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第2章 vtuberさん偽物現る

20話 ホムラガールズ爆誕 その2

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「はい、先程は大変恥をかきましたが、気を取り直して次のゲストに来て貰いましょう!その歌声はプロ顔負け俺の妹真冬もそのうまさに大興奮!それでは来てもらいましょうオンプさんです!どうぞ」
「あーどもっすオンプです。よろしく」

コメント
:次はダウナー系か
:声良いな
:ホムラよりイケボだ
:↑ホムラはイケボじゃないだろ
:カッケェ!

「はいよろしくお願いします。それではオンプさん来てもらって早速なんですが質問大丈夫ですか?」
「まぁ大丈夫です。はい」
「それじゃあ質問なんですけど、オンプさんってどちらかって言うときゃわわ♡ってタイプじゃ無いですよね?けど名前がオンプって名前凄く可愛いくないですか?いやそれが悪いって事じゃないんですけど、どうしてオンプなのかなってのが気になりまして……」
「ん、まぁその……きゃ、きゃわわってタイプじゃないのは確かなんですけど、それで名前がどうしてオンプになったかでしたっけ?あの……笑わないでくださいよ?その、実は……アタシあんまり名前付け得意じゃなくて、それで1時間ぐらい色々考えた結果がコレっすね……はい」
「なるほどなるほど……俺オンプさんの事少し勘違いしてました。オンプさんはすっごいかわいいですね!」
「なぁ!」

いきなり異性にかわいいと言われたオンプは、今までよりも数段でかい声で驚きの声を上げた。

コメント
:かわよ
:オンプたんすこすこのすこだ!
:チャンネル登録してきました
:かわいい!
:このコメントは削除されました

「それじゃあまぁ、入りはこんな感じで大丈夫だから、そろそろ本題といきますか。俺もね今回のコラボの為に色々考えたんですよ、どうすれば皆んなの良さが伝わるかなって、例えばさっきのゲストである梅さんなら人との会話で、本領が発揮されると思ったから俺との一対一での対談になったんですね、それで次にオンプさんですが、どうやってオンプさんの魅力をみんなに伝えれるか悩みに悩んだ結果、俺如きボキャ貧vtuberにはどうやってもオンプさんの本来の魅力を引き出すことは無理だと察しまして、古来よりあるその人の魅力と言うか実力を知る方法である、実演をオンプさんにはしていただこうと思います。」

そう俺が長々と話を続けオンプさんから、準備が完了したと言うメッセージが来るまでの時間稼ぎをした。

『準備できました』
『了解。俺がok出したら好きなタイミングで歌い始めてね』

「それではお聞きしましょう。オンプさんで『君ノ音』」

俺がそう言うと同時にスタンバっていたオンプさんが曲を流し始め、それを聞いた俺はいつでも音量調整ができるように、コメント欄を見ながら少し音が大きく感じたので、ほんの少しオンプさんの音量を下げた。

そうしている間に前奏が終わりオンプさんがその歌声を配信に響かせた。

コメント
:うっま
:このコメントは削除されました
:うま
:うますぎw
:すげー

いつもは半分以上が暴言に塗れている俺のコメント欄が、オンプさんの歌声によって浄化されたのか、そのほとんどがすげーや、うま!などの肯定的な意見で溢れかえっていた。

俺もそのコメントを見てそうだろうそうだろうと、後方腕組みおじさんの様に画面の前で静かに頷いていた。

中にはオンプさんの歌声に嫉妬したのか、いつものノリでオンプさんに対する誹謗中傷をする輩がいるが、そう言うやつは見つけた瞬間コメント削除からのブロックを繰り返していった。

そうして何の問題もなくオンプさんが歌い終わり、その瞬間俺のコメント欄は今まで見たこともない様な賞賛のコメントで埋め付くれていた。

そのコメント欄を見たオンプさんは少し照れくさそうにしながらも、先程までの歌声からは想像もつかないほどの小さな声で「ありがとう」と呟いた。

その様子を見た俺は、みんなから褒められているオンプさんに少し嫉妬したのは秘密だ。

「いやー流石でしたね。それで聞いてて少し気になったことがあるんですが、今って質問大丈夫ですか?」
「あ、はい大丈夫です」
「それでは質問なんですが、オンプさんってめちゃくちゃ歌上手いじゃないですか、いつから歌を歌い始めたんですか?」

