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序章

9 隣国の悪女

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両親の離縁が成立したころに調査結果と友人たちの手紙の返信が来た。





その量は驚くほどに膨大だった。

悪女アルデアの罪は驚くほど多く、現在判明しているだけでも数百件の犯罪に加担しているという。

また、罪の数が多すぎるためにいまだにきちんとした処罰を与えることが出来ていない。

犯罪の内容も軽微な物から吐き気を催すほどの醜悪なものまで多種多様で、正直前回のイザベラ達が可愛く見えてしまうほどだった。




ただし現在のアルデアの様子は不自然なほどおとなしいという。




またそのほかにディートが気になったのはアーキレイド侯爵の様子だ。

あれだけイザベラ達を虐げておきながら、今は人が変わったように彼女たちに対する謝罪の言葉を口にしているという。



報告書にはまるで人が変わったかなのようで不気味とまで書かれていた。



「なんだかあの時の僕みたいだ」



前の時でイザベラ達と離れたディートは時間がたつにつれて、イザベラ達への愛情を失っていったのだが同時にシェリィに対する罪悪感が強くなっていった。



「師匠はイザベラ達は魅了などの力を使っていただろうとは言っていたけど、アルデアもそうなのか…?」




もしそうなら短い期間で複数人の魅了使い(仮)が発生したことになる。果たしてこれは偶然か。

アルデア加害者イザベラ被害者に何かつながりがあるかもしれないそう考えなら友人の手紙のほうを確認する。

そこにはもう一人の悪女について書かれていた。











親愛なるわが友ディート。

なんだか悪女のことが知りたいみたいだから、アルデアと同時期に現れた現在わが国でホットなもう一人の悪女を紹介するよ!




もう一人の悪女リリィ・キーベン男爵令嬢

彼女は男爵家の養女の元平民でさ、僕の兄さんと同じクラスだったんだ。

王立学校に入学後、婚約者のいる第三王子に近づき卒業パーティでの婚約破棄騒動を引き起こしたんだって。



彼女は王家の調査によると魅了魔法を使い第三王子を誘惑したとされるんだけど、噂によると魅了に近い力が使われた形跡だけしかわからず王家の高位魔法使いたちでも詳細がわからなかったんだって!マジかよ!



リリィの処罰については王族に対する魅了行為は重罪のため処刑することは決まっているんだけど、能力の詳細やほかにかかわった犯罪が無いかなどの調査のため執行にはかなり時間がかかるだろうって言われてるんだ。


それで彼女がやったことについてなんだけどーーーーーー













その手紙にはリリィの所業についても確定した事実から真偽不明の噂まで色々と書かれていたが、ディートの目を引いたのは第三王子に婚約破棄をさせた方法だった。


第三王子に嘘の情報を吹き込み、婚約者に免罪を吹っ掛ける。このやり方は。



「イリスがシェリィにやった手口とほぼ同じじゃないか!?」



正確にはイリスのほうが狡猾でリリィのほうはかなりお粗末であはあるのだが、大体の流れは同じであった。



イザベラとアルデア、イリスとリリィ、この4人の悪女には何か関係がある。ディートは直感的にそう思った。






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