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それから卒業パーティー当日まで、嵐のような忙しさだった。
 婚約破棄を叩きつけられたご令嬢と、シャーラ嬢に骨抜きにされている令息の両家のフォローと、シャーラ嬢の素行調査。留学中に得た知識や情報の報告やリリー様やラステル様の無実の証明。やらなければならないことが山積していた。
 シャーラ嬢の素行調査は、出るわ出るわ。男爵家に引き取られる前のあまりの素行悪さに呆れ果てた。マイヤー男爵家に引き取られる前から、売春や美人局は当たり前、苛めの自作自演やアーサー殿下やレオに貢がせた金額も相当だった。
 いくら庶子だとしても良くこんな娘を引き取ったものだ。いや、見事に高位貴族の嫡子ばかりを狙って籠絡している手腕を考えれば、ハニートラップとしての彼女の才能は計り知れないのかもしれない。
 そんなある日俺は王城の一室に秘密裏に招かれていた。
「ラオウ殿、良く来たな。アーサーのことで話を聞きたくてな。」
 国王陛下は俺が調べ得た結果を目を瞑り只静かに聞いていた。
「そうか……、卒業パーティーでもしアーサーがラステル嬢との婚約を破棄するようなら……。」
 俺はこの国を背負う男の下した決断に頷いた。この召還で水面下で行われてきた沢山の家を巻き込んだ交渉は一気に加速していった。
 中には我が子が可愛くて、息子を改心させようと苦言した親も居たようだが、残念ながら効き目は今一つだったようだ。
 そして今日俺は父と一緒にブランシェット公爵家に来ている。用件は勿論両家の婚約についてだ。リリー様との約束は勿論守らなければならないし、ここが本懐正念場だ。
 この交渉が崩れれば俺の努力は泡と消える。
 そんなことに絶対にさせるか。レオの不幸を願うような形になってしまうのはいささか不本意だが、レオとリリー様の婚約破棄は同時に俺の幸せに直結するんだから仕方がない。嫌なら俺が付け入る隙を作らなければ良かっただけだから。
 リリー様のお父上はこの国でも有数の実権を握って居る。きっと彼にかかればフロマージュ侯爵家など一捻りでプチっと潰される。今回は只でさえレオの馬鹿のせいでフロマージュ侯爵家はブランシェット公爵家に泥を塗った形なのだから。
 事前に約束を取ってからの訪問だが、はっきり言ってこの約束が取れたことすら奇跡だ。卑怯かと思ったが、リリー様に助力頂いたお陰が大きい。リリー様とはあれから何度か文のやり取りをしている。
 他愛ない内容ではあったが、無理を為さりませんようにとの言葉が添えられている手紙からは彼女が纏う香水の香りがした。
 応接室に通されると、暫くしてリリー様を伴ったブランシェット公爵閣下が部屋へとやって来た。挨拶もそこそこに父様は公爵閣下へ最上級の謝罪を示すため、床に伏せた。相手に急所となる首の後ろを晒すこの謝罪は滅多に見ない謝罪方法だ。命をかけて謝罪するとの意思の現れなのだから。
「この度は愚息レオがリリー様への不誠実な対応をしたこと謝罪のしようも御座いません!」
 父と共に頭を下げれば、暫くしてため息と共にブランシェット閣下から頭をあげるようにと申し出があった。
 父と閣下が話し合う間も気が付けばリリー様にばかり視線が行ってしまう。
 リリー様もソワソワと落ち着きなくこちらに視線をくれるし、視線が合い微笑みを向ければ慌てて反らす。
 そんな姿も可愛くてつい頬が弛みかけて、父様がこれ見よがしにした咳で自らを律する。
 駄目だ駄目だ!今日は謝罪に来たのに!