この質問はリスナー達も気になっていたのか、俺がした質問に対して、よくやったや俺も気になる!などの意見が書き込まれ、こんなにも優しいコメント欄は久しぶりだった為、みんなが興味があるのは俺じゃなくてオンプさんなんだが、それでも何だか嬉しい気持ちになった。

「そうですね……歌。……確か小学校の音楽の授業で、音楽の先生に誉められてからですかね」
「なるほどかわいいかよ」
「か、かわ!?」

コメント
:ロリオンプちゃん先生に褒められてここまで上手くなるのは凄すぎw
:ロリオンプちゃんかわいい
:ダウナー系を装ったかわいい
:それだけでここまで上手くなるのは凄すぎ
:音楽の先生gj

その後もオンプさんに軽くアカペラで歌を歌ってもらったり、他にも色々な質問をしているとあっと言う間に時間は過ぎ、最後のゲストとのコラボの時間になった。

そしてコメント欄は神木梅さんにオンプさんと、今までコラボしてきた人達が良かったのか、最後の1人はどんなすごい子なのか?と凄く盛り上がっていた。

もし最後の1人がこの盛り上がりようを見て緊張でもしていたらどうしようと思い、「大丈夫?」と優しく聞いてみたところ「問題ないわ!むしろこれこそ本来姫のいる世界なんだから」と余裕満々なご様子だったので、少し安心した。

「それじゃあ本日最後のゲスト、立てばクソガキ座ればメスガキ歩く姿はチンチクリン!桃崎姫花さんです。どうぞ」
「誰がチンチクリンよ!……オホンっこの姫をチンチクリン呼ばわりとは、アンタどうなっても知らないんだからね」
「あーはいはい怖い怖い」
「何で姫の時だけ、そんなに適当なのよ!」

コメント
:メスガキきちゃ
:このコメントは削除されました
:このコメントは削除されました
:♡♡♡
:好きです!

「それじゃあ時間も押してるので、早速本題に移りましょうか、姫花さんはアレですよね?ゲームがお上手なんですよね」
「もちろんよ!姫にかかれば誰が相手でもちょちゃいのちょいよ!」
「という訳で姫花さんとは、最近配信でよくやっていらっしゃるスラブラで勝負していきたいと思います。」
「えーいいの?姫本当に強いよ?この前もプロって言う人に勝ったばっかりだしー。何だったらホムラさんがどうして持ってお願いするなら、ハンデあげちゃっても良いんだけどなぁ~」
「うーんそうだな……今は別にいいかな」
「ふーん、そう」

そう俺と姫花さんが話し合っている間にも、いそいそと裏でゲームの用意をした。

そもそもスラブラとは、正式名称を大乱闘スラッシュブラザーと言い、某有名ゲーム会社の発売しているキャラ達が一挙に集まった格闘ゲームで、その人気度は毎年大きな世界大会が開かれるほどだ。

そんな事を話している間に準備は完了して、俺の配信画面にスラブラのゲーム画面を映した。

「もちろん分かってると思うけど、ステージは終焉でアイテムなしの3ストック制よ」
「了解っと、それで姫花さんは何のキャラを使うんだ?」
「姫?姫はもちろん桃姫よ!これ以上姫にピッタリなキャラも居ないわ!」
「なら俺はそれ系列でワリヲかな」
「って何でワリヲなのよ!そこはマリヲじゃないの?せめてグッパとか!」
「いや、なんかそれは姫花さんの思惑通りそうで嫌だなって……」
「思惑って何よ!と言うかアレでしょ?どうせワリヲを選んだのって、負けた時の言い訳をする為なんでしょ?俺の本気はマリヲでこれは手を抜いてあげただけだとか、やめてよねそう言うの姫そう言うの見ると、惨め過ぎて笑っちゃいそうになるからw」
「いや既に笑ってるじゃねぇか!いいだろう俺とワリヲのコンビネーションをお前に見せてやる!」

そうして始まった戦いだが、俺は既に危機に陥っていた。

開始早々にワリヲのバイクで桃姫に突っ込んだところ、かわされてそのまま崖下に追いやられ、何も出来ずに1ストックを無駄に使い、その次はすぐにやられない様に積極的に攻撃に行かずに、どちらかと言うと逃げに徹していたのだが、それでも徐々に徐々にだが桃姫の攻撃が当たり、ワリヲの吹っ飛びゲージは順調に貯められて、いつやられても仕方がないレベルまで追い詰められていた。

「あれあれあれあれ?ワリヲとのコンビネーションはどうしたんですか?このままじゃ姫を一回も倒せず終わっちゃいますけど、大丈夫ですかぁ♡」
「くっ……やるな!」
「ホムラさんは全然やりませんけどねwww」

そのまま俺とワリヲは何もできないまま2ストック目も無為に失った。

そして俺の2ストックを無傷で倒した姫花さんは勝ちを確信したのか、今まで以上に上機嫌になり俺を煽りに煽り始めた。

「本当にどうするんですかぁ?このままじゃなんの見せ場もなく終わっちゃいますよぉ~?今からでも姫にお願いするならハンデをあげてもいいんですよ♡それともこのまま無様に女の子に手も足も出せずにやられちゃいますか?www」
「……」
「アレ?ホムラさん配信者なのにショックで黙っちゃいましたかwww」

そんな上機嫌な姫花さんを見て俺はここだなと思い復活すると、一瞬で桃姫を画面端まで追い詰めて姫花さんが何の反撃もすることができぬ間に、桃姫を場外へと殴り飛ばした。

「へ?」

先程まで完全に自分が優位に立っていたのに、いきなり自分が何もできずに場外に飛ばされた事に驚き、姫花さんは素っ頓狂な声をあげた。

「ふ、ふーんなかなかやるじゃないですか、たまたまでもこの姫の1ストックを落とすなんて、でもここからは姫も本気を出しちゃいますからね!」
「……」

そう豪語した姫花さんとは反対に配信画面に映るのは、桃姫がワリヲに一方的にボコボコにされている映像だった。

「え?え?え?な、なんで?どうして?」
「……っふ、ふっふっふ。あーハッハッハ!どうでしたか姫花さん?気持ちよかったですか?俺を一方的にボコボコにできて!自分がハンデを上げようと考えていた相手に逆にハンデをもらってた気持ちは!」
「??????」

コメント
:性格わっるww
:わからせじゃんw
:いいぞもっとやれ!
:このコメントは削除されました
:草
:クッソ上手くて草

「どうします姫花さん?もし姫花さんがどうしてもって言うならもう一回ハンデあげてもいいですよ?」
「バ……」
「バ?」
「バカー!バーカ!ホムラさんのバーカ!アホアンポタン!この鬼畜!」
「あらあら、姫ちゃんどうしたんでちゅか?そんな言葉言っちゃダメでちゅよ!w」
「アホー」
「草」

その後も容赦なく一方的に姫花さんをボコボコにして、スラブラ対決は無事終了した。

「いやー生意気なクソガキを大人の力でボコボコにするの気持ちぇー!」
「最低!クズ!女の敵!」

コメント
:これはクズ
:畜生過ぎて草
:姫花ちゃん涙声かわいい
:可哀想はかわいいはっきりわかんだね

その後流石にやり過ぎたと感じた俺は、姫花さんの機嫌が戻るまでいっぱい接待スラブラした。

という訳で3人全員とのコラボが終わり、最後に全員集合して、今回のコラボの感想などを聞き全員で乙ホムを言ってもらい、今回の配信は俺の配信では珍しく特段炎上もせずに、成功を収めることができた。



「チッ」

とある男は今回の九重ホムラの配信を見て、1人暗い部屋で舌打ちをした。
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