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第六話
記憶の欠片
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一ヶ月後…
薺「葉!今日もいつもの所?」
葉「うん!行ってくる。また後で。」
昼休みになり僕はいつも場所へ向かっていた。
階段を早足で駆け上がり四階のピアノの音がする場所へ…
音楽室の前に立ち扉の窓の向こうに映る君の姿を確認し僕は扉を開く。
葉「やあ!」
僕の声に気付きピアノの手を止めゆっくりと僕の方に顔を向け彼女は微笑む。
百合依「こんにちは…楸君。」
葉「こんにちは!今日も、一本さんに逢えた。」
百合依「何それ」
葉「だって一本さん携帯持ってないから今日学校に来てるか分かんないじゃん!だから毎日昼休みここに来て君が居るか確認してるんだよ!」
百合依「私が来てなかったらどーしてるの?」
葉「そんなのテンション下がりながらここでご飯食べてるよ。」
百合依「そうなんだ…ごめん。」
葉「別にいいよ!その分逢えたら嬉しいし。」
そう言うと、君は少し顔を赤らめながら
百合依「何でそういつも恥ずかしげも無くそんなことが言えるかな!?」
葉「もっと言ってあげようか?」
百合依「馬鹿じゃないのw」
こんな会話をしながら二人で昼ご飯を食べる時が僕は好きだった。
葉「ねえ!今更聞くけどピアノは子供の時から習ってるの?」
百合依「うん…もう辞めちゃったけどね。でもたまにこーして弾きたくなるからここに来て弾いてるの。」
葉「そーだったんだ。弾いてるの聴いてて滑らかで綺麗な音だと思ってたから昔からやってるんだろうなと思って。」
百合依「楸君ピアノ弾けるの?」
葉「僕は弾けないよ!子供の頃に母親が元ピアニストだったから家で弾いてるのを隣でよく聴いていたんだ。」
百合依「え!?楸君のお母さんてピアニストだったの?楸君は何か習い事してたの?」
葉「ううん。やってないよ!中学の時からバイトをしてたからそんな余裕なかったよ。」
百合依「え?バイトしてたの!!なんか大人みたい…どーして働いてたの?」
葉「うーん…この話はこの時間帯じゃ終わらないかな。時間がある時でも構わないかな?」
百合依「…うん、良いよ!いつでも。」
葉「でも習い事は出来なかったけど時間がある時は幼馴染みのツレとよくカラオケには行ってたかな。まぁ溜まり場がいつもそこだっただけなんだけどねw」
百合依「カラオケ?歌うの好きなの?」
葉「そうだね。ストレス発散にもなるし」
百合依「え?聞いてみたいかも」
葉「は?何を?」
百合依「そんなの歌に決まってんじゃん!」
葉「いやいや!そんなのあり得ねーから」
百合依「良いじゃん!私が曲を弾くから歌って!!」
そう言って僕の手を掴み無理やりピアノの前に立たされた。
百合依「何が得意?好きな曲は?」
葉「え?何だろう…」
百合依「じゃあこれ歌える?清○○○の桜!!私すごく好きなのこの歌。」
葉「僕も好きなんだけど!」
百合依「じゃあ決まり!行くよ!」
そうして彼女の演奏が始まり僕は目を閉じて歌いはじめた。
たったの三分から四分の歌なのについ夢中になり気がつくとあっという間に曲が終わった。
ゆっくり目を開けると彼女は、涙を流していた。
葉「一本さん!?」
百合依「ごめんなさい!違うの…すごく上手だったから感動して。びっくりしちゃった!楸君歌すごく上手いじゃん!!」
葉「そんな事ないよ。」
百合依「あるよ!少なくとも私が今まで聴いてきた人の中で確実に一番だよ!」
葉「そうかな…なんか恥ずかしいんだけど。そうやって何かを褒められた事なんて殆どないからどうリアクションして良いのか分かんない。」
百合依「そんなのありがとうて言えばいんだよ!」
葉「そっか…それで良いのか…ありがとう!!一本さん。」
百合依「あ!そろそろお昼終わっちゃうね。私もう行くよ!またね。」
そう言い彼女は音楽室を出て行った。
葉「明日も逢えるかな…。」
一人になった音楽室で僕の声が寂しく広がった。
葉「まだお昼途中だったし眠いしこのままサボろ…」
僕は、鞄を枕にしてそのまま横になり目を閉じた。
「よー君!よー君!一緒にピアノ弾こうよ」…誰だこの声?
「ボクは弾かないよ!」
「じゃあ私が弾くからよー君は隣でお歌うたってよ!」
「えーボク恥ずかしいよ!」
「大丈夫だよ!よー君はお歌が上手だからきっと大きくなったら歌手になれるよ!」
「その時は、よー君の後ろで私がピアノを弾いてあげるね!」
「あら!二人ともこんな所にいたの?〇〇ちゃんもうすぐママがお迎え来てるわよ!」
母さん!?
「〇〇!帰るわよ!準備して」
「ママ!またね!よー君!!」
「うん。またね!」
バサッ!ハァハァハァ…子供の頃の僕の記憶の夢?
いつの記憶だ?全く覚えがないぞ…あの子は誰だ?
