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第〇九章 野をアラす獣

野をアラす獣(01)◆

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「――んあぁっ、だめぇっ!」

 この世は、結局のところ弱肉強食だ。

「だめっ…みない、でっ……」

 自分の恋人が股を大きく広げ、目の前で他人の肉棒モノ蹂躙じゅうりんされる。

 シズカは、ミチルにとって初めてできた恋人で自慢の恋人だった。友人にも清楚せいそで「可愛い」と評判の子だった。
 その恋人である女の下で、筋肉質の男が腰を突き上げていく。シズカは、恐怖と恥じらいの中で興奮を覚え始めていた。

「んっ、んんっ…いやっ……」

「おら、口も開くんだよ」

「んあ、はひ……」

 男は腰を動かしたまま上半身を上げて、シズカの乳房を激しく揉みしだく。さらに、開かせた口に大きくて長い舌を侵入させる。

「んん、んあっ、ああっ、んんあ゛っ!」

 シズカは男の唾液を含んだ舌を徐々に受け入れ、膣内なかから込み上げる快感に耐え切れず体を震わせる。男は体に見合った大きな肉棒をこれでもかと突き上げていった。

「どうした? 気持ちいいのか?」

「んあっ、そんなことっ、なひっ……」

「うそつけっ」

「んんぁあ゛っ!」

 ふいに男は立ち上がり、シズカの太腿ふとももを持って肉棒を挿入れたまま持ち上げる。
 シズカの股がさらに大きく開かれ、肉棒が膣内なかを行き来するのがはっきりと見える。

「おらっ、きもちいいんだろっ!」

「んあ゛っ! いやっ、いやあ゛っ!」

「はやく、いえっ!」

「んあぁあ゛っ! いい゛っ! きもちいい゛ですっ!」

 証拠に、シズカの膣内なかからは大量の愛液が溢れ出す。手足を縛られ、身動きが取れない自分のすぐ前にも愛液は飛び散った。

「ああ゛っ! だめっ、みないでっ…いやっ、んんあ゛っ……んぁあ゛っ!」

 愛液はついに顔にまで飛び散ってくる。性交渉でここまで感じる恋人を見るのは初めてだった。

「んああ゛っ! これ以上はっ……あっ、んんぁあ゛っ!」

 恋人とは、ついこの前まで仲良くしていたはずだった。それが、些細な喧嘩けんかをきっかけに距離が離れ、今ではこのザマである。

「なんだ? イキそうなのか?」

「いやっ、ちがっ…んあっ……!」

「イクときはちゃんと謝るんだぞ」

「んいやっ、んあっ…だめぇっ……」

 ヒトも根本は野生動物と変わらない。
 メスは強いオスに群がり、弱いオスは淘汰とうたされる――

「あっ、だめっ、んだめっ…イクっ、んイクっ……」

「ほら、言うことあるだろ?」

「んあっ、ごめん、なさいっ…んあ゛っ! わたひ、イっひゃう……」

「誰にイかされるんだ?」

「ごめんなさいっ、わたひ、イっちゃうっ…ミチくんとだよイったことないのにっ……好きじゃない人に、ミチくん以外の人にイかされちゃうっ!」

「おらっ」

「ぁあ゛っ! だめっ! イグ、イグっ…イっちゃうよっ! ミチくんじゃない人のおちんぽでイかされちゃうよぉ゛っ!」

 シズカの体は激しく痙攣けいれんし、膣内なかもヒクヒクと震える。
 同時に男の肉棒も脈打って濃い精液を注ぎ込んでいた。

「あうっ、んああっ…ああ゛っ……」

 シズカの痙攣は長いこと続き、膣内なかから愛液と混ざって精液が垂れ落ちるのがはっきりと見える。

「ふんっ」

「ああんっ……」

 男は突然飽きて肉棒を抜き、シズカの体を支えていた力も抜く。
 シズカには立ち上がる体力さえ残っておらず、あえぎ声を漏らしながら無造作に床へと捨てられてしまう。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「お前も悔しいんだろ?」

 シズカの吐息に被せ、男は自分に話しかけている。
 恋人と他人の一部始終を見せられ、ミチルも男と同じように陰部を固くしていた。

「なら、奪う側になれ」

 男が何かを放り投げた。
 目の前に『タネ』が転がってくる。

「食べてみろ、いい気分になる」

 床に倒れ込む女の恍惚こうこつな表情に、かつての恋人の面影はない。
 理性なんて言うのはタダの言い訳で、結局これ・・が一番だと思わせられる。

 手足を縛られたまま、芋虫いもむしのようにいずり回り、タネに口元を近づけていく――
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