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ジュディ編
37 過去
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その国では優秀であれば国立の学園に入学することが出来た。
でよ平民出身のアリーは大変優秀な生徒であり将来有望とされてたんだよ。
そんな彼女を無理やり関係を迫ろうとしたのが、当時の第三王子のなんだっけ…まあバカでいいや。
もちろんアリーはバカの誘いを断った。
そしたらあのバカなにしたと思う?
振られた腹いせにアリーに免罪ふっかけやがったんだよ。
ちょうど国王も王妃も居ない、王太子は王の代理として多忙。
母親の側妃に頼んでアリーを牢屋にぶち込んだんだよ。
それで出してほしければいうことを聞けってな、クズだろ?
アリーはそれでも断ったよ。
あの子は賢い。第三王子の要求を受け入れればどうなるか理解してたんだよ。
平民が婚約者のいる王子の恋人なんて醜聞は王家の権威を失墜させ国を傾けかねない。
バカとその母親はそんなこともわかっちゃいねぇ。
んでよ、バカは顔を縦に振らないアリーに業を煮やしてついに処刑を言い渡したんだよ。
魔物の対処に王太子と第二王子がでて数日不在になった間に。
バカの周りは側妃派ばかりだったから誰も助けねぇ。
唯一バカの婚約者だけはアリーを助けるために動いてくれていたが、父親の公爵が国王たちと一緒に国外に出てたためにできることは少なかった。
名前は何だったかな、あ~確かエリザベスだ。あの子は良い子だった。アリーの良い友人だった…きっと今でも。
やけに詳しいなって?
まあ…そのなんだ、アリーがまだ学園に入る前にちょっと見かけてそれで…
ひっ一目ぼれ!?…いや一目惚れってやつだったのかなあやっぱり…
おい、笑うなよ!それより続きだ、続き!
そんなアリーを助けたかった俺の前に現れたのはジュディと同胞だった。
彼女は言った。
「助けたければ力を与えればいい」
俺は迷ったがジュディのいう通りにした。
正直それ以外にアリーを助ける方法は無かった。
初めて言葉を交わしたアリーは憎しみに染まっていた。
無理もない。碌な食事も与えられず王子からは時々暴力を受け…それでも純潔だけは守った。国のためにな。
あの子の夢は国ために働く役人だったからな、臣下の一人として国のためにずっと耐えたんだ。
だが奇跡が起こった。
公には正体を隠して留学していた隣国の王子が動いていたらしくて国王が戻ってきたんだよ。
それでアリーは解放されてめでたしめでたし…となればよかったんだが。
バカの父親もバカだったみたいでな。
側妃にぞっこんだったバカ父はバカに味方した。
誰が見ても明らかな免罪を真実と宣言し、アリーを処刑しようとしたんだよ。
それでアリーは壊れちまった。
すでに禁術使いにはなってはいたが、すぐにあれほど力を使いこなすとは正直俺は思ってなかったぜ。
アリーは天才だったんだよ。バカなんかよりよっぽど価値のある人間だったんだ。
狂ったアリーはバカと国王と側妃…あと周りの便乗してたやつらを殺して回った。
俺でも止められなかった。
そんな彼女を命がけで止めてくれたのがエリザベスだ。
「あなたの両手を愚か者たちのせいで穢してごめんなさい!何もできなくてごめんなさい!」
アリーを抱きしめながら叫ぶ彼女の声と顔は今でも忘れられない。
バカさえいなければアリーとエリザベスはきっと親友として笑いあう未来があったはずなんだよ。
その後はまあ、落ち着いたアリーは人を殺しちまったことで完全に壊れちまってな。
抜け殻みたいになっちまった
そんなアリーに俺は一緒に旅に出ないかと提案し彼女と旅立った。
だがその後エリザベスも国王の死後の後継者争いによる内乱で王太子ともども死亡したとされ、第二王子が王位を継承した。
そのことをきっかけに抜け殻だったアリーは別人のように変わり果ててしまった。
王族や貴族を恨み、他人のことなど一切考えない自分勝手な悪女に変貌しちまったんだよ。
その後の俺たちは150年間はクズどもを騙してざまぁ、とか気まぐれに金持ちを乗っ取って贅沢みたいなことを繰り返してた。
昔のアリーはもういなくても彼女が笑って楽しそうにしてるなら俺はそれでよかったんだ。
だがそんな時にジュディに誘われてソラリヤ王国乗っ取りに手を貸すことにしたんだよ。
「ソラリヤ王国の王族はかつて君を貶めた王国の末裔だ。復讐を完遂したくはないかい?」
ジュディがいうにはソラリヤ王国の王族はバカが浮気てどこぞの貴族の令嬢との間にできた子供の子孫だという。
アリーと俺はすぐに了承した。
まあ、実際はジュディの嘘だったんだがな!
俺がこのことを知ったのはこの城にきてからなんだが。
本当はソラリヤ王国はアリーの事件があった後に起こった内乱で死んだことになった元王太子が作った国だからな。
元の身分を隠して建国したんだから公には知られてなくて当然よ。
ちなみに初代王妃はエリザベスだったんだ。
どうやって知ったかって?
隠し部屋に当時のことが詳細に書かれた書類が保管されていた。
本当にびっくりしたよ。しってりゃ俺もアリーもソラリヤ王国に手は出さなかったさ。
本当にバカだよな俺たち…いや俺だ。
アリーが捕まった時点で助けに行けばよかったんだよ。
バカを脅すなり始末するなりすりゃあ良かったんだよ。
アリーに嫌われたくなくて迷ってるうちにどうしようもならない状態になっちまった。
あの日をやり直せたら、どんなに良いだろう
でよ平民出身のアリーは大変優秀な生徒であり将来有望とされてたんだよ。
そんな彼女を無理やり関係を迫ろうとしたのが、当時の第三王子のなんだっけ…まあバカでいいや。
もちろんアリーはバカの誘いを断った。
そしたらあのバカなにしたと思う?
