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第〇五章 強く引くキモち

強く引くキモち(04)◆

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「――ンハァっ!」

 畳のワンルームにメアリのあえぎ声が響く。
 メアリは、衣服をがされた状態で部屋の窓に手をつき、豊満なお尻を突き出していた。
 そのお尻に向かって明人は、自分の腰を繰り返し叩きつける。叩きつけられる度に明人の肉棒モノがメアリの奥を刺激する。

「んあぅっ、んぅ…もっと、あぅんっ……もっとぉ!」

 明人は腰の振りを強くする。
 メアリの体はさらに押し上げられ、お尻にも引けを取らない豊満な乳房ちぶさが透明な窓に押し付けられる。
 メアリの激しい吐息といきが窓を白くくもらせていく。

「いぃ゛っ、んいぃ゛っ……んああ゛っ、アキトっ゛!」

 メアリの膣内なかが明人の肉棒をキュッと締め上げる。メアリは、足腰をヒクヒクさせて痙攣けいれんする。
 明人よりも先に達してしまった。

「意外と優しいんだな」

「はあ、はあ……どういう、んっ…イミ?」

 明人は肉棒を挿入れたまま、メアリの長い足を抱えて体を自分に向かせる。対するメアリは、明人の首に手を回してぶら下がる。

「わざとトドメを刺さないなんて、メアリらしくないな」

「んふっ、ワタシは勝負バトルなんてキョーミないの。ただ……」

 明人は、メアリの口をふさぐようにキスをする。
 少しだけのつもりが、お互いの唇と舌が夢中になって絡み合う。

「んっ、んちゅぷ…んちゅ、んじゅるっ…っんはぁ……」

 お互いの唇が離れると、その間をお互いの唾液が繋ぎとめる。
 メアリは明人にぶら下がったまま、色っぽい目で明人を見つめた。

「アキトと、シタかった……だけっ――んあぁん゛っ!」

 メアリの両足を抱え、ぶら下ったメアリの体ごと縦に振り、明人は腰を突き上げていく。
 明人の腰が強くぶつかるたぶ、メアリは大きな喘ぎ声を上げる。

「ん゛ぅっ! いい゛っ、これいい゛っ!」

 メアリの股からは、ポタポタと愛液がしたたり落ちる。
 明人は腰を振る速度を上げていく。

「あ゛ぅ゛っ! ん゛っ、ん゛っ、んいい゛っ! きもちい゛っ!」

「これからも、頼むぞっ」

「んああ゛っ! そんなに゛っ、はげしくしたらっ…またっ……」

「くっ……」

「イグッ、ホントにイッ…んああ゛ぁっ……イッちゃうのぉっ!」

 再び強く締め上げるメアリの膣内なか――
 明人も耐えられず、寸前で肉棒を抜こうとする。

「あ゛ぅっ…んのぉっ、ダメぇっ……抜かないでぇっ!」

「おいっ……」

 メアリはこれでもかと明人に体をくっつけ、メアリの膣内なかが肉棒を離さまいとくわえ込む。
 明人は、耐え切れずに腰を突き上げる。肉棒からは明人の精液が膣内なかに注ぎ込まれていく。
 メアリの膣内なかでドクドク暴れる肉棒は、勢いよく反り返って抜けてしまう。膣内なかからは濃く白濁した精液とメアリの愛液が混ざり合って溢れ出す。

