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終章・魔王大戦
63 最後の試練
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「とりあえずここまでは良いかな?」
話の途中で出されたイスとテーブルにブレイもディートたちも座っている。
「いや~長くなってごめんね?でもここまでの事情も話しておかないとそれはそれでわからなくなってしまうから」
そういって彼はその後の話を始めた。
勇者一行はなぜ故郷に戻らなかったのか。
勇者一行は4人パーティだ。
田舎出身の天才剣士、勇者のブレイ。
魔法学園の天才魔法使いクォーツ。
帝国最強戦士コンゴウ。
歴代最高巫女ジュディ。
彼らは神殿による神々の神託によって決定されたパーティではじめは意見がぶつかり喧嘩してしまうことも多々あったが、戦いの中で友情を深めかけがえのない仲間となった。
「ぼくは人を信じられなくなった」
ブレイの言葉にその場に沈黙が流れる。
今この場にいるのはクォーツとコンゴウとブレイと女神の3人と1柱である。
「信じられなくなった…ね。詳しく聞いても?」
最初に口を開いたのはクォーツだ。
「ジュディの一件はあまりにもひどい。そんな人間に神器を預けたままぼくたちが日常に帰ってもいいのか?そんな考えがずっと頭の中をぐるぐるしてるんだ」
「なんだ、ブレイも私と同じなのね。安心したわ」
「クォーツお前もか!俺も同じ気持ちだ」
ブレイの言葉に3人は同意する。
そんな3人をみてフリーリアが口を開く。
「…だったらあなたたちが神器を守ればいいわ」
「でもぼくたちではせいぜい数十年しか守れませんよ?だからどうしようかなって思って…」
「簡単よ。人を捨てわたくしたちの眷属になりなさい。神器の守護者となるの」
嫌ならもちろん断ってもいいのよ?
女神はそういったが、ブレイ達の答えはすでに分かっていた。
「そうしてぼくたちは人を捨て神器の守護者となった。神器が世界から消えていったのはぼくたちが回収したからなんだ」
「なるほど~」
緩い声で答えるのはレイヴンだけだ。
他のメンバーは話についていくだけでいっぱいいっぱいだった。
「王国クソすぎ…」
「今俺勇者と話してる…ええええ???」
「あのクォーツ様も生きていらっしゃるの!?」
「えと、王国…裁き、女神様…守護者…」
「うむ半分寝ててさっぱりわからん!」
話の感想を述べたり勇者がいることに驚いたり、聞いたことの整理をしていたりとそれぞれだ。
そんな様子をみてブレイは小さく笑った。
「いきなり話すぎちゃったね……素直で優しい良い子たちだ」
「自慢の弟子たちだからね~」
ブレイは優しい目でディートたちを見る。
その脳裏にはかつて魔王を倒す為に旅をしていたときの最も楽しく充実していた輝かしい日々が蘇る。
レイヴンは彼の様子に気が付きつつもそれにはあえて触れなかった。触れることはできなかった。
その後ディートたちが落ち着くまで少しばかり休憩となった。
「さて、それでは最後の試練だ」
ブレイが手を挙げるとディートたちの前にそれぞれ神器が現れた。
「最後の試練。それは神器に認められること。さあ手に取って」
ブレイの言葉に促されるままに神器を手にした瞬間世界が暗転した。
「くそ!まさかあの娘が覚醒するなんて!」
気が付くとディートは牢屋の中にいた。
そしてその中には前の時のイザベラとイリスーーージュディとアリーの姿があった。
話の途中で出されたイスとテーブルにブレイもディートたちも座っている。
「いや~長くなってごめんね?でもここまでの事情も話しておかないとそれはそれでわからなくなってしまうから」
そういって彼はその後の話を始めた。
勇者一行はなぜ故郷に戻らなかったのか。
勇者一行は4人パーティだ。
田舎出身の天才剣士、勇者のブレイ。
魔法学園の天才魔法使いクォーツ。
帝国最強戦士コンゴウ。
歴代最高巫女ジュディ。
彼らは神殿による神々の神託によって決定されたパーティではじめは意見がぶつかり喧嘩してしまうことも多々あったが、戦いの中で友情を深めかけがえのない仲間となった。
「ぼくは人を信じられなくなった」
ブレイの言葉にその場に沈黙が流れる。
今この場にいるのはクォーツとコンゴウとブレイと女神の3人と1柱である。
「信じられなくなった…ね。詳しく聞いても?」
最初に口を開いたのはクォーツだ。
「ジュディの一件はあまりにもひどい。そんな人間に神器を預けたままぼくたちが日常に帰ってもいいのか?そんな考えがずっと頭の中をぐるぐるしてるんだ」
「なんだ、ブレイも私と同じなのね。安心したわ」
「クォーツお前もか!俺も同じ気持ちだ」
ブレイの言葉に3人は同意する。
そんな3人をみてフリーリアが口を開く。
「…だったらあなたたちが神器を守ればいいわ」
「でもぼくたちではせいぜい数十年しか守れませんよ?だからどうしようかなって思って…」
「簡単よ。人を捨てわたくしたちの眷属になりなさい。神器の守護者となるの」
嫌ならもちろん断ってもいいのよ?
女神はそういったが、ブレイ達の答えはすでに分かっていた。
「そうしてぼくたちは人を捨て神器の守護者となった。神器が世界から消えていったのはぼくたちが回収したからなんだ」
「なるほど~」
緩い声で答えるのはレイヴンだけだ。
他のメンバーは話についていくだけでいっぱいいっぱいだった。
「王国クソすぎ…」
「今俺勇者と話してる…ええええ???」
「あのクォーツ様も生きていらっしゃるの!?」
「えと、王国…裁き、女神様…守護者…」
「うむ半分寝ててさっぱりわからん!」
話の感想を述べたり勇者がいることに驚いたり、聞いたことの整理をしていたりとそれぞれだ。
そんな様子をみてブレイは小さく笑った。
「いきなり話すぎちゃったね……素直で優しい良い子たちだ」
「自慢の弟子たちだからね~」
ブレイは優しい目でディートたちを見る。
その脳裏にはかつて魔王を倒す為に旅をしていたときの最も楽しく充実していた輝かしい日々が蘇る。
レイヴンは彼の様子に気が付きつつもそれにはあえて触れなかった。触れることはできなかった。
その後ディートたちが落ち着くまで少しばかり休憩となった。
「さて、それでは最後の試練だ」
ブレイが手を挙げるとディートたちの前にそれぞれ神器が現れた。
「最後の試練。それは神器に認められること。さあ手に取って」
ブレイの言葉に促されるままに神器を手にした瞬間世界が暗転した。
「くそ!まさかあの娘が覚醒するなんて!」
気が付くとディートは牢屋の中にいた。
そしてその中には前の時のイザベラとイリスーーージュディとアリーの姿があった。
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