振られた腹いせにアリーに免罪ふっかけやがったんだよ。
ちょうど国王も王妃も居ない、王太子は王の代理として多忙。
母親の側妃に頼んでアリーを牢屋にぶち込んだんだよ。
それで出してほしければいうことを聞けってな、クズだろ?
アリーはそれでも断ったよ。
あの子は賢い。第三王子の要求を受け入れればどうなるか理解してたんだよ。
平民が婚約者のいる王子の恋人なんて醜聞は王家の権威を失墜させ国を傾けかねない。
バカとその母親はそんなこともわかっちゃいねぇ。
んでよ、バカは顔を縦に振らないアリーに業を煮やしてついに処刑を言い渡したんだよ。
魔物の対処に王太子と第二王子がでて数日不在になった間に。
バカの周りは側妃派ばかりだったから誰も助けねぇ。
唯一バカの婚約者だけはアリーを助けるために動いてくれていたが、父親の公爵が国王たちと一緒に国外に出てたためにできることは少なかった。
名前は何だったかな、あ~確かエリザベスだ。あの子は良い子だった。アリーの良い友人だった…きっと今でも。
やけに詳しいなって?
まあ…そのなんだ、アリーがまだ学園に入る前にちょっと見かけてそれで…
ひっ一目ぼれ!?…いや一目惚れってやつだったのかなあやっぱり…
おい、笑うなよ!それより続きだ、続き!
そんなアリーを助けたかった俺の前に現れたのはジュディと同胞だった。
彼女は言った。
「助けたければ力を与えればいい」
俺は迷ったがジュディのいう通りにした。
正直それ以外にアリーを助ける方法は無かった。
初めて言葉を交わしたアリーは憎しみに染まっていた。
無理もない。碌な食事も与えられず王子からは時々暴力を受け…それでも純潔だけは守った。国のためにな。
あの子の夢は国ために働く役人だったからな、臣下の一人として国のためにずっと耐えたんだ。
だが奇跡が起こった。
公には正体を隠して留学していた隣国の王子が動いていたらしくて国王が戻ってきたんだよ。
それでアリーは解放されてめでたしめでたし…となればよかったんだが。
バカの父親もバカだったみたいでな。
側妃にぞっこんだったバカ父はバカに味方した。
誰が見ても明らかな免罪を真実と宣言し、アリーを処刑しようとしたんだよ。
それでアリーは壊れちまった。
すでに禁術使いにはなってはいたが、すぐにあれほど力を使いこなすとは正直俺は思ってなかったぜ。
アリーは天才だったんだよ。バカなんかよりよっぽど価値のある人間だったんだ。
狂ったアリーはバカと国王と側妃…あと周りの便乗してたやつらを殺して回った。
俺でも止められなかった。
そんな彼女を命がけで止めてくれたのがエリザベスだ。
「あなたの両手を愚か者たちのせいで穢してごめんなさい!何もできなくてごめんなさい!」
アリーを抱きしめながら叫ぶ彼女の声と顔は今でも忘れられない。
バカさえいなければアリーとエリザベスはきっと親友として笑いあう未来があったはずなんだよ。
その後はまあ、落ち着いたアリーは人を殺しちまったことで完全に壊れちまってな。
抜け殻みたいになっちまった
そんなアリーに俺は一緒に旅に出ないかと提案し彼女と旅立った。
だがその後エリザベスも国王の死後の後継者争いによる内乱で王太子ともども死亡したとされ、第二王子が王位を継承した。
そのことをきっかけに抜け殻だったアリーは別人のように変わり果ててしまった。
王族や貴族を恨み、他人のことなど一切考えない自分勝手な悪女に変貌しちまったんだよ。
その後の俺たちは150年間はクズどもを騙してざまぁ、とか気まぐれに金持ちを乗っ取って贅沢みたいなことを繰り返してた。
昔のアリーはもういなくても彼女が笑って楽しそうにしてるなら俺はそれでよかったんだ。
だがそんな時にジュディに誘われてソラリヤ王国乗っ取りに手を貸すことにしたんだよ。
「ソラリヤ王国の王族はかつて君を貶めた王国の末裔だ。復讐を完遂したくはないかい?」
ジュディがいうにはソラリヤ王国の王族はバカが浮気てどこぞの貴族の令嬢との間にできた子供の子孫だという。
アリーと俺はすぐに了承した。
まあ、実際はジュディの嘘だったんだがな!
俺がこのことを知ったのはこの城にきてからなんだが。
本当はソラリヤ王国はアリーの事件があった後に起こった内乱で死んだことになった元王太子が作った国だからな。
元の身分を隠して建国したんだから公には知られてなくて当然よ。
ちなみに初代王妃はエリザベスだったんだ。
どうやって知ったかって?
隠し部屋に当時のことが詳細に書かれた書類が保管されていた。
本当にびっくりしたよ。しってりゃ俺もアリーもソラリヤ王国に手は出さなかったさ。
本当にバカだよな俺たち…いや俺だ。
アリーが捕まった時点で助けに行けばよかったんだよ。
バカを脅すなり始末するなりすりゃあ良かったんだよ。
アリーに嫌われたくなくて迷ってるうちにどうしようもならない状態になっちまった。
あの日をやり直せたら、どんなに良いだろう
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