「ふう、ふう…あんっ…んんっ……」

 メアリの膣は、肉棒が抜けてからもしばらくヒクヒクと痙攣していた。

「まったく、どうして抵抗する」

「だってぇ、アノ女には出したんでショ?」

「そういう問題じゃない」

「それよりぃ…んっ……」

 メアリは明人の話を無視し、イヤらしい目つきで明人を見つめる。
 膣内なかからは、まだまだ明人の精液が溢れ出し、その度にメアリは快感を感じていた。

「んんあっ、頼むってぇ…ナンの、こと……?」

「真由乃のことだ。これからも、きっと――」

 メアリは片手でぶら下ったまま、右手の人差し指を明人の唇に当てて言葉をふさぐ。
 イヤらしい目つきのまま微笑みかける。

「それはぁ……これからのアキトしだい、ねっ?」




 ***




「はああ……」

 翌日の放課後――
 保健室には真由乃の深いタメ息が充満する。

 カーテンで仕切られた奥の簡易ベッドでは、いつも通り明人が横になり、小説を広げていた。

「むぅ……」

 診察用の丸椅子に座り、クルクル回転しながら独特なタメ息をつく。
 そのタメ息のせいで明人は息が詰まり、耐えきれずベッドから体を起こしてカーテンを開けた。

「明人さん、いたんですね」

「気づいてただろ」

「……はい」

 真由乃は、悪びれる様子は無い。むしろ、ワザと明人に聞こえるようタメ息をついていた。

「……メアリに言われたことか?」

「はい……」

 真由乃の声はどんどん小さくなる。
 メアリに言われたことを昨日からずっと考え、それでも自分の中で答えを見つけられないでいた。それに、明人に相談しに来たものの、何でもかんでも明人頼りなのが情けなかった。

「メアリちゃんの言ってることは、きっと正しいんです。わたしは、どこか甘えてるんです」

 メアリの言うことが正しいとは分かっていても、「じゃあ自分はどうすればいいのか」が分からない。
 聞きたいことも全然まとまっていないのに、明人は真剣に耳を傾けてくれる。

「わたし……この前、この保健室で、男の子を見かけたんです」

「それで?」

 突然話題が変わり、明人は首をかしげながら真由乃に向く。

「その男の子、なにか悩んでいる様子でした。とても嫌な予感がしました。でも……」

 真由乃は、気づいていながら声を掛けなかった。

「わたしは、何もしませんでした。きっとそれは、気のせいだって言い訳して、甘えてたんです……」

 その男の子の悩みは心配するほど大きくなくて、もしかしたら真由乃の考えすぎかもしれない。それでも、気づいたなら声を掛け、話を聞いてあげ、種人たねびとを生んでしまうリスクを少しでも低くできたかもしれない。
 メアリに言われたことで、何もしなかった自分が余計に悔やまれた。

 真由乃が落ち込んで黙るのを待ち、明人はゆっくりと口を開く。

「それで、お前はどうしたいんだ?」

「……わかりません」

「そうか……らしくないな」

 明人は、真由乃を挑発するように言い放つ。

「俺はメアリの言うことが全部正しいとは思わない。メアリが言ったことはあくまでメアリの考えだ。それで、真由乃はどう考える?」

「考える……」

「どう考えて、どう行動したい」

「それが分からないんです」

「そうか? どうしたいか、真由乃はもう分かってるんじゃないのか?」

 真由乃は顔を上げない。下を向いて頭を巡らしている。
 明人は構わず話を続けた。

「誰かが思い悩んでいるのに気づいて、何もしなかったことを後悔しているんだろ? 行動するかしないかは、遅い早いとは別の話だ……」

「するか、しないか……」

「それで、真由乃はどうしたいんだ?」

「それは……」

「俺が知ってる環日わび真由乃まゆのは、もっと諦めの悪い奴だけどな」

「え……?」

 真由乃はやっと顔を上げる。
 明人は、変わらず挑発的な笑みを浮かべていた。

「俺を、授業に出席させるんだろ?」

 明人の言う通り、今のいままで真由乃は後悔していただけだった。
 これからどうするべきかは分からなくても、今しなければいけないことは明確だった。

「……わたし、その子・・・を探してきます」

 名前も知らない後輩の生徒――
 放課後に探すのは無謀かもしれない。それでも、真由乃は動かずにはいられなかった。
 丸椅子から立ち上がり、ロッカーから炎環かたなが入った袋を取り出す。

「気をつけろ、何かあればすぐに連絡しろ」

「明人さんも、今のうちに予習しておいてくださいね」

「そっちは早いとこ諦めるんだな」

 保健室を出ようとしたとき、扉が少し開いていた。誰か来ていたのだろうか――
 きっと入りづらかっただろう。申し訳ないことをした。

 気を取り直し、まずは聞き込みから始める。
 明里に聞いてみるのもいいかもしれない。可愛らしい見た目の生徒だから目撃情報にも期待ができる。家に帰っているなら、また明日聞けばいい。

 今はただ走る――
 その先に、真由乃が知りたい答えがあるのかもしれない。
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