 そんな俺達の様子に公爵は渋い顔をしていたが、溜め息を吐き後ろに控えていたリリー様に声をかけた。
「リリー、ラオウ殿に我が家の庭園を案内して差し上げろ。そんな桃色の空気を撒き散らされては気が散って話し合いにならん。」
「えっ、でも……よろしいのですか?」
「あぁ構わん。ラオウ殿、宜しいか?」
「はい閣下。リリー様をお借りいたします。」
 胸元に手を当てて閣下に退出の挨拶をする。
 リリー様に手を伸ばせば戸惑ったよう様子を見せた後、その美しい手を軽く乗せてくれた。
 俺たちは退室した後、リリー様導かれて案内された庭園は薔薇が咲き誇る美しい庭だった。
「リリー様、本日はフロマージュ侯爵家のためにご助力頂きましてありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ色々と私達のために働き掛けて頂いていると友人と話しておりましたから。少しでもラオウ様のお力になりたかったのです。」
 いつも貴族の子息令嬢の手本となるように凛とした姿は誇り高く咲き誇る気高き白百合のようだが、今目の前で頬を染める姿がいじらしく、リリー様の頬に伸ばしかけた手を理性を総動員して止める。
 あっ、あぶねぇ、危うくレオの二の舞になるところだった。
 俺は紳士、俺は紳士、俺は紳士!今手を出せばブランシェット公爵にリリー様の婚約者にしていただくどころか、息の根を止められかねない。
 正式な婚約者になれれば、夜会に茶会と公式の場で堂々と彼女の隣に並べるのだから、我慢だ俺!俺は紳士!
 その日はそのまま暫く散策を楽しみ、リリー様の名残惜しげな瞳を心の糧にして明日からの活力源にさせてもらった。
 その後何度かブランシェット公爵様のお許しを頂き、リリー様との会瀬を重ねた結果、ブランシェット公爵からリリー様との婚約のお許しを得た。
 家同士の婚約は受理されたも同じだが、俺は全てが終わったら自分でリリー様に婚約を申し込みたいとおもっている。
 浮わついた心に弛む頬を引き締めるべく両手で叩く。
 すべては今日この日のためにあったのだ。失敗は許されない!
 卒業式典を見ながら俺はレオを、そしてアーサー殿下に視線を向ける。
 事前に得ていた情報が正しければ、婚約破棄は、卒業を祝うパーティーの席でおこなわれるはずだ。
 安全のためにリリー様には公爵家で待機して貰っている。
 さっさとこんな茶番劇を終わらせてリリー様に大きな薔薇の花束を届けに行くんだ。
 学園の卒業式典は滞りなく進み、卒業生と在校生、卒業生の親達が多く集まる中、生徒達は色とりどりのロングドレスを纏い、華やかなパーティーが佳境へ入ると、それは情報通り前触れなく唐突に始まった。
「本日は卒業おめでとう!聞いてくれ!俺はこの国の第二王子アーサーだ。今日この場を借りてラステル・シルベスター侯爵令嬢との婚約破棄をここに宣言する!」
 そうしてレオに拘束されたラステル様が会場に設置された雛壇に引き出され、多くの観衆の見守るなかで断罪は始まった。
 ラステル様は抵抗することなくアーサー殿下とシャーラ嬢、そして他の令息達の前へ出された。
 断罪内容は概ね予想通り、シャーラ嬢への度重なる私物破損を含む嫌がらせと罵詈雑言。そして階段からシャーラ嬢を突き落とし怪我を負わせたと言うものだった。
 シャーラ嬢はこの断罪の後、アーサー殿下との婚約発表が有るため、美しい装飾が施されたドレスをその身に纏い取り巻きの伯爵令息に凭れかかっている。
 罪状と証人を一通り告げて、抵抗するそぶりのないラステル様を見下すと、一際大きな声で宣言をはじめた。
 「これらの証拠からも犯人はラステルお前だと示している!これをもってラステル・シルベスターとの婚約を破棄し、シャーラを我が妃に迎える!」
 あまりの展開に静まり返る会場内から一人の男性が手をゆっくりと叩きながらアーサー殿下の前に進み出た。
 俺は青年の斜め後ろから付き従い歩を進める。
「いやぁ見事見事。実に下らない演出だったよ。アーサー。」
「ロアーク兄上!貴方がなぜ学園にいるのですか?」
 この国の第二王子アーサー殿下を呼び捨てにした彼は、この国の王太子ロアーク・レサルス殿下。
「私は陛下の名代だよ。」
 ロアーク殿下が告げると会場にいた者達が一斉に頭を下げた。
「国王陛下からのお言葉をここで伝えよう……。第二王子アーサー・レサルスとラステル・シルベスター侯爵令嬢との婚約破棄を正式に認め……今よりアーサー・レサルスが王族から外れることをここに宣言する!」
「なっ!?ロアーク兄上!これは一体なんの冗談ですか!除籍など急にもほどがある!」
「急?陛下は何度も日々の態度を改めるようにと人を介して伝えていたはずだ。もちろんそちらのラステル嬢もな。私は国王陛下の御意志をこの場にいる者たちへ伝えるためにここへ来た。それに……。」
 ロアーク殿下は壇上にいる彼等を鼻で笑い飛ばすと、ラステル・シルベスター様の前に膝を折り、右手の爪先を優しく掴むと口付けを落とした。
 事前にアーサー元殿下との婚約が破棄されることはラステル様と打ち合わせ済みだったし、助けが入ることも告げてあった。
 だからって助けが王太子だとは思っていなかったのだろう。絶対に婚約破棄されたことよりもロアーク殿下が自分の指先に口付けを落とした事実に衝撃を受けてるよ。
「ラステル嬢、貴女の婚約が正式に破棄された今、私はやっと貴女に長年告げることが許されなかった思いを伝えられる。お慕いしています。私の正妃になっていただけませんか?けして貴女を哀しませることはないと神と国民に誓いましょう。」
「……はい……。私で宜しければ、ロアーク殿下を支えられるように精進いたします……。」
「な!?」
 自分が婚約破棄した女への兄、王太子の突然の求婚に驚きの声を上げた。
「そんなに意外だったか?アーサー、今この国に国王の妃を勤めあげる実力を伴う女性が一体どれだけいるか知っているか……?」
「国王の心を支えるのが妃の役目だ。その為に俺はシャーラを選んだんだ。ラステルは俺を逆撫でする!休まることはない!」
 状況についていけず首をかしげながらも、違う男にすり寄り甘えたような声で説明を求めるシャーラ嬢に、この王族の妃が勤まるとは誰も思えない。
「王族の妃に求められるものは癒しではない。長く険しい終わりない修羅の道を国王を支え共に戦う覚悟だ。たとえそれが滅びに向かう道ならば国王を諌め、国が滅ぶ時には王族と共に追従する覚悟だ。シャーラ嬢にその覚悟があるか?」
 ロアーク殿下の鋭い視線は、吹けば飛んでいきそうな雰囲気を振り撒くシャーラ嬢に据えられていた。
 そう現に今この時すらシャーラ嬢はふわふわと綿毛のように男たちの合間をたゆたっている。
「私の婚約者だった女にはその覚悟があると言うのですか?」
 鼻で笑うアーサー元殿下を見据えてロアーク殿下は静かに告げた。
「あぁ、私の婚約者だったマリアが亡くなった今、この国で王妃の器はラステル嬢だけだ。」
 ロアーク殿下の婚約者マリア・グレック公爵令嬢は昨年の春に病で命を落としたと聞いた。
「はっ!、自分の婚約者の代わりていう訳ですか。」 
「ふっ、そうとられても仕方がないだろうが、マリアを喪った俺が今、こうしてまだ王太子の座に居られるのは、家臣やラステル嬢の支えがあったお陰だ。」
「ロアーク殿下……。」
 気遣わしげに、ラステル様がロアーク殿下の前でドレスの裾を摘まみ、深々と王族への礼をとる。 