それに、あの場所は母さんのピアノ教室だ。
何で今になってこんな夢を…頭いてぇ。
早く帰ろう
教室の時計を見るとすでに十七時を過ぎていた。
授業はとっくに終わっていてグラウンドからは部活動生の声が聞こえていた。
僕は、鞄を手に取り教室を出て下駄箱に向かい靴を履き替えるとそのまま学園を後にした。
薺「葉!今日もいつもの所?」
葉「うん!行ってくる。また後で。」
昼休みになり僕はいつも場所へ向かっていた。
階段を早足で駆け上がり四階のピアノの音がする場所へ…
音楽室の前に立ち扉の窓の向こうに映る君の姿を確認し僕は扉を開く。
葉「やあ!」
僕の声に気付きピアノの手を止めゆっくりと僕の方に顔を向け彼女は微笑む。
百合依「こんにちは…楸君。」
葉「こんにちは!今日も、一本さんに逢えた。」
百合依「何それ」
葉「だって一本さん携帯持ってないから今日学校に来てるか分かんないじゃん!だから毎日昼休みここに来て君が居るか確認してるんだよ!」
百合依「私が来てなかったらどーしてるの?」
葉「そんなのテンション下がりながらここでご飯食べてるよ。」
百合依「そうなんだ…ごめん。」
葉「別にいいよ!その分逢えたら嬉しいし。」
そう言うと、君は少し顔を赤らめながら
百合依「何でそういつも恥ずかしげも無くそんなことが言えるかな!?」
葉「もっと言ってあげようか?」
百合依「馬鹿じゃないのw」
こんな会話をしながら二人で昼ご飯を食べる時が僕は好きだった。
葉「ねえ!今更聞くけどピアノは子供の時から習ってるの?」
百合依「うん…もう辞めちゃったけどね。でもたまにこーして弾きたくなるからここに来て弾いてるの。」
葉「そーだったんだ。弾いてるの聴いてて滑らかで綺麗な音だと思ってたから昔からやってるんだろうなと思って。」
百合依「楸君ピアノ弾けるの?」
葉「僕は弾けないよ!子供の頃に母親が元ピアニストだったから家で弾いてるのを隣でよく聴いていたんだ。」
百合依「え!?楸君のお母さんてピアニストだったの?楸君は何か習い事してたの?」
葉「ううん。やってないよ!中学の時からバイトをしてたからそんな余裕なかったよ。」
百合依「え?バイトしてたの!!なんか大人みたい…どーして働いてたの?」
葉「うーん…この話はこの時間帯じゃ終わらないかな。時間がある時でも構わないかな?」
百合依「…うん、良いよ!いつでも。」
葉「でも習い事は出来なかったけど時間がある時は幼馴染みのツレとよくカラオケには行ってたかな。まぁ溜まり場がいつもそこだっただけなんだけどねw」
百合依「カラオケ?歌うの好きなの?」
葉「そうだね。ストレス発散にもなるし」
百合依「え?聞いてみたいかも」
葉「は?何を?」
百合依「そんなの歌に決まってんじゃん!」
葉「いやいや!そんなのあり得ねーから」
百合依「良いじゃん!私が曲を弾くから歌って!!」
そう言って僕の手を掴み無理やりピアノの前に立たされた。
百合依「何が得意?好きな曲は?」
葉「え?何だろう…」
百合依「じゃあこれ歌える?清○○○の桜!!私すごく好きなのこの歌。」
葉「僕も好きなんだけど!」
百合依「じゃあ決まり!行くよ!」
そうして彼女の演奏が始まり僕は目を閉じて歌いはじめた。
たったの三分から四分の歌なのについ夢中になり気がつくとあっという間に曲が終わった。
ゆっくり目を開けると彼女は、涙を流していた。
葉「一本さん!?」
百合依「ごめんなさい!違うの…すごく上手だったから感動して。びっくりしちゃった!楸君歌すごく上手いじゃん!!」
葉「そんな事ないよ。」
百合依「あるよ!少なくとも私が今まで聴いてきた人の中で確実に一番だよ!」
葉「そうかな…なんか恥ずかしいんだけど。そうやって何かを褒められた事なんて殆どないからどうリアクションして良いのか分かんない。」
百合依「そんなのありがとうて言えばいんだよ!」
葉「そっか…それで良いのか…ありがとう!!一本さん。」
百合依「あ!そろそろお昼終わっちゃうね。私もう行くよ!またね。」
そう言い彼女は音楽室を出て行った。
葉「明日も逢えるかな…。」
一人になった音楽室で僕の声が寂しく広がった。
葉「まだお昼途中だったし眠いしこのままサボろ…」
僕は、鞄を枕にしてそのまま横になり目を閉じた。
「よー君!よー君!一緒にピアノ弾こうよ」…誰だこの声?
「ボクは弾かないよ!」
「じゃあ私が弾くからよー君は隣でお歌うたってよ!」
「えーボク恥ずかしいよ!」
「大丈夫だよ!よー君はお歌が上手だからきっと大きくなったら歌手になれるよ!」
「その時は、よー君の後ろで私がピアノを弾いてあげるね!」
「あら!二人ともこんな所にいたの?〇〇ちゃんもうすぐママがお迎え来てるわよ!」
母さん!?
「〇〇!帰るわよ!準備して」
「ママ!またね!よー君!!」
「うん。またね!」
バサッ!ハァハァハァ…子供の頃の僕の記憶の夢?
いつの記憶だ?全く覚えがないぞ…あの子は誰だ?
それに、あの場所は母さんのピアノ教室だ。
何で今になってこんな夢を…頭いてぇ。
早く帰ろう
教室の時計を見るとすでに十七時を過ぎていた。
授業はとっくに終わっていてグラウンドからは部活動生の声が聞こえていた。
僕は、鞄を手に取り教室を出て下駄箱に向かい靴を履き替えるとそのまま学園を後にした。
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