ヘカッテと夢の中の迷子ちゃん

 どんなよいこでも迷子になったことがあるという人は多いかと思いますが、ヘカッテも同じでした。小さい頃にうっかり迷宮で迷子になった時の恐怖は、今も時々悪夢となってヘカッテを襲いました。そんな時、ヘカッテをいつも助けてくれるのが、小さい頃に助けてくれた知らないお姉さんでした。そのお姉さんはヘカッテにとって、まさに憧れの人だったのです。
 あれからしばらく。ヘカッテも日々少しずつお姉さんになっていきます。迷子の思い出を夢に見る事も少なくなってきました。けれど、久しぶりにヘカッテの夢にあの時に似た迷宮の景色が広がりました。しかし、どうも様子が違います。泣きながらお家を捜しているのはヘカッテではありません。まだ子どもの夢まくらの精霊だったのです。自分の名前も分からない迷子ちゃんにすがられて、ヘカッテは夢の中をさまよいます。あの時とは、逆の立場で。

※この作品は「小説家になろう」にも投稿しております。
24h.ポイント 0pt
0
小説 194,381 位 / 194,381件 児童書・童話 3,615 位 / 3,615件

あなたにおすすめの小説

それゆけ!しろくま号

七草すずめ
児童書・童話
これは、大人になったあなたのなかにいる、子供のころのあなたへおくるお話です。 サイドミラーはまるい耳。ひなた色をした体と、夜空の色をしたせなか。 しろくま号は、ヒナタとミツキを、どこへだって連れて行ってくれるのです。 さあ、今日はどんなところへ、冒険に出かける?

荒川ハツコイ物語~宇宙から来た少女と過ごした小学生最後の夏休み~

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 今より少し前の時代には、子供らが荒川土手に集まって遊ぶのは当たり前だったらしい。野球をしたり凧揚げをしたり釣りをしたり、時には決闘したり下級生の自転車練習に付き合ったりと様々だ。  そんな話を親から聞かされながら育ったせいなのか、僕らの遊び場はもっぱら荒川土手だった。もちろん小学生最後となる六年生の夏休みもいつもと変わらず、いつものように幼馴染で集まってありきたりの遊びに精を出す毎日である。  そして今日は鯉釣りの予定だ。今まで一度も釣り上げたことのない鯉を小学生のうちに釣り上げるのが僕、田口暦(たぐち こよみ)の目標だった。  今日こそはと強い意気込みで釣りを始めた僕だったが、初めての鯉と出会う前に自分を宇宙人だと言う女子、ミクに出会い一目で恋に落ちてしまった。だが夏休みが終わるころには自分の星へ帰ってしまうと言う。  かくして小学生最後の夏休みは、彼女が帰る前に何でもいいから忘れられないくらいの思い出を作り、特別なものにするという目的が最優先となったのだった。  はたして初めての鯉と初めての恋の両方を成就させることができるのだろうか。

銀のらせん

灰草 露
児童書・童話
「この階段は昇ることはできても、決して降りることはできないのです…」 母さまと療養所に来ていた坊ちゃんは、雑木林でとても美しいらせん階段を見つけます。階段の番人の鹿の青年。めかし込んだガマガエルの親方、ギンガムチェックのワンピースのリス、双子の蝶々。坊ちゃんは様々なものたちと出会います。果たして銀のらせんを昇った先に何があるのでしょうか。

隻腕の騎士と死にゆく集落

神無ノア
児童書・童話
年老いた人々が住む小さな集落。そこにいる騎士と、住民の話

つまりちゃん

うんこ
児童書・童話
いつも便秘は女の子、つまりちゃんが大活躍!

カエルのねがいごと

hanahui2021.6.1
児童書・童話
ボクらカエルは、雨が大好き。 空から落ちてくるしずくは、キラキラしていて とてもキレイ。 その上 体まで、サッパリさせてくれるスグレモノ。 そう思っていたら ある時 教わったんだ。 雨よりキレイな 雪ってヤツを…

吸血鬼伝説の始まり

ムービーマスター
児童書・童話
流行り病、悪性の風邪が定期的に流行る中世ヨーロッパの暗黒の時代。 今よりも死が身近だった時代、人々は流行り病から恐怖の伝説を産み落とす。 その元には、新たに見付かった旧約聖書「創世記・天地創造」から、新事実が解り、神と悪魔と人間、そして流行り病の象徴として、吸血鬼伝説が誕生したのです。

動けない自販機の私

にゃあちゃん
児童書・童話
 動かない自販機に焦点をあててみました。