「先程までなぜロアーク殿下が私のような捨てられた女を必要として下さるのか疑問でしたが、ようやくわかりました。慎んでロアーク殿下との婚約をお受けいたします。」
「ありがとう。この場をもってロアーク・レサルスとラステル・シルベスターとの婚約を正式に発表する。またアーサー・レサルスは王族から除籍となり、王妃陛下の実家であるアスピリン伯爵家に養子に入った。伯爵家から持参金を持ってシャーラ・マイヤー男爵家に婿入りとなる。」 
「え~!アーサー王子さまじゃなくなるの?なら私レオと結婚するぅ~!」
 あまりの展開にざわめく周囲を他所に不満げな声が響いた。 
 ロアーク殿下は先程から王意だと告げているのだから、それは王に反意を示したようなものだ。
 それがわかっているのか、シャーラ嬢の保護者であるマイヤー男爵の顔色が頗る悪い。
「なっ!?シャーラ!それはどういうことだ!」
「えー、だってぇ~。アーサーは王子さまじゃないなら只にのわがままな暴君なんだもん。私嫌よ。ロアークさまぁー!いいでしょ?ねえねぇ!」
 あまりの変わり身の早さに絶句するアーサー殿下。
 ロアーク殿下が無表情でリリーいわくアバズレ女らしいシャーラ嬢の行動をつぶさに観察している。
 陛下の名代に対してこの態度、ロアーク殿下がマイヤー男爵とご夫人に笑みを向ける。
「どうやらマイヤー男爵家はとことん我が王家を愚弄したいらしいな……?」
「ヒイィ!シャ、シャーラ!いい加減にしないか!?」
 あまりの展開に気を失ったマイヤー男爵夫人をその場に残して娘の側に来ると男爵はレオにしがみつき甘えるシャーラ嬢を必死に引きはなそうとしている。 
「イヤよ!だって父様が~アーサーと仲良くなれば贅沢三昧出来るって言ったんじゃない。私頑張ったのにぃ!なんで怒られなくちゃいけないのぉ?」
 両頬をリスのように膨らませて不満だと訴えるシャーラ嬢の発言に男爵は急いで口を手で塞いだ。
 シャーラ嬢の発言でこの馬鹿げた婚約破棄はマイヤー男爵家が引き起こしたと証言したようなものだ。
 それを今のやり取りで察せぬ貴族はこの場には居ない。
「マイヤー男爵、反逆罪で追って国王陛下から沙汰があるだろう。」
 ロアーク殿下の言葉にマイヤー男爵がその場に座り込みウワァァー!と声をあげて頭を抱え込んだ。
 いまだに状況を察していないのか、この予定外の状況に呆然とするレオの腕にしがみつき甘えるシャーラ嬢の姿に、俺はロアーク殿下の許可をいただき対峙した。
 黙って同じ格好をすれば親ですら見間違うだろうほどに似通ったレオを見据える。
 まるでもう一人の自分の姿を見せられているようだった。
「レオ・フロマージュ及び、今回アーサー・レサルス、いやアーサー・“マイヤー”と共に騒ぎを起こしたレイモンド・キース、ニコル・ブロム、グレック・ローブは各当主から陛下へ廃嫡の許可が上がっており、昨日付けで受理された。それに伴い次男以下養子の者が新に嫡子として陛下へ報告されこれを受け入れられた。またそれぞれの婚約者も、両家、両者の合意の上で新たな嫡子の婚約者となることが既に決定している。」
 そう、俺はこの為に粉骨砕身してきたと言っても過言ではない。
 両者混乱の中で卒業パーティーは幕を閉じた。
 愛しのリリー様、ここまで来るまでに色々と問題があったけれど、これで俺は堂々と貴女の隣に立つことができます。
 抱えるほどの美しい深紅の薔薇を腕に抱いてブランシェット公爵家の門を潜る。
 知らせを聞いて待っていてくれたのか屋敷の前でリリー様が出迎えてくれた。
 俺はリリーの前に跪き薔薇の花束を差し出した。
「俺と!結婚してください!」
 あれ?

