6 / 107
序章
6 情報が少ない
しおりを挟む
過去のことをレイヴンに話したディートだったが、1つ気が付いたことがある。
思ったよりも知らないことが多いということである。
イザベラとイリスの取り巻き筆頭とも言える位置にいながら彼女たちの犯罪などには巻き込まれていなかったのだ。
「君を深いところまで巻き込むのを避けたかったのかもね」
ディートの心を読んだようにレイヴンが口を開く。
「どういうことですか?僕は彼女たちに心酔していたのに」
「おそらく彼女たちは魅了かそれに近い力を使ってただろうからね。聖人としての素質がある君が万が一でも正気に戻ったときが怖かったのかもね」
「聖人の素質!僕がですか!?」
レイヴンは大きくうなずく。
彼曰く、大聖女の直系であるディートとシェリィにはとても強い力が宿っているという、また前の時に追放されたシェリィが無事だったのは聖女としての力が目覚めたからではないかとも。
「でも前回の僕は神殿でも才能無とされていたし、力に目覚めることもなかったはずですが…?」
「そこはイザベラ達が何かしたんじゃない?この国の神殿は内部が少しよろしくないって噂があるし~」
この国では魔力測定は5歳~8歳の間に全国民が義務として行われるが、聖人や聖女の適正については任意で行われる。
理由としては聖女や聖人たる才能を持っていることは稀のため血筋的に可能性のある者たちぐらいしか受けることがほぼないからである。
前回の時でディートは17歳の時に神殿で適性を見てもらったが聖人の適正なしとされていた。
「前の僕は自分自身のことさえもよく分かってなかったんだな」
「そうだね~傍で聞いてても君が重要な部分にかかわってないことはよく分かるよ~でもね」
レイヴンは一度言葉を切る。
そして先ほどまでの緩い雰囲気から一変して真面目な顔をして口を開いた。
「国や世界の危機レベルじゃないと発動しない精神逆行の大魔法が使えた時点で、君自身は最重要人物と言えるんだよ」
精神逆行の大魔法とは神代の時代に時の神の弟子であった大魔導士が作ったとされる伝説の魔法。
精神を過去に飛ばし歴史をやり直すことが出来る神の理に干渉する力。
それゆえに厳しい条件の下でなければ発動しない。
1つ目は小国の国民全員分と同じくらいと言われるほどの膨大な魔力。
2つ目はその強大な魔力をとどめ魔法を発動するための媒体。
そして最後の3つ目が世界や国などの大きな危機が迫っている時であること。
「(レイヴンがどうしてすぐに指摘して詳細を聞きたがったのかわかった…)」
つまり国もしくは世界の危機が今この時代にあるということなのだ。
だが、やはり疑問が残る。
「前の人生でイザベラもイリスも父上も僕も断罪されたはず…なのに危機は去らなかった?危機にイザベラ達は関係ない?」
「さあね現段階では何もわからないよ。それに君はイザベラ達の結末を見ないまま逆行したでしょ?君が倒れたその先で何か起こったのかもしれないよ」
余りにも情報が少なすぎてこれ以上の話は現段階ではできない。
ディートは情報収集をしながら、自身の能力をレイヴンのもとで伸ばしていくことになる。
思ったよりも知らないことが多いということである。
イザベラとイリスの取り巻き筆頭とも言える位置にいながら彼女たちの犯罪などには巻き込まれていなかったのだ。
「君を深いところまで巻き込むのを避けたかったのかもね」
ディートの心を読んだようにレイヴンが口を開く。
「どういうことですか?僕は彼女たちに心酔していたのに」
「おそらく彼女たちは魅了かそれに近い力を使ってただろうからね。聖人としての素質がある君が万が一でも正気に戻ったときが怖かったのかもね」
「聖人の素質!僕がですか!?」
レイヴンは大きくうなずく。
彼曰く、大聖女の直系であるディートとシェリィにはとても強い力が宿っているという、また前の時に追放されたシェリィが無事だったのは聖女としての力が目覚めたからではないかとも。
「でも前回の僕は神殿でも才能無とされていたし、力に目覚めることもなかったはずですが…?」
「そこはイザベラ達が何かしたんじゃない?この国の神殿は内部が少しよろしくないって噂があるし~」
この国では魔力測定は5歳~8歳の間に全国民が義務として行われるが、聖人や聖女の適正については任意で行われる。
理由としては聖女や聖人たる才能を持っていることは稀のため血筋的に可能性のある者たちぐらいしか受けることがほぼないからである。
前回の時でディートは17歳の時に神殿で適性を見てもらったが聖人の適正なしとされていた。
「前の僕は自分自身のことさえもよく分かってなかったんだな」
「そうだね~傍で聞いてても君が重要な部分にかかわってないことはよく分かるよ~でもね」
レイヴンは一度言葉を切る。
そして先ほどまでの緩い雰囲気から一変して真面目な顔をして口を開いた。
「国や世界の危機レベルじゃないと発動しない精神逆行の大魔法が使えた時点で、君自身は最重要人物と言えるんだよ」
精神逆行の大魔法とは神代の時代に時の神の弟子であった大魔導士が作ったとされる伝説の魔法。
精神を過去に飛ばし歴史をやり直すことが出来る神の理に干渉する力。
それゆえに厳しい条件の下でなければ発動しない。
1つ目は小国の国民全員分と同じくらいと言われるほどの膨大な魔力。
2つ目はその強大な魔力をとどめ魔法を発動するための媒体。
そして最後の3つ目が世界や国などの大きな危機が迫っている時であること。
「(レイヴンがどうしてすぐに指摘して詳細を聞きたがったのかわかった…)」
つまり国もしくは世界の危機が今この時代にあるということなのだ。
だが、やはり疑問が残る。
「前の人生でイザベラもイリスも父上も僕も断罪されたはず…なのに危機は去らなかった?危機にイザベラ達は関係ない?」
「さあね現段階では何もわからないよ。それに君はイザベラ達の結末を見ないまま逆行したでしょ?君が倒れたその先で何か起こったのかもしれないよ」
余りにも情報が少なすぎてこれ以上の話は現段階ではできない。
ディートは情報収集をしながら、自身の能力をレイヴンのもとで伸ばしていくことになる。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
もういらないと言われたので隣国で聖女やります。
ゆーぞー
ファンタジー
孤児院出身のアリスは5歳の時に天女様の加護があることがわかり、王都で聖女をしていた。
しかし国王が崩御したため、国外追放されてしまう。
しかし隣国で聖女をやることになり、アリスは幸せを掴んでいく。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
その聖女は身分を捨てた
メカ喜楽直人
ファンタジー
ある日突然、この世界各地に無数のダンジョンが出来たのは今から18年前のことだった。
その日から、この世界には魔物が溢れるようになり人々は武器を揃え戦うことを覚えた。しかし年を追うごとに魔獣の種類は増え続け武器を持っている程度では倒せなくなっていく。
そんな時、神からの掲示によりひとりの少女が探し出される。
魔獣を退ける結界を作り出せるその少女は、自国のみならず各国から請われ結界を貼り廻らせる旅にでる。
こうして少女の活躍により、世界に平和が取り戻された。
これは、平和を取り戻した後のお話である。
聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる