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ジュディ編
34 ティアー・ダリク伯爵令嬢の証言
しおりを挟むこれは第三王子リーグベルトとその他数名の立ち合いの元に作成された報告書の一部である。
ーあなたがアリーに憑りつかれたのは禁術使いたちがルナライズ侯爵家を襲撃した次の日ということで間違いないですね?
ーはい、あの日目が覚めると私の身体が私の身体ではなくなっていました…
ー意思はあったのですか?
ー常にというわけではありませんが意思はありました。体の内側に卵の殻のような空間があってその中に閉じ込められているような…そんなイメージで1日数時間ほど意識がはっきりしている時があって、でもただ見ていることしかできない状態でした。
ーアリーが何をしていたかお話しいただけますか?無理であればいう必要はありません。
ーお気遣いありがとうございます。でもあのこ…私の側付きメイドを殺そうとしたこと以外はそこまで酷いことはしていない様でした。ただ、リーグベルト殿下の婚約者になるために多少の工作はしていたようですけど…
ーもう1人の禁術使いとは連絡を取っていましたか?
ー時々とっていたようですけど、彼女が連絡をしようとするときは決まって意識が遠のいていったので、私に知られないようにしていたのかも…
ーグロリアと名乗っていた魔族について何か分かることはありますか?
ー魔族にこんな印象を持つのはどうかと思うのですが…やさしいヒトなんだと感じました。
ーやさしい?魔族がですか?
ーええ、詳しい会話を知ることはできませんでしたが、彼は口は悪いのですが必ずアリーを心配するようなことを口にしていたようにおぼろげながら覚えています。それに彼のアリーを見つめる目はとても優しかった。
ーそれでは、本日はこの辺りにしましょう。後日また伺いますので、もし何か思い出したことがあればこちらのメモに書き出しておいていただけますか?
ーはい、わかりました。それではまた後日
グロリア探しを始めてすでに1カ月。
ディートは自室にてティアーの証言とにらめっこしていた。
「やっぱりグロリアとアリーには単純な協力関係以上の何かがある…」
天井を見上げる用にしながら彼らに思いをはせるディートの背中に突然声がかけられた。
「それほどまでにあの者たちに会いたいか?」
「え?」
振り向くとそこにはアルマリアとともにこの国に滞在している聖獣・白虎がいた。
「運命のカギを握る少年よ。扉の先の真実を知る覚悟はあるか?」
ハクエイと名付けられたその聖獣は、ディートをまっすぐにみつめそう問うた。
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