******

「旦那様!旦那様!奥さまが無事にご出産されました!母子ともにご無事でお産まれになられたのは元気な男のお子様です。」
 それから数年後、フロマージュ侯爵家に響き渡った家令の声に屋敷が喜びに包まれた。
 廃嫡されたレオは今、フロマージュ領内の田舎町で、次男以下の若者を集めて領内の治安維持に貢献している。
 もともとの女好きもたたってか、市井に下りてからも暫く浮き名を流しては刺されたりしていたが、今年に入って平民の鬼嫁に捕まったらしい。
 余所見をすれば耳を引っ張られたり、包丁を持った嫁に村中を追い掛け廻されたりしているが、それすらも嫁に構って欲しいが故の行動だろう。
 もうすぐ子供が産まれる事もあり、父に相談して領地の一部を任せる許可を陛下からいただく予定だ。
 マイヤー男爵は反逆罪で家宅捜索が入り、脱税や過剰な徴税が明るみになり、爵位が没収された。
 アーサー殿、アーサーはシャーラ嬢共々市井に下ったが、シャーラ嬢の“嫌だ”発言が効いたのか、たちまち離縁し暫く酒に溺れたようだった。
 マイヤー元男爵家と早々に離別したアーサーは、そのお陰で個人に与えられた下賜金は没収されずに済んだが、勿論庶民の金銭感覚などあるはずもなく、まるで湯水のように使い果たした。
 どうやらかなりの額を王家の家名を乱用し借金もしていたらしく、困り果てた商人から王城に知らせが入り事態が発覚した。
 普通に幽閉するかという話も出たが、幽閉では生温く再犯の恐れが高いこともあり、自分で借金を払い終わるまでの期限つきで強制労働となった。
 労働先は監視つきで国境の防衛の要となっているクラン砦。近くの村まで馬車で二日かかるためまぁ幽閉と変わりはない。
 アーサーはクラン砦で借金が払い終わるまで働くわけだが、クラン砦の長官がヤバイ。
 大変優秀で容姿に優れた美丈夫だが、女性に興味を持たれない方なのだ。
 しかも美しい男性に目がない。少年から青年へ移行する年頃など大好物らしい。
 俺も昔尻を撫でられて飛び上がったことがあるからな。
 そこはある意味で男達の楽園として有名な砦だ。はっきり言おう!俺は絶対に行きたくない。
 一部の熱狂的な貴腐人には、夢のような楽園だが、入れられる方はたまったものじゃないだろう。
 再教育と不要に女性を寄せ付けないためとは言え、容赦なくアーサーを生け贄に放り込んだロアーク殿下と国王陛下が恐ろしい。 
 他の者達もそれぞれ自分の道を歩んでいる。
 そして本日フロマージュ侯爵家にも大きな変化がもたらされた。
「そうか、無事に産まれたか!」
 昨晩から妻のリリーが産気付いた為に気が削がれ仕事が手につかず、ロアーク陛下に子が産まれるまでは出てくるなと王城から追い出された。
 ロアーク陛下はラステル正妃陛下との間に二人の王女殿下と王太子を授かっている。
 母子ともに無事産まれたことでほっとして、ぐったりとソファーに身を投げ出した。
 どうやら心配のあまり全身に力が入りすぎていたらしい。
 バタバタと廊下を走る足音が部屋へと飛び込んできた。
「旦那様!お嬢様がお産まれになりました!」
「本当か!?」 
 もともと腹部が通常より大きく、双子かも知れないとは知らされていたが。親子揃って双子とは。
「旦那サマー!元気なお嬢様がお産まれになりました!」
 続けて走り込んできたメイド長が先程聞いたばかりの報告をあげる。
「ああ、先程聞いたよ。」
「違います!三人目のお子様です!お嬢様がお産まれになりました!」
 さ、三人目!?
「リリー!」
 いてもたっても居られずに俺は廊下へ飛び出した。
「お、お待ちください!まだ産室にはいってはなりません!旦那様~!」 
 俺は今とっても幸せです。

完!
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