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プロローグ
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どれくらいの間、僕はその花束を見ていただろうか…
ライブが始まる10分前、トイレを済ませた僕に花束を持ったマネージャーの真白(ましろ)が声を掛けてきた。
「葉(よう)!!ここに居たのか。」
「真白?!どうした?」
「実はな、さっき差出人がわからない花束がお前達に届いたんだ!」
「花束?」
「あぁ、誰か心当たりはあるか?」
「百合の花……なんてくれる人は俺の周りにはいないだろ!普通に俺達のファンの子じゃないか?」
「まぁそうだよなー」
そんなやり取りをしながらも僕は、百合の花から目が離せないでいた。
すると背後から「葉さん!葉さん!!こんな所でなにしてるんですか!?みんなで探してたんですよ!もうすぐ始まります行きましょう。」
スタッフの声で我に返った僕は、その場を後にしステージ場へと歩き始めた。
「Boheme(ボエム)の皆さん、あと3分で始まります!凱旋ライブ頑張って下さい。」
袖でスタッフの方に言われ改めて帰って来たのだと実感した。
「葉!遅いぞ!!何してた?」
「悪い佑(たすく)ちょっと花を見てた。」
「花…?なんだそれ!もうライブ始まるんだぞ。」
「まぁまぁ揃ったし良いだろ。ヨシ!お前ら、時間だ行ってこい!」
後ろからマネージャーの真白が僕等にそう言い順番に背中を叩いて後押ししてくれた。
「行ってくる!」
真白にそう告げ四人はステージへと階段を上がっていった。
鳴り止まない歓声がこだまし手を振り泣いている人達もいる。
「葉、剣(つるぎ)、佑、やっと此処に帰って来たな。薺(なずな)も会場に来てくれてるみたいだぞ!さっき連絡があった。」
メンバーの星(せい)からそう告げられると僕らは、顔を合わせ何も言わずに前を向き自分達の位置について曲を奏で始めた。
一曲また一曲と終わるにつれて僕は、一人の女性のことを思い出していた。黒髪のショートカットが似合う少し切れ長の大きな瞳の女性。
歌うたびに映し出される彼女との思い出たち。
「もうこの手を離していいよ。私は、一人で歩いて行けるから…」
「葉の夢が叶う日を楽しみにしてるね…バイバイ。」
そう言って君は僕の前から去って行った。
ただ、君を繋ぎ止めておく言葉も見つけられずにあれから十ニ年も経った…
「百合依(リリイ)……君も見にきて来れてるかな?そうだと嬉しいな。だって君に聴いてもらいたい歌がたくさんあるんだ。」
そう思い、歌いながら僕は彼女との出会いを思い出していた。
ライブが始まる10分前、トイレを済ませた僕に花束を持ったマネージャーの真白(ましろ)が声を掛けてきた。
「葉(よう)!!ここに居たのか。」
「真白?!どうした?」
「実はな、さっき差出人がわからない花束がお前達に届いたんだ!」
「花束?」
「あぁ、誰か心当たりはあるか?」
「百合の花……なんてくれる人は俺の周りにはいないだろ!普通に俺達のファンの子じゃないか?」
「まぁそうだよなー」
そんなやり取りをしながらも僕は、百合の花から目が離せないでいた。
すると背後から「葉さん!葉さん!!こんな所でなにしてるんですか!?みんなで探してたんですよ!もうすぐ始まります行きましょう。」
スタッフの声で我に返った僕は、その場を後にしステージ場へと歩き始めた。
「Boheme(ボエム)の皆さん、あと3分で始まります!凱旋ライブ頑張って下さい。」
袖でスタッフの方に言われ改めて帰って来たのだと実感した。
「葉!遅いぞ!!何してた?」
「悪い佑(たすく)ちょっと花を見てた。」
「花…?なんだそれ!もうライブ始まるんだぞ。」
「まぁまぁ揃ったし良いだろ。ヨシ!お前ら、時間だ行ってこい!」
後ろからマネージャーの真白が僕等にそう言い順番に背中を叩いて後押ししてくれた。
「行ってくる!」
真白にそう告げ四人はステージへと階段を上がっていった。
鳴り止まない歓声がこだまし手を振り泣いている人達もいる。
「葉、剣(つるぎ)、佑、やっと此処に帰って来たな。薺(なずな)も会場に来てくれてるみたいだぞ!さっき連絡があった。」
メンバーの星(せい)からそう告げられると僕らは、顔を合わせ何も言わずに前を向き自分達の位置について曲を奏で始めた。
一曲また一曲と終わるにつれて僕は、一人の女性のことを思い出していた。黒髪のショートカットが似合う少し切れ長の大きな瞳の女性。
歌うたびに映し出される彼女との思い出たち。
「もうこの手を離していいよ。私は、一人で歩いて行けるから…」
「葉の夢が叶う日を楽しみにしてるね…バイバイ。」
そう言って君は僕の前から去って行った。
ただ、君を繋ぎ止めておく言葉も見つけられずにあれから十ニ年も経った…
「百合依(リリイ)……君も見にきて来れてるかな?そうだと嬉しいな。だって君に聴いてもらいたい歌がたくさんあるんだ。」
そう思い、歌いながら僕は彼女との出会いを思い出していた。
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