服を来て食堂に行こうとしていたらナタリーに声をかけられて、その流れで一緒に掃除をする事になったのだ。
「侍女長の話を聞いていなかったの?決まった時間にここに来ないと、食事は貰えないのよ」
ナタリーは食事を持ってテーブルに座る。
「あ、ナタリーも休憩だったんだ」
同じ休憩時間だった他の女中達が同じテーブルに座った。
「あれ?見ない顔ね。新しい子?」
ナタリーの前に座るサミーに話しかける。
「この子はサミーよ。今日からなの。仕事はできるけど、ドジで持ち場も食事の場所も忘れちゃったのよ」
ナタリーがサマンサの代わりに紹介してくれた。
自己紹介をして、みんなで食事をしながら話をしていると
女の集まりで話題になるのは、やっぱり噂話。
「ねぇ、奥様の話聞いた?」と、誰かがひそひそと話しだした。
ドキッとするサマンサ。
「聞いたわ。3度も婚約が破断になったんでしょう?」
ナタリーが楽しそうに答える。
「一人目は婚約者に我が儘ばかり言って、困らせていたんですって。その方の新しい女性は奥様と真逆の大人しい令嬢らしいわよ」
我が儘を言っていたのは、あの方だった気が…
二重人格と言われて白紙になったのよね……
「二人目の婚約者には、毎日のように贈り物を強請っていたそうよ。友人の令嬢が見兼ねて、その方を庇ったんですって」
宣伝の為に身に着けて欲しいと言われたのよね…
庇ったんじゃなくて、奪われたんだけど……
「三人目の婚約者は、男爵なんて嫌だと言って辛く当たっていたって聞いたわ。幼馴染の令嬢が慰めているうちに、二人の間に愛情が芽生えて結ばれたそうよ」
辛く当たっていたかしら…?
浮気されて、子供まで出来てしまったのよね……
サマンサは女中達の脚色された噂話を聞いて、唖然としていた。
「とんでもない人が奥様になってしまったのね…」
ナタリーがため息を吐いて言う。
「侍女たちは世話に行かないそうよ。私達も掃除や食事の配膳をしなくても良いと言っていたもの。今朝は私が当番だったけど、行かなかったわ」
「何も言われていないけど、二人は白い関係なんでしょう?それに、世話をして我が儘を言われるくらいなら、いっその事近寄らない方が良いわよね」
女中達の話を聞いて、サマンサは女中の制服があって良かったと思った。
そうでなければ、今日も食事にありつけ無かっただろう。
奥様の噂話を他にも聞いた後
午後からは別の場所の掃除をして、夕食をナタリー達と食べ、サマンサの1日が終わった。
サマンサは毎日仕事をして、ナタリー以外の女中達とも仲良くなっていく。
そんなある日、ナタリーがサマンサに尋ねた。
「サミーって毎日働いてない?お休みは貰っているの?まさか、休日も忘れちゃったの?」
「いつお休みしたら良いのかしら…?」
ナタリーは慌ててサミーを侍女長の元へ連れて行こうとする。
「大丈夫よ。お忙しい侍女長を煩わせてはいけないわ」
サマンサはナタリーを止めようとした。
侍女長に自分の存在が露見してしまえば、今までのように働けないし、食事も貰えなくなる。
死活問題だった。
「良いから!これは大事なことよ。お給料の事もちゃんと聞いていないんでしょう?」
ナタリーは嫌がるサマンサを無理矢理引っ張った。
「侍女長、こちらのサミーが休日や給料の事を忘れてしまったようなんです」
侍女長はサマンサを見つめた。
「サミー…?あなたはいつからここに居るの?」
「サミーは先週から私と女中の仕事をしています」
ナタリーがサマンサの代わりに答える。
侍女長はサマンサの顔をじっと観察した。
(どうしましょう。私だと気付いてしまったわよね?)と、焦るサマンサ。沈黙が長く感じた。
「それは申し訳ない事をしたわね。ナタリーと同じ日の休日でいいわよ。さぁ、仕事に戻りなさい」
侍女長に気付かれることなく、サマンサは無事に休日を貰えたのだった。
初めての休日、サマンサは女中の制服を着て孤児院まで向かった。
クローゼットには普段着が置かれていなかったのと、普通の洋服を着て自分がサマンサだと気付かれないようにする為だ。
「サマンサ?その格好はどうしたの?」
エマは驚いていた。
公爵家に嫁いだはずのサマンサが、女中の格好をしている。
嫁いだばかりで忙しくて、孤児院に来る時間もないんだろう。
サマンサが幸せになってくれればそれで良い。
そう思っていたのに、公爵家も人は無理矢理サマンサを働かせているのではないか?
サマンサは無理をしていないか?
エマは心配だった。
「今日はお休みを頂いたから、孤児院に来れたの」
そう言ったサマンサはとても嬉しそうで…
「無理矢理働かされているの?」と聞いても、サマンサは楽しそうに笑っていた。
「好きに過ごしても良いと言われたの。だから女中の仕事を始めたのよ?お友達もできて、とても楽しいわ」
サマンサが嘘をついているようには見えない。
聞きたいことが色々とあるエマだったが、サマンサが心から笑っているならそれで良い。
でも、掃除の腕が格段に上がっている。
サマンサは公爵夫人になったのに…
「また来週来るわね。お給金を貰えたら、お土産を買ってくるわ」
笑顔で帰って行くサマンサを、エマは不安な気持ちで見送った。
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