【完結】大聖女の息子はやり直す

ゆるぽ

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序章

10 対策

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「じゃじゃじゃ~ん!心守りのイヤリング!」

「…なんですか師匠それ…」





意気揚々とレイヴンが見せてきたのは3対のイヤリングだった。

シンプルな見た目で貴族がつけるのは少し地味かもしれない。




「イザベラ達が来るまでもう数日ぐらいしかないからね。とりあえずの防御手段は必要かなって」

「つまり精神干渉系の魔法から守ってもらえる魔法具ってことですか?」

「そうだよ~ただイザベラ達の能力の詳細が分からないからどこまで効くかわからないけど~」




あれからさらにアルデアやリリィのことを調べてみたが、彼女たちが使っていたかもしれない力については何もわからなかった。

王家が認定したリリィはともかく、アルデアは魅了ではなく単純に優れた話術の持ち主で相手を洗脳していただけかもしれない可能性も捨てきれない状態だ。

それでも何もしないよりはましだろう。

ディートはは3対のイヤリングから1対とり、自身の耳に取り付けた。



「どうです師匠?」

「うん、いい感じだね。シンプルで上品な感じになるようにデザインしてもらってよかったよ」

「僕も好きなデザインですね。でも貴族がつけるものとしては少し地味な感じですが…」

「でもその方がイザベラ達に取られる心配が無くていいんじゃない~?わかってるだろうけど残りの2対は侯爵とシェリィちゃんに渡してね~」



ディートは残りのイヤリングを見る。

二人とも派手なものはあまり好まないから喜んでくれるだろう。



「あ、そうそう。君の聖人適正の判断と指導のために友達を呼んだから。たぶん来週ぐらいにはこの国に到着すると思うよん」

「友達?」

「うん、ボクの友達。大聖人アレクシス」

「は?」









聖女や聖人の中でも特に力の強いものは大聖女もしくは大聖人という特別な称号が与えられる。

それは神殿が認定するもので、勝手に名乗ることは重罪でもある。


現在大聖女は、シャーリィ、シルヴィア、キャロラインの3人。

大聖人は、アレクシス、ヴァンの2人。


実母であったシャーリィはともかくおいそれと会えるような人たちではないはず。






「あ~ごめん混乱させちゃった?ほらこの国きみの母君が大魔王の森に行ってしまったせいで大聖女がいなくなちゃったでしょ?だから今代の聖女や聖人たちが成長するまでアレクシスが来ることになったんだよ」



また、元々友人であるレイヴンの屋敷に滞在することもアレクシス本人の希望で決まったことらしく無理を言ったわけでは無いのだという。



「アレクシスが来るならあいつにも協力してもらえ!って思って相談したら快く受けてくれたからさ~大丈夫大丈夫~」

「大丈夫って…」



幸運にも大聖人から指導してもらえることになったディートだが、このことが運命を変える重要な出来事であったことをまだ知らない。
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